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≫ゼルダ無双


■発売元:コーエーテクモゲームズ / ■監修:任天堂 / ■ジャンル:アクション /
■CERO:B(12歳以上対象) ※暴力、セクシャル描写あり /
■定価:パッケージ版:7389円(税別) / ダウンロード版:6463円(税別)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫ゼルダ無双(コーエーテクモゲームス公式サイト)
≫ゼルダ無双 | Wii U(商品&購入ページ)
▼Information
■プレイ人数:1~2人 /■セーブデータ数:1つ(※ユーザーごとに作成可) /
■必要容量:セーブ:8MB以上、ダウンロード版:7082MB以上 / ■その他:Nintendo Network対応、追加コンテンツ対応、WiiU PROコントローラ対応、Wiiリモコン対応、ヌンチャク対応、OFF-TV PLAY対応、amiibo対応 /
■総説明書ページ数:54ページ(※電子説明書) /
■推定クリア時間:8~9時間(エンディング目的)、70~80時間(完全攻略目的)
「力」、「知恵」、「勇気」から成り、触れた者の願いを叶える黄金の聖三角形「トライフォース」。
その力を巡り、善と悪の戦いが幾度も繰り返されてきた。
ハイラルが悪しき者の手に堕ちそうになった時、その度に緑衣をまといし勇者が現れ、悪しき者の野望を打ち砕いた。勇者は二度と悪しき者が復活しないよう、その者の魂を四つの欠片に分け、三つを時空の彼方に送り、残りの一つは聖地の入口に神殿を造り、「マスターソード」で封印した。

それから遥かなる時が経ったある日。ハイラルの果て…「力」「知恵」「勇気」のトライフォースの水晶から均衡を感じ、異変に備え続けてきた魔女に「あること」が起きた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆自陣を守りつつ、迫りくる敵の軍勢を斬り倒し、その陣地奪取を目指す戦略シミュレーションとアクションゲームをミックスさせた独特のゲームデザイン(無双シリーズお馴染みとも言える)
◆アイテムを用いての進路確保など、自然と組み込まれたゼルダの伝説由来の要素の数々
◆ゼルダ由来の弱点を突く戦術性、決定的な一撃を決め込む爽快感に秀でた必殺の一撃「ウィークポイントスマッシュ」
◆お馴染みのリンクだけでなく、ゼルダ姫にインパ、更には過去作のあれやこれやの面々まで動かせてしまう魅力的なプレイヤーキャラクター達(追加キャラクターも豊富に用意されている)
◆シリーズファンならニンマリしてしまうこと必至の膨大なファンサービスの数々(アイテムのラインナップ、一部演出など、全てにおいてゼルダを「分かっている(分かり過ぎた)」仕上がり)
◆シリーズファンをニヤリとさせる展開目白押しの本編こと「レジェンドモード」
◆大筋は王道ながら、中盤に驚きの展開が描かれる「レジェンドモード」のストーリー
◆自陣の防衛、特定人物の護衛など、マップ攻略に起伏を付ける多彩なミッション
◆短期仕様のミッションを攻略する構成と豊富な特典の数々で魅せる「アドベンチャーモード」
◆原作の世界観を忠実に再現しつつ、戦略的な仕掛けも盛り込んだフィールドマップ
◆エンディングまでは短めながら、全てをやり込むとなれば底なしとなる総計ボリューム
◆ゼルダ由来のキーアサインと軽快なレスポンスが光る操作性
◆力押しで行くのもよし、戦略的に行くのもよしの幅広い選択肢を設けた難易度設定
◆ゼルダシリーズ特有の世界観と雰囲気を丁寧に再現しきった美麗なグラフィック
◆アクションゲームであるが故のノリの良さを突き詰めた音楽(過去作の名曲もアレンジされて収録)
◆一騎当千の爽快感と迫力を余すことなく表現しきった演出(エフェクト、効果音)
◆懐かしのキャラクターから衣装に至るまで、豊富に網羅された有料ダウンロードコンテンツ(また、数度に渡って機能追加など実施するアップデートも展開されてたりとサポートが手厚い)

--- Bad Point ---
◆特定の攻撃を待つ戦術に偏り、テンポを乱す難点を持つ「ウィークポイントスマッシュ」(特にボスが追加攻撃を展開するようになって以降、そのようなパターンに陥りがち)
◆ボスクラスの敵を優先的に捉えてしまう注目システム(仮にその場に中ボスクラスの敵が近くにいたとしてもボスが優先される。右スティックのカメラ操作で多少の調整はできるが…)
◆「アドベンチャーモード」で最高評価「S」を獲得しないと解禁されないものがほとんどな追加キャラクター達
◆その最高評価「S」獲得の妙なシビアさ(特に被ダメージの評価が異様に厳しい)
◆見所もあるが、一部腑に落ちない展開も散見される「レジェンドモード」のストーリー(特にシークにちなんだストーリーは、そこに至るまでの展開を考えると突っ込み所のバーゲンセール)
◆ゼルダらしいとは言え、刻一刻と戦局が変化する本作のゲーム性とは相性が悪過ぎる掛け声限定のボイス演出(この所為で攻略真っ只中にテキストを読まないとストーリーが追えない)
◆全体的に作業感の否めないやり込み要素全般(特にレベル上げがきつい)
◆デザイン的に場違い感が否めない本作オリジナルのキャラクター達
◆全体的に1マップ攻略に時間がかかり過ぎるきらいのある「レジェンドモード」のマップ(その影響で必要な素材を効率的に集められない難点があるが、アドベンチャーモードで解決できる)
▼Review ≪Last Update : 11/26/2017≫
歴代勇者の肖像画、ここに集めました。

※但し、そこに溢れるのは歪んだ愛情也。



コーエーテクモゲームスの看板タイトルにしてタクティカルアクション、無双シリーズと任天堂の看板タイトルでアクションアドベンチャーの『ゼルダの伝説』とのコラボレーション作品。開発は無双シリーズの制作チーム「オメガフォース」と『デッド オア アライブ シリーズ』と『NINJA GAIDEN』シリーズで知られる制作チーム「Team NINJA」のタッグが担当。

やりすぎなファンサービスとゼルダならではの戦闘システムで魅せる良作だ。

内容は広大な箱庭空間を舞台とした3Dアクションゲーム。主人公のリンクを始めとするキャラクター達を操作し、自軍の本拠地を防衛しながら大軍で迫りくる敵を倒しつつ、相手側の拠点を奪いながら勝利条件の達成を目指すというものだ。
ゼルダの伝説シリーズと言えば、「ダンジョン」と呼ばれる迷宮に潜って謎を解いていくアクションアドベンチャーゲームだが、本作はアクションゲーム。シリーズ伝統の謎解き要素は皆無で、本編もエピソードごとに個別で用意されたマップを攻略していくステージクリア方式(或いはキャンペーン方式)で進行する過去作とは毛色の異なる作りになっている。そして、単なるステージクリア型アクションゲームにあらず。自軍と敵軍に分かれ、戦闘と同時に領地の奪い合いを繰り広げていく、戦略シミュレーション的な要素を取り入れたアクションゲームとなっている。
具体的に解説をすると、マップにはプレイヤー側が属する自軍と相手の敵軍が布陣している。各軍は「砦」、「拠点」、「本拠地」の陣地を持ち、この内の「本拠地」がどちらかの手に渡ってしまうと、その時点で奪った側の勝利となる。プレイヤー側、自軍側の視点で捉えるならゲームオーバーだ。よって、各軍は「本拠地」を奪われないよう守りを固めつつ相手側の陣地に攻め入って、逆にそちらの本拠地の奪取を目標に進軍していく。基本的にマップごとの戦闘はそのような過程で展開される仕組みとなっている。ただ、プレイヤーがやることは自軍の主将に当たるキャラクターを操作してマップを駆け、大群で攻め込んでくる敵をまとめて斬り倒したり、相手の陣地を守る隊長や主将(ボス)を倒していくことだけ。勿論、自軍の陣地が相手に奪われそうな時はそちらに救援として駆けつけ、脅威を退ける立ち回りも要求されるが、基本は行く手を阻む敵を退けることに徹すれば難なく遊べてしまう。また、マップ上では常に「ミッション」と呼ばれる目標が定められるので、ある程度の導線に沿った進軍になるほか、本拠地の奪取が最終的な目標ではない展開もあるので、終始、同じことが繰り返されていく訳にあらず。戦略シミュレーション的なアクションゲームという事で、ハードルの高そうな印象を抱くかもしれないが、実際は仕組みとは裏腹に取っつき易く、ジャンル特有の直感的に遊べる魅力を残しつつ、単純ながらも多少、頭を使うという独特なバランスで構築された作りになっている。また、大群で攻寄ってくる敵を単騎で倒していくことから、アクションゲーム的にも爽快感、迫力共に抜群。見た目からして荒唐無稽なところもあるが、まさに「一騎当千」を絵に描いた展開が画面いっぱいに繰り広げられるのも、本作の見所の一つだ。
そして、本作はゼルダの名を関した作品。先の通り、謎解き要素は皆無で、ダンジョンも何ら用意されていないが、システム周りにはシリーズを意識させるものが複数実装されている。
一つに「アイテム」。ゼルダお馴染みのリンクのアクションを拡張させるアップグレード要素だ。登場する数は本家と比べると少なく、所持できるのもそのマップ限りと仕様も異なるが、「爆弾」、「ブーメラン」、「フックショット」と言った伝統的なものはほぼ網羅。そして、それらを使って障害物を退けたり、戦闘で活用するといったシリーズを髣髴とさせる展開も用意されており、基本、敵の軍勢と戦うのに徹する本編に華を添える。入手に当たってはマップ上に隠された「宝箱」を開け、そこから回収しなければならない所も本家ゼルダを踏襲していて、本作がゼルダであることを意識させる要素にまとまっている。勿論、獲得時のあのジングルも健在。シリーズ経験者ならニヤリとすること請け合いだ。
続く二つ目は「注目システム」。『ゼルダの伝説 時のオカリナ』以降、3Dのゼルダでは当たり前の存在となったロックオン機能も実装されている。ただし、注目できるのは強敵のみ。砦を守る中ボスと言ったキャラクターに限定されている。敵の大群にはそれが一切効かない仕組みだ。また、そう言った敵の大群が周囲にいる状況下で注目を実施するが故、横やりを入れられぬよう、積極的に動き回る必要もある。なので、使い所を計算するのが求められる作り。いつも通りではあるものの、アクションゲームなりの使い勝手の違いが如実に表れたシステムになっている。
更なる三つ目が「ウィークポイントスマッシュ」。名称だけなら「そんなの本家ゼルダに無いだろ」の一言だが、ちゃんとゼルダ由来の要素。特定のアイテムによる攻撃で、相手を怯ませるチャンスタイムだ。本作ではそのように名づけられている。ただ、詳細な仕組み……「スマッシュ」の下りが本作オリジナル。基本的に中ボス、ボスクラスの敵に限定されるが、戦闘時に特定のアイテムによる攻撃を決めると相手を怯ませることができ、その瞬間に連続攻撃をたたき込めるようになる。ここまでは本家ゼルダでもお馴染み。そこから先が少し異なってて、この怯ませた時に「ウィークポイントゲージ」なる八角形のゲージが仰々しいジングルと共に表示される。このゲージは攻撃を決める度に減少していく。最終的に空にすると、プレイヤーキャラが必殺技を発動。そのまま相手に対してお見舞いし、特大のダメージを与えるのだ。なので、敵に与えたダメージの量次第では、短期決着を着けることも可能。そんな大胆な攻撃技が用意されているのである。シリーズで例えるなら、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』以降に実装された「とどめを刺す」をより派手にしたシステムと言ったところだ。また、素早い行動が戦局を左右する本作にもマッチしたシステム。テンポよく、次から次へと敵への攻撃を展開していく気持ちよさには、まさに無双ならではの手応えを実感させられるだろう。
他にもハートで表示された体力ゲージ、魔法を使う際に消費される魔法ゲージなどのシステムも健在。また、本作は複数のゲームモードが用意されていて、本編の「レジェンドモード」のほか、小さなミッションを順に攻略し、マップの全容を解明していくゼルダ的な遊びも残した「アドベンチャーモード」なるものも収録。細かい面でも、経験値によるレベルアップ、戦闘で得られる素材を元に「バッジ」を作成し、ステータス強化を図るというシリーズらしくなく、それでいて時折、アクションRPGであると呼称されることもある習わし(?)を逆手に取ったシステムまでも。
このようにゲーム的には別物ながら、ゼルダシリーズ特有の要素もしっかり組み込まれた作品に完成されている。言い方を変えるなら、戦闘と戦略に特化した3Dゼルダ。謎解きとは無縁の新しい遊び心地を持つゼルダの伝説だ。

そんな本作の魅力は、謎解きではなくアクションと戦略に重きを置いたゲームデザイン……と見せかけて、「やりすぎ」と言わんばかりに盛り込まれたファンサービスの数々である。
先のシステム解説では触れなかったが、本作には一つ、インパクトのあるシステムが実装されている。それがキャラクターセレクト。冒頭で多少匂わせたが、本作でプレイヤーが操作するのはお馴染みのリンクだけではない。他にも多数のキャラクターが操作対象として登場し、マップによってはそれによる攻略が求められて来たりもするのだ。
そして、そのキャラクター達というのがシリーズファンの琴線を刺激する面子揃い。ヒロインのゼルダ姫、その護衛であるインパに加え、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』に登場したゴロン族のダルニア、ゾーラ族のルト、謎の少年シーク、『ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス』のキーパーソンであるミドナ、『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』の相棒的存在であるファイと言った、本家では操作することの叶わなかったキャラクター達で戦闘を繰り広げていけるのだ。特にゼルダ姫を操作し、戦闘を繰り広げていけるのは、シリーズ的には大変に衝撃的。何が衝撃的か、それは『ゼルダの伝説』のタイトル名通りの展開が拝めるというだけでも、本作が如何に高い稀少価値を誇る作品なのか、もはや語るまでもないだろう。主人公の名前がリンクなのにゼルダとされる、お馴染み(?)の勘違いが通用しない。むしろ、ちゃんとその題名に沿ったゲームプレイができるのだ。だが、それ以上に強烈なファンサービスとして用意されたキャラクターもいる。それが誰かは実際に遊んで確かめてみて頂きたい。恐らく、シリーズファンなら「この時を待っていた!」と歓喜してしまうだろう。
また、過去作のキャラクター達の出演が示す通り、本作の本編である「レジェンドモード」では、それぞれの原作をテーマにしたマップも登場。対象作品は『時のオカリナ』、『トワイライトプリンセス』、『スカイウォードソード』と3D作品に限られてしまっているが、いずれも戦闘と戦略をキモとするゲームデザインに上手く落とし込んだ構成、丁寧な原作再現が光る仕上がりになっている。いずれも初のHD化となるのも見所。中でも『スカイウォードソード』のマップは、グラフィックのテイストこそ原作と異なるが、色使いから雰囲気に至るまで、忠実に再現されたものになっている。単純に原作を知らずとも鮮やかさの面で際立ち、マップデザイン的にもユニークな構造をしていて戦略性に富んでいるなどの魅力を持つので、本編プレイ時には是非ともチェックしてみて欲しい。
他にも宝箱からアイテムを手に入れる際に毎度お馴染みのジングルが流れるのは先も申した通り、獲得デモもキャラクターごとに固有のものが用意されている上、各キャラクターが持つ攻撃技はほぼオリジナルでありながら、原作にあっても違和感のないものにまとまっているなど、こだわりが凄い。細かい所でも「アドベンチャーモード」の全体マップ画面は初代ゼルダの伝説のドット絵で描かれていたり、ハートなどのアイテム獲得時に原作準拠の効果音が流れたり、あるマップに歴代シリーズのリンク達のイラストが飾られてたりと、「そこまでやるか!」と突っ込みたくなるものが満載。ここで紹介したもの以外にも多数のネタが用意されているので、何らかのネタに関心を抱いたシリーズファンなら、迷わず突撃してみて頂きたい。きっといい意味で呆れ返ってしまうと同時に、「やりすぎ」と称したことの意味を思い知らされるだろう。
勿論、純粋に一つのゲームとしての出来も盤石だ。特に「ウィークポイントスマッシュ」で強敵の即時撃破を可能とするなど、ゲームテンポを損ねない為の工夫が随所に凝らされているのが見事。スピーディに移動から戦闘まで展開していけるサクサクなプレイ感は、思わず癖になってしまう気持ちよさがある。「レジェンドモード」に限り、ストーリーと並行させた「ミッション」によって、相手の拠点奪取に終始する展開に起伏を作り上げているのも面白い。救援の為に特定の陣地に出向いたり、別行動しているキャラクターの進軍をサポートしたりなど、時にはゼルダ的な発想で道を確保したりなど、矢継ぎ早に繰り広げられる展開には、アクションゲームを遊んでいるという確かな手応えを実感できる。無双シリーズならではの敵の大群を一気に仕留める爽快感も申し分なし。また、件の「ウィークポイントスマッシュ」を狙って攻めるボスクラスの敵との戦闘も「キングドドンゴ」、「ゴーマ」と言ったシリーズの伝統的な面子との戦いのほか、本作オリジナルのキャラクターとの一騎打ちまで用意されていたりとバリエーション豊か。中でもオリジナルのボスとの戦いは、大型のボスとは異なる緊迫感のある展開が繰り広げられるので、ゼルダシリーズのボス戦に慣れたプレイヤーほどいい意味で戸惑うこと請け合い。そして、他では味わえない新鮮な手応えを堪能できるだろう。ファンサービスが濃すぎる反動で、あまりゲーム側には目が行き難いところもある本作だが、そこの出来もなかなかに侮り難し。主にテンポ周りへの気遣いは本当、感心させられるほど徹底されているので、じっくり観察してみれば唸らされること請け合いだ。
ただ、手放しに褒められない難点も。特にボスクラスの敵はダメージを与える度、攻撃パターンが追加されるのだが、この攻撃が基本的に隙を見せない類のものが多く、どうしても出待ちを強要されがち。酷いと、そのボスとの戦いにずっと付き合わされることを強いられたりもする。ずっと同じ攻撃では戦闘が単調になってしまうが故の仕様あのかもしれないが、逆にテンポを悪くしているところがあるので、ここは素直に単調さを貫き通すのも良かった。また、「注目システム」も大型ボスを優先的にロックオンする仕様になってしまっていて、中型の強敵を先に倒したい時などに思い通りに狙いを定められず、もたつくことがある。一応、右スティックによるカメラ操作を駆使することで調整は効くのだが、それでも引っ張られることがザラであり、この辺に関してはプレイヤーキャラに近い対象を注視する仕様でまとめて頂きたかったところだ。

敵から得られる素材を元に武器、バッジなどを作るシステムも「レジェンドモード」だと、1つのマップをクリアするのに20分以上かかることがほとんどなので、テンポ良く実施していけないのがもどかしい。ただ、これに関しては短期決着できる戦闘の多い「アドベンチャーモード」がその受け皿として機能している。ただ、それでも素材集めには一定の時間を要したり、一部、レアな装備を作るに当たっては作業プレイが強制されるなどの難点もあるので、一長一短である。
ボリュームに関しても「レジェンドモード」だけなら10時間ほど、「アドベンチャーモード」も含めるならその8倍以上に膨れ上がるなど、十分に用意されているが、若干の水増し感も否めず。特にやり込み絡み…追加キャラクターの解禁はその象徴。レジェンドモードで選択できないキャラクターを使えるようにする為には、「アドベンチャーモード」でタイム、撃破数、被ダメージの三つの評価で最高のSを獲得しなければならないのだが、これが非常に難しい。また、被ダメージの項目だけ異様に判定基準がシビアで、緻密なプレイを強要されるバランスになっているのにも違和感を禁じ得ない。多少ながらもダメージを受け易い調整でほぼノーダメージクリアをしないといけないのは、幾ら何でも鬼畜すぎないだろうか。この辺、どうにも開発の「Team NINJA」の悪い癖が現れてしまっている印象が否めない。ただ、これはやり込みの話。普通にクリアするだけなら、優しすぎず難しすぎずのバランス。また、「レジェンドモード」に関しては難易度選択機能も実装されているので、そこまでプレイヤーを選ばない。その点は素直に評価できる。
操作周りもWiiUゲームパッドの特性をフル活用した専門的なものではなく、WiiU PROコントローラでも遊べるなど、従来型操作も容認したスタイルなので、プレイヤーの好みにあったものを選べる良心的な仕様。キーアサインも本家ゼルダを意識したものにまとまっているほか、レスポンスも良好で動かすだけでも楽しいものにまとまっている。
演出周りもエフェクト、効果音共々、一騎当千の爽快感を引き立て、動かす楽しさも際立たせる作り込みが成されている。特に敵を攻撃した際の仰々しい効果音は本家ゼルダシリーズ由来の素晴らしさ。大量の敵が必殺技で吹っ飛ぶ構図も迫力満点で、それ見たさに積極的に攻撃を仕掛けていきたくなる楽しさもある。この辺のこだわりは、さすがは無双シリーズと言ったところ。アクションゲームのキモを外さないこだわりには敬服する。

演出周りでは他にムービー、ボイスと言った所もゼルダ作品ならではのこだわりとして、メッセージウィンドウが表示されたり、掛け声中心となっているのがユニーク。しかし、後者に関しては刻一刻と情勢が変化する本作のゲーム性との相性が非常に悪く、アクションに集中したいのに会話テキストを読む手間が生じるのがもどかしい。これまでのゼルダで採用されたボイスが掛け声メインで、フルボイスは邪道だからという結果のこだわりなのかもしれないが、率直に言ってここだけはそんなのは捨ててフルボイスを採用して頂きたかった。(何故か)エピソード開始時のナレーションデモだけはフルボイスになっているのなら、他をそのようにしてもいいだろう。結果として、マップごとに繰り広げられるストーリーをじっくり追えない、アクションから集中を逸らす隙を作り出してしまっているのは残念な限りだ。他にストーリーに関連するところでは、本作独自のキャラクターも作中に登場するのだが、デザイン的に浮いている感の否めない面子揃いで、シリーズファンなら引っ掛かりを覚えること確実。他社制作なりの個性とも言えるが、それでも本作の主要な悪役として登場する魔女・シアの容姿は「それはどうなんだ…」と戸惑うかもしれない。
色々と粗も目立つが、全体的な出来は悪くない。スピーディでテンポのいいアクションとゼルダ的な要素を絡めた陣取り合戦的な展開と強敵との戦闘、良好な操作性、適度に配慮された難易度、ド派手な演出と、遊び応えと触り心地共に頭一つ抜けた作品に完成されている。過去のゼルダシリーズにちなんだネタ要素も豊富で、文字通り『ゼルダ無双』が楽しめてしまうゼルダ姫によるプレイは特筆に値する面白さ。グラフィックも綺麗で、過去作の名曲をロック調にアレンジした音楽も見事な出来。更なるやり込み、「このキャラクターでも遊んでみたい」というプレイヤーの欲求に応えた有料のダウンロードコンテンツも設けるなど、全てにおいて至れり尽くせり、遊び応えとゼルダ成分も十分な本作。ゼルダ特有の味わいと無双ならではの一騎当千アクションの楽しさと爽快感を併せ持つ良作だ。特にゼルダシリーズを遊んできたプレイヤーならば要プレイ。この細かすぎる所まで仕込まれたネタの数々とシリーズ作品への愛は本家シリーズでは到底味わえない感動と面白さがある。純粋に一つのアクションゲームとしても、非常にやり込み甲斐のある内容で、RPG的なキャラクターを強化する楽しみにも秀でているので、その手のものが好きなプレイヤーも機会があればぜひ。
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