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  4. スーパーマリオ ヨッシーアイランド
≫スーパーマリオ ヨッシーアイランド
■発売元 任天堂
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 9800円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(※とある事を行うと1〜2人)
■セーブデータ数 3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 スーパーFXチップ搭載
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 6〜8時間(エンディング目的)、12〜20時間(完全攻略目的)
昔々のお話。夜明け前の暗い空を、一羽のコウノトリが今日に生まれる双子の赤ちゃんをくわえ、彼らのパパとママの所へと大慌てで向かっていた。
だがその時、雲の合間から猛スピードで突っ込んできた一つの影が!
その影はすれ違い様にコウノトリがくわえていた赤ちゃんを引っ手繰っていた。
だが、影が引っ手繰った赤ちゃんは一人だけで、もう一人の赤ちゃんは海に向かって真っ逆様に落ちていってしまった。

影の正体はクッパ王国の魔法使い、カメック。クッパ一族に災いをもたらす双子が生まれるという夕べの占いに従い、コウノトリを待ち伏せしていた。だが赤ちゃんを一人奪い損ねた事に気付いたカメックは手下達に対し、もう一人の赤ちゃんを探すよう怒りながら命令した。

一方その頃、海に落ちたと思われた赤ちゃんは、幸運な事に海ではなく、とある島を散歩中のヨッシーの背中に無事、着陸。赤ちゃんが降り立ったのはヨッシー達の住処『ヨッシーアイランド』。いつもはのん気なヨッシー達も、赤ちゃんには大慌てになっていた。
そして全員で相談をしていると、赤ちゃんがアッチアッチと指差しした。
この赤ちゃんにはさらわれたもう一人の赤ちゃんの居場所が感じられるのだ。
それならという事で、ヨッシー達は全員で赤ちゃんをリレーして運ぶ事にした。そして先ず最初に、緑のヨッシーが赤ちゃんを乗せ、赤ちゃんの指差す方向へと出発する…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ひ弱な赤ちゃんを守る『使命感』を全面的に押し出した、ユニークなゲームシステム
◆ヨッシーならではの特徴を活かした、多彩且つ可愛らしいアクションの数々(特にタマゴ投げによる攻撃とマリオとは種の異なる返信アクションは必見)
◆数こそ減ったが、密度が劇的に向上した全6ワールド54コース(隠しもあり)
◆充実した初心者サポート機能(メッセージブロックのコメントもかなり丁寧に)
◆癖があるが、マリオシリーズらしい直感的且つシンプルな操作性
◆マリオシリーズ最高のボリュームと臨場感で送るボス戦(何と、12体ものボスが登場)
◆巨大且つダイナミックな動きを披露するボス達
◆スーパーFXチップが織り成す、手描きタッチの独特なグラフィック
◆同じく、スーパーFXチップがもたらした、ド派手なエフェクト群(中でもポリゴン表現を取り入れた地形、ボス撃破時のダイナミックなエフェクト描写は見応え抜群)
◆アクション初心者を大いにサポートする、進化したストックアイテムシステム
◆アイテム集め、スコアアタックなど充実したやり込み要素(特に100点クリアは燃える)
◆絵合わせ、風船投げバトルなど、マリオ3以上に充実したミニゲーム
◆曲数こそ少なめだが、名曲満載の完成度の高い音楽(特にラスボス戦の曲は強烈)
◆何時になく高めだが、マリオらしい楽しさが満ちた絶妙のゲームバランス
◆あまりに可愛らしい、赤ちゃんのマリオとルイージ(+あの悪役)

--- Bad Point ---
◆かなり目が回るワールド5のボス『ビックキューちゃん』戦(長期戦になると地獄…)
◆お助けキャラの『ポチ』の使い勝手が悪い(元々、そういう仕様なのだが…)
◆コツを掴むまではちょっと難しい、タマゴ投げ
◆攻撃を当てるのが少々厄介なラスボス戦(3Dシューティングゲームに慣れていれば多少は楽…?)
◆ゲーム終盤のコースの難易度がちょっと高過ぎる(最後らしくはあるが…)
◆人によっては生理的嫌悪感を感じかねない巨大ボス戦
▼Review ≪Last Update : 9/8/2007≫
『コンピュータグラフィックス・ドローイング』による、全く新しいマリオの世界!

苦し過ぎるわ、そのネーミング…。


『スーパーマリオワールド』で初登場した新しい仲間『ヨッシー』が主役を務めるアクションゲーム。『スーパーマリオ』と表記されてる通り、スーパーマリオシリーズの五作目(スーパーマリオブラザーズ5)としてリリースされた作品である。

リアルなCGとは一線を欠く、手描きタッチの美しいグラフィックと使命感に満ちた独特のゲームシステム。見た目の可愛さとは裏腹に、歯応え満点の傑作アクションゲームだ。

ゲーム内容は、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーは赤ちゃんのマリオを背負ったヨッシーを操作して様々なコースを突破し、カメックに捕まった赤ちゃんのルイージを救出する為に最後のワールドを目指して本編を進めていく。スーパーマリオシリーズの第5作目としてリリースされた作品というだけに、ベースとなるシステムは他のマリオ作品のものを継承しており、敵を踏みつけるアクション、100枚集める事で残り人数がアップするコイン、そして前作に当たる『スーパーマリオワールド』で登場したヨッシーのアクションと言った要素群は本作でもそのまま採用されている。
だが、お約束ながら全くマリオそのもの…という訳ではなく、制限時間制がない、一部のコースとワールドを飛ばせるショートカットがない(つまり完全な一本道構成である)など、本作ならではの独自性に満ちたシステムも数多く取り入れられている。特にユニークなのがミス判定。マリオの場合は、キノコでパワーアップしてない状態で敵に触れるとミスとなり、キノコを取ってる状態ではダメージとなって小さくなってしまう…という仕組みとなっていたが、本作では何と敵に触れても少し弾き飛ばされるだけというものになっている。つまり、ヨッシーは無敵なのである。流石に、穴やマグマ、鋭利な刺とかに落ちたりするとやられてしまうが。だが、かと言ってダメージを喰らってもこちら側が損害を受けない訳じゃない。先程に少し述べたが、ヨッシーは背中に赤ちゃんのマリオを背負っており、敵に触れたりしてダメージを受けると、ヨッシーはこの赤ちゃんのマリオを振り離してしまうのだ。赤ちゃんのマリオはヨッシーから離れると宙に浮き、同時に制限時間が表示されてカウントダウンがスタートする。この制限時間は赤ちゃんが敵にさらわれるまでの時間を意味しており、仮にこれが0になる前に赤ちゃん自身に触れて助けたりしないと、大挙してやって来た敵に連れ去られてしまい、その時点でミスとなってしまう。例えヨッシーがコース上で生存していても、結果は同じ。つまり、ヨッシー自身は敵に触れてもやられたりはしないが、背中の赤ちゃんを守り損ねたらミスとなる…そんな仕組みになっているのだ。
何ともプレイヤーの「赤ちゃんを何が何でも守る!」という使命感を煽らせる、実にユニークなシステムと言える。自分達よりもひ弱な存在を守れなかったらその時点で失敗(ミス)となるのは、何だか現実の子育てを現しているようで生々しい。だが、その生々しさが返ってゲームとしての緊張感を出していて、それまでのアクションゲームには無かった、ステージを駆け抜けていく面白さを演出しているのは流石としか言い様がない。
赤ちゃんの悲痛極まりない泣き声もまた、そんな「守る」という事への使命感を嫌でも意識させられる生々しさを出していて、実に印象的。あのスーパースターのマリオがこんなにひ弱とは…と、別の意味で驚かされもするが、このひ弱な存在を守りながらゲームを進めていくという感覚は、まさにアクションゲームに一石を投じるものと言えよう。

他にヨッシーのアクションも大変ユニーク且つ多彩。マリオでもお馴染みの踏み付けは勿論の事、前作でもお披露目した敵を口に含んで吐く、そして敵を食べて卵を作り、それを投げる攻撃、強烈なプレス攻撃『ヒップドロップ』、そして僅かに空中浮遊ができる『ふんばりジャンプ』、スイカを口に含んで行う遠距離攻撃など、ヨッシーならではの大胆なアクションが多く取り入れられている。
特に『卵投げ』のアクションは本作のキーアクションとも言えるもので、主にコース上の仕掛け解除、ボス戦と言った場面で大活躍する。Aボタンで自動的に上下する照準を出し、タイミングの良い所でAボタンで照準を止めて投げる…という少し癖のあるものとなってる為(ちなみにオプションでAボタンを2回押す形式か、押しっぱなしにして離す形式に変える事も可能)、若干の慣れが要求されるが、自由に使いこなせるようになった際の快感は格別。この独特のアクションを楽しむだけでも、本作を遊んで見る価値はあると言える。なお、投げる卵については敵を食べる(口に敵を含んでから十字キーの下を押す)か或いは道中で卵をばら撒く花からもらう事で入手でき、最大6発まで持てる。無闇に乱発すると、タマ切れを起こしたりして大変な事になりかねないので、慎重に取り扱うのが吉だ。
この他にも『モーフィングアクション』なるマリオを髣髴とさせられる変身アクションも存在。ヘリコプター、モグラ、潜水艦、車など変身できるものはどれも大胆で、それぞれの状況に応じた場面において大活躍する。一定時間と一定の範囲内でしか変身できないのが惜しくもあるが、マリオとは違った変身の妙が満ちていて実にユニークだ。何気に変身したものごとに操作感が大きく異なるのも凄い所。こちらも先述の『タマゴ投げ』のアクションと同様、要注目だ。
また、本作には前作にあった『ストックアイテムシステム』も採用されており、これが非常に大胆なものに進化。画面上にいる敵を全滅させたり、非常用のスイカを取り出したりなど、アイテムの効果がどれも極端なものになっている。これらのアイテムは、各コースをクリアした際にプレイできるミニゲームで入手する事ができ、全部で個まで補充できる。いずれのアイテムも効果抜群で、アクションが苦手な方を強力にサポートするものばかり。いくらマリオでも、この救済策は流石にやり過ぎじゃないかと言わんばかりのインパクトだ。あまりの変貌っぷりに衝撃を受ける…かもしれない。
他にもゲーム展開絡みだが、各ワールドに2体ものボスが配置されていたり、敵の種類が100体以上もいるなどと本作ならではのシステムや要素は満載。このように本作、基本はマリオの続編でありながら、1つの独立した新作アクションゲームとしてのカラーも強調している…珍しい作りとなっている。こんなタイプの続編作品、今まであっただろうか?

システムだけでなく、ゲーム外の要素群の充実ぶりも目が離せない。先程のミニゲームもそうだが、本作にはコアユーザーの心をくすぐるやり込み要素も沢山あり、中でもコースごとに配置された3つのアイテムを全て集めて最高スコア『100点』を目指す、スコアアタックは強烈極まりない熱さ。しかも、各ワールドのコース全てで100点を達成すると遊べるようになるスペシャルな隠しコースも用意されていたりなど、ご褒美もしっかりしていて抜け目がない。正直、100点を狙うのは容易ではないので相当な苦労を要されるが、本作を隅から隅まで極めたい方こそ是非やってみて欲しいチャレンジだ。
改めて、本作の底の深さとヨッシーの狼っぷりをその身を持って味わえる事だろう。
そんなスコアアタックの要素を秘めたコースの総数も全6ワールド54(隠しも含む)と実に豊富。コース自体の長さも相当なもので、ボリューム感・やり応えも満点。マリオの血を引く作品らしく、コースを楽しむ面白さも強調されており、全体的に丁寧に作り込まれていて好感が持てる。抜け目が無いのも程がある…とはこの事だ。
グラフィックも究極の域。スーパーFXチップの恩恵で今までにない、手描きタッチの質感に満ちた美しいドット絵を実現している。また、3D処理を取り入れた事による、巨大なボスのグネグネとした動きも圧巻で、改めてFXチップの能力の高さを窺い知る事ができる。このド迫力のグラフィックを見るだけでも、本作をやってみる価値は100%ある。
また、音楽も大変素晴らしく、世界観にマッチした名曲が満載。しかし、最大の注目は何と言ってもその世界観から大脱線したラスボス戦の曲で、ここで多くの方が我が耳を疑う事は避けられない。グラフィックに次ぎ、この音楽…特にラスボス戦の曲を聴いてみるだけでも、本作を遊んで見る価値は同じく100%あると言えよう。変わり過ぎにも程がある。

そしてゲームバランスも申し分が無く、バランスについてはこれまでのと比べると難しい方なのだが、従来通りの理不尽さの無い、任天堂らしい絶妙のバランスを維持。操作性もほぼ全てのボタンを使用するとは言え、序盤に丁寧なチュートリアルが用意されているので、これと言って抵抗無く覚える事が出来る。
目を回しかねない一部のボス戦や終盤コースの難易度など、地味に気になる点もあるが、それを意識させないくらいゲームの完成度は高く、マリオシリーズの続編としても、またヨッシーのアクションゲームとしても文句無しに合格の出来となっている。やや癖もあるが、アクションゲーム初心者から上級者まで幅広く楽しめる傑作だ。影の実力者『ヨッシー』が魅せる、スリルに満ちたゲーム展開、スーファミユーザーならば是非とも味わってみて欲しい。文句無しにお薦め。
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