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  4. 極魔界村・改
≫極魔界村・改
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)<※Best版:2079円(税込)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:400KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 10〜14時間(エンディング目的)、30〜40時間以上(完全攻略目的)
この世全ての支配を目論む魔界は、大地を司る王家の血を魔界の血に加え、より強大な力を得ようとしていた。しかし、その野望もこれまで幾度となく伝説の騎士アーサーに阻まれ、未だ実現できずにいた。

その魔界で、過去の魔王の力を遥かに凌ぐ、暗黒の魔王が新たに名乗りを上げた。
そしてこの世で只一人、王家の血を受け継ぐプリンセスを奪わんと、配下である魔物達をその城へと仕向けた。

再び訪れた、プリンセスの危機。
遠方にいたアーサーはその知らせを受け、すぐさま城へ馬を走らせる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆今なお色褪せぬアーケードゲームの硬派さに溢れた、ステージクリア型の『改』
◆魔界村としては異端の探索要素とダメージ制などのシステムが光る、無印版
◆独特の重い感触と癖の強さに富んだ、魔界村らしい操作性
◆時代が変わっても極悪さはそのままのゲームバランス(但し、理不尽さは皆無)
◆通常ステージとボス戦のエリア毎に分けられ、ボリュームアップが図られたステージ構成(無印、改共通)
◆通常ステージと切り離された恩恵で、再挑戦の敷居が大幅に下がったボス戦
◆魔界村らしい仰々しさ、そして気色悪さが炸裂したステージ上の仕掛け群
◆時代が変わっても陰湿さはそのままのステージごとの敵配置(相変わらず、予想だにしない所から襲い掛かって来る)
◆ダッシュからぶら下がりまで、より多彩になった主人公アーサーのアクション
◆鞭から大型の槍、火炎瓶と、大幅にその数が増えたアーサーの武器(鞭と火炎瓶とか若干、悪●城ド●キュラ化?)
◆武器と同様に数が大幅に増えたアーサーの鎧(武器だけ強化など、ユニークなものが)
◆過去作以上に縛りが和らぎ、大幅に遊び易くなった恒例の2周目プレイ
◆気色悪さと派手さが当社比100%アップしたグラフィック
◆グラフィックの強化で、より仰々しいものへと進化したエフェクト全般の演出

--- Bad Point ---
◆魔界村シリーズ経験者には賛否両論の無印版(改はいつもの作りなので大丈夫)
◆ダメージ前提の調整が際立つ無印版(最高難易度は理不尽スレスレ…)
◆やや性能面で極端さの際立つ武器(特に鞭は強過ぎる…)
◆シリーズ初心者にはやや敷居が高い、独特の癖のある操作性
◆アクション初心者お断りの極悪なゲームバランス(※シリーズの伝統です)
◆全体的に主張が弱まり、地味になってしまった音楽
◆弱体化してしまったレッドアリーマー(良い点なのだけど、逆に寂しい…)
▼Review ≪Last Update : 12/13/2009≫
騎士たる者、最後まで諦めない!

例え100万回やられようとも!


あまりに凶悪過ぎる難易度と一癖も二癖もあるアクションで、多くのアクションゲーマー達の心を圧し折った、カプコン制作の極悪アクション『魔界村』シリーズ15年ぶりの新作にして、それに新要素の追加と難易度調整を施した改訂版。制作総指揮は元カプコンで、魔界村シリーズ生みの親でもある藤原得郎氏が担当。

極悪ながら、何度も遊びたくなる面白さはそのまま。
現代風になったが、魔界村らしさはバッチリの秀作だ。

内容は各タイトルごとに異なる。オリジナルに当たる無印版、極魔界村は過去のシリーズとは大きく異なる、横スクロールの探索型アクション。基本はステージクリアスタイルだが、一度クリアしたステージは後から何度もプレイ可能、ゲームクリアの条件が33個の『光のリング』を集める事であるなど、かなり特殊な作り。淡々とステージをクリアしていく、これまでの魔界村と劇的に異なる内容になっている。
更にシステム周りも過去と大きく異なる。何と言っても最大の違いは、ダメージ制であること。プレイヤーキャラにして、主人公のアーサーが身にまとう鎧に耐久度の概念が設けられ、敵の攻撃を一発受けただけでも壊れなくなった。但し、これはオリジナルモード、ビギナーモードの難易度に限っての事。最高難易度のアーケードモードでは過去と同様、一発の攻撃を受けただけで鎧が壊れる仕様になっている。しかし、純粋にこれまでの鎧の常識が破壊されたのは実に衝撃的。何とも現代らしいとも言える、あまりに大胆な変更となっている。シリーズファンにしてみれば、かなりショッキングな変更とも言えるだろう。この魔界村では、アーサーがパンツ状態になかなかならないのだから。
それだけに留まらず、アーサー自身にも新たにぶら下がり、ダッシュ移動などの新たなアクションが追加。武器、鎧にも鞭や飛行が可能となる鎧などの新種が登場。加えて「POW」なるアイテムを取る事で、武器の威力を高められるパワーアップシステムまで追加され、これまで以上に派手なアクションができるようになっている。魔法攻撃もカマイタチなどの新種を追加。魔法を繰り出す仕組みも水晶を手に入れ、共通の魔力ゲージを消費して発動と、特殊な仕様に改められている。他にも、アーサーの身体能力を強化させるアイテムが追加されたり、基本的にミスした時はミスをしたその場での即時復活となるなど、これまでの魔界村の常識を逸するかのような変更は多々ある(※但し、最高難易度では即時復活でなくなる)。総じて、シリーズファンならば賛否の分かれる魔界村。ステージクリア型でない上、恐ろしく濃い目の内容でもあるので、初めてプレイした時は相当な違和感を覚えるだろう。一方でシリーズ未経験者なら新鮮な気持ちで楽しめる内容。だが例によって難易度は極悪なので、そこを受け入れられるかどうかで感想は大きく変化してくるだろう。
そしてもう一つ、『改』の方だが、こちらはいつもの魔界村。ステージクリア方式のアクションゲームとなっている。
システムもダメージ制が無く、鎧は基本的に敵の攻撃を一発でも喰らえば破壊される、いつもの鬼仕様。光のリング集めも排除され、探索は補助的なものとして改められている。またアーサーのアクションも二段ジャンプが最初から可能(無印ではアイテムを取らないとできない)、ダッシュ移動を廃止するなど仕様を大きく変更。魔法の攻撃に関しても、『超魔界村』と同様のチャージ方式に改められている。他にもコンティニューが回数制、敵の出現位置を変更と言ったバランスの調整も行われているが、武器、鎧の種類などは無印のものを継承。ステージも敵配置は異なるが、無印と同様で、新たな地形が登場したりはせず。
全体的に少し趣が違えど、間違いなく魔界村な内容となっている。真の意味での正統進化系と言っても良いだろう。無印の探索型に不満を覚えたユーザーならば、大満足間違いなしだ。シリーズ未経験者もこちらはゲーム展開が変に入り組んで無いので、気軽に遊べる。ただ、例によって難易度は極悪なので、忍耐力が求められてくる作りなのは無印と変わらず。とは言え、無印より遊び易い作りなので、そこは大きな強みと言えるだろう。
このように無印と改、異質のゲームシステムを採用した魔界村と昔ながらの正統派魔界村の二つを収録。一本で二度苦しい思いに浸れる、お得な内容に仕上げられている。二つの高難易度のゲームが遊べるという事で、ある意味、絶望的な内容とも言えるだろう。アクションゲーム好きなら悲鳴必至だ。

そんな二つの魔界村が遊べる、絶望的な内容こそが今作最大の売り。完全制覇を目指すだけで真っ白に燃え尽きてしまうほど、手強過ぎる内容となっている。
ただ、その二つの魔界村の内、最も秀逸なのは今作のメインとも言える『改』。魔界村の正統進化系でシリーズに慣れ親しんだファン、アクションゲーム好きの双方を大いに満足させる、大変魅力的なものに仕上げられている。
特に魅力的なのは今時珍しく、魔界村らしい、スルメ的味わいに富んだ高難易度だ。これは無印も共通なのだが、ステージ内のトラップ、敵の配置に至るまで、一筋縄で行かぬ陰湿な調整が徹底されており、これでもかと言わんばかりにプレイヤーの腕前と忍耐力を試してくる。今時ありがちな「始めは簡単」のお約束も無く、ステージ1からいきなりプレイヤーを殺しにかかる非情っぷり。余程の忍耐力と精神が無いプレイヤーならその時点でめげるほど、極悪な難易度となっている。酷い時だと、PSP本体を床に叩きつけたくなる衝動に駆られるほど。全てにおいて、初心者なんて知るか!の一点張り。どんな人もクリアできるような調整にはなっていないのである。今のご時世において、この調整は時代錯誤過ぎる…と正直、否めないのも事実だ。人によっては、プレイヤーを馬鹿にした難易度と捉えてしまうだろう。
だが、この鬼っぷりこそ魔界村。元々、硬派過ぎる難易度が最大の売りであるこのシリーズ。時代を今に移しても、難易度の厳しさに何一つ甘さを入れない、「俺は生まれてずっと、鬼のままだ!」と貫いたこの調整のスタンスは実に潔く、何より媚びが無いのが素敵だ。難易度が高く、クリアできないゲームが糾弾されがちな現代で、こうもストレートに本来の姿を守り通したのには感動すら覚える。魔界村は難しいゲームである、これからもずっとだと、その伝統を守り抜いたのは本当、見事な判断だと言っても良いだろう。凄くカッコイイ。
努力を重ねる毎にミスが減り、自然と突破できるようになっていく、絶妙な調整が図られてるのも大きな魅力。高い難易度と相まって、極上の達成感と心地良い疲労感をプレイヤーに与えてくれる。
また従来作より、難所が崩し易くなったのも強み。強力な武器、身体能力を高める鎧等が加わった恩恵で大分、ステージの進行の負担が軽減されている。ボス戦が専用ステージでの戦いに改められたのも大きい。今回のボス戦は専用ステージでの戦いに絞られているので、負けた際には直に再戦できるなど、リトライの負担も軽減されている。今までは、各ステージの最深部まで進まないと戦えなかっただけに、これは嬉しい変更だ。ゲームオーバー時もここからすぐ再戦可能なので、なお挑戦し易くなったのも有り難いところ。単にボスを弱くする手段を取らない辺りに、魔界村らしいこだわりを感じさせられる。この絶妙な設定は本当、上手いの一言だ。厳しいだけで終わらせず、少し温さも出す。だけど、ゲームの根幹を崩さない程度のものに留めさせる、そのバランス感覚には脱帽させられる限りだ。魔界村なりの媚と言ったところだろうか。普通に崩さないそのやり方は本当、職人技の域である。
ただ、改は概ね、よく出来ているのに対し、無印は難易度以外が如何ともし難い。さすがに魔界村で探索と言うのは、高難易度のゲームとしての方針的とズレてるし、ボリュームが求められる時代に媚びたとしか言い様が無い。肝心の中身もまた、リングの隠し場所が陰湿であるなど、悪い意味での硬派な調整が散見されるのが嫌らしい限りだ。
そもそも、魔界村はステージクリア型のシステムだからこそあの高難易度も映えたのだから、素直に改のシステムで無印も作るべきだったのではないのか。
こう思うと、無印は色んな意味で必要無いゲームだったと思わざるを得ない内容になってしまってるのが残念だ。本当、最初から改のシステムで無印を作れば、今作も発売する必要も無かったのではないだろうか。色々と悔やまれる。

その他、操作性や感触は無印も改も申し分無しだ。独特の重めで、癖のある魔界村らしいものに仕上げられている。ジャンプの軌道が調整できないとか、その辺は未経験者なら戸惑うだろうが、回を重ねていくにつれ慣れてくる調整。その辺も含めて、らしさ全開だ。
ボリュームも満点。無印と改、両方を遊び込むだけでも20時間以上はかかるほどだ。各種難易度の制覇などのやり込みも歯応え満点で、繰り返しになってしまうが熟練者でも真っ白に燃え尽きてしまうだろう。最悪、心が折れるかも。
また、ステージの構成も秀逸。仕掛けからロケーションに至るまで、魔界村らしい奇想天外且つ、おどろおどろしいテイストで、プレイヤーを大いに楽しませてくれる。特にこの世界観だからこそ出来た各種ハチャメチャな仕掛け群は必見。その強烈な気持ち悪さには、目が点になってしまうかもしれない。
そのステージを彩るグラフィックもかなりのクオリティ。全編3DCGで描かれているのだが、その恩恵で敵のモンスター、仕掛け、全ての不気味さが当社比100%アップしてしまっている。現代の最新技術を結集し、魔界村を描くとこうになる!…とも言えるその様は必見である。ただ、一方で音楽はインパクト低下。いつものあの曲も流れるのだが、主張が弱くなっており、若干空気なのが寂しい。単調な曲が増えてるのも気になるところである。
音楽も魔界村の魅力の一つなだけに、ここはもう少し頑張って欲しかったのだが…。

久々の魔界村なのにシナリオもありがちで、大魔界村の伏線(※ルシファー復活)が回収されてないのもシリーズファンにしてみれば、不満が残るかもしれない。ただ、本編の演出周り、エフェクトやムービーは頑張っていて、まさに現代の魔界村らしい味わいに富んでるのが秀逸だ。
探索主体の無印は正直、お薦めできないが、純粋なアクションの改は総じて良い出来で、シリーズファン、アクションゲーム好きの双方にお薦めできる内容に仕上げられている。
現代になっても魔界村は一切、プレイヤーに媚びない!そんな一貫した漢の作風と凄まじい歯応えを兼ね備えた、この『極魔界村・改』。間違っても、アクションゲーム初心者は手を出さないように。アクションゲーム好き、そして魔界村ファンなら是非、プレイしてみて欲しい逸品だ。きっついぞ〜。
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