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≫ロデア・ザ・スカイソルジャー
■発売元 角川ゲームス
■ジャンル スカイ・アドベンチャー
■CERO A(全年齢対象)
■定価 パッケージ版:7200円(税別) / ダウンロード版:6200円(税別)
■公式サイト ≫こちら ※音楽が流れます。
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※ユーザーごとに作成可)
■必要容量 セーブ:32MB以上、ダウンロード版:2711MB以上
■その他 WiiU PROコントローラ対応、クラシックコントローラ対応、OFF-TV PLAY対応、Wii版『天空の騎士ロデア』同梱(※初回生産分限定:ボーナス特典)
■総説明書ページ数 12ページ(※電子説明書)
■推定クリア時間 10〜12時間(エンディング目的)、35〜45時間(完全攻略目的)
かつて、その世界には地上の大陸「ナーガ」と天空に浮かぶ大地「ガルーダ」があった。
科学文明による繁栄を極め、機械帝国へと発展したナーガは枯渇した「グラビティエネルギー」を求めて、豊かな自然に包まれたガルーダへの侵攻を開始する。
そんな中、ナーガ皇帝「ギアード」の娘で皇女の「セシリア」は専属の護衛である人型ロボット「ロデア」を連れ、ガルーダへの亡命を図る。だが追っ手を振り切れず、追い詰められたセシリアはガルーダ侵攻最大の鍵「時のねじまき」のパーツ半分をロデアに委ね、その機能を強制使用してロデアだけを避難。ガルーダに対するナーガ侵攻を防いだのだった。

それから千年後、ナーガの侵攻も存在も、全てが伝承となったガルーダの大地。小さな村で祖父と暮らす機械いじりと発明が好きな少女「イオン」は、古代遺跡で一体のロボットを発見。眠りから目覚めた「ロデア」は記憶の大半を失っており、ガルーダの大地を守る使命、そして微かに残るイオンに似た少女の面影だけを胸に立ち上がる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆空を飛び、浮島の点在する天空世界を駆け抜け、敵とも戦っていく独特の本編構成
◆強い制限がありながらも、工夫次第で大胆な立ち回りが可能なロデアのアクション
◆純粋にゴールを目指すものから、謎解き、脱出、中ボス&大ボスとの死闘など、多彩なバリエーションが用意された全20以上にも渡るステージ(終盤にはジャンルごと変わる展開も…)
◆王道の冒険活劇モノを貫き通した明るく、時に熱いストーリー(キャラクターも個性的)
◆各ステージごとのイベント並びにステージ展開の盛り上げに貢献するフルボイスによる演出

--- Bad Point ---
◆無駄に手数を踏ませる上、レスポンスもイマイチで動かす楽しさに欠ける操作性
◆全体的にもたつき気味で、快適性に著しく欠けたメニューインターフェース
◆ノロノロとしていて、空を飛ぶ気持ちよさも何もない飛行モード
◆移動の遅さと雑魚敵の耐久力の高さも相まって、地味にテンポが悪い戦闘
◆リバース(上下左右反転)非対応、切り替えオプション非搭載のカメラ操作
◆三人称固定型ながら、壁などのオブジェクトに接近するとキャラクターに急接近して視認性が極端に悪化する難点を併せ持つなど、調整不足が度を越えているカメラワーク
◆何故か陸地に居ようが、真下に陸地があってもミス扱いにされる「グラビティエネルギー」が切れることによるペナルティ(陸地に居るのに落下してしまうという、あり得ない現象が起きる)
◆時々、思い描いたルートに向かって飛行せず、何故か遠回りで飛行してエネルギー切れ(及びそれによるミス)の危険を誘発するという、あまりにも常軌を逸した問題を秘めた方向ポインター
◆アップグレードのレベルに依存し過ぎたステージ構成並びにボス戦(なので、暗黙に設定されたレベルよりも下だと、ほぼ強制でその場面が詰みポイントと化し、強化作業がプレイヤーに要求される)
◆エネルギー切れ、アップグレードの問題が色濃く現れた中ボス「ライラス」との戦闘
◆一発喰らえば瞬殺されるなど、調整周りが理不尽過ぎる決戦前座の中ボス
◆アクションのテンポの悪さも相まって、ビジュアル的な迫力も何もない大ボスとの戦闘
◆種類が多過ぎる、集め難い、個々の名称を確認するのがマップメニューにしかない、どこで獲得できるかの確認もできないなど、問題山積みのアップグレード用の素材アイテム「機械のカケラ」
◆アップグレードシステムとの相性の悪さが滲み出た広大で長いステージ構成
◆アップグレードシステムとそれに依存したゲームバランスによって、水増し気味な総計ボリューム
◆アクションとシステム周りの問題もあって、極める魅力に欠けるやり込み要素
◆非常に鬱陶しく、人によっては担当声優に対して嫌悪感すら抱きかねないほど、無駄に喋るパートナーキャラクターの「イオン」(この喋る量を減らすオプションが別途用意されているが…)
◆背景、キャラクターモデル共に低品質の一言に尽きるグラフィック
◆ほとんど空気な音楽(ボイスにかき消されることも多々で、全く印象に残らない)
◆非常に耳障りで深い極まりない敵ロックオン時の警報音(非常に”嫌な音”)
◆ステージ開始前の長いロード(ステージの広さが災いしてか、結構待たされる)
◆ステージ開始前のロード時に時々生じるフリーズ(2017年現在でも未修正)
▼Review ≪Last Update : 12/24/2017≫
「おせっかい度」は低めに設定するべし。

あなたが声優・花澤香菜を嫌いになりたくないのであれば。



セガ(現:セガゲームス)時代に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ、『NiGHTS(ナイツ)』などの名作を手掛けたクリエイターで、株式会社プロペの代表取締役社長を務める中裕司氏が制作総指揮を務めた完全新作のアクションゲーム。元々は2011年に『天空の機士ロデア』の名でWiiとニンテンドー3DS用ソフトとして発表されたが、Wii版は完成する一方で3DS版の開発がゲームデザイン上の違いから大幅に難航。その間にWiiが現役を退いてしまったことを反映し、WiiUと3DS向けの作品に変更する形で発売されるという、非常に複雑な経緯を経て誕生した作品でもある。

企画そのものの間違いを十数時間に渡って痛感させられる、度し難き問題作だ。

内容はステージクリア方式で展開される3Dアクションゲーム。主人公の「ロデア」を操作し、メカニックの少女でパートナーの「イオン」と共に、天空世界「ガルーダ」に迫り来る機械帝国「ナーガ」の軍勢との戦いに身を投じていくというものだ。
本編はストーリーの進行に沿って、ワールドマップ上に表示されたステージを攻略していく形で展開。各ステージのクリア条件は「ゴール」に辿り着くという、アクションゲームの王道を踏襲したもの。3Dアクションという事で、ステージ内のフィールドは広いのだが、道中に配置された「グラビティストーン(通称:グラビトン)」なるアイテムによって正規ルートがどの方向なのかが示されているほか、目的のゴールがどの方向にあるかを示す「レーダー」も表示されるので、見た目とは裏腹に複雑さは皆無。実質、2Dアクションゲームの感覚で遊べる作りになっている。また、ステージによっては中ボスとの戦いが最後に挟まれるほか、5つ目のステージは決まって「タワー」と称された場所で大ボスとの一騎打ちが繰り広げられるようになっている。最終的には全ての「タワー」で待ち受ける大ボス達を倒し、ロデアの失われた記憶を取り戻して機械帝国の野望を阻止する。そんなストーリー性の強い構成になっている(目標が課せられている)のも特徴だ。
だが、それ以上に特徴とも言えるのが各ステージの作りとロデアのアクションだ。ステージの作りに関しては本作のあらすじの通りだが、舞台となるのが天空世界という事で陸地が少ない。ほとんどが浮島。そして、浮島と浮島を繋ぐ架け橋もなければ(厳密には一部、存在するが)、とても一回のジャンプで辿り着けないぐらいに島と島の距離は開いている。空を飛べでもしなければ、まともに進むことすらままならない、非常に大胆な作りをしている。
しかし、主人公のロデアはそのような環境を易々と進んでいける特技を持つ。その特技とは「飛行」。空を飛べでもしなければと書いたが、ロデア自身、普通に空を飛べる。陸地が少なく、穴だらけのステージを余裕で進んでいけるほど高性能なキャラクターになっているのである。機械兵だけに。なので、構造とは裏腹にスムーズに前進していける。
ただ、飛行するには多少ながら手順を踏む。詳細を解説すると、まず陸地でジャンプした後、再びジャンプボタン(Aボタン)を押して「予備飛行」状態となる。「予備飛行」は本格的な飛行に移る前のいわゆるホバリング状態。これに移ると円状の「ポインター」が表示されるので、左スティックで動かし、進みたい方向を決める。そして、どちらに進むかを決めたら再びジャンプボタンを押すか、或いはそのまま少し待つとロデアは「飛行モード」に移行。ポインターで示した方向に向けて自動的に移動を開始するのだ。やや手間だが、このような手順を踏んで飛行に移る仕組みとなっている。
また、飛行モードに移行すれば、後はずっと飛んだままでいられる訳でもない。飛行中はロデアの周囲に「リングメーター」なるものが表示され、そこに示された青いゲージこと「グラビティエネルギー」が時間と共に減っていく。これがゼロになれば当然、空は飛べなくなる。それどころか、ロデア自身までもが機能停止。ミス判定になって残機を一つ失ってしまうのである。故に飛行中は特定のタイミングで陸地に降りるなどして、エネルギー切れを防いでいかなくてはならない。エネルギー自体は陸地に降り立てば瞬時に回復。他に壁を蹴った時も着地判定と扱われ、エネルギーが回復する。更に先に紹介した「グラビトン」、「エネルギーキューブ」と言ったアイテムの獲得でもエネルギーは回復できる。特に「グラビトン」は、並んだ列に沿って獲得すれば「チェイン」が発生して飛行スピードが加速。目にもとまらぬ速さで飛行できるようになる。ポインターで方向調整し、別の場所に並んだ「グラビトン」に繋がるように飛行できれば、よりスピーディ且つ、長きに渡って飛行状態を維持することも可能。そんなテクニック次第では制約をものともしない行動も取れるなど、意外と工夫次第では大胆なアクションを試せる、戦術性に富んだ作りになっている。
高速移動しながらの体当たり「ブーストアタック」、急降下による「踏みつけアタック」と言った攻撃技とも組み合わせれば、よりアグレッシブな飛行も可能。また、攻撃に関しては他に「ギアアイテム」なるサブウェポンも用意されていて、「ブーストアタック」などが繰り出せない環境での戦闘をサポートしてくれる。
更にロデア自身はパートナーのイオンに協力してもらう形で、基礎ステータスと「ギアアイテム」のアップグレードを図ることもできる。アップグレードはワールドマップメニューにある「カスタマイズ」で実施。ここで「アーマー(防御力)」、「パワー(攻撃力)」、「スピード(移動力)」の三項目(ギアアイテムは三種類個別で、強化対象は一項目)を強化させることができる。強化に当たってはステージ内で敵を倒した際に手に入る「機械のカケラ」と呼ばれる素材を用いる形となり、強化させる度に複数のカケラが必要になってくる。カケラにも敵を倒すことで手に入る汎用的なもののほか、ステージ内を散策することで手に入るレアなものも用意されているので、強化の際にはそれを探し出す必要が生じたりもする。そんなロールプレイング風のシステムも導入しており、単にステージをクリアしていくだけでは終わらぬ複雑さが描かれている。他にもアップグレードを重ねることで「ギアアイテム」を組み合わせた連携技を繰り出せるようになると言った、成長要素特有の戦術が広がっていく醍醐味にしてもしっかり押さえている。
このようにやや強い制限があるものの、空を飛ぶ独特の手応えとそれによる戦術性を押し出すゲームデザインが図られている。アクションゲームとしては比較的王道だが、システム周りは独自色強め。空を飛ぶ、アイテムを獲得することによる高速移動など、ソニック、ナイツに携わったクリエイターの新作であることを意識させる要素も揃っていたりと、まさに新しさと懐かしさを突き詰めたとも言うべき作りとなっており、独特で何処かデジャヴを感じさせる作品に完成されている。

そんな本作の魅力は……無い。率直に言って、目に余る難点だらけだ。
中でも操作性の悪さは度を越えている。先の通り、本作は飛行するに当たってポインターで進むべき道を決めていく仕様から、視点(カメラ)調整も頻繁に実施していくのだが、これが劣悪。右スティック、他にLRボタンで行うという3Dアクションゲームでは一般的なものながら、リバース(上下左右反転)操作に対応していない。ポインター操作時に用いる左スティックの仕様を考慮してなのか、逆転できない仕様で統一させてしまっているのだ。これ自体、「慣れればいい」の一言で解決する話だが、相当な頻度でカメラ調整が求められ、しかも飛行中心の本作で、リバース切り替えを設けないのは愚の骨頂。その手の操作に他の3Dシューティング(フライトシミュレーター系)で慣れた人はマイノリティ、遊ぶ資格はないと蹴落とすかの如き、制作スタッフの主観が強く滲み出た差別設計になってしまっている。
こればかりでなく、飛行モード移行の操作も面白くない。やたら手数を踏む為、純粋に煩わしい。飛行モードに移った後…デフォルトの速度もノロノロとしていて(アップデートを施しても遅い)、「ブーストアタック」と組み合わせたり、「グラビトン」獲得で「チェイン」を発生させないと速度を上げられないのも面倒極まりない。移動から攻撃のレスポンスも極度に鈍い訳ではないが、微かにもたつく気持ちよさに欠ける調整で、もう少し反応の早くする設定にできなかったのかと物申したくなるほど。ひたすらに地味なストレスが溜まる。仮にも操作性がキモとも言えるアクションゲームで、動かす気持ちよさがないのは致命的。工夫次第で大胆な動きができる余地があるのがせめてもの救いとは言え、もう少し直感的に気持ちよく動かせる調整にできなかったのか。純粋にこの辺りに関しては詰めの甘さというものを実感させられるばかりだ。
そして、この操作性の悪さに拍車をかけるのが「グラビティエネルギー」が切れることによる機能停止という、理不尽の極みとしか言い様のないシステムだ。エネルギーが切れなくなると飛べなくなるのは、主人公がロボットという設定とマッチしているし、導入した意図も理解できる。では何故、それが陸地でも適用される?実はこのエネルギー切れ、例え陸地……下に足場がある状態でも問答無用でミス扱いにされる。落ちても助かるというのに助からない、墜落と扱われるのだ。例え、エネルギーが尽きるタイミングで次の陸地に到達したとしても、である。はっきり言って、まごうことなきゴミ仕様。容赦なしに言わせて頂くが、制作スタッフはどんな頭をしているんだと言わざるを得ない。理解に苦しむの一言すら生ぬるい。そもそも、陸地しかないフィールドで実施されるボス戦ですらこの危険に晒されるのはどういうことか?その環境下での戦闘でも、エネルギー切れが起きれば問答無用で敗北扱いにされるとか、おかしいと思わなかったのか。問題があると思わなかったのか。仮に設計ミスでこのような事があったのだとしても、杜撰極まりない。こういう場合、陸地があるならミス判定にはならないように設定をしておくものだろう。素人目でもそのような対策を組まないとマズいことになるのは分かる。そんな当たり前の対策も組まず、理不尽な事故が起こるようにしている時点で、本作はアクションゲームとして完全に破綻していると言っていいだろう。設計ミスだとしても、残す時点で既におかしい。如何に制作スタッフが入念に検証を行わなかったのかが察せる。実際に飛行モードの際、ポインターで進むべき方向を設定したら、なぜか遠回りで進んで無駄にエネルギーが消費され、墜落に至るようなこともあるのだ。よほど調整を怠ったのが分かる。
ゲームバランスが洗練されてないのも、件の仕様で明らかだ。それ以外にもアップグレードに依存し過ぎた場面が多く、随所に詰みポイントが存在するのも理不尽。特に空中で実施されるの中ボス「ライラス」との戦闘はその極みで、飛行時間を伸ばすアップグレードを実施なければ、ほぼ勝ち目無し。フィールド内にある小島を蹴るなど心がければ、多少ながら対抗できるものの、大して面白くない戦闘が画面に繰り広げられるのは火を見るよりも明らかだ。
また、アップグレード自体も必要な「機械のカケラ」の数が多い、カケラの名称を確認したいのなら「カスタマイズ」にある「カケラ一覧」のページを見ないと分からない(しかも、ステージ攻略にその一覧を確認できない。確認するならステージを抜ける必要が生じる)、どこでどのカケラが手に入るか分からないなど、不親切が過ぎる。そもそも、ステージクリア型のアクションゲームにこんなシステムを実装するのがおかしい。その所為で先の理不尽な場面が生まれているほか、素材回収の為に本編進行が止まると言った弊害も出る。挙句、本作の一つのステージクリアに要する平均時間は15〜20分。アクションの癖さえ掴めば、10分以下にまで短縮できる余地はあるが、どう足掻いてもそれ以下に縮められない。なので効率的な攻略も実施できず、ひたすらに時間が膨れ上がるだけ。全く持ってゲームの面白さに寄与していない。
ステージごとに集めた「グラビトン」をまとめて換算し、それでアップグレードを行うシステムなら多少はやり易いものになっていただろうに、あえて複雑な方向に舵を切ったのは本当に呆れるしかない。どう考えても、繰り返しプレイに適さない構成なのに、何故、そんな要素を入れてしまうのか。そして、アップグレード無しでも辛うじて戦える余地を残さないのか。
心底「訳が分からない」の一言。これらだけでも分かるだろう。本作が如何に出来の悪い作品なのか、アクションゲームとして破綻しているのか。駄作と称されても致し方なしの出来に落ち着いてしまっているのである。
そして、これらの難点が全て、操作周りを従来のボタン式に適用させたことによって生まれたものばかりであるということから、その手の操作でのプレイを前提にした本作WiiU版とニンテンドー3DS版を企画したことの間違いまで証明されてしまっている。冒頭の通り、本作は元々はWiiリモコン一本で遊べるWii用のアクションゲームとして発売される予定だった。しかし、リモコンの使えない3DS版も計画したことで専用のゲームデザインを企画する必要が生まれ、そちらの制作に時間を取られ過ぎてしまったことにより、先行して完成していたWii版はハードの現役引退に巻き込まれる形で発売中止。代わりに3DS版とそちらを据え置き機向けに適用させたWiiU版が製品版として世に出ることになったのだ。そんな紆余曲折を経てどんなものが出てきたのか、それは先述の通りである。もはや言葉もない。そもそも、リモコン一本で遊ぶアクションゲームの時点で十分に個性が強かったのに、何故、従来操作で遊ぶようなバージョンまで作る事を考えたのか。そのような違うタイプを作るにしても、もっと作り込めなかったのか。4年も制作時間があったというのに。本当、ただひたすらに憤りを覚えるばかりだ。そして、制作スタッフのゲーム制作センスの無さも同時に痛感する次第だ。ここまでプレイしていて楽しくない、ゲーム的にも破綻したものを作り上げるとか、どんな感覚を持っていたらできるのだろうか。

更に恐るべきことに難点はまだ存在する。それがフルボイスによる演出。これもまた、本作の印象をより一層悪くする要因として機能してしまっている。具体的にはパートナーの「イオン」。彼女はステージ攻略中に無線でアドバイスしてくれるなど、設定からすれば頼もしそうに見える……のだが。移動時、攻撃時と言ったどうでもいい事にまで無線で話しかけてくるので、猛烈にウザい。彼女を演じる声優・花澤香菜に嫌悪感を持つほどに不快感を抱く鬱陶しさなのである。正直、自重しろの一言。そもそも、何で移動から攻撃の時も喋らせる必要があるのか。単にやかましいだけなのに、それが臨場感の向上に繋がるとでも考えたのか。だとしたら、演出センスがズレているの一言だ。ただ、オプションに「イオンのおせっかい度」なる機能があり、これでボイスの量は減らせるので、その点は救い。しかし、そんなのを用意するんだったら、カメラのリバース操作のオプションを用意しろよと言いたくなるのもまた事実。実際、それにスペースを取られたかのようにメニュー上に配置されているのもあって、地味に不快感を抱かせるものになってしまっている。救いの機能でありながら、別の不満を抱かせるものにしているとか、本当に制作スタッフは何故にそこまでセンスがズレているのだろうか。
他に本編のボリュームも悪い意味で多い…というより、先のアップデートに関係する「機械のカケラ」を集めるに当たっての問題もあって水増し感が酷い。「レガシーメダル」と呼ばれる隠されたメダルを集め、様々な特典を解禁する収集要素、より早いクリアタイムを目指して最高評価獲得を目指すやり込み要素も用意されているのだが、いずれも本編に問題がある所為で魅力は皆無。やる気が起き難いものになってしまっている。
グラフィックも酷い。キャラクターモデル、背景に至るまでHD機のゲームとは思えないぐらいに低品質。まるで、プレイステーション2、ニンテンドーゲームキューブ時代のゲームをリマスターしただけのような有様で、とても今の時代に出したゲームとは思えない酷い有様になってしまっている。一応、終盤の要塞など、凝ったビジュアルもありはするのだが、WiiUの発売から2年半が経過した後に出た作品でこのレベルはさすがに厳し過ぎる。

音楽も空気。むしろ、イオンのボイスがうるさい為、そっちに耳が取られてしまう。主題歌、最終ボス戦など印象に残る楽曲も用意されてはいるのだが、本作の魅力とはお世辞にも言えない有様である。
反面、ストーリーは悪くない。SF要素を絡めた王道の冒険活劇で、捻くれた展開もなく安心して楽しめる内容にまとめられている。システム側の問題もあってウザい限りだが、イオン演じる花澤香菜の演技は悪くないし、キャラクターのイメージにもマッチしている。他もロデア演じる中村悠一、皇帝ギアード演じる立木文彦もハマっていて、中でも立木氏は最終局面で非常に粗ぶった演技をお披露目するのもあって、嫌でも印象に残る。端役ながら茶風林、松岡禎丞、能登麻美子と言った実力派が出演されているのも注目点。キャラクター的にも面白く、印象に残る面子が揃っているので必見だ。
また、構成面で難はあるが、ステージの個性付けに関しては山あり谷ありの起伏を凝らしたものにまとまっている。制限のある中、様々なアクションを組み合わせれば、迅速に行動していけるようになる極める楽しさと戦術性があるのも評価点の一つ。その辺は少し煩わしい操作にしたなりの恩恵が現れている感じだ。
しかし、そんな評価点があっても総評が佳作以下、駄作と言われても止む無しな事は変わらず。カメラとシステム、操作周りの難点さえ無ければギリギリ佳作に収まっていただろうに、カメラ操作もアップデートでの対処が実施できるというのに実施の気配なし。まさに四年も待たされた結果がこれかの一言に尽きる本作。
素直に叩き斬ろう。微塵もお薦めできない問題作だ。しかし、本作の初回限定版に同梱されたWii版『天空の騎士ロデア』は非常に面白く、自信を持ってお薦めできる傑作となっている。こちら目的で本作を買うのは大いにアリだ。本作は遊ばなくてよい。ストーリー自体、Wii版から変わっていないので尚更。どのような扱いにするかは各自お好きにどうぞ。
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