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≫Wii Fit U


■発売元:任天堂 / ■開発協力:ガンバリオン ■ジャンル:フィットネス /
■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:パッケージ版:5700円(税別) / ダウンロード版:3333円(税別) /
バランスWiiボード+フィットメーターセット:9500円(税別)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫Wii Fit U(任天堂公式サイト)
≫Wii Fit U | Wii U(商品&購入ページ)
▼Information
■プレイ人数:1人 /■セーブデータ数:1つ(※ユーザーごとに作成可) /
■必要容量:セーブ:23MB以上、ダウンロード版:2462MB以上 / ■その他:バランスWiiボード必須、フィットメーター対応、Wiiリモコン対応、ヌンチャク対応、OFF-TV PLAY対応 /
■総説明書ページ数:38ページ(※電子説明書)
家でも、外出先でも健康管理。
新しい周辺機器「フィットメーター(活動量計)」にも対応した、『Wii Fit(ウィーフィット)』シリーズ最新作。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆初代及び拡張版譲りの体力・健康管理に焦点を合わせた、唯一無二のゲームデザイン
◆全70種類以上且つ、ゲーム的なやり応えにも秀でたトレーニング(新ジャンル、新作も収録)
◆ゲーム慣れしたプレイヤーも唖然必至の難しさを誇る、トレーニング用追加難易度「エクストラ」
◆OFF-TV機能により、WiiUゲームパッド単体でのプレイも可能になるなど、利便性の向上が図られたプレイスタイル
◆日々継続する事が求められる内容との高い親和性を発揮したダウンロード版(価格も抑えてる)
◆前作経験者、未経験者を適度にフォローしたパッケージバリエーション(しかし…?)
◆長時間トレーニングを続ける負担を軽減し、プレイ時間を短縮させる恩恵も得られる新たな対応機器「フィットメーター」
◆WiiUゲームパッド、並びにフィットメーターの赤外線通信機能による起動短縮システム(通信でカロリー転送を行えば、直にメニュー画面へと直行できる機能が付いた)
◆世界の名所をフィットメーターに溜めた歩数で歩き回る、地味ながら全て攻略したくなる魅力に富んだ専用のチャレンジモード「フィットメーターチャレンジ」
◆特定項目の設定でトレーニングを選出してくれるなど、使い勝手向上が図られた選択メニュー及び関連システム群
◆タッチ操作への対応などによって、前作にも増して快適さが増したメニュー操作
◆区切りは無いものの、最高評価獲得を目指すと驚異的な物量を誇る総計ボリューム
◆初代及び拡張版譲りの奇妙な小ネタの数々(トレーナーの夜更かし、熱いコーチなど)

--- Bad Point ---
◆未所持のプレイヤー側に大きな出費を強要する「Wiiリモコンプラス」専用トレーニングの存在(しかも、これを同梱したパッケージが用意されていないという配慮の無さ)
◆Wiiリモコンプラスを二本も使うハードルの高さに加え、更にリモコンを使う必然性にも乏しい突っ込み所満載の新ジャンル「ダンス」のトレーニング全般
◆任天堂公式コミュニティに入ると、どのトレーニングをしたかの報告が自動で投稿され、ユーザーのタイムラインがスパムめいた事になる「Miiverse」との連動機能(何故かその設定を切ることもできない)
◆初代及び拡張版から変わらずの事前準備の煩わしさ(特にWiiボードの準備がしんどい)
◆同じく一定の広さが要求されるゲームプレイ環境
◆WiiUゲームパッド側に接触させないと受信できない精度の悪さが引っかかる「フィットメーター」の赤外線通信
◆テレビを見ることが必要とされない「ながら」系のトレーニングがやたら選ばれる「おまかせメニュー」(更に選ばれたトレーニングをプレイヤー側で修正することもできない)
◆距離とスペースによっては見え難さが際立つ「OFF-TV機能」によるプレイ
◆良くも悪くも代わり映えしないグラフィックと音楽(初代からの使い回し)
▼Review ≪Last Update : 11/5/2017≫
テレビ無しでもトレーニングできるようになりました。

その反動で必要な周辺機器は増えました。


2007年12月1日に発売され、健康と体力・体調管理をテーマとした斬新な内容、「バランスWiiボード」なる周辺機器による独自の操作性で一大的ヒットを記録した『Wii Fit』の三作目にして、WiiU進出作。開発協力として『パンドラの塔 君のもとへ帰るまで』、『ONE PIECE グランドバトル!』シリーズで知られるガンバリオンが参加している。

前二作にも増して、プレイするハードルが高まってしまったパワーアップ版だ。

基本的な内容は初代『Wii Fit』と大差ない。プレイヤーの体力・健康の管理を目的としたフィットネスゲーム。自主的な目標として設定した「BMI(※ボディーマスインデックス:肥満度を示す体格指数)」の数値の達成を目指して、全部で70種類以上用意されたトレーニングに日々、励んでいくというものである。
ゲームのプレイスタイルも初代及びその拡張版としてリリースされた『Wii Fit Plus』を踏襲。体重、身体の傾きを検知する機能を内包した専用コントローラ「バランスWiiボード」の上に乗り、実際に体を動かして各種トレーニングをこなしていく。トレーニングによってはWiiUの先代「Wii」にて用いられた「Wiiリモコン」とその拡張コントローラである「ヌンチャク」、そして「Wiiリモコン」にジャイロセンサーを搭載して正確な傾きを検知できるように強化された「Wiiリモコンプラス」も必要となる種類もあり、プレイに当たってはそれらを用意しなければならない。ただ、必須となる周辺機器は「バランスWiiボード」だけ。他に関しては無くても問題なく、基本的にはWiiUゲームパッドとボードの二つだけでも楽しめる作りになっている。
変更点及び新機能としては、件のWiiUゲームパッドを用いた操作。WiiUのゲームだから、それを用いるのは当たり前と言ったら当たり前だが、「OFF-TV機能」によってテレビに映し出さなくてもプレイできるようになったり、メニュー周りをタッチ操作でも行えるようになるなど、使い勝手の向上が図られている。前者、「OFF-TV機能」への対応は基本、毎日プレイしていくことが重視される本作にとって、テレビ必須の制約が取っ払われたのが大きい。これにより、主に家族が集まるリビングでプレイする際にはテレビを独占せずプレイできるようになるなど、気軽にトレーニングに励めるようになった。これもまた、WiiUのゲームなのだから当たり前とも言える話になるが、継続的にプレイするのが求められる本作との相性は抜群。それもあって、ソフト起動の手間も軽減され、トレーニングの習慣化へ繋げ易い設計へと進歩を遂げている。
習慣化へ繋げ易くなった箇所ではもう一つ、「ダウンロード版」の存在がある。これまたWiiUのゲームでは当たり前なものだが、こちらが用意されたことで、ゲームディスクを入れ替える手間を省けるようになった。更にこれはディスク版も共通だが、ソフトの起動もWiiUゲームパッドからソフトのアイコンを直接タッチ(或いはボタンで決定)する方式になって簡略化。リモコンでポイントし、チャンネルを決定するのに煩わしさを感じていたプレイヤーなら感謝感激とも言える改良も図られている。買った所でゲームデータしか提供されないので、「バランスWiiボード」を始めとする周辺機器を所持しているプレイヤー以外には全く推奨できない選択肢ではあるが、こちらにすれば、どれほど起動面での恩恵を得られるかは想像に難くなく。そんな具合にソフト本体もバリエーションの多様化が図られ、複数の選択肢を用意していた前作の拡張版以上に遊び易く、そして日々続ける事の負担が軽減された作りへと発展を遂げている。まさにWiiUさまさまと言ったところである。
習慣化へ繋げ易くなったのはこれだけでなく、「フィットメーター」なる周辺機器への対応もそれに寄与している。「フィットメーター」は極端に言えば「万歩計」で、これで溜めた歩数を消費カロリーとしてゲーム側に転送し、プレイヤーそれぞれが目標として定められた一日の消費カロリー総数に換算させるシステムが新規に実装された。つまり、外出先で行った運動の成果をゲーム側に反映できるようになったのだ。これによって、ゲーム側ではトレーニングを少し実施するだけでも目標となる消費カロリー総数の達成が目指せるように。初代及び拡張版はゲーム内のトレーニングで完結させねばならなかった為、目標値が高ければ、1時間以上ぶっ通しでトレーニングを続けなければならない、まさに「修行」としか言い様の無い展開になる難点があったが、本作ではこの周辺機器に対応した事で、それを抑え込めるようになった。一応、使うか使わないかはプレイヤーの自由なので、あえて修行の道…いや、むしろ修羅の道と言うべきか。それを選べる事もできるが、どちらの方がやり易く、日々の継続に繋げていけるかは明らか。時間の確保が難しい社会人のプレイヤーにも大助かりな機能で、ゲーム全体の手軽さをより一層濃くするシステムとなっている。ただ、念の為だがこの「フィットメーター」は別売。ソフト同梱版も用意されているが、ダウンロード版を選んだ場合は別途、購入の手間が発生するので、その点は注意頂きたい。それに別に無くとも本作は普通にプレイできる。あくまでもトレーニングをより継続させやすく、そしてプレイし易くする為の存在なので、一切使わずにカロリー消費に励むのも可能だ。しかし、それを選んだ場合は修羅の道を辿ることになる。正直、身体への大きな負担を与えかねないので、できれば購入をお薦めしたいところである。
トレーニングにも「フィットメーター」にちなんだ「フィットメーターチャレンジ」なる新種を追加。一日の歩数を導入し、世界各地の名所の走破を目指す遊びが楽しめる。「フィットメーター」以外のトレーニングでも、初代及び拡張版には無かったジャンルとして「ダンス」を追加。文字通り、有酸素運動兼ねたダンスを数分間実施していくというハードなトレーニングができるようになっている。また「ダンス」と「ヨガ」、「筋トレ」には「ミラーモード」なる機能も実装。WiiUゲームパッドを離れた場所に置くと、内カメラでプレイヤー自身の姿を映し出しながらトレーニングを行える。更にトレーニングの一部には「エクストラ」なる高難易度を新規に収録。「初級」、「上級」とは比べ物にならないハードで、ゲーム好きも手を焼くようなトレーニングが楽しめるようになっている。この他にもヌンチャクを用いる一部トレーニングが二本のリモコンで代用可能になったり、任天堂の専用SNS「Miiverse(ミーバース)」によるコミュニティ開設並びに連動による自動投稿機能、プレイヤーの傾向に応じたトレーニングメニューの自動作成&任意選択機能と言った数多くの新要素、新機能を搭載。
基本的な内容は初代、拡張版と大差ないが、WiiUというハードに合わせた仕様変更、新しい周辺機器への対応、そしてトレーニング全般のバリエーション&難易度強化により、正統進化系とも言える仕上がりになっている。前作が拡張版の位置付けなら、本作はまさに続編と言ったところ。様々な面においてパワーアップを遂げた『Wii Fit』なのである。

しかしながら、それらパワーアップが逆方向に働いてしまっているのが本作の困りどころである。具体的に言うとハードルが上がってしまった。WiiUゲームパッドへの対応、ダウンロード版の追加、「フィットメーター」対応による長時間プレイの抑え込みなど、様々な進歩があるのに、ゲーム自体のハードルは初代、拡張版以上に高くなってしまっているのだ。何故、そんな矛盾が起きたのか。
答えは対応した周辺機器だ。一応、少しプレイするだけならWiiUゲームパッド、バランスWiiボードの二つがあれば事足りる。「フィットメーター」にしても、あれば便利程度の位置付け。別に買わずとも支障は無い。しかし、本作の全てをやり尽すとなれば、バランスWiiボードに加え、「Wiiリモコンプラス」も買うのが必須となる。しかも、二本である。何故に二本も必要となるのか、その理由は本作から新たに追加された「ダンス」のジャンルにある。先ほどは軽く紹介した程度だったが、このトレーニングというのが実はWiiリモコンプラス専用。従来型のWiiリモコンには対応していないのである。更にこのトレーニング、”両手に”Wiiリモコンプラスを持った状態でプレイする。片手に持つのではない。左手と右手それぞれにリモコンプラスを持ったスタイルでトレーニングを行うのだ。だから、一本だけでは絶対にできない。そして、手の動きを細かく判別する仕様上、旧型のWiiリモコンではプレイ不可能。ジャイロセンサーを追加する「Wiiモーションプラス」をコネクタ部分に接続するのが必須となる。それも無ければプレイ資格なし。まさにいずれも持たぬプレイヤーを問答無用で切り捨てる、非常に門戸の狭いトレーニングになってしまっているのだ。なので、この「ダンス」も含め、本作に収録されたトレーニングを堪能したいのであれば、Wiiリモコンプラスの購入は必然となる。しかも一本ではない。二本だ。そして、リモコンプラス一本の値段は税別3800円だ。それが如何に大きな負担になるかは想像に難くないだろう。
更にリモコンプラスが必須となるのは「ダンス」だけではない。実は本作から新規に追加されたトレーニングの大半はリモコンプラス専用になっている。バランスゲームとして収録された「フリークライミング」、有酸素運動として追加された「レガッタ」、「パズルスカッシュ」と言ったものは全て旧型リモコンではプレイ不可能。リモコンプラス、或いはモーションプラスを接続した旧型リモコンがないとプレイできないのだ。さすがに初代から引き継がれた「燃焼フラフープ」、「ジョギング」と言ったトレーニングは旧型リモコンでも遊べる作りになっているが、そもそもWiiU本体にWiiリモコンは同梱されないので、Wii本体を持っていない人の場合で考えれば、購入の手間は生じてしまう。そこにバランスWiiボードも加われば負担額は倍増。普通にソフトを上回ってしまう。一応、Wiiボードに関しては同梱パッケージが用意されているので、そちらを選べば多少は金額を抑えられるが、そのパッケージにリモコンは入っておらず。なので、どう足掻こうがリモコンの購入は避けられないものになってしまう。
初代と拡張版は、元々のWii本体にリモコンが同梱されていたのもあって、基本的に「バランスWiiボード」さえあればすぐにプレイする事ができた。しかし、本作がリリースされたWiiUにはリモコンなど同梱されてないので、別途購入は必須。仮にWiiを持っているプレイヤーでも、モーションプラスとリモコンプラスのいずれかを持ってなければ負担を強いられることになる。この点だけでも、本作が如何にハードルが高いのか容易に察せるだろう。まさに前作経験者で、モーションプラス専用の(&機器が同梱された)『Wii Sports Resort』、(対応ソフトだが)『斬撃のREGINREIV(レギンレイヴ)』『レッドスティール2』、『たたいて弾む スーパースマッシュボールプラス』、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』のいずれかのゲームをプレイした人を対象しているかの如き狭さ。あり得ないほどプレイヤーを絞り込んでしまっているのだ。
正直、配慮が成ってないの一言に尽きる。特にモーションプラス専用トレーニングの多さは、「既にリモコンプラスはほとんどの人に出回っているだろうから、沢山入れても大丈夫だ」という制作スタッフの想定の甘さが透けて見える。第一、リモコンプラスがWiiUを持つ人全てに渡っているのを実証するデータがあるのか?手放さずに持ってるという確証があるのか?もし、そうだと思い込んでやったのだとしたら愚の骨頂としか言い様がない。実際にそんな思い込みの末に発売されたのが『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』で、同作は発売前にリモコンプラス(モーションプラス)専用である事の周知を怠ったが故、発売日直前に(筆者も含む)一部ユーザー間の注意喚起が行われた事で、その事実を知ったプレイヤーが続出し、発売後には買った後に気付かされて遊べない事に悲鳴を挙げるプレイヤーまで出す事態を招いた。そんな経験がありながら、どうして同じことを繰り返したのか?もし、それが反省はしているけどセールスの為、プレイヤー側に負担を与える為にこうせざるを得なかったのだとしたら度し難いの一言だ。そこまでプレイヤーに負担をかけるものにしてまでお金が欲しかったのか。あまり考えたくはないが、本当にそれが事実だとしたらドン引きである。
この門戸の狭さにより、折角の進歩の数々も影を落としてしまっているのが勿体ない。実際に内容自体は正統進化系というに相応しく、決して駄作ではない。新規に追加された「ダンス」は身体へ適度に負担を与えるトレーニングになっているし、他の新トレーニングもWiiリモコンの奇抜な持ち方を提唱したものになっていて、操作するだけでも楽しい。「フィットメーター」による外出先の運動で消費したカロリーの換算で、プレイ時間を絞り込めるようになったのも日々の継続をし易くする為のいいアクセントになっている。ダウンロード版であれば、ディスク切り替えの手間も無く遊べて快適だし、容量も控え目に抑えられているのが有り難い。ゲームパッドのOFF-TV機能によるプレイも、運動スペースによっては距離を取る事になって、画面が見え難くなる難点はあるが、テレビ番組を見ながらでもトレーニングに励めるのは非常に快適だ。
それほど魅力のある内容に完成されているのに、プレイヤーに大きな負担をかけるリモコンプラス専用トレーニングの存在が勿体ない。それが無ければ、全体の2~3割しかトレーニングが遊べないのもまた然り。こうしてWiiUに出したのなら、あえてリモコン要素無しにゲームパッドに絞り込むやり方もアリだったのではないのか。また、ダンスにしても足踏みを判定にして、リモコンなしでもやれるようにする選択肢があったのでは。そうも掘り下げれば掘り下げるほど、制作における穴とプレイヤーへの配慮の無さが現れる作りに収まってしまっているのがもどかしい。基本的な出来は悪くないだけに尚更だ。

「フィットメーター」によるサポートも秀逸なものの、その転送時に行う赤外線通信が受信し難いのがタマにキズ。一応、ゲームパッドのセンサーに最接近させると受信し易くなるが、もう少し離れても受信するように調節して欲しかった。専用ゲームの「フィットメーターチャレンジ」も、ひたすら淡々とゴールを目指して進んでいくだけなのが味気ない。チェックポイントに到達する度に現地の風景が見れるなど、そのような特典もあるとモチベーションを高める要素として機能したと思うのだが、そういうのも一切ない。やり方次第ではもっと面白く出来そうな所が幾つも見受けられるのが残念だ。
同じく新要素の「Miiverse」との連動も、「みんなのジム(任天堂公式のジム)」に入ると、どのトレーニングをしたかの報告が自動で投稿され、タイムラインがスパムめいてしまうのも難あり。自分が作り上げたジムであればそれも無くなるのだが、連動の仕方としては色々と課題の多い作りだと言わざるを得ない。
ゲーム的な面でも最高難易度「エクストラ」が追加されたトレーニングは全てではなく、ごく一部というのも勿体ない。ただ、トレーニング自体は70種類以上と膨大。リモコンプラス専用な点でハードルこそ高いが、新トレーニングの「パズルスカッシュ」は運動抜きにして何度もプレイしたくなる中毒性が光る作りになっている。WiiUゲームパッドを使ったトレーニングも複数あり、バランスゲームとして用意された「ウェイター」の妙に生々しいプレイ感には自然と笑みがこぼれるものがある。「エクストラ」のバランスの取り方も面白く、特に「燃焼フラフープ」と「雪合戦」はゲームに手慣れた人ですら「正気の沙汰か!?」と言いたくなる、苛烈な展開が楽しめる。また、昔懐かしのスコアアタックの楽しさは変わらず。全トレーニングの最高ランク(☆4つ評価)獲得を目指すやり込みは、まさに物理的にもハードコアなものになっているので、腕のみならず、体力に自信のあるプレイヤーならチャレンジすべしだ。ただ、ムキになると後日、悶絶必至の筋肉痛に襲われることになるので、目指す際は休憩を挟みながらで。(※痛度には個人差があります)

その他、メニュー周りの操作もタッチ操作対応で直感的な選択が行えるようになり、快適さが向上している。トレーニングの選択も鍛えたい部位などの選択肢が多数用意されているほか、自分でセットメニューを組める機能も搭載されているので、プレイヤーの意のままにトレーニングに励める。「使用時間」、「消費カロリー」を選ぶことで、おまかせのメニューが作れるのも便利だ。ただ、選ばれる内容にやや偏りがある上、それをこちら側で修正できないのは少しもどかしい。特にテレビを見るのが必要とされない「ながら」系のトレーニングのヒット率の高さには軽くストレスを覚えるかもしれない。
グラフィック、音楽も初代からの流用で新鮮味皆無。前者は解単純にリマスターしただけに過ぎない見た目なので驚きは皆無だ。ただ、別にそこが重視されるゲームではないので、これはこれで特に問題は無い。
そんな正統進化に相応しい部分も多く、単純に一つのフィットネスゲームとしての完成度で見れば十分過ぎるほど良作だ。しかし、初代及び拡張版以上にプレイするまでのハードルは高め。特にWii本体と初代を持っていない、『Wii Sports Resort』に代表されるWiiリモコンプラス(Wiiモーションプラス)対応&専用ソフトのプレイ経験が無く、いずれの周辺機器も持っていないプレイヤーに対する切り捨てが酷く、ソフト単品以上の出費を強いられるのは看過できない問題点だ。パワーアップしているのは確かだし、遊べないゲームではない。しかし、その遊ぶまでのハードルが高く、任天堂のゲームらしからぬ門戸の狭さを実現させてしまっている本作。普通にお薦めできるゲームではあるのだが、出費面での覚悟が必要とされる困ったパワーアップ版だ。繰り返すが、内容自体は悪くない。日々の継続のし易さでは旧二作を大幅に上回っているし、トレーニングごとに炸裂する操作周りのネタは純粋に面白い。周辺機器を揃える手間が要るが、ゲームとしても遊び応えのあるフィットネスを探している人、リモコンプラスとWiiUゲームパッドが演出する独特の操作感と遊びを楽しみたいプレイヤーにはお薦めできる一品だ。例によって、ダウンロード版がお薦めです。
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