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≫スーパーボンバーマン ぱにっくボンバーW
■発売元 ハドソン
■ジャンル アクションパズル
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9345円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンテニュー形式)
■その他 マルチプレイヤー5対応、SA-1チップ搭載
■総説明書ページ数 23ページ
■推定クリア時間 3〜5時間(エンディング目的)、8〜10時間(完全攻略目的)
凶悪ボンバー5人衆との戦いも終わり、南の島で平和に過ごしていたボンバーマンの元に世界五カ国のワールドボンバー達が大暴れしているという、信じ難いニュースが届いた。
それを知ったボンバーマンは、直ちに事の真相を確かめる為、現場へと向かう。
果たして、この事件を仕組んだ黒幕とは…?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆消し続けるのでなく、溜め続ける事に重きを置いた、風変わりなゲームシステム
◆連続して消すのでなく、溜めたものを爆破させて行う、斬新なお邪魔攻撃システム
◆大爆発を起こすデカボムにハプニングを起こすアイテムなど、パズルゲーム初心者には心強い、強力な一発逆転要素
◆5以上の連鎖をする事によって発動する、ド派手且つ強力なお邪魔攻撃(5連鎖以上という設定が絶妙)
◆少なめながらも、密度の濃さにとことんこだわった、珠玉のゲームモード
◆難易度を変える事で多種多様な展開を味わえる、やり甲斐満点のストーリーモード
◆雑魚とボスとの戦いが交互に行われる、ボンバーマンらしいストーリーモードの進行形式
◆処理落ちのほとんど無い快適さが異彩を放つ、白熱のバトルモード
◆サウンドテストにステージセレクト、隠しボスなど、豊富に仕込まれた隠し要素
◆初心者救済処置として効果的に機能している、便利なパスワードコンティニューシステム
◆ストレスを感じる事なく、直感的に動かせる快適さが見事な操作性
◆粗くもあるが、程好いレベルに抑えられている絶妙のゲームバランス
◆SA-1チップの恩恵を受けたド派手な描写が光る、美麗且つド派手なグラフィック
◆スーパーファミコンとは思えぬクリアな音質が素晴らしい、珠玉の音楽
◆爆発がメインのゲームならではの、迫力満点でド派手な演出
◆脱力系のギャグを言い放ったり等、無駄に濃い、愛らしい登場キャラクター達

--- Bad Point ---
◆あまりに強過ぎる、乱入ボスの一体『シャドーボンバー』(ラスボスよりも強い…)
◆バランス的には妥当だが、それでも強力過ぎる感の否めない5連鎖以上のお邪魔攻撃
◆モード数が少ない為、乏しいやり込み要素
◆フィールドが狭い為、見難い4人対戦(ジャンルの都合上、仕方が無いが)
◆ゲーム中、モードセレクト画面に戻れる中断機能が無い(あるべきだったのでは…)
▼Review ≪Last Update : 5/31/2008≫
溜まり続ける爆弾!降り注ぐ大爆弾!

爆風乱れ舞う、過激なアクションパズルここに登場!


アーケードゲームとして登場した、ボンバーマンシリーズ初のアクションパズル『ぱにっくボンバー』のスーパーファミコン移植作にして、細かな模様変えを施した続編。

従来のアクションパズルとは一線を欠く、溜める事に重きを置いたゲーム性とスーファミとは思えぬクオリティの音楽が異彩を放つ、珠玉の名作だ。

ゲーム内容は、いわゆる『ぷよぷよ』と同系統の対戦に特化した落ちモノパズル。プレイヤーは画面上部から落下して来るボンバーマンを縦か横、或いは斜めに3つ以上、同じ色同士を揃えて消しながらフィールド内に爆弾を溜めていき、それをランダムで落ちてくる爆破用の爆弾で爆発させて相手のフィールドにお邪魔ブロックこと『コゲボン』を送り込んでいく。最終的に相手フィールドをボンバーマンやコゲボンなどで埋め尽せば勝ち、逆にこちら側が埋め尽くされてしまうと負け…というのが、今作の基本的なゲームルールのあらましである。
従来の対戦に特化した落ちモノパズルとは違うのは、相手フィールドへのお邪魔攻撃の手段が、落ちてくるブロック(今作ではボンバーマン)を連鎖して次々と消していく…というのではなく、地道にブロックを消して爆弾を溜めていき、それを爆発させて攻撃を行っていくものだという事。基本は落ちモノでありながらも、そのモノ自身を溜め込んでいく事に重きを置いた、リスクとリターンの概念を基にした一風変わったゲーム性を取り入れている。
その為、今作では従来のパズルゲームとは異なり、連鎖テクニックというものがあまり重要視されていない。一応、連鎖を行った際の特典として、通常よりも爆弾を多く溜める事ができる、5連鎖以上ならばより強力なお邪魔攻撃を行う事ができる等がありはするのだが、多く爆弾を溜められる事、そして時間をかけて連鎖のパターンを考案するのは、このゲーム性の下においては自分を追い込む事でもあるので、やれば逆に敗北の可能性が強まってしまう。勿論、例えば爆弾を多く溜め、次にタイミングよく爆破用の爆弾が落下してくれば、強力な攻撃は仕掛けられる。だけどもいつ、爆破用の爆弾が落ちてくるなんて読めたものではないし(ある程度、パターンは決まっているのだが)、その際に敵のお邪魔攻撃でも受けてコゲボンが溜まってしまったりでもすれば、尚更危ない。
それ故に、今作ではあまり連鎖で消す事が重視されない。これまでのパズルゲームは、何かと沢山消した(連鎖ができる)プレイヤーが圧倒的に優位となりがちで、それが初心者との格差を生んでいた感じが否めなかったのだが、今作はその行為自体が有利にもなり、不利になるようにもなっているので、あまり格差が生じない。相手への攻撃の仕方も連鎖消しではなく、溜めた爆弾を爆破するという至極単純なものなので、パズルゲームがさほど得意でない方でも、安心して対戦の醍醐味を味わえる作りになっているのだ。
また、通常の攻撃方法の他に『デカボム』と呼ばれる、ブロックを消す度に増えていくメーターが溜まりきった際に落下して来る一発逆転の可能性もはらんだ手段が用意されているのも、救済処置の一つとして大いに評価できる。ボンバーマンシリーズお馴染みの『アイテム』による、操作逆転などのハプニング要素が盛り込まれているのまた然り。これによって、いきなり不利だった立場が逆転したりするのも、この手のパズルゲームではあまり見られなかった光景だ。
連鎖消しを対戦における攻撃手段とするパズルゲームが多い中、このような連鎖でなくても簡単に攻撃が行える仕組みを盛り込んだ今作は、まさに万人向けのパズルゲームと言うに値する一本と言ってもおかしくないだろう。腕前の差ばかりを重視してきたパズルゲームへのアンチテーゼとはまさにこの事。対戦というものは対等に楽しめてこそ面白いという、制作陣の熱い意気込みが伝わって来る仕上がりとなっているのだ。

ゲームモードに関しても、今作は対戦に特化したパズルゲームである事もあってか、『ストーリーモード』と『対戦モード』の二つだけしか収録されていないのだが、それまでのパズルゲームとは一線を欠く試みが成されているのが面白い。
厳密には『ストーリーモード』なのだが、これのラウンド構成が珍しい。「雑魚との戦い⇒ラウンドボスとの戦い」という、如何にもボンバーマンっぽい作りとなっているのだ。しかも雑魚との戦いは基本的に複数回(3戦ほど)あるので、全体的なボリュームもかなりのもの。パズルゲームとしては極めて珍しい、やり応えの深さを演出している。
また、この『ストーリーモード』は別途用意されたオプションで難易度を変更する事で、敵の強さのみならずゲームの展開までもが微妙に変わってくるという、やり込み派にはあまりに刺激的な要素も盛り込まれているのも必見。具体的には、難易度を変える事でゲーム進行中に特殊なボスが乱入してくるようになり、それまでのラウンド攻略を中断させられ、そのボスと戦う事になるのだ。しかも、一度倒せばもう二度と出てこないという訳ではなく、場合によっては全く別のボスが乱入してくる事もあるほど。とにかく、しつこ過ぎるのである。
この手の対戦型のゲームモードと言うのは、意外とあっさりと終わってしまうものが多いものだが、今作はこのようにラウンド(ステージ)ごとのボリュームが多めであるほか、難易度ごとに個性豊かな仕掛けが張り巡らされていて、尚且つ隠し要素とかも豊富に盛り込まれているので、そう簡単に遊び尽くせないようになっている。パズルゲームの1人用対戦モードって、ワリと簡単に終わってしまうんだよね…と思っている方こそ、このストーリーモードは是非とも遊んでみて頂きたい。あまりの仕掛けの多さと充実したボリューム、隠し要素の多さにきっと、圧倒させられてしまうはずだ。
また、ボンバーマンシリーズファンも同じく、このストーリーモードは要プレイ。それまで、シリーズでは雑魚キャラとして登場してきた敵達が対戦相手として登場するだけでも新鮮な構図だが、そんな彼らが予想だにしない台詞をバンバン喋るので、こればかりは是非とも要チェックだ。あまりのぶっ飛んだ台詞に、人によっては思わず脱力してしまうかもしれない。
この他、ある意味ボンバーマンシリーズでは看板ゲームモードでもある『対戦モード』も、ストーリーに比べたら密度は劣るがなかなか白熱する仕上がりとなっている。また、本家シリーズと同様に別売のマルチタップとコントローラを使っての最大4人までの対戦プレイが楽しめるのも大きな売りだ。パズルゲームの4人対戦という事もあって、画面のフィールドが狭くなってしまう(小さくなってしまう)欠点があるのがタマにキズなのだが、小さいながらも本編の迫力はそのままなので、それほど違和感無く楽しめる。何よりも、こういうパズルゲームの4人対戦では処理落ちが問題になるのだが、今作では特殊チップ『SA-1』の恩恵もあり、全くそれが起きる事無く、快適に楽しめてしまうのが凄い。
これだけでも、今作が如何に技術レベルの高い作品だという事は想像に難くないだろう。
ストーリーモードにおいて乱入ボスの一体が異様に強かったり、対戦モードにおける画面構成の問題、そして他のやり込み甲斐のあるモードの不在などの欠点もありはするが、全体的にどのモードもかなり気合の入った作りで、それまでのパズルゲームとは一線を欠こうとする意気込みが満点。こだわり尽くしの仕上がりとなっているのである。
少ないモードでここまでの遊び応えを演出したその手腕には本当、圧倒されるばかりだ。

そして操作性、ゲームバランスも申し分無し。操作性はやや、ブロックのスクロールが滑らか過ぎて、少しヌルっとした所があるのが気になりはするが、全体的にはキビキビと動いてくれるので、さほどストレスを感じる事は無い。
バランスも、一部乱入ボスの強さが尾を引くが、全体的には綺麗にまとまっている。更に、そう言った強敵との戦いをなるべく緩和する為の処置として、パスワードコンティニューシステムが導入されているのもナイス。また、ある特殊な隠し要素として『ステージセレクト』の機能が用意されているのも、パズルゲームが苦手な方には大変有り難いところだ。ちょっとズルい感じは否めないけど。
その他、グラフィックと音楽の出来も秀逸。グラフィックはSA-1チップの恩恵を受けてか、拡大・縮小・半透明と言った描写がかなりド派手なものとなっている。アニメタッチで描かれた大きなキャラグラフィックもかなり気合が入っていて、見応え満点だ。音楽も強烈。スーパーファミコンとは思えぬほど、透明感溢れる音楽が満載で、各対戦を盛り上げてくれる。特にメタルボンバーとボンバーガンマンの戦闘曲はインパクト抜群なので、要チェックだ。

演出周りも爆発のエフェクト、デモシーンなど迫力満点。中でも5連鎖以上を達成した際に画面内にて繰り広げられる、迫力満点のデモの数々には誰もが思わず、「そこまでやらんでいいだろ!」と突っ込んでしまうこと、間違いなしだ。
また、今作はキャラクターボイスも豊富に盛り込まれており、随所においてうるさくない程度に喋りまくるキャラも同じく必見。何気に声優陣が杉山 佳寿子(『アルプスの少女ハイジ』のハイジ)にTARAKO(『ちびまる子ちゃん』のまる子)、石丸 博也(ジャッキー・チェンの吹き替え)など大御所ばかりなのも要注目だ。
パズルゲームとしては珍しい、溜める事に重きを置いたゲーム性と初心者に優しいお邪魔攻撃システム、少なめながらもやり応え満点のゲームモード、処理落ち皆無の対戦プレイ、そしてスーパーファミコンとは思えぬクオリティの音楽など、1つのゲームとしても対戦ツールとしても、本家ボンバーマンシリーズとも勝るとも劣らない完成度を誇る今作。
ボンバーマンシリーズファンは勿論の事、パズルゲーム好きからパズルゲームは初めてという方まで、自信を持ってお薦めする、ボンバーらしさ溢れる名作アクションパズルゲームだ。この激情的としか評し様の無いゲーム展開、他では楽しめない。パズルでも遠慮なく、ボバってみましょう!
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