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≫己の信ずる道を征け
■発売元 フロム・ソフトウェア
■開発元 シリコンスタジオ
■ジャンル 浮世絵アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込) / ダウンロード版:900円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(※アドホックモード時:2〜4人)
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:400KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応、ワイヤレスLAN(アドホックモード)対応
■総説明書ページ数 13ページ
■推定クリア時間 8〜10時間(エンディング目的)、50〜65時間以上(完全攻略目的)
徳川幕府の下、太平の世が続く文政の頃。
相良稲津藩の江戸藩邸において、将軍家への輿入れを翌月に控えた藩主の息女・真奈姫(まなひめ)が奇怪な一団によって誘拐されるという騒ぎが起きる。
謎の集団は不可思議な妖術を使って姫を奪うと、東海道を京の方へと去って行った。
突如、娘がさらわれた藩主の心痛は大きかった。単にその安否が気遣われるだけでなく、もしもこの事態が幕府に知られれば、藩の取り潰しは逃れられないからだ。
その刻限はすぐそこまで迫ってきていた。

この窮地を脱する為、藩主は直属の忍、『朧身の疾風丸(はやてまる)』を招集。
真奈姫奪還の任を下すのであった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆自らのリプレイから生み出される『分身』と力を合わせ、出口の階段を目指すというシンプルながらも斬新な手応えに満ち溢れたゲームシステム
◆分身システムを活かした戦略的な要素とパズル要素が絶妙に噛み合ったステージ構成
◆まさにこのゲームだからこその独自性に満ちた、分身システムをフルに活かしたギミックの数々
◆短い時間内で適切な判断を下さねばならぬ緊張感とテンポの良さを演出する60秒の制限時間
◆レベルアップによる主人公の成長と言ったRPG要素を取り入れた手頃な難易度設定、多彩なステージの数々で魅せる、やり応え十分の『ストーリーモード』
◆パズル色の強いステージ構成と圧倒的なボリュームでプレイヤーを翻弄する『ミッションモード』
◆複数の分身で畳み掛けるという、変わった戦術が求められるボス戦(しかし、困った難点が…)
◆ストーリーとミッション合わせてステージ総数100以上、更に評価システムを始めとするやり込み要素も完備と、歯応え申し分無しの圧倒的な総計ボリューム
◆最大で四人までの対戦&協力プレイが楽しめるマルチプレイ、体験版のシェアリング機能など、地味ながらもキラリと光るものを持ち合わせたサブモードの数々
◆スピーディな展開と独自のパズル性が演出する、歯応え満点で中毒性に富んだ難易度設定(高めではあるが、繰り返し挑む事で必ず突破口が見えてくる適切なバランス)
◆浮世絵アクションを名乗るだけにある、個性的で味わい深いグラフィック(特に背景周り)
◆和風な世界観と見事にマッチした、ノリノリで雰囲気満点の音楽
◆特徴的なグラフィックと音楽が絡み合った演出が光る、印象的なオープニングデモ
◆ドット絵風キャラクターによる寸劇など、レトロゲームを意識した演出の数々
◆イラストレーターokama氏による、華やかなキャラクターデザイン

--- Bad Point ---
◆ステージ開始、ゲームオーバー時等で発生する十数秒もの長いロード(但し、UMD版に限った話。ダウンロード版ではこのロードが4〜5秒程度に短縮される
◆リトライ機能非搭載(最初からやり直す際は一旦、ステージ選択画面に戻らなければならない)
◆コンセプトは面白いが、基本は連打合戦なボス戦(連打を要求される場面も多過ぎ)
◆大量の分身が戦闘に参加した際における処理落ち(主にボス戦にはいて発生し易い)
◆クォータービュー視点故の移動操作の煩わしさと距離感の掴み難さ
◆最初の手順を間違えると詰むなど、やや露骨な感も否めない一部ステージの初見殺し要素
◆「はい / いいえ」の並びが上下逆なのに加え、何故かデフォルトで「いいえ」が選択された状態になっている、奇妙な作りのメニューインターフェース
◆メニュー画面でしか使用されていないという、宝の持ち腐れにも程があるキャラクターイラスト
▼Review ≪Last Update : 3/16/2014≫
華麗なプレイも、ドジなプレイもしっかり具現化!

システムは嘘をつきません。


エコーナイトシリーズ、アーマード・コアシリーズなどで知られるフロム・ソフトウェアが放つ、完全新作の浮世絵アクションゲーム。開発は主にミドルウェア等の製作を主業務とするシリコンスタジオが担当。同社としては、初めて手掛けたコンシューマハード向けゲームでもある。

快適性の面で難があるが、斬新なシステムとゲーム性が燦然と輝く秀作だ。

公称では『浮世絵アクション』となっているが、その詳細な内容は2D見下ろしのクォータービュー(斜め)視点で展開する、ステージクリア型のパズルアクションゲーム。主人公の疾風丸を操作し、様々な『からくり』が張り巡らされたステージを攻略し、謎の集団に誘拐された真奈姫(まなひめ)救出を目指すというものだ。
収録ゲームモードは3種類。先の真奈姫を目指す『ストーリーモード』、決められたクリア条件達成に挑むパズル色の強い『ミッションモード』、最大四人までの対戦、協力プレイが楽しめる『マルチプレイ』が用意されている。事実上の本編に当たるのは『ストーリーモード』。ストーリーに沿いながら、ステージを順に攻略していくというアクションゲームとしては王道の内容になっている。各ステージは複数のフロア(階層)で構成されており、最終的に小豆色の階段に到達するとステージクリア。これまたアクションゲームとしては王道中の王道な条件になっている。だが、例によってそこまでの到達は、一筋縄では行かず。非常に独特過ぎる操作とテクニックを駆使し、出口到達を目指さなければならない。
その独特過ぎるプレイを生むのが今作のゲームシステム全般。先の概略の感じだと、今作は幾つかのフロアを突破しながら出口を目指すという、任天堂の『モグラ〜ニャ』、『ゼルダの伝説 4つの剣+』に近いゲームという印象を人によっては抱くかもしれない。実際、仕組み的にはその二本に近い。敵を全滅させたり、仕掛けを解く事で次のフロアへの階段が現れるなど、それらを彷彿とさせるギミックが多数仕込まれているからだ。画面構成、クリア条件こそ違いはあるものの、複数のフロアを攻略していくプレイ感覚はその二本にソックリである。だが、言うまでもないが、今作はそれらとは決定的に異なるゲームに仕上げられている。その違いを象徴する要素、その一つが『制限時間一律60秒』という制約。実は今作に用意されているステージには、決まって60秒という時間制限が設けられている。その為、その時間内に出口を目指さなければならない。制限時間に達してしまえば、問答無用でそのステージ一番最初のフロアからやり直しになってしまうのだ。という事は、どのステージも60秒以内にクリアできるほど、短めでアッサリとした作りなんだなと思うかもしれないが、断じて違う!大事なことなので二回言おう、断じてそんなのではない!どのステージも最低3分、長い所では5分以上の時間を費やさないと出口へ到達できないほど、十分過ぎるボリュームで構築されている。そんなステージを僅か60秒で攻略しろとか、このゲームを作ったスタッフは鬼畜かと言いたくなるかもしれない。実際、今作を手掛けたフロム・ソフトウェアは数々のゲームで多くのプレイヤーの心を圧し折ってきた前科があり…ってそんな事はどうでも良いとして。明らかにクリア困難以前にまともに遊べなさそうな構成だが、ちゃんとこれを突破する為の秘策が用意されている。それが先に挙げた二本との違いを現す要素の一つにして、今作の独自性を象徴するシステム『分身』である。
今作には驚くべき仕様が盛り込まれている。プレイヤー自身が取った行動が『リプレイ』として自動的に記録されるのだ。敵を倒した事、道が分からず右往左往した事、その全てが抜かりなく記録される。そして、それらの行動の全てが時間切れで一番最初のフロアからやり直しになった際、自らの『分身』として実体化し、先に取った行動の全てを再現するのだ。いわゆるレースゲームで言う『ゴースト』的なものだが、今作が面白いのはその分身がちゃんと実体に対してアクションを取ってくれること。敵への攻撃、『からくり』の操作など、その全てをしっかりと行ってくれる。倒してくれたり、動かしてくれたりするのだ。なので、時間切れでやり直す事になっても分身の補助が入り、その恩恵で最初の時以上の速さでフロアの突破ができるようになっていく。そして、それが増えれば増えるほど、出口への到達も近付いていくのだ。まさに自らの行動履歴が次に続く自分の行動を助ける、あまりにも斬新過ぎるシステム。自らの行動自体を重ねに重ね、出口到達を目指すという非常に稀有なゲーム性を演出するものになっているのである。自分自身のプレイの記録を遊びに昇華、それだけでも今作が如何に独自色の強いゲームなのかは想像に難くないだろう。ルールこそゴールを目指すだけと単純なのに、そのシステムがかつてない体験を提供。まさにこれこそ新感覚、というに相応しい仕上がりになっている。 無論、こんなシステムを実装しているだけにステージ自体も非常に特徴的。分身のサポート無しでは突破できない仕掛けは勿論のこと、ゴールを目指さない行動を取らないと先へ進めない場面が多数用意されているなど、分身の特色を最大限に活かした作り込みが徹底されている。また、分身自体は無限に出せる訳でなく、ちゃんと出せる数が限られている。その為、如何にベストな分身を作り出し、ゴールへの道筋を作っていくかという戦略的なプレイが求められてくる場面も多数。パズルアクションとしての考える面白さ、難しさを演出する配慮も申し分なく、独自のシステムも合わさって未だかつてない考え方、テクニックが随所で試されてくる内容に仕上げられている。その特徴的過ぎる作りには、遊んだ誰もが「何だこれ…」と新鮮な驚きを味わうこと間違いなし。よくこんなアイディアを思い付いたなと、心の底から思い知らされるだろう。
ただ、このシステム、何処かで聞き覚えが…という方も中には居るかもしれない。それもそのはず。このシステム自体はWEBでFLASHゲームとして公開されている『Cursol10(カーソル10)』が元になっている。実は今作、そのシステムをベースに作られた作品で、全新規のオリジナル作品では無いのだ。実際、公式でも今作がそのゲームが元に作られたという事に触れられている。正直、「何それ…」とこの事実には幻滅した方も居るかもしれないが、『Cursol10』そのまんまという訳では無く、今作は敵やボスとの戦闘と言ったアクション要素を多数実装しているのに加え、マルチプレイを始めとするゲームモードを豊富に収録しているのもあり、しっかり独自の色を持った内容に完成されている。また、『Cursol10』の原作者もアイディアを許可する形で今作に参加しているので、決してコピー品という訳では無い。それ以前に一旦、『Cursol10』を遊んだ後に今作をプレイすれば、如何に似たようで違うゲームであるのかというのが分かるだろう。
そんな元ネタが存在する一面こそあれど、ゲーム内容の斬新さに揺らぎは無い。シンプルだけど、求められてくる遊びは未だかつてないもの。新感覚というと、大袈裟に聞こえるところもあるが、今作は本当にその言葉がよく似合う内容に仕上げられている。まさにあらゆるプレイヤーに未知の刺激を提供する、革新的なゲームになっているのだ。

そして、もはや言うまでも無く、今作最大の魅力は『分身』が演出する独自色濃い目のゲーム性、そのシステムを最大限に活かしたステージ構成(レベルデザイン)の二つである。
先の繰り返しになるが、自分自身の行動の全てが『分身』として実体化し、ステージ(フロア)の攻略を手助けしてくれるという仕組みの斬新さは、本当に未だかつてない面白さに富んだものになっている。スムーズにフロアを進められた形跡も、右往左往した形跡も全てがステージ攻略のカギになってくる無駄の無さ。一つの困難な目標を達成するには、多くの経験と失敗を重ねる事が重要なのである、とでも訴えかけているかのようなその作りには、良い意味での説教臭さとアクションゲームにおけるトライ&エラーの醍醐味、面白さを分かり易く表現しようとするこだわりが詰め込まれている。
特にトライ&エラーの醍醐味に対するこだわりは傑出したものがある。それを遊びへと昇華させてしまった所に関してもまた然り。次の分身を配慮しない行動を取ってしまったから、今度はその修正を踏まえた行動を取るようにしよう、最初は時間のかかるルートで行ってしまったけど、よく見たら短時間で行けるルートがあったから、次はそちらを進む事にしようなど、やればやるほどに自分の行動の拙さを見せ付けられ、反省を踏まえた行動を取り、徐々に効率的な行動を取る自分が分身として現れていく。そして、その分身の動きに自分ってこんなに上手くなれる素質があるんだと思い知らされる。繰り返し挑戦し続けること、よりベストな行動を目指していくことの大切さを知るのに当たって、これほど優秀なシステムというのもなかなか無いだろう。沢山の分身を駆使し、ゴールに到達できた達成感も見事なのに加え、「実はもっと少ない分身でゴールを目指せたのでは?」と自然に反省を促すものになっているのも面白い。これも全ては、分身が具現化するが故のシステム上の特徴と描写がもたらしたものと言ったところだ。やはり、自分自身の良い行動も悪い行動も、何もかもが分身として再現されていくようになれば、成功だらけの分身によるステージ攻略の構図というのを目指したくなってしまう。そんなよりベストな構図を目指したくなるやる気を促す点でも、このシステムが如何にトライ&エラーの醍醐味を上手く描いているのか、というのを思い知らされるばかりだ。
一般的なアクションゲームと異なり、自分の行動自体が具現化され、それが次の行動への反省へと繋がり、プレイヤー自身の成功を少しずつ導いていく。このシステムが演出するトライ&エラーの部分はその面白さもさることながら、いわゆる高難易度を特徴としたアクションゲームをより幅広いプレイヤーに知らしめる手法しても行ける可能性を持ったものになっているのが非常に興味深い。そう言った興味深い特色を持ったゲームを同じく高難易度ながら、ユニークなサポート機能の数々を提示した『デモンズソウル』で知られるメーカーが出した、というのも地味に面白いところである。
システム周りに目が行きがちだが、パズルアクションとしての基礎的な部分の完成度も高い。しっかり『分身』を始めとするシステムを活かした設計、ギミックの配置が徹底されているだけに留まらず、道中もアクションあり、戦闘ありとバラエティ豊かな展開が盛り込まれているのに加え、制限時間という名の縛りが設けられている故に緊張感も申し分無し。また、難易度も効率的なプレイが求められてくるその内容上、それなりに高め。だが、『ストーリーモード』に限っては疾風丸が成長するRPG要素が盛り込まれており、分身の生産に余裕を持たせたい場合は他の簡単なステージをクリアしてスコア(経験値)を稼ぎ、力と数に任せたプレイで乗り切るなど、プレイヤーの好みのスタイルで乗り切れる余地も残されている。そんな変わった救済処置が設けられているのも今作の面白いところ。意外と盛り沢山の内容になっているのだ。
ただ、それらに負けず劣らず粗も多い。バランス面で言えば、取るべき行動を取らないとそのまま詰みに繋がってしまうステージがあったり、ボス戦などは基本的にボタン連打が求められてくるものがほとんどであるなど、もう少し工夫できなかったのかと突っ込みたくなる点が幾つか。特にボス戦は沢山の分身を作って連射攻撃で畳みかけるパターンが多く、単純に疲れるのに加えて味気ない。快適性の面でもステージ開始前に10数秒以上のロードが挟まれるのに加え、ゲームオーバーになるとステージ選択画面に戻され、その際にも10数秒のロードが挟まれるなどと劣悪過ぎる。ロードはステージ開始かクリア時のみにし、高速でリトライできる機能を設ければよかったものを、それすら実装されていない辺りに配慮の甘さを痛感させられる。ただ、これはUMD版に限った話で、ダウンロード版ではこのロードが3〜5秒に短縮される。それでも、せめてUMD版にメディアインストール機能を設けるなど、策は打てたはず。それを一切せずに製品化したのは、間違った判断だったと言わざるを得ないだろう。
他にもクォータービュー構成の宿命故、操作性もぎごちないのに加え、距離感が掴み辛いのが厳しい。方向キー操作だと難しく、アナログパッドでの操作が求められてくる点も好みが分かれるところではある。
そう多くの粗を持ちながら、ゲーム自体の斬新さ、面白さの輝きはそのままなのは圧巻の一言だ。実際、遊べばロードを除き、本当に何もかも忘れて遊び込んでしまうほど熱中度は高い。如何に今作のゲーム部分の出来が強烈かを現してもいるが、どうせなら快適性と操作性の面にはこだわって欲しかったところ。そんなあと一歩感が残念だ。

また、ゲーム部分からは外れるが、キャラクターデザインの宝の持ち腐れ感も惜しい。パッケージ及び公式サイトを見ればお分かりの通りだが、今作は漫画家でイラストレーターのokama氏がキャラクターデザインを手掛けているのだが、本編でこれが活かされているのは何と、メニュー画面だけ。残るデモシーンなどはドット絵風の小さく描かれたキャラクターで描かれたものになってしまっている。その為、デザインに惹かれて今作を買うと、手痛いしっぺ返しを食らう。昔のゲームを髣髴とさせる懐かしい手法ではあるが、それなりに凝ったデザインのキャラクターをメニュー画面でしか使ってないのは勿体なさ過ぎるの一言だ。せめて、デモシーンでぐらい、使っても良かったのではないだろうか。
その演出周りにしても、何処となくレトロチックで派手さに欠ける。ただ、オープニングデモなど、気合を入れて作られている部分も幾つかあるほか、音楽、効果音の使い方などは総じて適切な為、遊んでいて気になるレベルでは無いのがせめてもの救いではある。
その音楽も和風な世界観にマッチした個性的な楽曲が多数収録されている。全体的に雰囲気重視な作りだが、ノリノリな曲調と和風テイストたっぷりな曲の数々はステージ攻略を盛り上げてくれる。その音楽と見事にマッチした浮世絵調のグラフィックも非常に完成度が高い。キャラクターのグラフィックに関しては、昔懐かしのドット絵風味で地味なのだが、ボスキャラクター、背景はこれぞ浮世絵な感じの仕上がり。特に筆絵調で大きく描かれたボスキャラ達の見た目、動きは必見だ。また、先に紹介したオープニングデモは、この浮世絵調のグラフィックの魅力を最大限に活かしたものに仕上げられている。何故、今作が浮世絵アクションを名乗っているのか、その理由を存分に思い知らされるだろう。

その他、ボリュームもストーリーモードだけなら8〜10時間ほどと適切な長さ。しかし、『ミッションモード』も合わせると総数は一気に跳ね上がり、それらも全て攻略するとなると、実に4〜5倍の時間を必要とされるほど、盛り沢山な内容になっている。ステージの総数だけでなく、評価システムなどのやり込み要素も充実。更に効率の良いプレイを求めて高得点を狙うスコアアタック的な遊びもあるなど、極めるとなると結構長い時間楽しめる。加えて難易度も歯応え十分なので、単純にエンディングを迎えるだけでも結構な満足感が得られる。更に体験版の配信機能、対戦&協力プレイなど、接待ゲーム的な遊びも用意されているので、単にシングルプレイだけでは留まらぬ内容になっているのも侮り難いところだ。
操作性、快適性の面で色々と目立つ粗が多く、もうひと押しあれば…と思ってしまう出来ではあるのだが、ゲーム性、ステージ構成の新しさなど、単純に粗の多い作品と切り捨てるのには勿体ないほどの魅力が満載。一回プレイすれば、即座に「新しい」と思える、極めて稀有な遊び応えを持ったゲームに仕上げられている。元はFLASHで作られたゲームとは言え、アクション性の高さに個性的過ぎるステージ構成など、同じようで違う新作に仕上げられている今作。
パズルアクションが好きな方ならチャレンジする価値大いにアリの良作だ。
但し、UMD版はお薦めしない。これからプレイするのであれば、ロード周りの難点が全面的に改善されているダウンロード版を強く推させて頂く。この新しさと中毒性、半端なものではない。是非、その目と手で実感してみましょう。
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