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≫ロックマンコンプリートワークス(4〜6) ≪※Last Update : 12/27/2009≫
ファミリーコンピュータで発売されたカプコンの人気アクションゲーム、ロックマンの初代から6作までをプレイステーションへと移植したシリーズ。
当レビューでは、筆者が所持している4作目から6作目の3本を語る。

まず最初に、このPS版ロックマンシリーズ全体の特徴についてを。

基本的にこの移植シリーズだが、ファミコン版を完全移植するコンセプトの元で制作されている。グラフィック、音楽と、全てがファミコン版そのままで、見た目を改める工夫は一切行われてない、悪く言えば手抜きな移植となっている。
更にこのシリーズは、一本のソフトにシリーズをまとめた、いわゆるカップリング方式を取っていない。初代から6作目まで、一本一本独立して販売する、これまた悪く言えば「ばら売り」の方式を取っている。更に、上記のソフト情報の欄の通りだが、一本単位の価格は2800円と割高。(※ベスト版だと1800円)
全シリーズをプレイしたければ、単純計算で16800円もの額を支払う事になる。明らかに、カップリング方式を取る移植作と比べ、ユーザー側の負担がでかく、且つお得感ゼロな移植だというのは、言うまでも無い。しかも、シリーズ全てがファミコン版そのままなので、該当するシリーズを所持しているユーザーに対する購買力にも劣る。
どちらかと言うと、ファミコン版(及びファミコン本体)を所持していない、またロックマンシリーズ自体のプレイ経験が無い、そんなユーザー向けでしかない。だが、ファミコン版そのまま故に見た目の古めかしさは否めず、新しい世代にしてみれば、敬遠してしまう空気もある。
全体として往年のユーザーを惹き付ける力も無ければ、新規ユーザーを惹き付ける力も弱い、散々なリメイクとなってしまっている。加えて、ばら売り方式なので、全てを遊びたい時の負担も大きいと散々。元の魅力を損ねずに移植したという点では評価できるが、純粋に商品としての移植タイトルとしてはこのシリーズ、典型的な悪例と言えるだろう。

全てがファミコン版そのままという訳でなく、パワーアップパーツによるアシスト、攻略アドバイスのナビと言った要素を加えた『ナビモード』、登場するボスキャラ等の情報を閲覧できる『図鑑』と言った、独自の味付けも成されているが、地味なので魅力に劣る。ファミコン版と異なり、セーブも可能となっているが、それが「パスワードの記録」という変則的な方式とされてるのも煩わしい。ロードの際、パスワードを呼び出すというのもレスポンス的にいま一つ。正直、これならまだ、メガドライブで発売された初代から3作目をカップリングしたリメイク、『ロックマンメガワールド』の方が遥かに良心的だ。
ここまで強引過ぎる移植作も他に無いと言える。

ただ念の為、ゲーム本編の面白さには何の問題は無い。優れた操作性に高いアクション性と、アクションゲームとしてはいずれのシリーズも高い完成度を誇っている。
また、この4作目以降からのシリーズだが、先ほど紹介した『ナビモード』が少しパワーアップ。パーツ等の要素はそのままに、音楽がこのプレイステーション版オリジナルのアレンジバージョンに総取替えとなった。
(※初代から3作目までのシリーズは、一部アレンジのみだった)
グラフィック、そして効果音は相変わらずファミコン版そのままだが、音楽だけは変わったので、ある程度ながら、全体の新鮮さは向上している。しかも、ニクいおまけとして、サウンドテストまで実装するサービスっぷり。そういう意味でこの4以降のシリーズは、ファミコン版を所持しているユーザーを惹き付ける力がそこそこ強い。
グラフィックなど、全面的なアレンジを期待するユーザーにはいま一歩かもしれない。だがそれとは別のユーザーにとって、この4以降は魅力の多いシリーズだと言えるだろう。アレンジされた音楽を聴く為だけでも、この4以降のシリーズはプレイしてみる価値はそれなりにある。

そんな訳で次から、4作目から6作目までのシリーズの紹介、見所についてを。
◆ロックマン4 新たなる野望!!
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 プレイステーション版:2940円(税込)
PS one books版:1890円(税込)
ゲームアーカイブズ版:600円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 8つ(※プレイステーション専用メモリーカード対応:1ブロック使用)
■その他 DUAL SHOCK2(※振動機能)対応、ポケットステーション対応
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 3時間〜5時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
▼Review
シリーズ第四弾。オリジナルは1991年12月6日発売。

内容は前作などと変わらず。
8つの自由に選べるステージを攻略しながら、最終ステージを目指して進んでいく、ステージクリア型アクション。ボスから入手できる特殊武器、じゃんけんの概念を取り入れたボスの弱点などのシステムもそのまま踏襲している。
シリーズとしては、初めて『チャージショット』のアクションを採用。後の『ロックマンX』を含む、ロックマンシリーズ最大のターニングポイントになったタイトルである。
チャージショットの他にも、アイテムを運搬するサポートキャラクターのエディーを追加。『バルーン』、『ワイヤー』と言った新しいサポート系の特殊武器も追加され、より多彩なアクションが可能となっている。
その他、武器選択ウィンドウのインターフェースが改善、クリア済ステージが再プレイ可能となる初代の原点回帰が成されたなど、細かな面でバージョンアップが図られている。

全体的に非常にバランスの取れた出来。
特に難易度は優し過ぎず難し過ぎずの絶妙な調整で、突出した遊び易さを誇る。
また、今作は世界観が「冬」で統一されているのも大きな特徴。元々、ストーリーの舞台が北の地なのもあってか、最終ステージの大半が氷のステージであるなど、その設定を効果的に活した工夫が随所にて凝らされている。
8ボスのステージも冬を意識してか、「寒さ」を醸し出す演出がチラホラ。唯一、熱い場所である砂漠のステージ(ファラオマンステージ)が、昼間じゃなくて夜だったりと、今作の冬に対するこだわりの強さは尋常無い。
ゲーム以外の箇所として、音楽の出来も素晴らしく名曲揃い。プレイステーション版オリジナルのアレンジも大変素晴らしく、特にトードマンステージとブライトマンステージ、最終ステージ全般は非常に良い出来だ。
ただ、スカルマンステージは微妙なところ。ここは、主に熱心なシリーズファンなら改悪と思ってしまうかもしれない。

ボリュームも16ステージ強と結構膨大なので遊び応え満点。

シリーズ随一のバランスの良さと印象的なシステムの数々。
そしてシリーズとしては珍しい「冬」のイメージ漂う傑作だ。
◆ロックマン5 ブルースの罠!?
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 プレイステーション版:2940円(税込)
PS one books版:1890円(税込)
ゲームアーカイブズ版:600円(税込)
■公式サイト ≫>こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 8つ(※プレイステーション専用メモリーカード対応:1ブロック使用)
■その他 DUAL SHOCK2(※振動機能)対応、ポケットステーション対応
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 3時間〜5時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
▼Review
シリーズ第五弾。オリジナルは1992年12月4日発売。

内容、システムはこれまでのシリーズと変わらず。作りは前作である『ロックマン4』を踏襲。チャージショットは『スーパーロックバスター』と進化し、一発の威力が強化された。
更に前作では一発、ロックバスターを撃ってからでないとチャージができなかったが、今作からはバスターを一発撃つ必要も無く、チャージが可能となった。その変更の恩恵で、操作性も僅かに向上している。
チャージショット以外の進化としては、エディーに次ぐ新しいサポートキャラクター『ビート』の登場、そして『スーパーアロー』なる新しいサポート系特殊武器の追加がある。特に『ビート』は体当たり攻撃で敵を倒してくれるなど、大変頼もしい働きをしてくれる。だが、その便利さ故に最初からは使えず、8ボスのステージ内に隠されている『プレート』を8つ回収しなければならない。このプレート集めが加わった影響で、今作は若干ながら探索要素が強化。これまたシリーズのターニングポイントとも言えるもので、その後の『ロックマンX』の原点となっている。
他にも高いジャンプができるラッシュコイル、空中移動ができるラッシュコイルの仕様が変化と、3以降のサポートキャラ、ラッシュの周りで大きなアレンジが加えられている。

全体的にはシリーズ中、最も難易度が低いタイトル。スーパーロックバスターの威力が高過ぎるのと、敵配置が大人しいのもあってか、ワリとサクサクと進めていける。
但し、誰でもクリアできるほど低い訳でなく、シリーズ全体の範囲内では低い感じ。一般的なアクションゲームと比較すると、高い方。例によってお約束の難所は多々あるので、それなりの腕が伴ってないと全ステージ攻略は難しい。「低い」というからと言って、油断してプレイすると痛い目に遭うので、要注意である。
また、今回は表現の面で色々とファミコンにしては高い技術力が炸裂しているのも見所。モザイク処理、多重スクロールなど、スーパーファミコンでしか無理な表現を、独自の工夫をして持ってやってのけてしまったその光景は実に印象的である。ステージ自体も今回は一段と個性が強く、水上バイクのシューティングあり、掟破りの手動縦スクロールステージありと、大いに魅せてくれる。挙句の果てには上下が反転するというステージもあったりと、そのバラエティ豊かな仕掛けの数々は単に見ているだけでも楽しい。
更にボリュームも16ステージ強と、前作並なので遊び応えは抜群。音楽も相変わらずの素晴らしさで名曲揃いだ。ただ、最終ステージの曲の数が減ってしまったのは、ちょっと寂しいところ。プレイステーション版に当たってのアレンジも微妙な仕上がりになっており、賛否が分かれるかもしれない。
とは言え、ゲーム全体の出来は鉄板。
難易度がシリーズとしては温めなので、入門編としても申し分は無い。

初めてロックマンをプレイする人にお薦めの逸品だ。
◆ロックマン6 史上最大の戦い!!
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 2940円(税込)
PS one books版:1890円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 8つ(※プレイステーション専用メモリーカード対応:1ブロック使用)
■その他 DUAL SHOCK2(※振動機能)対応、ポケットステーション対応
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 5時間〜7時間(エンディング目的)、20〜30時間(完全攻略目的)
▼Review
シリーズ第六弾にしてファミコン最終作。これ以降の7はスーパーファミコン、8はプレイステーションとセガサターンでリリースされることになる。
オリジナルは1993年11月5日のファミコン末期。

内容、システムは例によって、過去のシリーズと大差ない。
前作『ロックマン5』がシリーズにしては温かったのを反省してか、難易度が若干ながらアップ。更に強力過ぎた『スーパーロックバスター』も弱体化し、『ロックマン4』ぐらいの威力に修正。バスター自体のグラフィックも小さくなり、弱々しくなった。それでも、そこそこ威力はあるので、決して頼りないものになった訳ではないが。
バスター以外に改良点としては、サポートキャラのラッシュ。今作からコイル、そしてジェットが廃止され、新たに『合体』する大胆なものに改められた。合体は『ジェット』と『パワー』の全2種類。今作はこれが移動手段及び攻撃手段として各シチュエーションにて活躍し、今までとは異なるステージ攻略の妙を楽しめる。
また、ステージ周りにも新たな要素として『分岐』を導入。一部のステージに『当たりのボス部屋』と『ハズレのボス部屋』があり、前者を選べばサポートキャラ『ビート』のプレート入手の完全状態でステージクリア、後者を選べばプレート未入手の不完全な状態でステージクリアになると、ちょっとしたトラップが仕込まれた。その恩恵で(?)、クリアしたはずが実は完全じゃなかったと、シリーズでは今まで見た事の無いタイプの事故が起きるように。前作では単にステージに隠されたプレートを集めれば良いだった仕組みが、より厄介な形に進化した具合である。もはや、シンプルなアクションゲームにしては入り組み過ぎではないかと、突っ込みたくなるような複雑さがこの要素によってもたらされている。ある意味、その複雑さは今作の1ヵ月後にリリースされた『ロックマンX』を超えていると言えるかもしれない。
その他にも、『ロックマンワールド4』にて登場した『エネルギーバランサー』なる特殊武器回を分配するサポートアイテムが加わるなど、逆輸入された要素も加えられている。

全体としては、シリーズ中最も複雑。分岐の導入の恩恵により、完全攻略を目指した場合に限るが、一筋縄では行かないほど手強い作りとなっている。サクサク進めていけた前作と、明らかに対照的な内容である。
更に分岐の恩恵でステージの深みも大幅に進化。一回プレイしただけでも、解明されないルートがあったりと、2周目以降のプレイを大いに盛り上げてくれる。ステージのロケーションとか、仕掛けも今回は世界を舞台にしているのもあり、いつになく異質。中世の城が登場したり、日本を模したようなステージがあったりと、そのごちゃ混ぜ感は如何にも『史上最大の戦い』を名乗るだけにあると言ったところだ。
ただ、あまりに史上最大過ぎる感も否めず。複雑さの際立つ作りなので、過去のシリーズと比較すると、遊び易さの面では劣るものがある。特に分岐でハズレを引き、再度ステージ攻略をやり直すハメになるのは地味に苦痛。ステージ中のルート分岐はまだしも、ボスまで分岐させるのは必要だったのかと、この辺は正直、疑問符が付く。
プレイ時間も分岐にはまれば、過去最大級となる。沢山遊べるから満足度が高いとも言えるけど、やり直しを含むので、正直言って、十分にボリュームのあった前作よりかは楽しさの面では劣るかもしれない。

そんな具合に遊び難さが際立つが、アクションの出来は安定している。
主にラッシュとの合体、世界を意識した世界観と仕掛けに富んだステージはシリーズとしては新しいアクションの楽しさ、新しさに秀でている。技術面も末期ゆえに派手で、多重スクロールなどを含め、スーパーファミコンばりの表現が炸裂しているのも実に印象的。
音楽も良質で、アレンジ版も含めて水準以上の出来栄えだ。
特にアレンジ版は全体的に素晴らしく、ファミコン版以上に世界を舞台にしているという雰囲気に秀でているのが印象的。これまでのシリーズの中では、一番良いアレンジなので、往年のユーザーの方も満足できるだろう。

複雑になり過ぎた感は否めず。
けど基本的な部分の出来は申し分無しの良作だ。
多少、駆け足だが4作目から6作目までの詳細と見所の紹介はこんな感じで。

最後に…繰り返しになってしまうがこのPS版のシリーズ、そのままの移植でばら売りと、頂けない欠点は多い。しかし、いずれもアクションゲームとしての出来は相当なもの。見た目は古めかしくても、面白さは抜群だ。
見た目を気にしない人のみに限るが、何か遊び込めるアクションゲームは無いか、そういうユーザーなら是非、プレイしてみて頂きたいタイトルだ。特にこの4から6はそこそこアレンジが凝ってるので、オリジナルを持つユーザーにも薦められる。敷居は高いが、見所多し。
気になったら、どの作品からでも良いのでお試しあれ。
筆者としては、純粋にゲームとしての良さも含め、4がお薦めです。
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