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≫ゴッド・オブ・ウォー
■発売元 カプコン
■開発元 SCE Studios Santa Monica
■ジャンル アクション
■CERO D(17歳以上対象) ※過度の暴力、出血描写等あり
■定価 7140円(税込)<Best版:2090円(税込)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 4つ(※454KB以上使用)
■その他 プレイステーション2専用メモリーカード対応、アナログコントローラ専用
■総説明書ページ数 49ページ
■推定クリア時間 10〜12時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的)
古代ギリシア。スパルタの戦士であるクレイトスは無敵の強さを誇る男だったが、ある蛮族との戦いで完敗。そして今まさに首が切り落とされようとする瞬間、彼は最後の手段として軍神アレスに魂を売り、神にも及ぶ力として『ブレイズ・オブ・カオス』なる武器を得る。

それ以降、彼はその最強の力を武器に残虐非道の限りを尽くした。だがある日、彼は平定しようと虐殺を行っていた村で、偶然居合わせた愛する妻子を殺めてしまう。悲しみに暮れるクレイトスの前に現れたアレスは、彼を完全な殺戮兵器とする為、唯一の拠り所となる彼の家族を村に連れ、自らに殺させたと言い放った。
それを知ったクレイトスはアレスの下を離れ、そして復讐を誓う。
かつての悪夢を振り払う為に。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆国内アクションゲームの良いとこ取りで構築された、取っ付き易いシステム
◆爽快感満点・動かし易さも飛び抜けている、大迫力のプレイヤーアクション
◆リズムゲームのようにボタンを押すだけで、アクロバティックなアクションが楽しめる、爽快なCSアタック
◆これぞ正真正銘、プレイヤーの思う通りに動かせる神がかり的な操作性
◆アクション初心者から上級者まで、幅広く対応した絶妙な難易度バランス
◆ほぼ一本道ながらも狭さを全く感じさせない、ギミックに富んだマップ構成
◆優し過ぎず、難し過ぎずの素晴らしいバランスで統一された、パズル等の謎解き
◆大迫力のアクションとゲーム展開を盛り上げる、仰々し過ぎるカメラワーク
◆皆無に等しいロード時間(数秒待たされたりする事がほとんど無い!)
◆適度に歯応えを堪能できる丁度良さが秀逸な総計ボリューム(やり込みも満載)
◆アクション操作解説、豊富なリトライ&セーブポイントと、痒い所にまで手が届きまくっている最高のサポート機能群
◆次世代機など、まだ出る幕無い!と思い知らされる、超美麗なグラフィック
◆戦闘になると曲調が変わるなど、場面ごとを盛り上げる工夫が凝らされた音楽
◆悲劇的な内容ながらも、世界観の構築など細かい面でこだわりが光るシナリオ
◆悪人としか思えぬ主人公のクレイトス(しかし、単にそれだけで無いのがイイ!)

--- Bad Point ---
◆CERO:Dでは生温い感も否めない、強烈な残虐性
◆陰湿な『冥界』のマップ構成(一撃死トラップが必要以上に多過ぎる)
◆全部で3体と、少な過ぎる大ボス戦
◆所々に凝らされた過激な謎解き(腐敗死体の首を剥ぎ取るなど…。やり過ぎ。)
◆悪人過ぎるところが賛否を分ける主人公のクレイトス
◆何故か当たり判定が設定された一般市民キャラ達(海外版で攻撃が行えた為の名残。外しておいて欲しかった…)
▼Review ≪Last Update : 5/10/2009≫
もはや、怒りに任せるしかない。

彼の暴走はもう、止められない。


ギリシア神話の世界観をベースとした、完全オリジナルのアクションゲーム。開発はソニー・コンピュータエンタテイメント・サンタモニカスタジオが担当。

文字通りの神の領域に達した、アクションゲーム超大作だ。

肝心のゲーム内容は、実は意外にありきたり。謎解き要素を盛り込んだ、3D視点で展開する一本道のアクションゲームで、プレイヤーはスパルタの戦士『クレイトス』を操作し、迫り来るモンスター達を多彩な攻撃アクションを駆使して倒し、マップ上に仕掛けられた謎を解いたりしながら、軍神『アレス』を倒す為に冒険をしていく…というものである。
システム周りも、何処かで見た事のあるものばかり。剣や魔法と言った多彩な武器を駆使して戦うシステム、敵を倒す事で手に入る『パワーオーブ』と呼ばれるリソースを各武器に与え、威力を強化するレベルアップシステム、そして敵との戦闘と謎解きが交互に繰り返されていくゲーム展開など、タイトルを上げてしまえば『鬼武者』や『ICO』のオマージュとも呼べるようなもので構成されている。そして、肝心のゲーム性の面でも、迫り来る大量のモンスター達を一同に相手にし、せん滅するその手応えは、さながら『真・三國無双』と『デビルメイクライ』。ここまで来ると、今作がどんなゲームなのかはもう、大体想像が付いただろう。そう、今作は先ほどに上げた、様々な名作達の「良い所取り」で作られたアクションゲーム。ちょっと意地悪に言ってしまうと、「寄せ集めのゲーム」なのである。真新しさも無ければ、ゲームそのものの手応えにも新鮮味は乏しい、そんなゲームなのだ。
ただ一応、今作独自の要素として、『CSアタック(コンテキスト・センシティブアタック)』なる、戦闘中に画面に表示されるアイコンの通りにボタンを押すと、プレイヤーのクレイトスが激しいアクションを披露するなんてのが実装されている。しかし、これも基本的な仕組み自体はリズムゲームそのもの。激しいアクションの数々が披露される点では新しいが、手応えそのものは正直、やはり他の要素と同様に新鮮味は薄いものにまとめられてしまっている。まさに所詮は寄せ集めか、と言った感じ。正直、この時点で今作が、最初に言い放った一文句に即して無いゲームだと疑ってしまうのは致し方が無い。新鮮味も無ければ、システムの大半は既にあるものの寄せ集め。そんなものの何処が「超大作」なのだ、と。
だが、断言してしまおう。それでも今作は「超大作」と言うに相応しいゲームなのである、と。
確かに、ゲームの基本を成しているシステムの大半は寄せ集めも同然で、新鮮味というのは皆無に等しい。しかし、だからと言って今作が決して面白くも無いゲームだとは一言も言っていない。むしろ、誇張表現してしまうが、今作はあり得ないほどに面白い。アクションゲームとしても、純粋に一つのゲームとしても。まさに、『ゴッド』の文字通り、「神」と言っても断じておかしくないほど、完璧な完成度を誇っているのである。

何が今作、「神」だと言えるほどなのかと言うと、全体を構成する要素の数々。
ステージ(マップ)構成にプレイヤーアクション、ゲームバランス、操作性、更にはグラフィックに音楽、演出とシナリオ、そして技術面、全てが飛び抜けた、それこそまさに「神」と言うに等しい完成度となっているのである。
例えばステージ構成だが、プレイヤーに対するサービス精神が半端でない。まさに行き着く間もないアクションの連続!…と言わんばかりに、沢山のギミックやイベントをぶちまける、驚くほど躍動感溢れる構成にまとめられている。最初、ゾンビの群れと戦っていたら、巨大な敵が何の前触れもなく目前に現れ、突然ボス戦が始まったり、乱戦続きの展開が突然、謎解き中心の地味な展開に切り替わったりなど、プレイヤーのモチベーションを途切れさせない、ダレさせない為の工夫が驚くほど徹底されているのである。
しかも、謎解き然り、敵との戦闘然り、ステージ中のギミック然り、一切持ってパターン化せず!仮に使い回しネタであっても、見せ方を変更する工夫(例えばボス戦の場合、戦闘フィールドや攻撃のパターンを変えるなど)がきちんと凝らされていて、常に新鮮な手応えを感じ取れるように作られているのだ。そんなのだから、「また同じか…」と思ってそのネタに挑戦してみたら、「あれ!?何か、違うぞ?」みたいに裏切られることなんてしばしば。プレイヤーを良い意味で裏切って楽しませ、ゲームの世界へと引き込ませる為のサービスが本当、桁違いなのである。
これだけに留まらない。プレイヤーキャラ、クレイトスのアクションとその操作性も、アクションゲーム最大の醍醐味にして肝、「動かすだけで楽しい」最高の手応えとレスポンスを堅持。攻撃にしろ、ジャンプにしろほぼワンボタンでハリウッドのアクション映画も真っ青な、アクロバティックでダイナミックなアクションの数々が、簡単に繰り出せてしまうのである。そして、各アクションのレスポンスも海外ゲームとは到底思えないほどの快適さ。まさに「自分の思うがままにキャラを動かし、敵をせん滅できる」理想的な動きの数々を、ほぼイメージ通りに行えてしまうのだ。それに何と言っても、クレイトスの動きが素晴らしく良い!専用武器である特殊な剣『ブレイズ・オブ・カオス』をまるで自分の拳の如く、自然に操るその様は見ているだけでも気持ち良いし、プレイヤー自身もクレイトスになったかのような一体感、爽快感を一気に堪能できる。アクションゲームは、如何にプレイヤーキャラと一体になれるかどうかで気持ちよさの度合いが変化してくるものだが、今作はその肝を怖いぐらいに分かっており、その魅力をもプレイヤーに体験させようとする、サービス精神も完璧なのだ。
かと言って、スラスラとプレイヤーに個々のアクションが行えるようにはさせず、ゲームバランスでは極力、敵の強くすると言った理に適った調整を加味。それにより、まさにダイナミックなアクションで強敵を打ち倒すという、その魅力に上手く合わさった爽快感と手応えをも演出してしまっている。だから、どんな敵であっても常に手に汗握る緊張感、そしてそんな敵をまさにコマの如く圧倒させる爽快感が存分に味わえる!アクションの気持ちよさだけでなく、敵と戦う面白さも尊重した、大変自然なバランスでまとめられているのである。
しかも、バランスは単にアクションのみならず、謎解きでも驚くべきセンスは炸裂。いずれの謎解きも「簡単過ぎず、難し過ぎず」の大変程良い難易度でまとめられており、適度に悩むストレスと解く爽快感が絶妙に絡み合った、素晴らしい難易度で一貫されている。しかも、ステージ構成の所とも並行して、そのバランスはゲームの最後まで一切途切れず!本当に文字通り、職人技、いや神業とでも言わんばかりの徹底ぶりなのだ。
ここまで酷く仰々しく語ってしまったが、今作がただ寄せ集めのゲームで無い事はお分かりになっただろうか。そう、実際のところ今作は、ただひたすらに「面白いもの」を目指して作られた、非常にレベルの高いゲームなのである。別の言葉で例えるのならば、「面白いことだけにこだわったゲーム」。それが今作の正体なのだ。
だから、新鮮味がまるで無いだなんて、このゲームにとっては全然深刻な問題であらず。むしろ、今作の場合はその新鮮味の無さこそが最大の売りなのだ。初体験なんかよりも、プレイヤーは「面白いこと」だけにしか興味が無い、だったら、それを見せてやろうじゃないか。今作はまさに、そのような思想を持って作られているのである。
はっきり言って、これは凄過ぎると同時に、何処までゲームを遊ぶ人間の心を捉えているのだ、このスタッフは!…である。確かに、ゲームを遊ぶ人間にとって、新しい経験なんて基本的には二の次みたいなもので、面白いかどうかが指標になるのがザラ。それが各作品の評価を常に左右する。だったら、その指標だけにこだわればそれで、良いゲームはできるではないかとか、着眼点が凄過ぎて(良い意味で)ドン引きモノだ。何て、潔い判断なのか、と。こんなのやられてしまっては、ユーザーもクリエイターもグーの根が出ない。
その面白さにこだわるだけでなく、その他のゲームから拝借した多くの要素が、元々の持ち味を何一つ損ねてないのも凄いの一言。ド派手なアクションで敵を圧倒する無双やDMCの爽快感やICOを髣髴とさせるカメラワーク、謎解きと良い、全てが元来の面白さを活かした上で仕上げられているところに、制作者の各ゲームに対する深い理解をうかがい知ることができる。こんな芸当ができるのも、海外のクリエイターだからこそ、と言ったところなのか。
とにかく、これで如何に今作が神の域に達したゲームなのかと言うのはお分かりになられたであろう。「プレイヤーが、新しい要素などよりも大事にするものを徹底的に磨き上げたゲーム」である、という事実も。そのコンセプトから完成度までもが、まさに神の域。もはや、他に追随するもの無しの驚くべきゲームとなっているのである。

更に今作の凄さはこれで収まらない。グラフィック、音楽、演出にシナリオ、そう言ったゲーム以外の箇所を固める要素の数々も、「プレイヤーの驚き」を何よりも大事にしたこだわりが徹底されている。
特に凄い、もとい、凄過ぎるのがグラフィックだ。正直、プレイステーション3に匹敵するほど、メチャクチャ綺麗。背景の描き込みぶりと言い、敵モンスター達のデザインと言い、全てがPS2とは思えないクオリティで仕上げられているのである。その圧倒的な美しさには、最初遊んだ誰もが声を詰まらせる。そして、こうも思ってしまうだろう。
ここまでやれるのならば、PS3のような次世代機、まだ要らないじゃん、と。
また、これほど美しいグラフィックを表現しながらロード時間が皆無というのにも驚かされる。これらの箇所に関しても、先のグラフィックと同様に、改めてPS2が秘めるポテンシャルの高さみたいなのを思い知らされるだろう。
シナリオと演出周りも上々。新解釈のギリシア神話というのがベースにしながら、愛する家族を殺めてしまった男の苦難という重々しいテーマが描かれた大変魅力的な内容に仕上げられている。特に主人公のクレイトスは、過去のゲーム史上で登場して来たヒーローの中で大変、残虐性の強いキャラ(何と助けようとした人を見殺しにしたりなど、あり得ないことを平然とやってのける)で、それまた、プレイヤーに良い意味でも悪い意味でも衝撃を与える。また単に残虐でなく、実は家族を誰よりも愛していたなど、切ない一面があったりするのも大きな魅力である。その素晴らしくも恐ろしいキャラクター性には、ゲーム進めていく度、つい魅了されてしまうだろう。魅了され過ぎるのはちょっと拙いが(汗)。

ゲームとしてのボリュームも基本、エンディングまでは10時間ほどだが難易度選択システムが実装されていたり、隠し要素なども充実しているので、そこそこ。強いて言うならば残虐性が強過ぎる為、小さな子供には断じて遊ばせられないこと、平均台のギミックなど無駄にシビアなトラップが多いと言った欠点が残念ではあるが、ゲーム自体の完成度が飛びぬけている事実には何ら変化は無い。
ゲームとしての新しさでなく、面白さにこだわったプレイヤーに対する真摯な配慮が光る、PS2史上最高にして最強のアクションゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』。
これはアクションゲームとPS2を愛する、全てのユーザーが遊ぶべき神作品である。これを遊ばずとしてPS2、並びにアクションゲームは語れない。是非、やるべし。但し、(くどいけど)子供はやっちゃダメですよ〜。
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