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≫ドラキュラ伝説ReBirth(リバース)
■発売元 KONAMI
■開発元 M2(エムツー)、ベイシスケイプ(音楽)
■ジャンル アクション
■CERO B(12歳以上対象) ※出血、殺傷描写あり
■定価 1000Wiiポイント
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■消費ブロック数 161
■セーブデータ数 1つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 クラシックコントローラ対応、ゲームキューブコントローラ対応、ヌンチャク対応
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、18〜25時間(完全攻略目的)
かつて強大な魔力を持ち、人々を恐怖に陥れた魔王、ドラキュラ伯爵。しかし、正統ヴァンパイアハンター、ベルモンド一族によって伯爵は倒され、人々に平和がもたらされた。

だが、それから100年後、人々が恐怖を忘れた頃、再び恐るべき魔王が城と共に蘇る。
この危機にベルモンド一族の末裔、クリストファーが立ち上がる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆十字キーと二つのボタンだけで楽しめる、取っ付き易い操作性
◆オリジナル『ドラキュラ伝説』の挙動で楽しめる、ファン向けのマニアックなオプション機能『クラシックスタイル』
◆ステージは少なめだが、高い難易度の恩恵で確かな満足感を得られる総計ボリューム
◆単純明快で取っ付き易い、シリーズ伝統のステージクリア型のゲーム展開
◆地形を完全一新、更に分岐による攻略ルートの変化まで導入して新作同然の内容へと変貌したステージ構成(更に数も全部で6つとオリジナルよりも増えている)
◆オリジナルに無い『サブウェポン』攻撃が加わり、より多彩になったプレイヤーアクション
◆あの死神も登場するなど、全てが一新されたボスキャラクター達
◆リバースシリーズお馴染み、往年のアーケードゲーム臭さに秀でたドット絵グラフィック
◆過去作のマニアックな曲のアレンジ中心で構成された音楽
◆3D仕立てのエフェクトなど、次世代機の2Dアクションらしさ全開の演出
◆残り人数設定、難易度選択まで幅広く救済処置が取り揃ったオプション機能
◆往年のドラキュラシリーズを髣髴とさせる、少しの油断が命取りとなる歯応え満点の硬派なゲームバランス(初心者向けのイージーモードも実装)
◆分岐ルート、各種難易度の制覇など、意外と充実したやり込み要素

--- Bad Point ---
◆『ドラキュラ伝説』のリメイクとは言い難い内容(ほぼ別物同然なので、熱心なファンほど賛否が分かれる)
◆取っ付き易いが挙動が独特な為、若干の慣れが必要とされる操作性
◆何故か隠し要素としてセットされたステージセレクト機能(隠しにする意味とは?)
◆非搭載の中断セーブ機能(ステージセレクトがそれを担うのだが、その扱いが…)
◆ステージ3から急激に上昇する難易度(致命傷を喰らうトラップが続出する)
◆ほとんど”隠し”でセットされた回復アイテム(ロウソク破壊で出て来ても…)
▼Review ≪Last Update : 12/26/2010≫
伯爵はリバースでもリバース(復活)する。

いつもお疲れ様です。


『GRADIUS ReBirth(グラディウスリバース)』、『魂斗羅ReBirth(リバース)』に次ぐ、リバースシリーズ第三弾にして『悪魔城ドラキュラ』シリーズ最新作。ゲームボーイの『ドラキュラ伝説』のリメイクで、リバースシリーズとしては初めての非新作タイトルである。開発はM2(エムツー)。音楽はベイシスケイプのさんたるること並木学氏が担当。

1000円でこの歯応えとボリュームはあまりに贅沢!
やり込み甲斐満点の秀作アクションゲームだ。

ゲーム内容はファミコンディスクシステムの初代『悪魔城ドラキュラ』の系譜に連なる、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはヴァンパイアハンター、クリストファー・ベルモンドを操り、魔王ドラキュラ討伐を目指して全6ステージの攻略に挑む。
基本はオリジナルである、ゲームボーイ版『ドラキュラ伝説』に準拠。プレイステーション(セガサターン)の『悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲』以降、シリーズのスタンダードとなった探索型アクションRPGでない、王道のステージクリア型アクションのドラキュラとして作られている。しかし実際の所、今作はリメイクというには程遠い内容であったりする。確かにドラキュラ伝説を名乗ってはいるものの、その詳細な内容はオリジナルのゲームボーイ版とは別物に等しい。そもそも今作は、ドラキュラ伝説の名を語った新作も同然な内容なのだ。ドラキュラ伝説と共通する部分は、主人公がクリストファー・ベルモンドである事と敵の一部ぐらい。それ以外の部分に関しては、ゲームボーイ版を全くと言って良いほど継承してない。
例えば本編に用意されているステージの総数だが、先述の通り6つ。オリジナル版では全5ステージだったのが、1つ増えている。更にそのステージも構成全てが新規のものに。部屋(ブロック)ごとを仕切る扉が新たに配置されていたり、『鍵』のアイテムを所持していると開く隠しルート(分岐)があったりなど、少し探索型のドラキュラっぽさのある作りに一変している。特に後者、隠しルートはその象徴で、通過する事で中ボス戦を回避できたり、正規ルートとは全く別の展開になったりなど、スタイルは全く別物とは言え、マップをしらみ潰しに調べる感覚はまさに探索型のそれ。PCエンジンの『悪魔城ドラキュラX 血の輪廻』のように、特定のルートを通ると隠しステージへ進めるという要素は無いが、ルートの通り方如何で違う展開が楽しめるので、一回プレイしただけでは遊び尽くせず。一粒で二度美味しい構成となっている。勿論、構成が新規に作り直されてるので、オリジナル版の知識や攻略法も一切通用せず。経験者も新鮮な気持ちで楽しめる。
またステージのみならずシステムにも、かなり手が加えられている。第一にドラキュラシリーズ定番の武器『ムチ』だが、オリジナルではアイテムを取ると炎が放てるようになり、敵からダメージを受けるまでそれを維持できたのが、制限時間以内だけ炎が放てる仕様に変更。ダメージを受けても、制限時間を現すゲージが無くなるまで炎が放てるようになった。更に振りかぶった際のモーションに攻撃判定が発生するようになり、僅かながら基本性能もパワーアップ。かなり使い勝手の良い武器に進化している。そしてドラキュラシリーズの武器と言ったら、ムチとは別途に持つ『サブウェポン』だが、オリジナルではこれが存在せず、ムチだけで戦うというストイックな作りに特化していた。しかし、今作ではこの『サブウェポン』が登場。いつものドラキュラのように十字架や斧などの武器で敵を攻撃できるようになり、多彩なアクションが楽しめるようになっている。また、ムチだけの攻撃で戦わねばならなかったオリジナル以上に自由度の高いプレイができるようになり、攻略の幅もパワーアップ。ムチだけで戦うから面白い、そんなこだわりを持つ方には賛否あるかもしれないが、追加の恩恵でシビアさは大幅に薄れ、遊び易くなった点は見逃せない。ある意味、これは適切な追加要素と言えるだろう。
その他、ジャンプ中の軌道修正が可能になったり、オリジナルに近い操作感で楽しめる『クラシック』なるオプションを搭載すると言った変更も施されている。また、ステージ絡みの話に逆戻りするが、ボスのメンツもほぼ新規に。ネタバレになるが、オリジナルには登場しなかった死神も今回は登場する。更に最後のドラキュラにもちょっとしたおまけが追加されている。こんな具合にドラキュラ伝説を名乗りながら、あらゆる部分がオリジナルと別物。まさにドラキュラ伝説の素材を使って新規に作り直した、新作同然の内容に仕上げられているのだ。故にドラキュラ伝説のリメイク…と思ってプレイすると、期待を裏切られるのは必至。オリジナルが好きだった人には、かなり賛否の分かれる作りだと言える。

そして、そんな新作も同然な内容こそが今作最大の売りにして、欠点である。オリジナルとは全く違う遊びが楽しめる一方で、同じ展開が全く楽しめない。しかし、ストーリーとか細かい設定はオリジナルを継承しているという配慮。その怪奇極まりない作りは、果たして今作をリメイクと称して良いのか否かの悩みを併発させる。簡単に考えればステージ構成とかは新規だから、新作というのが妥当ではある。だが、ストーリーや敵の一部はオリジナルと共通しているのでリメイクとも言える事実。一体、どちらに属するのが妥当なのか、こうも安易に判断できないリメイクタイトルも、結構珍しい。そして、ゲームとしては元の雰囲気がほとんど無いが故、オリジナルに愛着を持っていた方には、かなり賛否の分かれる内容であるとも言えるだろう。
しかし、リメイクであると判断し難い、ゲームとしての元の雰囲気皆無とか、そういうのを抜きにして、今作の一つのアクションゲームとしての完成度は非常に高い。また、コストパフォーマンスもかなりのものだ。特に全6ステージの構成のボリューム感は特筆すべき魅力。豊富に仕込まれた分岐ルートの恩恵で、総数の少なさを全く感じさせない奥深さ、そしてやり応えの深さの双方を見事に演出している。分岐を通らない、正規ルートでの進行にしてもボリューム感は結構なもので、1つのステージをクリアするだけでも8〜10分は平気かかるほど。リバースシリーズの前作に当たる『魂斗羅ReBirth』では1ステージ単位のクリアタイムが僅か5〜7分程度と、コンパクトにまとめられていたのに対し、今作ではその真逆を貫くという方針で攻めているのが非常にユニークだ。気軽にサクッと楽しめるのが特色とも言えるダウンロードタイトルとしては、なかなか贅沢な試みと言える。
また今作は難易度も気持ち高めに設定されており、主にノーマル以上の難易度(※難易度選択機能実装)は、まさにファミコン、スーパーファミコン時代のアクションゲームを髣髴させる手強さ。緻密なパターン化とアドリブに応じた操作なくしては、どのステージも手早く攻略するのは不可能。そして手強い故にステージを攻略するのにも結構な時間を必要とされる為、気軽に楽しむ事など不可能に等しい。ステージの総数が少ないからと言って、過去のリバースシリーズのように手軽にサクッと攻略できると思ったら大間違い。少ない事を逆手にとった、きつい調整になっているのである。難易度イージーならば、そこまでの厳しさは無いが、例によってこの難易度だと最終ボスと戦えないデメリット付きなので、クリアしてもあまり得はない。とことん昔気質なのだ。だが難しいからこそ、無事にクリアできた際の達成感は格別。更にステージが長めに作られているからこそ、満足度もかなり高い。それに加え、分岐という一粒で二度美味しい要素も備わってる為、別のやり方によって最初とは全く違った展開が楽しめるという奥の深さ。
念の為だが、今作はお値段1000円である。Wiiウェアのタイトルでは標準価格とも言える1000円だ。パッケージタイトルと比べたら安価な値段である。そんな値段でありながら、この深さとやり応えの高さ。これを「コストパフォーマンスが高い」という以外に何と言えるだろうか。とにかく、ステージの総数とかは控え目ではあるものの、やり応えとボリュームは桁違いなのである。しかも先に話した事以外にも、全難易度の攻略などのやり込みも実装されているので、仮に全ての分岐を通ったからと言って極めた事には繋がらない。まさに1000円という値段を超越したやり応え。正直、これなら5000円は払っても良いだろうと、実際にプレイすればつい漏らしたくなってしまうこと間違いなし。伊達じゃない深さなのだ。
あまりに極端に変更されている故、熱心なファンには賛否が分かれる作りであるのは否定できない。しかし、ゲームとしての作りに一切妥協無し。アクションゲームとしては極めて高い水準でまとめられている。何よりも、1000円とは思えないほどボリューム感があり、そして深い。これだけでも、かなり魅力的なタイトルであるのは間違いないだろう。どっち付かずな部分はあっても、面白さは本物。本当あらゆる意味において今作は、大胆なリメイクになっているのである。

単に深いばかりではなく、救済処置、オプション周りもリバースシリーズならではの分かり切った仕上がりだ。先にも少し紹介したが、クリストファーの挙動をオリジナル版と同じものへと改める『クラシック』スタイル、ステージ上における豊富なリトライポイントなど、痒い所まで行き届いている。
ただ、一度クリアしたステージを選択できるステージセレクトを隠し機能にした理由がよく分からない。これは別に隠しにせず、普通に基本システムとして組み入れるべきだったのではないのか?良い機能なだけにちょっと勿体無い。
操作性、全体のゲームバランスに関しては特に言う事無し。いずれも良好なものに完成されている。ただ、ドラキュラの宿命故か、少し制御が効き難い操作感は、初めての人は抵抗を覚えたりするかもしれない。でも基本的に十字キーと2つのボタンで簡単に遊べるので、そう身構える必要は無し。癖はあれど、取っ付き易さは抜群だ。
グラフィックも結構な出来栄え。リバースシリーズ伝統の昔懐かしい香り漂うドット絵全開のグラフィックは、オールドゲーマーのノスタルジーを大いに喚起させてくれる。
また、今更になってしまったがドラキュラシリーズの顔とも言える音楽は、オリジナルとは違って旧作のアレンジ主体の編成に変更。オリジナルの曲が少ないので、熱心なファンには賛否は分かれるかもしれない。しかし、チョイスがこれがまたとてつもなく渋い。熱心なファンでも、そのアレンジの出展先には「何てマニアックな!」と唸ってしまうこと、間違い無しだ。なお、音楽は過去のリバースシリーズと同様にベイシスケイプの並木学氏が担当。アーケードーゲームを髣髴させるFM音源全開の曲調は、ドット絵と並行してオールドゲーマーのノスタルジーを大いに喚起する事間違いなしだ。

演出全般も次世代機での2Dアクションという事で、3Dエフェクトが仕込まれてたりなど、少し派手な作りに。画面に大量の弾が表示されても全く処理落ちが発生しない場面には、時代の進化というものを痛感させられるだろう。
リメイクというにはかけ離れすぎな内容、一部機能のもったいぶりなどの気になる箇所も散見されるとは言え、完成度はかなりのもの。そしてやり応えも抜群で、コストパフォーマンスも高い。過去のリバースシリーズとは違う本格的な歯応え満点の2Dアクションとして完成されたこの『ドラキュラ伝説ReBirth』。
オリジナルの『ドラキュラ伝説』を愛すプレイヤーには、変更点が多いのもあって薦め難い所もあるが、ドラキュラシリーズファンなら要プレイの傑作だ。アクションゲームが好きな方にもオススメ。圧倒的な歯応えとボリューム感は1000円とは思えないほどのインパクトに秀でている。是非、チャレンジすべし。オススメです。
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