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  4. ダライアスバースト
≫ダライアスバースト
■発売元 タイトー(スクウェア・エニックス)
■開発元 ピラミッド
■ジャンル シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税別) / ダウンロード版:3810円(税別)
■公式サイト ≫スクウェア・エニックス:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(使用容量:448KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 45分〜1時間(エンディング目的)、30〜45時間(完全攻略目的)
日々、外敵(異星知性体)からの警戒を続けていたダライアス星。
ある日、パトロール艇が異星知性体の物と思われる機体の残骸を発見。過去に戦火を繰り広げた事のある『ベルサー』の物によく似たそれを解析した所、内部から複数の人類の遺体、彼らがベルサーの捕虜となっていたアムネリア人の子孫である事が明らかになった。彼らはベルサー内で生き残る為、兵器開発を続けてさせられており、遂に究極の兵器『バースト機関』を生み出していた。残骸の中には、その設計データも含まれていた。
彼らはそのデータを持ってベルサーから脱走したが、ダライアス星系に近付いた所で追手に発見され、撃破されてしまったのだ。また、彼らがダライアスを目指したのは、ベルサーによるダライアス再侵攻計画が進んでいる為である事が更なる調査で明らかになった。彼らは、ベルサー艦隊の母星の位置を示した次元マップも残していたのだ。

ベルサーの侵攻が近い事を知ったダライアスの人々。それに備えるべく、宇宙軍では『バースト機関』を組み込んだ新しい『シルバーホークバースト』を開発した。

そして始まる、ベルサー軍の侵攻。だが、彼らはウィルスでダライアス星系の亜空間通信ネットワークを攻撃し、それにリンクしていたダライアス軍戦力の大半の抵抗力を奪取し、壊滅状態に追い込んでしまった。残る戦力はベルサー出自のバースト機関が免疫データとして機能し、脅威を退ける事ができた『ティアット宇宙軍基地』のみ。ここに残されていた『シルバーホークバースト』二機によるベルサー本星の逆侵攻作戦が立案され、実行に移される事になった。

かくして、『シルバーホークバースト』のパイロットとして選ばれたリーガ・プラティカ、人型AI端末Ti2(ティーツー)はベルサー本星に向けて出撃する。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆3DCGが刷新されるも、基本は2D横スクロールのシューティングの王道に則ったゲームデザイン
◆力押しするか、守りに徹するかの戦略的な活用法で楽しませてくれる新システム『バースト』
◆敵の攻撃に応じてショットを変更し、攻撃をかき消して脅威を退けるという変わった戦術と状況に応じて戦略を練る面白さが光る新システム『ショット属性』
◆道中短め、ボス戦濃い目の手軽さと遊び応えを絶妙なバランスで構築したステージ構成
◆攻撃型、防御型、更にはM仕様なものまで、絶妙な差別化と遊びの違いを表現した三種の機体
◆単純にエンディングを目指すだけなら1時間もかからない、パッと始められて直に止められる携帯機の特性を活かした手頃なボリューム(でも、やり込み要素は満載)
◆ショット属性の切り替えが自由になるシステムの違いと最初から最強状態で暴れ回れる爽快感、僅かなミスも許されない緊張感で楽しませてくれる『バーストモード』
◆ボスとの一騎打ちに旧ダライアスの演出で楽しむステージなど、個性豊かな遊びと本編を上回る圧倒的なボリュームで楽しませてくれる『ミッションモード』
◆シリーズ伝統の海洋生物を模した個性的なデザインと体格の大きさで魅せるボスキャラクター達
◆気楽に遊ぶのも、ガッツリ遊ぶのも良しのバランスの良さが光る難易度設定(選択機能も実装)
◆レスポンスの良さと違和感の無いキーアサインが秀逸な操作性(しかし…?)
◆質は平均的だが、背景の描写とエフェクト周りなど、見せ方の上手さが光るグラフィック
◆アジアンテイストな独自の作風とグラフィックとの絶妙な絡み合いが光る、印象深い音楽
◆アッサリ目ではあるが、いつものタイトーらしさ炸裂のストーリー(特にエンディング)

--- Bad Point ---
◆決定が〇と×ボタン、キャンセルが□と△ボタンという不可解なメニュー画面のキーアサイン
◆裏を返せば、エンディングだけ目指すのなら非常に物足りないボリューム
◆旧作経験者なら物足りなさを感じてしまうこと必至の分岐パターン(少なくなってしまっている)
◆分岐の有難味を薄めているボスキャラクターの種類の少なさ(最後のボス以外、全ルート共通)
◆終盤に登場するボスの異様なまでの固さ(数段変形するなど、倒すまでもの凄い時間がかかる)
◆ステージとは裏腹にやたら質素なボス戦時の背景グラフィック(ただ、このようにしている恩恵もあって、ボスの攻撃全般が視認し易いという利点があったりする)
▼Review ≪Last Update : 9/27/2015≫
「二人は新たな命の始まりを見ることになる…」

出撃する二人を見守る少女は呟く。


アーケードで誕生し、三画面の筐体と豊富な分岐、海洋生物をモチーフにしたボスのメカデザイン、迫力のある音楽で高い人気を獲得したタイトーの看板シューティングゲーム『ダライアス』シリーズの最新作。シリーズとしては1997年の『Gダライアス』以来、12年ぶりの完全新作である。開発は『パタポン』シリーズで知られるピラミッド。更にメカニック、キャラクター、SF設定に数々のアニメで知られる著名なスタッフが多数参加している。

携帯機向けに最適化されたゲームデザインと素晴らしい音楽、演出で魅せる、21世紀仕様の新生ダライアスにして、近年稀な正統派の面白さを突き詰めた傑作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型シューティングゲーム。自機『シルバーホーク』を操縦し、惑星ダライアスを襲うベルサー軍を蹴散らし、敵母星の制圧及び破壊を目指すというものだ。基本的なゲームシステム、特色等は歴代のダライアスシリーズに準拠。赤、緑、青の球体型アイテムを6つ獲得する事でレベルが上がり、性能面が強化されるパワーアップシステム、枝分かれに分岐していくステージ構成等は今作にも引き続き採用。シリーズ最大の特色とも言える、海洋生物をモチーフとした敵戦艦の特徴的なデザインも健在だ。対しグラフィックは、3Dが当たり前になった昨今のゲーム機での新作というのもあり、2Dのドット絵から3DCGへと改められている。だが概略の通り、基本は横スクロール。手前、奥から敵がメインフィールドになだれ込んで来ると言った、3D特有の演出が加えられたりするが、骨組みは過去のダライアスシリーズと何ら変わりは無い。なので、シリーズ経験者は勿論のこと、未経験者にも取っ付き易い、シューティングの王道に則った作りになっている。
収録ゲームモードは三種類。『アーケードモード』、『ミッションモード』、『バーストモード』が用意されている。ただ、この内『ミッションモード』と『バーストモード』は特定の条件を達成するに従って解禁。ゲーム開始当初は『アーケードモード』しか選べないようにされている。
各モードの詳細について解説していくと、『アーケードモード』は今作における本編。全5ステージを通しでプレイしていく、シューティングの王道とも言えるゲームモードだ。但し、先の通りに今作にはルート分岐が存在し、一周だけで全てのステージを遊ぶのは不可能な構成。加えて、到達するルートによって最終ボス、エンディングまで変わってくるので、全てを遊び尽したくば周回プレイは必須。5ステージ構成と短そうに見えて、その実態は行く事のできないステージだらけという、実にニクい作りになっている。ゲームルールこそ単純だが、そのボリュームは実に予想外な物量。一筋縄では行かない複雑さが光るモードだ。
そして、条件達成で解禁されるモードの一つ、『ミッションモード』は特定の機体と武装、ステージ、ボスの組み合わせで構成されたミッションをクリアしていくモード。いわば、個別に用意された課題を攻略していくチャレンジモードと言った趣の内容だ。ミッションはレベル単位で複数用意されており、4つのミッションをクリアするに従い、新たなレベルが選択できるようになっていく。ミッションの内容は単純に1つのステージをクリアするものから、ボスとの一騎打ちと言った短いものまで多種多様。その量も50近くとかなりのボリュームなので、やり応えは抜群。更にこのモード特有の敵配置が成されたステージ、音楽が流れるステージ等の独自要素も満載。特に音楽に関しては、初代『ダライアス』と言った旧作の楽曲が用意されていたりするので、古くからシリーズを遊んできた方ならビックリすること請け合い。そんなファンサービスも徹底して成された、非常に魅力溢れるモードとなっている。
もう一つの条件達成で解禁される『バーストモード』に関しては、簡潔に言ってしまえばサバイバルモード。中身自体はアーケードモードなのだが、全ての武装が最強状態で始まるほか、難易度がハード固定、コンティニューも不可能、自機の残機も1機のみ、パワーアップアイテムも一切登場しないという非常にシビアな作りになっている。またこのモードに限り、武装の切り替えができ、ミサイル、レーザー、ウェーブの三種類の通常攻撃を好きなタイミングで使えるようになっている。裏を返せば、状況に応じた切り替えが重要になる難易度になっているという事。異なるゲームバランス調整が成された本編が楽しめるのだ。特色の面こそ、ミッションモード等よりかは薄い感じだが、その奥深さとやり応えは相当なもの。まさに今作を極めたいプレイヤーに向けたゲームモードである。少し駆け足だが、以上が各モードの概略。多種多様な遊びが盛り込まれた、盛り沢山な内容になっている。
また、システム周りに関しては、先の通りに旧ダライアスシリーズを踏襲しているが、新たにタイトルにもある『バースト』なるシステムが実装されている。いわば強力なビーム攻撃で、画面下部の『バーストゲージ』を消費することにより、敵弾をかき消す強力なビーム『バースト』を放つことができる。バーストは火力や攻撃範囲の補助となるだけでなく、自機の盾になるように展開することで防御兵器として使う事もできる。また、バーストゲージは敵の撃破・撃ち込み・バーストによる敵弾の消去などで回復(バーストモードでは時間経過で回復)。バースト使用中でも回復するので、使い方次第で時間を延長させることもできるようになっている。
更にバーストの発射方法は二つあり、普通にビームを放つ『通常型』のほか、バーストボタンを二度押しして『バーストユニット』をその場に設置し、そこからビームを放つ『設置型』なるものも用意されている。通常型は火力に秀でているがゲージの消費が多い、設置型は火力に劣るがゲージの消費が少ないなど、特色も様々で、どう使うかはその場の状況次第。簡単に言ってしまえばそシューティングゲームお馴染みの一撃必殺技ではあるのだが、戦術性の高さと性能面の差別化と、その詳細な作りは実に個性的。まさに単純ながらも奥深いのコンセプトを突き詰めた、非常にユニークなシステムになっている。加えて今作には『ショット属性』なるものもあり、ミサイル、レーザー、ウェーブそれぞれで破壊可能な敵弾を追加。これに併せて武装を切り替えて対応するという、戦略的なプレイが求められるようになっている。特に切り替えのシステムが標準搭載されたバーストモードでは、極めて重要なテクニック。アーケードモードでもアイテムの獲得で属性を切り替えるなど、一つの装備に偏り過ぎない立ち回りが求められてきたりと、独自のゲームバランスを演出している。この他にも『スコア倍率』なるスコアアタック向けのやり込み要素が追加されているほか、自機も通常型のシルバーホークのほか、性能面で大きな差異のある別のシルバーホークが二機用意されていると言ったユニークな新要素が幾つか。
そんな具合に、全体的には横スクロールシューティングゲームとしての王道とダライアスとしての基礎を遵守しつつ、元の個性と雰囲気を損ねないようにまとめた新要素が際立つ新作として完成されている。新規の試みが成されている所もあったりするが、中身は直感的且つ、気軽に遊べる古き良きスタイルを守り通したシューティング。安定感抜群、シリーズ経験者も納得のスタンダードな進化に徹した、21世紀仕様のダライアスと言わんばかりの内容になっている。

そんな今作の売りは、携帯機向けに最適化されたゲームデザイン。随所において、手軽に遊べるシューティングゲームとしての面白さ、やり応えを突き詰めた作り込みが炸裂している。
特に各ステージは本当に短め。道中からボス戦まで長くは無く、あっという間に最大の盛り上がり所まで到達できてしまう。その事から薄味な内容なのか、とイメージしてしまうかもしれないが、短いなりに息つく暇を一切与えないレベルデザインが徹底されており、そのボリュームに割り合わぬ結構な充実感が得られる。敵の種類と配置、出現パターン、背景周りの個性付けにしてもステージごとに細部まで作り込まれており、平坦なステージでもまるで異なる遊び応えを演出しているのは素直に驚かされる。
そして、秀逸なのがボス戦。これがまた、ボス自身が結構タフ。攻撃のバリエーションが豊富な上、倒したと思ったらまた更なる攻撃を仕掛けてきたりなど、思わず「まだ戦うか!」とプレイヤー自身が呟いてしまうほどしぶといのだ。なので、一戦一戦が文字通りに手に汗握る展開になる。おまけにデカくてダイナミック。3Dグラフィックである事を最大限に活かし、画面からはみ出してしまうぐらいに動き回るのである。特に後半のステージに登場するボスほど、もはやステージの半分はこいつが占めているのでは?と突っ込みたくなるぐらいに大きく、それでいてしぶとくなる。少しやり過ぎでは、と突っ込みたくなる所もあるが、攻撃パターンが多彩なのに加えて、変形まで見せてくるなど、長い戦闘なりの単調にさせない工夫を凝らしているので、終始、緊迫感が保たれた戦闘が楽しめる。その異様なまでに気合の入った作り込みからも、相当なエネルギーを割いて作られているのが伝ってくる感じだ。このような作り込みが成されているのもあり、どのステージも短い割には歯応え、密度共に結構なもの。…ではあるが、基本的に一周するだけなら1時間どころか、30分程度のスケール。ある意味、昨今のゲームの路線から見て真っ向から反する構成ではある。だが、それ故にリプレイ性が高く、携帯機特有の手軽に遊べる強みとの親和性と強みが最大限に活かされた作り込み、意図的な削ぎ落としが光る仕上がりになっている。そのリプレイ性の高さと分岐システムも絶妙にマッチしており、周回プレイの敷居を下げているのも秀逸。一周が短いからこそ、全ルートを極めたくなる気持ちになれるし、一回のプレイで訪れる事ができない場所があるからこそ、「あそこにはどんな戦いが待っているのか?」と自然と興味が湧いてくる。この辺のプレイヤー側の心情を考えた作りにも、手軽に遊べるシューティングゲームを作ろうとした志の高さを察する事ができる。
また、アーケードモード以外に用意された種類のゲームモードにしても、携帯機特有のサクッと遊べる手軽さとその軽さから反する遊び応えを徹底的に追求した作り込みが成されているのが見事。中でも『バーストモード』が秀逸で、一瞬たりともミスが許されぬシビアなゲームバランス、新システムの『バースト』と『ショット属性』を最大限に活かした戦略性でたっぷりと楽しませてくれる内容になっている。状況に応じてショットを切り替えるシステムも面白く、むしろ、これはメインモードのアーケードに組み込んでも良かったのではと思ってしまうぐらい。特定の条件を達成しないと解禁されない為、最初から遊べないのが少し勿体無いが、今作を遊ぶなら是非、一度でもプレイしておく価値のあるモードである。その秀逸なバランスと計算された構成には職人技というものを見せ付けられるだろう。
もう一つの『ミッションモード』も手軽に遊べる作りもさることながら、個々のミッションも捻ったものになっており、単にボスと対峙するだけのものから特異な条件下でステージとボスの双方を攻略するものまでと、プレイヤー自身のスキルアップとゲームバランスの練り込み具合を実感させる内容に仕上げられている。ボリュームもミッション総数が50とアーケードモードの数倍に値する量な上、序盤から難易度も高めに設定されているので、攻略するのも一苦労。ある意味、アーケードモードの物足りなさを補うモードとしての役割を担っている感じではあるが、その濃密な内容とボリューム、ファンサービスの数々には相当な気合を込めて作られているという熱さを実感させられるだろう。
逆に言うなら、やり込まない場合、エンディングを見るだけなら物足りない内容ではある。また、分岐によるステージの総数も、過去のダライアスシリーズより減ってしまっているので、旧作のボリュームを期待すると肩透かしを食らうかもしれない。更に分岐が多いと見せかけて、ボスの種類が少ないのも難あり。ネタバレになってしまうがステージ1〜4までのボスはどのルートも固定で、最後のステージ5だけがルートによって変わるだけなのだ。この為、イマイチ変化を感じ難いところがある。ボスの数にしても、旧作から見るとステージと同様に減ってしまっているので、旧作経験者なら相当な不満を覚えるかもしれない。
そう旧作からパワーダウンした箇所も見受けられたりするが、それを除けば携帯機のシューティングゲームとしては非常に適切な作り。空き時間にストレス解消でサクッと…というプレイスタイルでも遊べ、ガッツリやり込める余地も『ミッションモード』にて残したという点では非常にバランスの取れた内容と言える。特に『バーストモード』はやり込み甲斐共に非常に優れた出来。解禁するだけの価値は十分にあるので、是非、エンディングを迎えて物足りなさを覚えたら、このモード解禁の為に尽力して頂きたいところだ。そこに今作の真髄がある。

その他、操作性も概ね良好。だが、メニュー画面の操作が不可解で、決定が〇と×ボタンで、キャンセルが□と△ボタンというアサインになっている。なので、〇が決定、×がキャンセルに慣れているプレイヤーなら、キャンセルする筈が決定になってゲームが間違って始まってしまうという、想定しないミスが生じ易い。慣れればその頻度も下がるが、何でこのような操作系にしたのか。普通に〇が決定、×がキャンセルで良かったと思うのだが。他のゲームとの差別化を狙う意図か何かは分からないが、非常に理解に苦しむ部分である。基本の操作自体は悪くないのに、こういう所で変な事をしてしまっているのが勿体ない。
難易度に関しては初心者から上級者まで、幅広く対応した仕上がり。難易度選択オプションが実装されているので、気楽に遊ぶのも良し、ガッツリ遊ぶのも良しの懐の広さを演出している。敵配置と出現パターン、ボスの強さなどに関しても理不尽になり過ぎずの緻密な調整具合。シンプルにプレイすると苦戦必須な場面も、バーストを使えば難なく乗り越えられたりなど、システムをしっかり活かした作り込みが光っている。
グラフィックも3DCGの質自体は平均的だが、見せ方が凝っており、見ているだけでも呆気に取られる美しさと迫力に秀でている。ボスキャラクター達のデザインも秀逸。シリーズお約束の海洋生物をモチーフとしたデザインもさることながら、3DCGで無駄に大きく描かれたその見た目は迫力十分。ステージKのボスはその真骨頂と言える。
音楽もさすがはダライアスシリーズと言わんばかりの素晴らしい出来。これまで様々なタイトー作品で印象深い楽曲を輩出してきたZUNTATAが手掛けているだけあって、その完成度は盤石。全体的にアジアンテイストな楽曲が多いのだが、それが各ステージの背景とマッチしていて、独特の世界観を作りだしている。ボス戦の曲も総じて素晴らしく、一体一体に専用の曲が設けられているなど、相当なこだわりが炸裂しているので注目である。更に一部の楽曲は元ZUNTATAで過去のダライアスシリーズのほか、ニンジャウォーリアーズや影の伝説、アルカノイドと言った数々の名作で伝説的な楽曲を手掛けて来た小倉久佳(OGR)氏が手掛けている。この楽曲のインパクトは言わずもがな。流れる場面が苛烈過ぎるのがタマにキズではあるが、頑張ってそこまで行くだけの価値があるものになっているので要チェックだ。

演出周りも、主にボス戦においてその凄味が現れている。また、ストーリーに関してもそこまで深く語られる訳ではないのだが、如何にもタイトーらしい描写が成されたものになっている。普通に分岐も考えず、到達したエンディングの描写とか、往年のプレイヤーならば「やっぱりタイトーだ…」と苦笑いしてしまうかもしれない。
他にもデザインの原画等の資料、リプレイデータ、エンディングデモや3Dモデルを鑑賞する『ビューモード』なるミッションモードと絡んだやり込み要素兼特典も実装されているなど、とにかく至れり尽くせり。メニュー操作のアサイン、旧作と比較してのボリューム、分岐要素の有難味が出し切れてないボスの使い回しなど、惜しい点も散見されるが、携帯機で遊ぶシューティングゲームとしての完成度は極めて高い。サクッと遊べてどっぷりやり込めるゲームというに相応しい内容と言える。旧作ファンには賛否の分かれる箇所もあれど、遊び易くて手堅くまとめられた今作。携帯機でサックリ遊べてガッツリやり込める弾幕以外のシューティングゲームを求めているプレイヤーにはこの上ない一本。シリーズ入門編としても適しているので、未プレイの方でPSPをお持ちの方はお試しを。お薦めです。
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