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≫ブームブロックス
■発売元 エレクトロニック・アーツ
■ジャンル アクションパズル
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)≪Best版:1980円(税込)≫
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 6つ(※5ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー不可
■その他 ヌンチャク対応、Wii Connect24対応
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 10〜11時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的)
投げて、つかんで、引っ張って、更には撃って、ブロックを吹き飛ばす!
スティーヴン・スピルバーグが贈る、アクションパズルがここに登場。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆物理演算エンジンを巧みに活かしたゲーム性が光る、独自のゲームシステム
◆ボールを投げる、ブロックを引っ張るなど、バリエーション豊かなプレイヤーアクション
◆ブロックの山を崩すだけに留まらない、多彩なステージ群(進路確保に拠点防衛、シューティングまで盛り沢山)
◆数は少ないが、多彩な遊びが楽しめる全三種類のゲームモード
◆自分だけのステージが作れる上に相手に配信も可能な、贅沢な設計が秀逸な『クリエイトモード』
◆シンプルなゲーム内容に適した、簡易設計が快適なチュートリアル(ルール解説)
◆全ステージ攻略からメダル集めまで、意外に充実しているやり込み要素
◆クリアするだけならヌルいが、完全攻略を目指すと歯応えが出る、絶妙なゲームバランス
◆Wiiリモコンの可能性を最大限に突き詰めた、シンプル且つ楽しさ満点の操作性
◆リモコン一本だけでも楽しめる親切設計が嬉しい、白熱必至の対戦プレイ
◆物理演算エンジンの特性が効果的に表現された、美しいブロックの倒壊演出
◆倒壊時の気持ち良さを大いに煽る、質感満点の気持ち良い効果音
◆何処と無くディズニーチックなカット割りが印象的な、『アドベンチャー』のムービーデモ
◆中身の充実振りを全く感じさせない、値段の安さ(3990円でこの内容はお得過ぎる)

--- Bad Point ---
◆如何にも海外ゲームらしい、濃過ぎるキャラクターデザイン
◆ステージ開始時のみならず、リトライ時も決まって導入される解説ナビ(リトライ時は省くようにして欲しかった)
◆小さ過ぎる文字フォント
◆『アドベンチャー』の最終面など、一部、腕がつり易いステージの存在
◆リモコンの性質上、どうしても誤動作が起きる『引っ張る操作』(その為、ジェンガ系のステージは地味にきつい…)
◆作れる型が決まっているなどの制約の多さが賛否を分ける、『クリエイトモード』
◆地味過ぎるおまけ特典(大半がクリエイトモード用の素材…)
▼Review ≪Last Update : 8/30/2009≫
私は、ただの映画監督ではない。

スピルバーグの本気、ここにあり。


『ET』、『ジュラシック・パーク』シリーズ、『プライベート・ライアン』等の数々の傑作を世に送り出してきた映画界の巨匠、スティーヴン・スピルバーグ監督とエレクトロニック・アーツの共同開発で制作された、新作アクションパズルゲーム。

物理演算エンジンによる、飛び抜けた爽快感!
リモコン一本で誰もが気軽に楽しめる、Wii屈指の傑作パズルゲームだ。

ゲーム内容は至ってシンプル。Wiiリモコンを振ってボールを投げ、多彩な形をしたブロックの山を崩していく、アクションパズルゲームだ。基本、(一人プレイでは)問題を解いていくのが中心で、パズルゲームとしては、思考型のジャンルに属している。しかし、破壊をメインとした内容もあり、あまり頭は捻る場面が少なく、直感的に楽しめる作りになっているのが、大きな特徴。この手のパズルゲームにしては珍しい、お手軽感の強い内容となっている。
ゲーム性とは別に、破壊の方法(プレイヤーアクション)が、「ボールを投げる」だけでないのも特徴の一つ。ステージによっては、Wiiリモコンを銃に見立てて敵を撃ち倒していくシューティング風味のものがあったり、『ジェンガ』のようにブロックを引き抜いて指定のブロックを破壊していくシチュエーションがあったりと、もはやパズルゲームとは到底言えぬ、ぶっ飛んだ遊びも体験できるようになっている。そのハチャメチャさは、もはや玩具遊びも同然。ある意味、今作はアクションパズルゲームというよりも、バラエティパズルゲームと称するのが良いのかもしれない。
また、多彩なプレイヤーアクション以外にも、『物理演算エンジン』を効果的に活かしたゲームデザインも特徴の一つとして見逃せない。ブロックの山を崩すのが基本となる今作だが、そのブロックの山が崩れる法則には、『物理演算エンジン』による本物の物理法則の原理を起用しており、きちんとその原理に則った、リアルな倒れ方をするようになっている。ブロックが現実と同じ倒れ方をする、これだけでも『物理演算エンジン』を経験した事のないユーザーにとっては衝撃的だが、今作が秀逸なのはこのエンジンをゲーム性にきちんと直結させていること。
収録されている大半のステージでは、ブロックを崩すに当たって「手数」が設定されており、「○投で山を崩せ!」と言った感じに、効率的な倒壊が求められてくる。中には、イタズラにボールを投げていればクリアできるステージもあったりするが、それによって得られるメダルの色が最低ランクの銅(手数が少なければ、金メダルが得られる)になってしまうので、良い評価を狙いたいのだとなれば、手数を少なくする努力が必要となる。
その「手数」を抑える為に考える部分、そこに物理法則の原理が上手い具合に及んでくる。「このブロックの山は何処を突けば、一気に倒壊するか?」と言ったように、物理法則の原理なくして実現し得なかった「考える面白さ」、「戦略の深さ」が表現されているのである。「倒れ方を計算する面白さ」とでも言うべきか。まさに、このエンジンだからこそ実現した、独自のゲーム性が演出されているのだ。
倒壊の法則を読み解き、一発でブロックの山を崩した際に得られる達成感と爽快感もまた、このエンジン故の賜物。物理演算エンジンはよく、演出面でそれを発揮させるケースが多かったりはするが、今作のようにゲーム性に活かしたケースと言うのもかなり希少だ。巷で言われる、このエンジンをゲームの面に活かした作品と言ったら、PC(Xbox360)の『ハーフライフ2』ぐらいじゃないだろうか?しかも、「ブロックの山を崩す」という単純な行いで、その面白味と魅力を演出してしまっているのだから、なおの事、驚かされる。演出の為でなく、ゲーム性にも直結させるそのゲームデザインの上手さは、全く持って流石だとしか、他に言い様が無い。お手軽さだけでなく、ゲームデザインとしても斬新。この時点でも今作の凄味みたいなのは、伝わったと思う。単純でありながら、結構、面白いことをしているのである。

また、「お手軽さ」の点においても、今作は飛び抜けている。何と言っても、リモコンたった一本で、ブロックの山を崩す遊び、物理原理による奥深い戦略性の数々が体験できてしまうのだから凄い。まさに、Wiiだからこそ成し得た面白味と体験と言ったものが、しっかり表現されている。
肝心のリモコンの操作も、基本的には振るか、引き抜くか、或いはボタンを押して撃つかの単純明快さなので、ゲーム慣れしてないユーザーにも優しい設計。それでいて、ゲーム慣れしたユーザーも直に馴染める感触の良さ。ゲーム慣れしてないユーザーのみならず、慣れたユーザーも一緒に、斬新な遊びを体験できるその敷居の低さは、まさに特筆モノだ。
更に、ゲーム慣れしたユーザーへのフォローが完璧な点も見逃せない。ルールも含めて、至って単純な雰囲気漂う今作だが、実はやり込み要素を含めたボリュームが半端ない。
一人プレイ向けのゲームモードはジャンル別の問題を解いていく『エクスプロワー』、特定のストーリーに沿って問題を解いていく『アドベンチャー』の二種類(全部で五種類だが、一人に特化するとそれだけ)と少ないのだが、各種ステージ総数は300以上、メダル集め、クリエイト用(後述)パーツ集めと言ったやり込みが盛り沢山で、そう簡単にはコンプリートできないほど、無駄に充実した内容となっている。
各ステージも工夫されている。ブロックの山を壊すだけでなく、『ゴルゴ13』風にブロックへの狙撃を行うステージあり、道を作ってキャラクターを誘導するステージありと、実に様々な遊びが体験できる。もはやそれは、パズルゲームの枠を超え過ぎだと言ってもおかしくないほど。プレイヤーを飽きさせなくさせるにしても、これはやり過ぎである。
似たりよったりな類似ステージも少なく、各ステージごとに独自の体験が味わえるよう設計されているのも、何気に凄い。300を超えるステージで個別のネタをセットするだなんて、余程アイディアがないとできないはず。それをやり遂げてしまっている辺りからも、今作の作り込みの深さがうかがい知れる。
また、今作には『クリエイト』なるモードもあり、自分でオリジナルステージを作る事もできる。予め作れるステージの型が決まっているのと、本編を進めて『パーツ』を揃えていかないといけない仕様がちと、タマにキズだが、オリジナルのステージを作るのが好きで仕方がないプレイヤーには、この上なく嬉しい要素だ。更にこの『クリエイト』で作ったステージは、WiiConnect24経由で相手ユーザー向けに配信する事も可能。逆に実際のインターネット上で知り合った相手から新たなステージを頂く事も可能であり、本編のステージで満足出来なかった方の為のアフターフォローも万全となっている。
不特定多数に向けて配信できれば、なお面白かったかもしれないが、それでも自分だけのステージを作れ、尚且つ配信できる仕組みはなかなか魅力的。単にゲーム本編だけ遊ぶ内容に留めないその徹底振りは、まさに今作が玩具箱のゲームというに相応しいだろう。リモコン操作の楽しさとお手軽さ(敷居の低さ)を突き詰め、尚且つゲーム本編でも満足感を演出する為の工夫を凝らす。純粋にネタ自体はかなり簡単で、そのままゲームとして落とし込めば、『Wii Sports』のような、簡素なものになるのは目に見えている。
今作はそれも踏まえた上で、ゲームとしても作っている。ライトなプレイヤー向けにする前提も踏まえつつも、コア層への配慮もきちんと行っているのである。ライト向けのゲームというと、ゲーム好きなプレイヤーに対しては自由な遊びで首の皮を繋げさせようとする配慮が目立ちがち。だが今作はあえてそうせず、コアはコアなりのものを用意しているところに、ユーザーに対する配慮の広さが出ている。そういう意味では今作、真の意味で万人向けを目指す、Wiiのコンセプトが見事に表現されたゲームであると言っても良いだろう。

パズルゲームでありながら、直感的にも楽しめるゲームバランス、物理演算エンジンならではの派手なエフェクトなどの部分も、結構な出来栄え。最大四人まで可能の対戦プレイも、敷居の低さも相まって非常に盛り上がる内容に仕上げられており、接待ゲームとしてもよくできている。何よりも、リモコン一本だけでも、対戦が楽しめるモードが用意されているのが凄い。リモコンが一本しか持ってないユーザーに対する配慮にもなってるし、Wiiならではの特徴をよく捉えている。まさに、ありそうでなかった要素とはこの事。これは流石だとしか言い様がない。
その他、グラフィックや音楽、効果音もなかなかのもの。特に効果音の気持ちよさはかなりのもので、物理法則に則って崩れるブロックの相乗効果で、爽快感を無駄に煽る。如何にもブロックを崩した!…という手応えを提供してくれるその気持ちよさは、人によっては病み付きになるかもしれない。
また、アドベンチャーモードにて時折挿入されるムービーデモも、何処と無くディズニーチックにテイスト富んでて味わい深い。ただ、キャラクターデザインが濃く、海外ゲーム特有の癖の強さが出てしまってるのはタマにキズ。パッケージのデザインにも言えるが、ここは日本人の好みを考慮したローカライズを施して欲しかったところだ。正直、そこだけで、ゲーム自体の魅力が殺がれてしまってる感は否めない。

また、ステージには無駄に腕が疲れる忙しい所があるのも残念。難易度を上げる為の処置なのかもしれないが、それにしたって負担を強くするのは褒められない。そこはもう少し、短めにするなどの工夫を凝らして欲しかった。他にも、ステージ開始の際に毎回挿入されるナビがウザいと言ったのもあるが、そこは些細な欠点。
いずれにせよ、ゲームとしての完成度は大変高く、Wiiの特徴を効果的に活かした傑作であるのに揺らぎは無い。一人でもかなりの満足感が得られ、パーティゲームとしてもこの上ない存在感を発揮する、この『ブームブロックス』。
Wiiを持ってるユーザー全てにお薦めする、至高の逸品だ。
3000円の値段を全く意識させない、中身の深さは特筆モノ!是非とも要チェックだ。
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