Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. PlayStation 3>
  4. ゴッド・オブ・ウォーIII
≫ゴッド・オブ・ウォーIII
■発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
■開発元 SCE Studios Santa Monica
■ジャンル アクション
■CERO Z(18歳以上のみ対象) ※過度の暴力、出血描写などあり
■定価 5980円(税込)<Best版:2980円(税込)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 4870KB以上
■その他 振動機能対応、トロフィー機能対応
■総説明書ページ数 23ページ
■推定クリア時間 10〜12時間(エンディング目的)、40〜60時間(完全攻略目的)
新たな戦いの神に君臨しながらも、妻子を殺めた忌まわしき記憶からの解放を求め、残虐な狂神と化してしまったスパルタの戦士・クレイトス。
神々への反逆とも取れる行為を取った彼は実の父、ゼウスの手によって処刑されるも、タイタン族のガイアによって一命を取り止める。そして、自らを裏切ったゼウスとオリュンポスの神々への復讐を誓い、運命の女神達、人間、神を次々と殺害。遂には、かつて神々に戦いを挑みながらも敗北した、タイタン族を運命から解放する。

クレイトスはゼウスとオリュンポスの神々を殺めるべく、現代に蘇ったタイタン族と共に彼らの元への進軍を開始。
かくして、最終決戦の幕が開けた…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズ伝統の国産アクションの良い所取りで構築された、取っ付き易いゲームシステム
◆武器ごとに個別の魔法が設定され、使い勝手と分かり易さが向上した武器&魔法システム
◆打撃系に鞭と言った新しいサブ武器、新装備の追加で、より多彩になったクレイトスのアクション
◆PS3のハード性能を活用した、ド迫力という一言では言い切れないほどの凄味に満ちた戦闘シチュエーションの数々(特にオープニングは必見!)
◆美しくなり過ぎなグラフィック(ハード性能の恩恵を受け、飛躍的にパワーアップ!)
◆臓器までもが飛び散るようになり、凄惨さが一層酷く、仰々しくなった残虐描写の数々
◆凄惨な残虐描写と迫力のカメラワークで魅せるCSアタック(入力ボタンの表示がコントローラの配置に合わせたものになると言った改善点も光る)
◆処理落ち皆無、ロード時間皆無の驚異的な技術力の高さ(ゲームテンポも抜群)
◆相変わらずの高密度な構成が異彩を放つマップ構成&レベルデザイン
◆難易度選択機能、操作解説、豊富なリトライポイントを始めとする、シリーズ伝統の痒い所に手の届いた配慮の数々
◆適切なボタン配置と手触り感の良さ、取っ付き易さを徹底追求した、珠玉の操作性
◆初心者からアクション上級者まで、幅広く対応した懐の広さが光るゲームバランス
◆トロフィー集めの追加で、よりやり込み甲斐と充実感が増した総計ボリューム
◆迫力満点の戦闘を大いに盛り上げる、シリーズお馴染みの重厚な音楽
◆シリーズ完結編に相応しいスケールと衝撃的な展開が印象深いストーリー
◆相変わらず悪人全開な主人公クレイトス(しかし、例によってそれだけじゃない魅力がある)

--- Bad Point ---
◆前作からの変更点が少ない故、マンネリ感が漂う本編(新たな展開もそれなりにあるが…)
◆PSP版のシリーズ並に薄くなった謎解き(複雑なものが減り、やり応えが低下)
◆悪く言えば、苦手な人には非常にきついものになってしまった残虐描写
◆一部、悪趣味なアイテム&演出の存在(特に『ヘリオスの頭』関連が結構きつい)
◆ムービーデモにおける字幕フォントの小ささ(最大の1080pでも小さい)
◆タイミングが前作から変更され、やや使い勝手が悪くなった二段ジャンプのアクション
◆前作プレイ必須のストーリー(元々、続き物なので仕方が無いところもあるが…)
◆悪く言えば、強烈過ぎて以降の展開のインパクトを奪ってしまってる感もあるオープニング
▼Review ≪Last Update : 3/10/2013≫
スパルタの英雄よ、永遠に。

全てに決着を付ける時が来た。


プレイステーション2の限界を超えた映像美、優れたゲーム性で世界中で大ヒットを飛ばしたアクションゲーム『ゴッド・オブ・ウォー』のシリーズ三作目にして完結編。開発は前作に引き続き、ソニー・コンピュータエンタテイメント・サンタモニカスタジオ。発売元は前回までのカプコンから代わり、海外版と同じソニー・コンピュータエンタテインメントへと改められた。

究極の映像美と突き抜けた過激さで送る、超大作アクション決定版にして完結編だ。

ゲーム内容は過去二作と同様の謎解き要素を盛り込んだ、一本道構成の3Dアクションゲーム。主人公のクレイトスを操作し、迫り来る敵を蹴散らし、時にはフィールドの謎を解いたりしながらストーリーを進めていくというものである。
システム周りも過去二作を踏襲。敵を倒すと得られるリソースアイテム『パワーオーブ』を武器に与えて強化する『アップグレード』、リズムゲームのようにタイミング良くボタンを押す事でアクロバティックなアクションが展開する『コンテキスト・センシティブ・アタック(CSアタック)』、そして前作で登場したサブ武器、強制スクロールパートは今作にも引き続き採用されている。前作にして、大幅にその数を増やしたボス戦もそのまま。全体的に前作の路線を再踏襲した作りとなっている。悪く言うと、目立った変化に乏しい内容だ。
とは言え、新要素や変更点も幾つか。代表的なものとしては武器と魔法。前作では互いが独立して存在していたが、今作では武器ごとに専用魔法がセットされる形で併合。特定の武器を装備している時に限り、特定の魔法が発動する仕組みへと改められた。例えば、今作のメイン武器『ブレイズ・オブ・エグザイル』なら、『スパルタの軍勢』と呼ばれるスパルタの兵士達を召喚してクレイトスの周囲に無数の槍を突き立てる魔法が、『ハデスの鉤爪』という武器なら『魂の召集』という敵を追尾する攻撃魔法が発動すると言った感じだ。このような棲み分けが図られ、今作では各武器の個性と存在感が大幅にパワーアップ。また、個性が明確になった事で性能の把握もし易くなり、使い勝手も向上している。それぞれの特性を覚えるのが面倒、と前作で感じていたプレイヤーには有り難い仕様変更。豪快且つ、存分に武器を使いこなす面白さを最優先したものへと進化を遂げている。
また、武器にも新種を追加。先ほど紹介した『ハデスの鉤爪』のほか、『ネメアのカエストス』なる打撃武器も登場し、肉弾による格闘戦が展開できるようになっている。更に面白い武器として、『ネメシスの鞭』。今作が影響を受けた作品と言われる、コナミの悪魔城ドラキュラシリーズのパロディとも言えるような武器まで追加されている。ある意味、別の作品で3DドラキュラことPS2の『キャッスルヴァニア』が蘇ったとも言える、その独特の操作感と爽快感はドラキュラファンなら必見も必見。打撃武器もさる事ながら、個性的なものが増えた事により、前作以上に多彩で愉快な攻撃アクションが楽しめるようになっている。武器だけでなく、クレイトスをサポートするアイテム周りも充実。敵に目くらまし攻撃を行ったり、暗闇の洞窟などを明るく照らす『ヘリオスの頭(!)』、高速ダッシュを可能にする『ヘルメスのブーツ』と言った衝撃的且つ、個性豊かなアイテムの数々が登場する。これらのアイテムを使った新しい謎解きも数多く用意。プレイヤーに見た事の無い衝撃と刺激を提供してくれる。空中戦が追加されたことで一層、豊かさが増したレベルデザインにしてもそのまま。今作では空中戦こそ無くなってしまったが、代わりとして強制スクロールによる飛翔ステージが登場し、レースゲーム風な展開まで繰り広げられるなど、よりバラエティ豊かな構成になっている。細かい部分でも、CSアタックは従来のように押すボタンが画面中央に表示される形式ではなく、実際のコントローラの配置に合わせた位置に表示されるようになったり、ムービーシーンに字幕が追加されたりなど、地味に進化を遂げている。
しかし、それ以上に大きな進化は何と言ってもグラフィック。PS3のマシンパワーを活用し、より美しく、残酷なものに生まれ変わっている。特にその凄味が味わえるのがCSアタック。何と今回は敵の血どころか、内臓まで飛び散るほどになっている。出血描写も一層過激になり、クレイトスに返り血が付くなど、生々しい部分まで描かれるようになっている。そして、シリーズの醍醐味とも言える巨大キャラクターにしても、今回は一体どころか三体以上のキャラクターが同時に暴れるのみならず、そのキャラクターに搭乗して別の巨大なボスと戦うという驚愕のシチュエーションまで用意されているほど。これぞ次世代機とも言える、驚異的な底力が炸裂しまくりの仕上がりとなっている。
ゲーム的には正当進化系の元に静かな進化をしつつも、映像面全般はハード移行に伴って爆発的に進化。PS2の時点でも映像面で相当なインパクトがあった今シリーズだが、上位ハードにその場を映した事で、一層そのインパクトを強化してしまった。まさに鬼に金棒。次世代機の恐怖と底力を存分に痛感させられる続編になっている。

例によって、今作の魅力はPS3のマシンパワーをフルに活かした桁外れの迫力と過激さに富んだ映像と残虐描写の数々。何もかもが規格外も良い所なクオリティになってしまっている。
特にその恩恵を受けているのがCSアタック。仰々しい出血表現と惨い止めの一撃に加え、内蔵まで飛び散るという衝撃的なエフェクトが追加された事により、ますます凄惨極まりないアクションへと進歩してしまっている。あまりに生々しく、そして細かい所まで描かれるだけに、人によっては思わずその光景から目を背けてしまうほど。過去の二作の時点でも十分過激だったのに、更に一段上の過激さを求めてそんな風にしてしまうとは、良くも悪くもやり過ぎの一言。凄惨極まりないとは言え、上位機種でゴッド・オブ・ウォーはここまで凄くなる!…と訴えかけるようなその緻密な作りには、製作者の並外れた本気とこだわりを痛感させられる。
CSアタックだけでなく、フィールド上での演出にもそのマシンパワーがあったからこそ実現できたド迫力の描写が沢山盛り込まれている。中でも、オープニングの巨大なタイタン族の体の上で繰り広げられる戦闘はその真骨頂とも言える出来。タイタン族が移動している状況であるにも構わず、その上で敵の軍勢とクレイトスが激しい戦いを演じる場面には、PS3のマシンパワーの凄さと次世代機のアクションゲームを遊んでいるという確かな手応えを実感させられる。しかも、そんな無茶苦茶なシチュエーションで一切、処理落ちが発生しないのも圧巻の一言。動きが遅くなったりせず、普通に地上で戦っている時と何ら変わらないアクションと戦闘が楽しめてしまうのもマシンパワーの恩恵…と思いがちだが、幾らそれがあったとしても、巨大なキャラクターと複数の小さなキャラクターを一緒に動かすにはかなりの技術力とセンスが必要とされるはず。そんな明らかに難易度が高かろう場面まで、難なく実現させてしまっている辺りにもまた、製作者の並外れた本気というものを痛感させられるばかりだ。これでハードディスクへのインストール機能に一切頼る事なくやってのけてしまっているのだから尚のこと。更にインタビュー曰く、ハード性能の50%しか使い切れてないとも言うのだから驚かされる。これを作った人達は全員変態(※褒め言葉)なのかと。それほどまでに今作での映像と演出はとんでもない出来栄え。ハード移行による恩恵を嫌になるほど思い知らされるものに仕上げられているのである。
また、シリーズ最新作としての純粋な進化も見逃せない。特にレベルデザインに関しては先に紹介したタイタン族の体の上を舞台にした戦闘のほか、前作以上にその数を増したボス戦、パズルと戦闘が交互に展開する目まぐるしいイベント、そしてレースゲームチックな強制スクロールパートなど、プレイヤーを驚かせたり、頭を悩ませたりするシチュエーションが盛り沢山で、これまで以上に密度の濃い体験を堪能できるものに完成されている。ただ、全体的にアクションゲームとしてのカラーを重視したイベントが多めで、謎解きに関しては過去二作よりかは少なめ。アクションアドベンチャーとしての遊び応えは少し弱くなってしまっている。全く無いという訳ではなく、一部にはそこそこ凝った謎解きも設けられてはいるのだが、どちらかと言うと本編は戦闘イベントの方が多め。謎解きの面白さをシリーズの醍醐味として認識していたプレイヤーにとっては若干、肩透かしを喰らう内容になってしまっている。
だが、武器の種類増加と魔法システムの刷新で、戦略的な戦いとアクションを楽しめるようになるなど、決してその内容が薄くなった訳ではない。むしろ、濃くなっているので、謎解きが少なくても十分な満足感と爽快感を堪能できるだろう。先に紹介した、上位ハードに移行したからこそ実現し得たシチュエーションも相当な迫力で、初っ端から最終決戦とも言うべきハイテンションな展開が繰り広げられるので尚更。そんなアクションゲームとしての手応え、充実感にしても、シリーズ史上最高クラスのものになっている。
今まで以上に描写が凄惨なものになった事で、過去のシリーズ以上にその手の描写に抵抗のある方には厳しい作りになった感も否めない。実際に内臓が飛び散るエフェクトは本当に生々しく、酷い場合なら吐き気を催すほどだ。クレイトスに返り血が振りかかるようになった点など、少々やり過ぎではないかと思える部分も結構ある。
だが、その一線を超えた残虐描写は逆に美しさすらあるのも事実。それでいて、こんなの映画では無理だろうとも言えるゲームというメディア特有の強みが炸裂しているのも印象深い。そもそも異常なほどの量の血が飛び散り、尚且つ内臓まで飛び散るとか、もはや現実という以上に漫画の世界。それをリアルに描くと、このような事になってしまうとも言うべきその仕上がりは、色んな意味で注目に値する部分と言える。
やり過ぎなのは否定できないが、あらゆる面でプレイヤーに度肝を抜かせようとすべき作り込みとアクションゲームとしての手応えを尊重した作り込みはもはや芸術の域。ハード性能をフル活用したアクションゲームの終着点とも言うべきその仕上がりは、アクションゲーム好きなら決して見逃せないものがあると言ってもいいだろう。まさにアクション本能をあらゆる面で呼び覚ます作品。全てにおいてやり過ぎでハイテンションなゲームに仕上げられている。

その他、操作性もこれまでのシリーズと同様、動かす楽しさと爽快感を何よりも優先した、アクションゲームの本質を分かり尽くした仕上がり。全くストレスを感じる事無く、クレイトスで暴れ回る醍醐味を堪能できるものに完成されている。ただ、二段ジャンプの発動がややシビアになっており、シリーズ経験者はこの仕様変更に少し戸惑うかもしれない。ここは素直に前作までのものを引き継げば良かったというのに何故、新しくしたのかが謎だ。
逆にゲームバランス、難易度設定周りに関しては何ら隙無し。アクション重視のレベルデザインの影響でやや高くなっているが、簡単なものから硬派なものまで取り揃えた四種類の難易度、豊富なリトライポイントなど、気の利いた配慮は顕在。意地悪な地形も無く、気持ちよくアクションの醍醐味に浸れるバランスになっている。
ボリュームもこれまでと変わらないが、特典要素が盛り沢山で、長く遊べる内容になっている。今回はトロフィー集めも追加されているので尚更。トロフィーの量も相当数用意されている上、難易度も適度に歯応えのあるバランスとなっているので申し分無しだ。
グラフィックに関しては今更言うまでも無い。細かい部分まで丁寧に描き込まれた背景、ムービーや元のイラストに忠実になったキャラクターモデルなど、ハード性能の恩恵を受けた非常に質の高いものになっている。音楽もシリーズお馴染みの壮大で野性味溢れる楽曲が充実。雰囲気重視ではあるが、いずれもマッチしており、戦闘などのイベントを大いに盛り上げてくれる。演出周りにしても、エフェクトを始め、非常に質の高い仕上がりとなっている。

一方でストーリーは前作のエンディングの続きという事で、前作未経験者には敷居の高い作りになってしまっているのがタマにキズ。ただ、前作、前々作のHDリマスター版がダウンロード形態で配信中。値段も抑えられているので、未プレイの方はこちらを先にチェックしてから今作を始めるのがお薦めだ。また、そういう欠点はあれど、内容はシリーズ完結編という事で今までのシリーズをプレイしてきた方なら必見。神々との戦いの末にクレイトスが選ぶ未来とは何なのか、その衝撃的且つ、止むを得ないとしか言い様の無い決断は要チェックだ。
基本的に映像面が強化され、一部のシステムが刷新された程度で、ゲーム性周りに大きな変化は無く、マンネリを感じ易い所もあるが、過去の二作で完成の域に達した要素で構成された内容なだけにその完成度は極めて高い。アクションゲームとしてもレベルデザイン、操作性、武器システムを始め非常に質が高く、申し分の無い出来栄えだ。18歳以上対象タイトルである為、万人にはお薦めできないが、その完成度は弩級と称すに相応しい今作。
18歳以上のアクションゲーム好きのプレイヤー及び、PS3をお持ちの方ならプレイすべき大作だ。PS3が持つ底力を体験するには持って来いのゲーム。是非、お試しあれ。
≫トップに戻る≪