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≫スパークスター
■発売元 コナミ(現:コナミデジタルエンタテインメント)
■ジャンル スピードアクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 10290円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー形式)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 1〜2時間(エンディング目的)、6〜10時間(完全攻略目的)
悪の権化ピグスターとの戦いから数年後。機械文明の発達したエジナセム王国で、ライオネス総統率いるウルフ軍のクーデターが発生。エジナセム国王は王女フローラをウルフ軍の魔の手から守る為、平和を守ると言われる王家代々から伝わるペンダントを託した後、彼女を国から脱出させた。

一方その頃、騎士スパークスターは人里は慣れた土地で日夜、修行を重ねていた。そんなある日、スパークスターは攻撃を受け、墜落寸前の飛行艇を発見。その飛行艇に美しい姫が乗ってるのを見たスパークスターは、姫を救出する為、燃え盛る飛行艇へと向かう。

かくして、スパークスターとウルフ軍との戦いが始まった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆目にも止まらぬスピードでぶっ飛ぶ迫力、他のアクションと組み合わせて高速移動する応用性の高さと、多くの魅力と奥深さを兼ね備えたロケットアクション
◆斬撃、ローリングアタックなど、ロケット以外にも多彩な技を持った主人公スパークスター
◆常識外れのギミックと衝撃の展開で魅せる、濃密なレベルデザインが成された全9つのステージ
◆迫力満点、爽快感抜群の仰々し過ぎる演出(特に爆発関係のエフェクト、ステージ3の高速スクロールはかなりの迫力)
◆なまめかしい多間接アクションと圧倒的な威圧感で迫る、個性的なボスキャラクター達
◆極める度に上達が感じられる絶妙な調整が図られたゲームバランス
◆全難易度制覇、ハイスピードクリア(タイムアタック)など、豊富なやり込み要素(特にタイムアタックはかなり熱い)
◆ほぼ全てのボタンを使いながら、思った以上に簡単に動かせる良好な操作性
◆水面にキャラクターが写り込んだりなど、芸術的な描き込みっぷりと美麗なドット絵で見るものに強烈な印象を残す、質の高いグラフィック
◆各ステージの展開を大いに盛り上げる、勇ましさ溢れる良質の音楽
◆仰々しい演出を際立たせる、質感満点の重みのある効果音(特に爆発音)

--- Bad Point ---
◆完全にアクションゲーム好きをひいきしているとしか思えない各種難易度(ハード以降でないと最終ステージに行けないなど、嫌らしい棲み分けが行われている)
◆アクションゲーム初心者には厳し過ぎるゲームバランス(先の通り、全てを楽しもうとなると辛い思いをするハメになる)
◆難易度ハード以降になると普通に回避不可能な攻撃を展開してくる、ステージ8のボス・ライオネス総統
◆入力インターフェースの面倒臭さがタマにキズなパスワード入力画面
◆なかなかプレイヤーの頑張りを称えてくれないエンディング(隠し要素の究極難易度で攻略しないと祝ってくれない…)
▼Review ≪Last Update : 10/2/2011≫
宇宙の果てまで敵を追い詰めろ!

壮絶なるスピードで展開する救出絵巻、ここに登場。


メガドライブ向けの新作アクションゲームとしてリリースされた『ロケットナイトアドベンチャーズ』のスーパーファミコンオリジナルの続編。同じ年にメガドライブの方でも発売された、『ロケットナイトアドベンチャーズ2 スパークスター』とはステージ構成、ストーリー設定など、ほぼ全てが別物の完全新作でもある。

スーパーファミコン屈指のスリルとスピード感を兼ね備えた、隠れた力作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型のアクションゲーム。主人公スパークスターを操作し、ウルフ軍に誘拐されたフローラ姫を救出する為、全9ステージの攻略に挑むというものである。
本編は基本的に一本道で進行。迫り来る敵や仕掛けを突破し、最後に待ち受けるボスを倒せばステージクリアという、シンプルな王道の作りとなっている。しかし、例によって基本はシンプルでもアクションに一つ、大きな特徴があるのがミソ。その大きな特徴というのが『ロケットアクション』だ。
今作でプレイヤーが操作する主人公スパークスターは、背中にジェットロケットを背負っており、Yボタンを押しっぱなしにしてゲージを溜め、噴射させると目にも止まらぬ速さで移動。通常のジャンプでは届かぬ高い所への移動、シールドを持った敵や障害物を貫通する強力なロケットアタックと言った豪快なアクションを繰り出せるのである。本編ではこのアクションを駆使して突破しなければならない場面が多数存在。文字通り、ロケットを操るかのような独特の操作テクニックが求められてくる。しかもこのロケットアタック、もの凄い速度で敵や障害物に突撃するその性質上、完全無欠の必殺技というイメージがあるが、実際は全くそうでもない。というのも、噴射中のスパークスターは無敵ではない。その途中、敵の攻撃を受けたりすると、噴射中であろうと中断してダメージを受けてしまうのである。また、噴射できる距離も限られている上、噴射が切れた後には一定の「隙」が生じるようになっている。更に言うと、噴射が持続する距離は一定。プレイヤー側が制御して途中で噴射を中断する事は一切できない。なので、闇雲に噴射でもすれば、敵から連続攻撃を喰らってしまったり、最悪の場合、穴に落下する事故に発展する事もある。もの凄く強そうなイメージ漂うアクションだが、実際はそのように無防備で隙が大きく、万能という訳でもないのである。そんな露骨な弱点を持ってる為、ロケット噴射を連発し続ければどのステージも簡単にクリアできてしまう、なんて生温い展開に陥ったりする事は皆無。上手に制御する事が求められる、特徴の豪快さに反したテクニカルな操作が求められてくる仕上がりになっているのだ。
では、ロケット噴射の連発でスピーディにゲームを進める事は不可能なバランス調整が成されているのか、というとそうでもなく。スパークスターはロケットアタックの他にも、空中を僅かに滑空できるローリングアタックという技を持っており、これによる空中制御を身につければ、ロケット噴射を連発し、ステージを風の如く突破するという荒業が可能となる。しかし、その為にはステージの地形を頭に叩き込んだり、ローリングアタックの操作感の癖を覚えると言った前提条件がある。可能とは言っても、それなりの練習は必要となるのである。だが、練習した末にそのテクニックを物にしてしまえば、後は爽快なロケットプレイを存分に満喫できる。そして、思うが侭にロケットを駆使し、ステージをクリアできた際の達成感と爽快感は言葉に表し難いものがある。弱点が多く、誰もがスピード感を味わえる訳ではない厳しい制約はあれど、練習を重ねればそれが味わえるようになるという懐の広さも兼ね備えた設計。この辺はさすが、アクションゲームの制作には手馴れたコナミだけにあると言ったところか。上達する事で爽快なプレイが楽しめるようになる、極めて適切な調整が図られている。同時に、このやり込めばやり込むほど爽快感が増して癖になっていくバランスは、同社の『魂斗羅』シリーズそのもの。同シリーズが好きなプレイヤーならば、その調整具合には思わずニヤリとしてしまうだろう。ロケットアクション、ローリングアタック以外にも、剣による斬撃、回転斬りなど、プレイヤーアクションは盛り沢山。ロケットアクションにしても、単に高速移動したり、敵に大ダメージを与えるのみならず、壁に斜め方向から体当たりすると三角移動をするなど、ユニークな動きをお披露目してくれるのも大きな見所だ。
アクションゲームとしての作りは王道。悪く言えば、スーパーファミコンのアクションゲームではよくあるタイプだ。しかし、アクション周りはかなり独特で、極めれば極めるほどジェットコースター的なゲーム展開が堪能できるようになる奥深さと爽快感を兼ね備えている。ロケットの如く飛ぶという発想自体は正直、安易と言えば安易ではあるが、ロケットだからこその爽快感や悪い所を盛り込み、斬新なアクションへと昇華させている作りは秀逸の一言。まさに取っ付き易いゲーム性と新しいアクションの絶妙な融合とも言うべき、個性的という言葉がよく似合うアクションゲームに仕上げられている。

そして今作の魅力は、ロケットアクションがもたらすジェットコースター級のゲーム展開と濃密なレベルデザインに尽きる。とにかく今作は文字通り、息付く暇すら与えないほどの壮絶な戦いが画面いっぱいに繰り広げられる。
そもそも最初のステージ1からして凄い。開始早々、空を飛んでいた飛行艇が敵の攻撃を受けて失速し、中盤まで進むとその飛行艇が中ボスと共に落下してきてそのまま戦闘へと突入。更に中ボスを倒して飛行艇に潜入し、奥地で誘拐された姫を発見!…と思ったら、そこへスパークスターのライバルである『アクセルギア』が颯爽と登場。一瞬の内に誘拐されると同時に真下から画面半分を埋め尽くす巨大ボスが爆音と共に現れ、そのまま戦闘へと突入するなどと、まさに怒涛の展開の連続。アドレナリン放出しまくりである。しかも、今作に用意されているステージは全てがそんなノリ。何処のステージも、プレイヤーに一時の安らぎを与えない。中ボスが降って来たり、唐突に出現したりするなんてまだ序の口だ。あるステージでは、水攻めが始まったり、後方から巨大な鉄球が転がってきたり、足場が大爆発を起こして消滅すると同時に中ボスまでも登場するなど、数々の仰々しいトラップと敵の数々がプレイヤーへと容赦なく襲い掛かってくる。更に目視で追いかけるのも一苦労な、任天堂の『F-ZERO』バリの超高速走行をするロボットに搭乗して進むステージあり、縦スクロールシューティング(!)のステージありと、もはやアクションではないものまで収録するというごちゃ混ぜっぷり。まさに至れり尽くせり、プレイヤーを最後の最後まで翻弄させる気満々の濃密なレベルデザインが図られているのである。しかも、どのステージにおいてもネタの使い回しは皆無で、一つ一つが独立した個性を持っているという隙のない作り込み。よくここまで、プレイヤーを翻弄させる為の無茶苦茶なネタを注ぎ込んだなと感心してしまうほど、濃過ぎる仕上がりになっている。ステージごとに違った遊びとスリルを設けるという徹底したこだわりの数々。まさにアクションゲームの制作には手馴れたコナミの本領発揮とも言えるだろう。全てにおいて、桁違いのクオリティとなっている。
更に濃密なのはステージ構成ばかりだけではない。各ステージのトリを飾るボスキャラクター達も、プレイヤーを大いに翻弄する存在として徹底的に作り込まれている。それでいて、どのボスキャラクター達もやたらと個性的。トリッキーな動きをしながら、激しい攻撃を仕掛けてくる奴らしかいないので、文字通り手に汗握る白熱の戦闘を楽しむ事ができる。また、ボス達はほとんどが大型系である為、見た目のインパクトも申し分なし。画面の半分を覆い尽くす巨大ボスは勿論のこと、コナミお得意の多間接でなまめかしい動きをお披露目するボスもいたりなど、単にその動きを見ているだけでも楽しませてくれる。また、大型のみならず小型のボスも健在で、そのボスでは大型のボスとは異なり、相手の動きを読み取りながら攻撃を仕掛けていくという真剣勝負が求められるのも面白い。加えてあるステージでは、巨大なロボットに搭乗しての殴り合いというミニゲームのような戦闘もあったりと、とにかくプレイヤーに刺激とインパクトを提供する為のサービス精神が炸裂しまくりだ。濃厚なレベルデザインが図られたステージも魅力的だが、こちらも見応え抜群。まさにこれこそ横スクロールアクション、とも言うべき迫力とあり得ない嘘っぽさに満ち溢れた展開の数々は、アクションゲーム好きなら高い満足感を得る事ができるだろう。
また、このような濃密なレベルデザインが成されたステージをロケットアタックの連続噴射でスピーディに攻略できるようになった際の達成感、爽快感も格別。一つ一つのステージが癖のある仕上がりとなっているのもあり、スムーズに突破できるようになっただけで異様な制圧感が伝わって来る。それでいて、一部のステージを除いて最短ルートの構築など、タイムアタック的な楽しさもあり、一度クリアしただけでは満足しきれないほどの奥深さがあるのも見逃せない。単に濃いだけでなく、やり方次第では最短クリアも可能という懐の広さも施した隙の無さ。この辺の作り込み具合も、さすがはアクションゲームには手馴れたコナミだけにあると言ったところだ。
正直、ロケットアクションだけでも十分なオリジナリティがあるのに、それを霞めてしまう程度にまで作り込んでしまう今作のスタッフは、正直言って(良い意味で)変態である。それもこれも、ステージなどの総合面でも優れた完成度を誇るアクションゲームにしようという熱い意気込みとアクションゲームへの愛が成し得たものなのだろう。そしてそうも作り込んだ結果、ロケットアクションをマスターせずとも、面白い体験が堪能できるフォローとして機能しているのだから凄い。アクションゲームとしての新しさも大事にしながら、基本も呆れるぐらいに作り込む。今作は、アクションゲームが最も大事にすべき箇所を完璧に抑えた作品と言っても過言ではないだろう。本当に桁違いとしか言い様の無い出来なのだ。

アクションゲームの肝とも言える操作性も申し分のない出来。ほぼ全てのボタンを使う設計となっているが、手にしっかりと馴染む違和感のないボタン配置となっており、直感的にキャラクターが動かす楽しさを満喫できる。ゲームバランスも全体的にシビアであるが、きちんとした解法が設けられた理に適った調整。また、難易度選択機能も搭載されており、初心者向けのイージーから上級者向けのハードまで完備。各難易度の調整も秀逸で、上級者向けであるハードがそれほどマゾい作りとなってないのが見事。ノーマルをクリアできる腕なら難なく突破できるので、挑戦の敷居がそれほど高くないというのも注目に値するところだ。更にそれでも物足りないというプレイヤーに向け、隠し難易度も用意。骨の髄までしゃぶらせてくれるその徹底振りには、コアなアクションゲーマーも大満足間違いなしだ。
グラフィック、音楽、効果音の質も非常に高い。グラフィックはこれぞドット絵の芸術と断言できる描き込み具合が凄い。湖が舞台のステージでは、湖面にキャラクターの姿が写り込んだりなど、凝った表現も盛り沢山で、見るだけでも楽しい。キャラクター周りも、主にボスキャラクター達の凝りに凝った描き込みっぷりは必見だ。音楽も全体的に勇ましい楽曲が多く、各ステージの展開やボス戦を大いに盛り上げてくれる。効果音も非常に重みのある質感満点の出来で、ボスを撃破した際などの仰々し過ぎる爆発音はプレイヤーに確かな手応えを提供してくれる。
何気に今作の効果音は後に発売された『がんばれゴエモン3 獅子重録兵衛のからくり卍固め』でも起用されており、如何に質の高いものだったのかをうかがい知ることができる。

演出周りもスーパーファミコンの拡大・縮小機能を活かした仰々しいエフェクトが盛り沢山で、只でさえ濃密なゲーム展開を大いに盛り上げる。その他、シームレスに描かれるストーリーや湖、要塞、楽器の国などのバラエティー豊かなロケーションなど、見所は多い。
難易度ハードでなければ全9ステージが楽しめなかったり、アクションゲーム初心者には厳しい難易度調整、操作に慣れてない状態で唐突に始まるロボット搭乗によるボス戦など、至らぬ点も幾つか散見されるが、アクションゲームとしての完成度は非常に高い。癖はあるけど慣れると爽快感満点のロケットアクション、濃密なレベルデザインが図られた全9ステージ、そしてコナミ節全開の演出の数々と、可愛い見た目に反して驚くほど硬派でやり応え抜群の内容に仕上げられているこの『スパークスター』。同社の『がんばれゴエモン』シリーズや『魂斗羅』シリーズに比べてしまうと知名度は低いが、それらと肩を並べる素質を十分に持った力作である。特にアクションゲームが好きな方なら要プレイの逸品だ。この濃厚極まりない体験の数々は一度でも体験してみる価値がある!おススメ!
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