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≫勇者のくせになまいきだor2
■発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
■開発元 アクワイア、ライドオン・インコーポレッド(プログラム)、ノイジークローク(音楽)
■ジャンル ダンジョンマネージメント
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3980円(税込)<Best版:2079円(税込)>
ダウンロード版:2800円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:320KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応
■総説明書ページ数 43ページ
■推定クリア時間 10〜12時間(エンディング目的)、50〜65時間以上(完全攻略目的)
またお会いできましたな、破壊神様!おや、お忘れですか?
私です。魔王です。世界征服を目論む魔王が帰ってまいりましたぞ!
懐かしゅうございますなぁ。

……などと悠長に再会の時を噛み締めている場合ではなかった!
今回、またアナタ様を呼び出したのは他でもありません。
我ら魔王軍と一丸になって、再び人間界を征服する為です!
破壊神様には早速、つるはしを持って頂き、我らの住処であるダンジョンを掘り進め、
沢山の魔物を生み出して欲しいのです。
そして我らの野望を阻止する、生意気な勇者どもを倒し、
「ゲームで活躍しているのは正義の味方だけではない」ことを思い知らせてやりましょう!
パワーアップした我ら魔王軍の力で再び、恐怖のズンドコに突き落とすのです!
共に人間界を魔王軍色に染めていきましょう!
その為にもダンジョンを掘り進めてください。私だけのために!!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ダンジョンを作って魔王軍を編成し、勇者を撃退する逆転の構図が非常に面白い、独創性溢れるゲームシステム
◆トラップ配置、セーブフラッグからの復帰まで行うようになり、より「生意気」になった勇者達
◆エリアごとに用意された複数の戦いを攻略していく内容に刷新され、全体のボリュームと手応えがより一層強化された『ストーリーモード』
◆戦況を吉にも凶にも急転させる恐ろしさとワクワク感に秀でた新要素、魔物の『突然変異』
◆完全ランダムでなく、意図的に作れるもので統一された突然変異の発生条件
◆突然変異の追加で戦略性と手応えが増し、同時に奥深さまで進化を遂げたゲームバランス
◆地味だが、戦況把握の際に大きな手助けとなってくれる、ニ●ニコ風字幕テロップ
◆方向キーとワンボタンで楽しめる、前作譲りのシンプルで取っ付き易い操作性
◆戦術の構築、生態系の把握などを検証できる自由度の高さが秀逸な新モード『魔王の部屋』
◆ボリューム増強でますます歯応えが増したやり込み要素群(今回は盛り沢山)
◆昔懐かしのゲームを髣髴とさせる、暖かみのあるドット絵でまとめられた珠玉のグラフィック
◆前作同様、リコーダー風味のほのぼのとした作風でプレイヤーに癒しを与える、独特の音楽
◆前作を上回る過激なネタの数々と意外な展開で魅せる、爆笑必至、見応え抜群のシナリオ
◆検証モード『魔王の部屋』の追加でより磨きがかかった救済処置の数々

--- Bad Point ---
◆地味に長くなったロード時間(ステージ開始時にも数秒待たされるようになってしまった)
◆頻繁に行われるようになった読み込み処理(この為、ゲームテンポが少し悪化)
◆前作同様、緻密な戦略が求められる為、多少癖もあるゲームシステム
◆突然変異などの新要素追加により、敷居が高まって少し手強くなった難易度
◆威力が低く、使う場面に恵まれない新要素『ダンジョンクエイク』
◆非搭載の中断セーブ機能(区切りの付く構成になったという点では少し改善されたが…)
◆ゴーレムの雄たけびバグ(雄たけび後、攻撃力が2で固定される謎の致命的バグが存在)
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
話は聞かせてもらった!世界に平和は訪れない!

そんなヴァカな!?


独特のゲームシステムと骨太な難易度、ネタだらけのストーリーで大きな話題を呼んだ『勇者のくせになまいきだ。』の続編。開発は前作同様にアクワイア、プログラム部分をライドオン・インコーポレッド、音楽をノイジークロークが担当。

ボリュームアップし過ぎて、気分は「orz」。
より魅力溢れる内容へと進化を遂げた、素敵な続編だ。

基本的なゲーム内容は一緒。ツルハシで土を掘って魔物を誕生させつつダンジョンを構築し、一定時間経過後に侵入してくる勇者を撃退するダンジョン・マネージメントゲームだ。基本システムもダンジョン構築と軍の編成、勇者迎撃の二つのパートを軸に展開する各ステージ、ツルハシで土を掘れる回数を示す『堀パワー』、そして生態系の構築がカギとなる魔物育成など、前作で好評を博したものをそのまま継承。そこに更なる新要素をプラスし、一部システムを刷新した、如何にもな続編に仕上げられている。
新要素に関してはとにかく、盛り沢山の一言。代表的なものでも魔物の突然変異、勇者の新職業、セーブフラッグ、新モード『魔王の部屋』、ニ●ニコ動画風の実況テロップ(字幕)など、かなりの量が挙がる。
この中でも特に今作の象徴的な新要素と言えるのが『魔物の突然変異』だ。今作ではステージクリア後の『堀パワー』の振り分けによるレベルアップ以外にダンジョンの環境に応じ、魔物が突然の進化(変異)を遂げるという新たな成長要素が追加された。これにより、不利な状況が突然有利になったり、逆に有利が不利に転ずると言った事態が発生するようになり、戦略性と戦闘の緊張感が劇的にパワーアップ。先が読めない展開が楽しめるようになった。しかも、この突然変異はランダム発生じゃないというのがミソ。基本的に突然変異はプレイヤー側のコントロールによって引き起こせるので、やり方次第では不利な状況から形勢逆転を狙う無茶もできてしまうのである。更にこの突然変異はダンジョン構築&編成パート、勇者迎撃パートの全パートで発生。迎撃でも発生するという事は、変異には勇者の行動によって発生するものもある訳で、その動向次第にも目を配らないといけないのだ。故に単に迎撃するだけでなく、環境の安定と言った事も今作では求められてくるように。そんな新しい緊張感とプレイスタイルをもこのシステムは演出。一瞬も目が離せない刺激的な体験をプレイヤーに提供する。
普通にダンジョン構造と魔物の質で勝負した前作もかなりの歯応えと戦略面の奥深さがあったが、今作はそれを遥かに上回るものを実現。より手強く、考え甲斐のある秀逸なシステムとなっている。なお、突然変異した魔物は例によって見た目も大きく変わる。太ったり、凶暴化したり、巨大化したりなど、その芸達者な様を眺めるのも面白い。種類も異常種、レア種など全部で5つの姿が用意されているので、それを全て網羅する楽しみもある。そんなやり込み的な遊びが凝らされているのも、このシステムの大きな見所である。 突然変異以外でも、勇者の新職業追加も戦闘に大きな変化を及ぼす新要素となっている。前作ではシンプルに剣士、斧戦士、魔法使いなどがほとんどだったが、今回はトラップを配置するハンター、綺麗な魔物(ピュア種)を召喚する錬金術師を追加。前作の王道系勇者とは異なる戦い方が求められてくるようになった。特にハンターは非常に厄介で、仕掛けるトラップというのが触れただけで即死に至るものばかり。放っておくと一瞬で戦力を削られかねない危険なものとなっている。このトラップをツルハシで突き、排除する…と言った事も今作ではできるようになり、ゲーム自体の忙しさも大幅にアップ。アクションゲームさながらの緊張感が味わえるようになった。また、全ての勇者が持つトラップ(?)『セーブフラッグ』もクセモノ。これを配置されると、倒した勇者がその場所から復活するようになってしてしまうのだ。なので、こちらにも常に神経を配り、全体を観察しなければならない。突然変異も結構な脅威だが、これらも負けず劣らずの脅威と言えるだろう。何よりも実際のゲームプレイヤーの如く、保険を打ってくるようになったのが面白い。そんな勇者自身の人間臭さが倍増しているのも、今作の大きな見所の一つと言える。
この他、魔物の育成と突然変異の条件探索など自由な検証が行える新モード『魔王の部屋』もなかなか魅力的。モード周りではメインの『ストーリーモード』も大きな刷新が成され、アーケードゲーム的な内容だった前作から一転し、複数の戦いが用意されたエリアを順に攻略していく内容に改められた。それに伴い、全体のボリュームも爆発的に増えたのみならず、あるエリアでは特殊な魔物しか登場しないなど、レベルデザインにも一工夫が加えられ、バリエーションに富んだ戦いが楽しめるようになった。更にボリュームの増強で勇者の数も増えており、複数の勇者との戦いなど戦闘内容に捻りが加えられているのも見逃せない。
全体的に前作は手軽に遊べる事を売りにしていたが、今回はそのコンパクトな所を残しつつ、新しい戦略を演出する要素やボリューム周りの強化を施して遊び甲斐のある内容へ刷新させている。ある意味、小さかった前作がマギー審司の耳の如くでっかくなった感じ。ゲームとしての遊び応え強化を最優先させた、濃い目の続編に仕上げられている。

そして今作最大の見所は、突然変異と勇者のバリエーション増強でより深みを増した戦略性だ。トラップの排除、環境安定の為の行動と言った動的な要素が盛り込まれた事により、前作以上に目が離せない緊張感満点、中毒性満点のゲーム展開が堪能できるようになった。
特に前者は独特の戦略性の高いゲームバランスに更なるアクセントを加えるものとして、見事に完成されている。戦況が吉にも凶にも極端に傾くようになったので、只でさえ緊張感のあるバランスがより刺激的なものへと発展。本当に先の読めない戦いを楽しめるようになった。
何よりも、万全な魔王軍の編成というものが実質、無くなったのが素晴らしい。どんなに強い魔物を取り揃えた編成でも、突然変異の過程で急激に退化する危険が終始付き纏うので、絶対的な安心感は得られないし、その編成でどんな局面も乗り切れる保障も何処にもない。逆に凄く弱い魔物で取り揃えた編成が、突然変異の力でエース級に発展したりもするので、本当に何が起こるか分からない。そんな絶対的な力の裏に潜めた逆転要素が只でさえ、戦略性の高いゲーム本編をより手強く、そして魅力溢れるものに仕立て上げている。同時にそう言った要素が戦略を練る必然性を高め、マネージメントを名乗るゲームとしてのらしさを一層強化させているのも見事だ。変異自体がランダムでなく、任意で発生する仕様なのもまた然り。決して運が悪かったとはせず、どんな敗北も考えの甘さで招かれるものとしているのは、今作が考えながら様々な難局を突破していくゲームとしてのプライドの表れと言っても良いだろう。
動的な要素が加わった為、多少敷居が上がった感はある。しかし、それによって勇者迎撃パートはより目が離せない内容へと発展し、やり応えも面白さも飛躍的に向上している。それはまさしく、完成形に達したと言っても過言ではないほどの出来栄え。戦略を練る楽しさを徹底追及し、事故には必ず原因があるという確かな説得力をも兼ね備えた今作のゲームバランスは、近年の戦略性を売りとしたゲームの中でも屈指と言っても過言ではない。
新要素がゲームの魅力を底上げさせている。ある意味、続編モノにおいては当たり前過ぎる事ではあるが、そんな当たり前の事を今作は骨の髄までやり通している。前作よりも更に進化したマネージメントゲームを、そして更に歯応えのある戦略性を。このこだわりの作り込みぶりには圧巻の一言だ。素晴らしいほど進化を促す要素として完成されている。
また、エリア単位で用意された複数のステージ(勇者との連戦)を順に攻略していく内容へと変貌を遂げた『ストーリーモード』も大変魅 力的。先ほども紹介したが、変化に富んだ戦いが楽しめるようになっただけでなく、ボリュームも増えてより高い満足度とやり応えが得られる内容になった。前作のストレートでシンプルな味が薄れた感も否めないが、各エリアのステージは3〜5程度と、短めに抑えられているので、手軽に遊べる魅力はちゃんと残されている。無論、後半になると前作のストーリーモード並のエリアも登場するので、やり応えは十分だ。こちらも戦闘こと迎撃同様、完成形とも言える仕上がりになっており、魅力的なゲーム性を存分に味わえる内容に仕上げられている。
反面、中断セーブ機能はまた非搭載、ロードも今回はデータ量増加の都合で多少長くなってテンポが悪くなったなど、退化及び進化を感じられない所も少しある。しかし、それを含めても今作は紛れもない正当進化系と言い切れる出来である。動的要素による先が読めない要素の追加により、魅力の増した戦闘により深みの増したゲームバランス、そしてボリュームアップを遂げたストーリーモードと、前作で物足りなかった部分の大半は劇的な進化を遂げている。まさに正真正銘の続編。そして純粋に「2」と名乗らず、「or2」としているのも納得の内容となっている。冗談に聞こえるかもしれないが、嘘ではない。実際にプレイしてみれば、本当に「or2」な気持ちになってしまうだろう。それほど、充実しているのだ。

充実と言えば、前作でも多くのプレイヤーに笑いを与えたしょーもないネタも『ストーリーモード』のボリュームアップで、それはもう酷い事に。前作でも、とあるステージの名前が『ぼくにそのてをよごせというのか』という某タクティクスなゲームの名文句となっていたが、今回はその第二弾として『てをとりあってら』があったり、またあるエリアでは某ときめく思い出を髣髴とさせる『伝説の樹は枯れた!』という不吉な名前のステージが登場したりと、もうやりたい放題ぶっ飛びまくり。ステージのみならず、勇者も某ヒゲオヤジのヒロイン二人ミステリー調査班の面々連打名人とライバル名人グウタラ食通、挙句の果てには戦う人間発電所まで出てくるなど無茶苦茶。例によって、ネタを知らない方でも楽しめるよう、テキストも練られていて抜かりなしという徹底振り。そして、こんなネタばかりで構成されたストーリー本編も意外と面白いものに完成されているのだから侮れない。あらゆる意味で過激化し、更に魅力的になったこのネタが見る価値なしとは断じて言えるはずがなく。今回も要チェックでございます。
その他、操作性も前作と同様に方向キーと1ボタンが基本なので取っ付き易さは抜群。やり込み要素も今回はストーリーモードのボリュームアップによって大幅に強化され、前作以上にやり甲斐のある内容になっている。
グラフィックもファミコンのゲームのドット絵を模した、レトロな味わい全開のものに仕上げられている。音楽も前作と同じく、リコーダー風味のほのぼのとした仕上がり。今回もプレイヤーを癒す楽曲が沢山収録されている。

例によって、キャラクター周りも事実上の主人公である魔王など、濃い面子ばかり。敵の勇者達もその名前のみならず「なまいき」な所も相変わらずで、今回もプレイヤーを大いにイラつかせる。演出周りもレトロな見た目からは想像付かないほどに派手。トレーニングモードと言った救済処置も豊富で、説明書要らずの設計も秀逸の一言に尽きる。
難易度は高めでシステムも癖があるので、少し好みの分かれる所はある。しかし、面白さは抜群。ついでにネタ成分も濃密ドロドロ。今回も他に類を見ない味わいとおかしさに満ち溢れたゲームとして完成されている。題名から、某ド●えもんのパロディと侮る事なかれ。高いゲーム性にやり応え抜群のボリュームと、全てにおいて突出した完成度を誇る今作。
前作同様、PSPを持ってるユーザーなら要プレイの傑作だ。これを遊ばずしてPSPは語れない。前作経験済みの破壊神の皆様も是非。また魔王様を助けてあげましょう。
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