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≫進め!キノピオ隊長
■発売元 任天堂
■開発協力 1-UPスタジオ
■ジャンル 箱庭アドベンチャー
■CERO A(全年齢対象)
■定価 パッケージ版:3700円(税別) / ダウンロード版:3700円(税別)
amiiboセット:4700円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(※ユーザーごとに作成可)
■必要容量 セーブ:2MB以上、ダウンロード版:1259MB以上
■その他 amiibo対応(※更新データ適用必須、amiiboセットは更新データ無しで使用可)、OFF-TV PLAY対応、amiibo キノピオ同梱(※amiiboセット限定)
■総説明書ページ数 12ページ(※電子説明書)
■推定クリア時間 5〜6時間(エンディング目的)、25〜35時間(完全攻略目的)
光り輝く「パワースター」を発見し、それを手に入れたキノピオ隊長とキノピコ。
そんな二人の頭上にお宝好きの大怪鳥「ウィンゴ」が出現。
パワースターを掴み、奪い返そうと立ち向かったキノピコごとさらっていってしまった。

その場に残されたキノピオ隊長はキノピコを助け出す為、ウィンゴの後を追う…!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆箱庭空間を様々な角度から観察して進むべき道を探っていく、3Dアクションのカメラ操作をパズルアクションへと昇華させたアイディアの面白さが光るゲームデザイン
◆原作が収録された『スーパーマリオ3Dワールド』から飛躍的にバリエーションが豊かになった全70以上のコース
◆ゴールこと「パワースター」の元への到達にクリア条件が改められ、よりテンポ良く展開されていくようになった本編
◆ハンドルを回す、マイクに息を吹きかけるなど、WiiUゲームパッドの機能面を活かした独特な遊び心地に富んだコース内ギミック(バリエーションも原作以上に増加)
◆カブを投げる、ツルハシを振るなど、原作にも増して多彩になったキノピオ隊長のアクション
◆パズルとアクションをバランス良く、驚きも含めて展開する工夫が映えるレベルデザイン
◆優れたレベルデザインと共に表現された絶妙なゲームバランス(難易度の上昇具合が巧み)
◆世界観に捉われないエピソード進行ならではのカオスなテイスト溢れるコースロケーション
◆マリオ3Dワールドの良さをそのまま引き継いだ、アクション全般におけるレスポンスの良さ
◆「お題」を始めとするやり込み要素から驚愕の隠し要素まで、非常に充実したボリューム
◆マリオ3Dワールドの流用だが、元々の質の高さもあってその事を全く気にさせないグラフィック(全て流用という訳ではなく、新規のグラフィックも幾つか追加されている)
◆ほのぼの、ゆったりとしながらも時には緊迫した雰囲気にも一変する、空気を読んだ音楽
◆同じく派手さは抑えられているものの、ボス戦では一転した作りに変貌する空気を読んだ演出
◆特に女性のプレイヤーの心を鷲掴みにするキノピオ隊長の豊富なリアクション
◆筋書きは王道ながら、プレイヤーの交代劇など、意外な展開も多く用意されたストーリー

--- Bad Point ---
◆ジャイロセンサーによるカメラ操作をOFFにするオプションの非搭載(この為、右スティックだけでやりたくてもジャイロが入っている所為で微調整を狂わされることが多々ある)
◆同じく感度調整オプションの非搭載(おまけにスティック操作の感度が鈍い)
◆WiiUゲームパッドに絡んだギミックの多さもあり、パッド側の液晶を見ながらの方が快適なゲームプレイ(WiiUらしいと言えばWiiUらしいが、どうにも中途半端)
◆何故か初プレイ時に内容が伏せられた「おだい」(クリア後に確認できる仕様)
◆クリアするまで出現場所に本来あるコースが遊べなくなるのが煩わしい、ボーナスコースの制約
◆基本、使い回しでバリエーションに欠ける逃亡コース限定の巨大な敵とボス
◆全体的に一つのエピソードにコースを詰め込み過ぎの感が否めない本編構成
◆1つだけしか作成できないのが煩わしいセーブデータ(ユーザーを別に用意すれば解決する)
▼Review ≪Last Update : 12/3/2017≫
実は繋がっている。

そして、スピンオフの意味を貴方は知る。



『スーパーマリオギャラクシー』にて初登場し、『スーパーマリオ3Dワールド』では特定のコースでプレイヤーキャラクターを務めたキノピオ隊長を主人公とした作品。キノピオの主演作としては1994年の『ワリオの森』以来20年ぶりで、初の冠作品となる。開発は『スーパーマリオ3Dワールド』に引き続き東京制作部。「1-UPスタジオ」も制作協力として参加。

往年の名作パズルアクションの香り漂う、懐かしい手応えに満ちた傑作だ。

内容は3Dの小さな箱庭空間で繰り広げられる「箱庭アドベンチャー」なる、ステージクリア型パズルアクションゲーム。キノピオ隊長を操作して箱庭のステージを駆け巡り、ゴールに当たる「パワースター」の元への到達を目指すというものだ。
システム周りは『スーパーマリオ3Dワールド』の「キノピオ隊長コース」を踏襲。ジャンプができないキノピオ隊長の基本性能、右スティック、或いはWiiUゲームパッド内臓のジャイロセンサーで様々な角度からステージの全体像を確認し、道を発見したり仕掛けを解いていくゲーム性はそのままだ。本作はその「キノピオ隊長コース」を原作としつつ、様々な要素の追加、一部システムの変更を施し、一つのパズルアクションゲームへと発展・昇華させた作りになっている。
原作との違いについて解説していくと、まずコースのクリア条件。冒頭でも紹介した通り、ゴールに当たる「パワースター」への到達を目指すというものに改められた。原作ではコース上に隠された5つの「グリーンスター」回収がクリア条件だったが、それと比べて簡略化。この為、コース一つのクリアに要する時間も大幅に短縮され、テンポよく進んでいく作りに一新されている。また、「グリーンスター」に代わる新アイテムとして「スーパーダイヤ」を追加。コース内に三つ隠されていて、これの全回収を目指す遊びが楽しめるようになっている。「グリーンスター」に代わるアイテムという事で、単なるやり込み要素でないところも共通。本編を進めていくと、一定数のダイヤが無いと遊べないコースが行く手を阻むので、イタズラに回収を無視して進めてしまうと、クリア済みのコースを再プレイする為の逆行を強いられることになる。原作元たる『スーパーマリオ3Dワールド』にもあった仕掛けだが、それが本作にも継承。純粋にコースを流れるがままに攻略していくだけで終わらない構成にまとめられている。それ以外に原作ではコースごとに制限時間が設定されていたが、本作では撤廃。一つのコース攻略に幾ら時間を費やそうが、ペナルティは課せられなくなった。ただその分、手強いパズルや仕掛けが登場するようになっていたりと、撤廃したなりのフォローも。そう言った所も含め、全体的にパズルアクションとしてのカラーを濃くする変更になっており、原作の経験があるプレイヤーも新鮮な手応えを感じ取れるものになっている。
同様の事はコース内容にも言える。原作はどこもグリーンスター回収に終始したが、本作はその手の純粋なゴールを目指すタイプだけにあらず。トロッコに乗って備え付けられた大砲で敵を倒していく強制スクロールコース、キノピオ隊長を突け狙う巨大な敵の襲撃から逃げ続けるコース、敵に察知されないように隠密行動が要求されるステルスコース、更にはボス戦と言った多種多様な新種が加わっており、より起伏に富んだ展開が楽しめるようになっている。コース上の仕掛けに関しても「くるくるハンドル」なる、WiiUゲームパッド側に表示されるハンドルを回して地形を動かすもの、「プルスイッチ」なる起動させると地形が変化すると言った新種が追加。原作にも登場したゲームパッド側のタッチ操作で上下する床、マイクに息を吹きかけることで移動する床もそれらに混じり合う形で続投しており、ゲーム全体のパズル性強化に一役買っている。関連する形で、キノピオ隊長のアクションもまた然り。歩く、走るぐらいしかできなかった原作と異なり、「ヒキヌケ草」と呼ばれるコース上に生えた草を引っ張ったり、そこから出てきた「カブ」を投げたり、「スーパーツルハシ」と呼ばれる新アイテムを持って行く手を阻むブロックを破壊したり、頭に被ったヘッドライトで暗闇を照らしたりなど、できる事が増えている。特に敵への攻撃手段が追加されたのは特筆すべき変更点だ。しかも、それらのアクションがどれも往年の任天堂ゲーム好きをニヤリとさせるもの。「カブ」を投げるのは、キノピオもプレイヤーキャラクターの一人として登場した『スーパーマリオUSA』由来のアクション。原作元の『スーパーマリオ3Dワールド』でもキノピオがプレイヤーキャラクターで登場するなど、同作をオマージュしたシステムが実装されていたが、その流れが本作にアクションという形で受け継がれている。もう一つの「スーパーツルハシ」も過去のマリオ出演作品のオマージュ。その作品とは『ドンキーコング』。実はこのアイテム、同作の「スーパーハンマー」と全く同じもので、獲得と同時に一定時間、キノピオ隊長がツルハシを振り続ける状態になるのだ。その為、経験者であれば「まんまやん!」と突っ込みたくなること必至。おまけにその時に流れる音楽も『ドンキーコング』のハンマーの曲のアレンジ。そこまでするかと、制作スタッフの妙なこだわりに感服するかもしれない。やや脱線したが、こう言ったアクション周りも強化されているほか、それにちなんだ仕掛けもコース内に設けられたりして、遊び応えは原作以上に強化。そして、そこにもパズル性の強化の作り込みが成されていたりと、同じようで違う手応えを感じ取れるようにする工夫が図られた仕上がりになっている。
他に分身アイテム「ダブルチェリー」、救済要素「無敵キノコ」と言った『スーパーマリオ3Dワールド』由来の要素が追加されているほか、全体のボリュームもコース総数が70以上になって大幅増加。「コインパラダイス」、「マネミーラビリンス」と言ったランダムで発生するボーナスコースも新規に加わっている。ギミック操作に留められていたタッチ操作とマイク操作にも敵を動けなくする、動かせる仕掛けを発見するなどのサポート機能が追加。また、フィギュア型の周辺機器「amiibo(アミーボ)」にも対応しており、様々な特典を楽しむことができる。
原作の時点でも、マリオとは異なる制約の多いアクションとそれによるパズル的な面白さ、3Dのカメラ操作を活かした独特な遊びが描かれていたが、本作はそれをより磨き上げることに徹底。その結果が様々なシステムや追加要素に如実に表れた、優れた遊び応えを誇るパズルアクションへと発展を遂げた作品に完成されている。その手触り感には懐かしさすらあり、人によっては任天堂がかつてゲームボーイ向けに発売した往年の名作『ドンキーコング(1994年版)』、『モグラ〜ニャ』を想起すること確実。むしろ、その系譜に連なる新作と言っても何ら不思議ではない内容になっている。

そして、本作の魅力もそれら往年の名作が想起される懐かしい手触り感である。具体的には本編及びコースの構成(レベルデザイン)、ゲームバランスの二つにおいて、その頃の味が顕著に現れている。
前者に関しては、プレイヤーを退屈させないことへの徹底したこだわりが見事。パズル性の強いゲームデザインなだけにアクションゲームとしての派手さは控え目で、全体的に淡々とした展開が繰り広げられがちではあるのだが、そこをバリエーション豊かなコースの数々によって見事に補っている。それでいて、似通った内容のコースは極力出さないというこだわりが顕著。「パワースター」への到達に終始するのは全コース共通だが、そこに至るまでの過程がまさに「山あり谷あり」で、時々プレイヤーを困惑させるような展開を挟んでくるので、どのコースでも何かしら驚かされる。ロケーションも本に記された「エピソード」にまとめられた冒険を追体験していく仕組みなので、マリオシリーズの世界観(テーマ)が設定されたワールドのコースを攻略していくのとは違って混沌気味。草原が舞台になったと思ったら、その次は異空間だったり、はたまたその次には図書館だったりと、予想だにしない所が舞台のコースが次々と登場するので先が読み難い。そして、本編に用意されているコースはパズル性の強いものだけにあらず。先も紹介した通り、キノピオ隊長を突け狙う巨大な敵から逃げ切るアクション的なテクニックが要求されるタイプのほか、主観視点で大砲を放って敵を倒したり、コインを回収していくシューティング要素の強いトロッココースが用意されている。更に本編が進むとパズルとアクションが交互に繰り広げられる激しい内容のコースも登場するほか、本作のカメラ操作とその視点を活かした2Dアクション的な構図のコースまで行く手に立ちはばかる。極め付けとしてボス戦も用意されていて、その戦闘内容もパズル的なものかと思いきやアクション全開の真っ向勝負。その場面に限っては派手な演出も画面いっぱいに繰り広げられたりと、それまでの淡々とした展開の印象を覆す仕掛けも凝らしているほどである。それに加えて本編攻略途中にはストーリーもしっかり描かれ、途中からなんとプレイヤーキャラクターがキノピオ隊長ではなく、今回の救出すべき人物でヒロインのキノピコに切り替わる展開になることも。このような具合に下手すれば地味になりかねない内容をしっかりと盛り上げ、且つ起伏のある構成にしてプレイヤーの興味を惹きつけて離さない為の工夫が緻密に施されており、そのゲームデザインとは裏腹の目が離せない展開がこれでもかと言わんばかりに繰り広げられる内容にまとめられているのだ。このこだわりは原作『スーパーマリオ3Dワールド』でも炸裂していた手法であるが、本作でもその良い所をしっかり引き継ぎ、ゲームデザイン特有の難点を潰し切る作り込みを徹底した所には感服としか言い様がない。改めて、遊んだ人が最後まで楽しんでもらえるものを作るという、制作スタッフの手腕の高さを実感させられる出来だ。
後者のゲームバランスにもその思想が色濃く反映されている。序盤はゲームが初めてという人もコースをクリアする楽しさを味わえるように、中盤からは本作独自のシステムを活かした展開を、終盤はアクションゲームとしての手応えとシステムの真価を発揮すると言った具合に程好く緩急を付けている。特に終盤は別ゲームと言わんばかりにドタバタなアクションが展開される場面が多く用意されているので、ゲームに手慣れたプレイヤーも驚かされること請け合いだ。それでいて、鬼畜めいた難易度には設定しない配慮が成されているのも見事。手強い場面も多々出てくるが、基本的に何度かプレイするにつれて対処法が分かってくるように出来ているほか、ミス自体がプレイヤー自身の判断ミスだと強く認識させると同時に腑に落ちるものになっているのでストレスを感じさせない。万が一、クリアが難しいと感じた時の為の『スーパーマリオ3Dワールド』由来のお助け要素も完備されているので、詰まる心配も皆無。手軽に遊ぶもガッツリ遊ぶのも許す懐の広いバランスには、これぞ任天堂のゲームだと言わんばかりの老舗の味を実感するだろう。
その辺が実に『ドンキーコング(1994年版)』、『モグラ〜ニャ』と言った往年の名作パズルアクションらしい。それら二作もレベルデザイン、ゲームバランスの巧みさは頭一つ抜けたものがあり、傑作(名作)と断言できるほどの高い完成度を誇っていた。同時にシステム周りでもユニークなアイディアが炸裂していて(前者はエディットアイテム、後者は地上と地下の二重構成マップ)、プレイヤーの記憶に深く刻み込まれる魅力も持ち合わせていたほどだ。本作もそれら二作に比類する魅力がある。視点切り替えによる映し出される光景の変化という、3Dアクションでは定番のカメラ操作特有の現象を遊びとして昇華させたシステムは唯一無二の面白さがあるし、そう言ったフィールドの冒険にジャンプができない主人公をキャスティングするのも独自性を引き立てる施策としてこの上ない。そこで沢山の荷物をリュック内に入れた都合で、見た目からしてジャンプなんて無理だとプレイヤーに納得させるキノピオ隊長を作り上げた点にしても発想が面白い。地上と地下を駆け巡るキャラクターとしてモグラの「モグラ〜ニャ」が誕生した点と全く一緒だ。そんな往年の名作の再現が行われているだけでも、本作がその系譜に連なる作品を名乗る資格があるのは言うまでもなく。まさに「歴史はここに繰り返されたり!」な作品にまとまっているのである。いずれも無関係の作品ながら、往年の職人技が再び活かされているというのには本当に驚かされるし、それら二作に魅了された筆者としては感動を禁じ得ない。こうして名作の血筋を受け継いだ新作が誕生した。それだけでも本作の価値というものは計り知れないものがあると言ってもいいだろう。
しかしながら、手放しに褒められない所も少しある。中でもカメラ操作は原作の『スーパーマリオ3Dワールド』同様、本作も右スティックとWiiUゲームパッド内臓のジャイロセンサーで視点を動かすのだが、どちらか片方を切るオプションが搭載されてない。その為、スティック操作だけでプレイしようにも、ジャイロ操作が微調整の邪魔になる事が多々ある。また、感度の調整機能も搭載されていないので、特にトロッコステージではジャイロだと狙いを定めるのが早い反面、スティック操作だと露骨なぐらいに時間がかかったりと、明らかな差が生じるようになっている。カメラの上下左右を切り替えるオプションは搭載されているのに、これを用意しなかったのは率直に言って理解に苦しむ。ジャイロとスティックを併合させれば、プレイアビリティの面で支障が出かねないのは素人目でも分かる。何故、どちらかの操作で遊べるように選択を設けなかったのか。この点に限っては基本、キーコンフィング機能を搭載しないことをこだわりとする任天堂の悪い所が出てしまった感じだ。幾ら何でもこれは不親切且つ、不快極まりない。普通に切り分け可能にして頂きたかったところだ。

ゲームプレイ周りにもやや難がある。先の通り本作はタッチスクリーン、マイクをフル活用する類の仕掛けが多い。その為、WiiUゲームパット側に目を向けてプレイすることになりがちで、テレビ画面に集中し難い。これ自体はWiiUのゲームらしいのだが、逆に言えばパッド単独で遊んだ方が良い感じなので、どうにも中途半端な感が否めない。その手の仕掛けを混同したコースが多いのも、それに拍車をかけている。折角、テレビ側でも遊べるのだから、思い切ってパッド専用コースを用意するのも手ではなかったのではないか。ちょっとこの辺は思い切りが足りてないまとめ方で気になってしまう。
他にコインパラダイスが特定のコースに出現してしまうと、一旦、それをクリアしないとコースを再プレイできない、初プレイとなるコースで「おだい」の確認ができないと言った所も気がかりな難点。後者は再プレイ時の事も兼ねたのかもしれないが、不便さは否めないので確認可能にして頂きたかった。
ただ、カメラ操作を除いて些細な域に収まっている辺りはさすが往年の名作の系譜に連なる作品と言うべきか。細かい所でもアクション周りレスポンス、本編全体のボリュームの充実ぶりと言った欠点を薄くする魅力的な要素が取り揃っている。特にボリュームはコース総数が70以上と言うだけでも圧巻だが、実は非常に多くの隠し要素が用意されている。それが何なのかは実際に遊んでのお楽しみ。ヒントは「スーパーダイヤ」、「お題」の完全攻略。その先に近年の3Dマリオでお馴染みの「アレ」を見ることになるだろう。何気に本作独自の内容でもあったりするのだが……これ以上は本編にて!
アクション周りのレスポンスも原作の良い所をそのまま踏襲しているので、ストレスを感じさせない。また、そちらには無かったキノピオ隊長にカメラを合せるズーム機能なるものが新規に搭載されており、小さくて見えない道を確認する際に活躍してくれる。視点が狭くなるという事で、高難易度モード的な遊び方もできるので、腕に自信のあるプレイヤーは試してみて頂きたい。ただ、視点が狭くなるが故に理不尽さも併せて追加されるので、そこはご了承のほどを。

グラフィックに関しては『スーパーマリオ3Dワールド』の流用だが、元から高い完成度を誇るものだったのに加え、新規のグラフィックも幾つか追加されているので、全く手抜き感が無い。また、キノピオ隊長のリアクション周りの描写は凝ったものになっていて、その可愛らしさに女性プレイヤーなら心が「ズキューン」となってしまうこと必至。ズーム機能を活用すれば堪能し放題なので、興味があれば試してみて頂きたい。それ以外で音楽はパズルアクションという事で、比較的スローテンポな曲が中心のラインナップとなっている。ただ、ボス戦や巨大な敵から逃げるコースでは緊迫感のある楽曲が流れたりなど、盛り上げるところはしっかり盛り上げる。演出面もそれと強く絡んだ独特の派手さがあるので必見だ。
その他、何気にストーリーも見逃せない。キノピオ隊長が巨大な鳥「ウィンゴ」にさらわれてしまったキノピコを救出する為、後を追いかけるというマリオシリーズらしい王道のものなのだが、先に少し触れたように途中でプレイヤーキャラクターがキノピコに切り替わるなど、意外な展開も交えた内容になっている。更にエンディングでは衝撃の展開が描かれる。それが何なのかは実際に遊んでみてのお楽しみ。ただ、これだけは言っておこう。それを見れば、誰もが『スーパーマリオ3Dワールド』を遊ばざるを得なくなる、と。予想外の「答え」と「理由」をその目で確かめよう!
そんな具合に非常に高い完成度を誇るのに加えて、往年の名作パズルアクションの系譜に連なる魅力まで兼ね備えた本作。マリオシリーズとしても、1994年にファミコン用ソフトとして発売された『ワリオの森』以来、20年ぶりにキノピオが主演を務める作品(兼初の冠作品)という点で大きな魅力を兼ね備えており、長年シリーズを遊び続けているプレイヤーならば決して見逃せないフィーチャーが取り揃っている。難易度もゲーム初心者から上級者まで幅広くカバーするなど、まさに人を選ばない出来。『スーパーマリオ3Dワールド』を楽しんだプレイヤーは勿論のこと、かつて『ドンキーコング(1994年版)』、『モグラ〜ニャ』と言ったパズルアクションの名作を楽しんだ人ならば是非とも遊んでみて頂きたい珠玉の傑作だ。頼りないけどやる時はやるキノピオ隊長と共に壮大な冒険を楽しんでみよう。お薦め!
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