Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Nintendo 3DS>
  4. 閃乱カグラBurst -紅蓮の少女達-
≫閃乱カグラBurst -紅蓮の少女達-
■発売元 マーベラスAQL(現:マーベラス)
■開発元 タムソフト
■ジャンル 爆乳ハイパーバトル(アクション)
■CERO D(17歳以上対象) ※過度のセクシャル描写あり
■定価 パッケージ版:5695円(税別)、ダウンロード版:1759円(税別)
Best Collection版:2838円(税別)
■公式サイト ≫こちら / ≫商品&購入ページ
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ
■3D表示 あり
■消費ブロック数 14624ブロック以上(※ダウンロード版)
■総説明書ページ数 21ページ(※電子説明書)、操作説明シート同梱
■推定クリア時間 7〜8時間(エンディング目的:蛇女編、半蔵編共通)、70〜80時間(完全攻略目的)
悪忍(あくにん)。世を陰から支える忍の中でも、陰に属する者たちの事を差す。
悪忍は大企業、政治家などから仕事を請け、暗殺や破壊活動などの違法行為も厭わず任務を遂行する。
同じ忍でも、国家に所属する善忍(ぜんにん)とは対極の存在である。

悪忍は負の存在だ、という者がいる。しかし、立場の他に違いはあるのだろうか。
善忍ができないことを悪忍が行い、悪忍ができないことを善忍が行う。
どちらも世界の動きを影から支えていることに変わりはない。

秘立蛇女子学園。
「悪は善よりも寛大である」という理念を掲げ、悪忍のみを養成している学園だ。
修業は凄烈を極め、死傷者が出ることもある。それでも学園から候補生の姿が消えることはない。
何故なら、陽に背を向ける者は、影の中でしか生きられないからだ。

これより始まる物語は、悪忍であることを選んだ忍学生の戦いの軌跡である。
少女達は何を思い、何と戦ったのか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作譲りの敵の群れを多彩な技を駆使して一網打尽にする、シンプル且つ爽快感重視のゲームデザイン
◆性能周りが明確に差別化され、独自の戦術性と操作感が演出された蛇女編のプレイヤーキャラクター達五人
◆棒立ち状態になる頻度が減り、程好く攻撃を仕掛けてくる仕組みに再調整された敵キャラクター達
◆敵キャラクター達の棒立ち状態防止策、キャラクターごとの性能差別化によって、前作にも増してアクションゲームとしての手応えが増したゲームバランス(力押しが効き易い所もそのまま)
◆新アクション『強襲攻撃』の追加によって、更に繋げ易さと爽快感がパワーアップしたコンボ技
◆新技『空中秘伝忍法』が追加され、より多彩になった各プレイヤーキャラクターごとの攻撃アクション全般
◆新シナリオの『蛇女編』、前作の『半蔵編』を一本に収録した豪華絢爛なボリューム
◆蛇女編準拠の再調整が実施され、前作経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる作りになっている『半蔵編』
◆紳士なプレイヤー歓喜の立体視完全対応が実施された『更衣室』(そして、今回も暴走ネタが満載)
◆本当に文字通り”ズドン”と飛び出るほどパワーアップした、立体視で見るアレ
◆キャラクターのモデリング全般が洗練されたほか、背景も描き込みも強化されて華やかさが増したグラフィック
◆前作譲りの激しいゲーム展開に絶妙にマッチした熱いノリの音楽
◆同じく前作譲りの敵を攻撃した際の確かな手応えを演出する、質感抜群の効果音
◆ここぞというタイミングに合った音楽を流すなど、空気の読み方の上手さが炸裂した演出
◆前作を蛇女側の視点で描いた、興味深い描写と意外な展開が目白押しのストーリー(しかし…?)

--- Bad Point ---
◆前作から変わらず、多少長めの忍務開始前に挟まるロード時間
◆同じく、前作からの進歩がまるで感じられない、忍務全般の単調な構成(レベルデザインがイマイチ)
◆単調な構成とボリュームの増強で、余計に作業感が強くなったやり込み要素
◆ゲームバランス改善の弊害で、一部、極端に難易度が上がった箇所が現れた半蔵編(具体的には本編終盤の葛城の特訓の忍務が嫌らしい難易度になってしまっている)
◆返って癖も強まった蛇女編のプレイヤーキャラクター達五人(特に未来はかなり癖がある)
◆興味深い描写が満載ながら、終盤にあり得ない失速を見せるストーリー(特に最終決戦の締め方が酷い)
◆「命のやり取り」という前作のストーリーにおけるシリアスな雰囲気を損ねる要素として機能してしまっているパラレルワールド設定(色々と商売臭さを感じる仕掛けとして機能している)
◆人によってはイメージ崩壊を招くかもしれない蛇女側のキャラクター達の掘り下げシーン全般
◆前作同様、外出先でのプレイに不向き(公共の場などでプレイすると社会的に死にます
▼Review ≪Last Update : 1/29/2017≫
何故、ここが立体視に対応していないのか…。

そんな前回、御不満に感じた箇所を全面的に改善しました!


我先にと言わんばかりにニンテンドー3DSの立体視機能を(いい意味で)悪用した演出のみならず、意外にシリアスなストーリーと遊び応えのあるゲームシステムで好評を博した『閃乱カグラ -少女達の真影-』の裏エピソードを描いた新作にして、再調整を施した前作も収録した完全版的な作品。開発は前作に引き続きタムソフトが担当。

様々な改良が施されたことで、ベルトスクロール型アクションゲームとしてのやり応えが大幅にパワーアップした、再調整版の前作もセットで遊べる豪華絢爛な閃乱カグラ完全版だ。

ゲーム内容は前作同様に横スクロールで展開する、ベルトスクロール型アクションゲーム。『爆乳ハイパーバトル』を謳っているが、中身はカプコンの『ファイナルファイト』シリーズなどを髣髴とさせるアクションゲームだ。プレイヤーは『悪忍』育成機関の『秘立蛇女子学園』に通う五人の少女達を操作し、忍務の遂行を目指す。本編の流れも前作を踏襲しており、章ごとに用意されたクエストこと『忍務』を攻略しながらストーリーを進めていく。ストーリーに絡む『主要』とそれに絡まない『自由選択』と忍務ごとの差別化、目標の達成を目指す仕組みもそのまま。忍務によってはサウンドノベル風の『ノベルパート』が発生するが、アクションだけを楽しみたいプレイヤーに配慮してスキップ機能も実装しているなど、ストーリー重視とゲーム重視双方の欲求に応えた構成も前作を踏襲した格好になっている。
システム周りもまた然り。攻撃力と防御力を高め、更に攻撃的な行動が可能になる『忍転身』、必殺技こと『秘伝忍法』、プレイスタイルに応じて『陽』と『陰』の二つの属性に変化し、双方を極める事で最強の『閃乱』の属性に覚醒する育成システムなどは今作でも採用されている。勿論、コスチューム破壊による防御力低下もそのまま。今回もビリッと敗れ、アレが無駄にドカンと強調される相変わらずな仕上がりで、紳士諸兄の期待を裏切らない。
ただ、概略の通り、主人公勢は一新。前作で敵側として登場した蛇女学園の五人がメインのプレイヤーキャラクターになった。それに伴い、キャラクターのアクション周りも改められたほか、その味付けも前作の半蔵学院の五人とは異なるものになっている。一言で言えば、個性重視。前作の半蔵学院の五人は武器と秘伝忍法、それにちなんだ技などで違いを演出していたが、操作感(主に移動速度)や攻撃範囲に関してはほぼ共通で、主に手応えの面で違いを感じ難い作りにされていた。その部分を今作は大幅に一新。攻撃を行った際の挙動を重くする、狭くする、移動時の挙動に変化を付けると言った調整を施し、キャラクターごとに個別のテクニックが要される設計に改められた。その為、今回は一人一人の使い勝手がまるで異なる。例えば今作の主人公ポジションに当たる焔は、刀で戦う点で前作の主人公である飛鳥と共通しているが、一発一発の挙動が重く、連続技を決める際も微かな間が発生するなど、同じようで全く違うキャラクターになっている。他のキャラクターも同様で、特に傘に仕込んだ銃火器で戦う未来は、その攻撃範囲の狭さ、癖のある挙動で、良くも悪くもプレイヤーを悩ませる。そうも勝手の異なる作りになったのもあり、前作のように直感的に連続攻撃を叩き込める単純明快な所も少し薄れるなど、複数のキャラクターを操作できるベルトスクロール型アクションゲームの特色を強化した仕上がりになっている。
併せてゲームバランスも刷新され、やや手強めの調整に。また、前作では雑魚敵が棒立ち状態になる事がよくあり、プレイヤーに対してやる気を現さない難点があった。そこも今回、積極的に攻撃を仕掛けてくるように再調整。それにより、集団にコンボ攻撃を叩き込もうとした時でも、漏れた一体が攻撃を行ってダメージを受け、中断する事故が起きるように。コンボに持ち込めば安心安全とはならぬ、理に適ったバランスに改められたのだ。長くコンボを繋げられる爽快感は格別だけど、敵が積極的に攻撃を仕掛けてこないのでなんか物足りない。そんな風に不満を感じていた前作経験者にとっては、嬉しい改善点と言えるだろう。他に忍務によっては、敵の攻撃回避を徹底しないと攻略困難なものも登場するようになり、アクションゲームとしての手応えは全体的に底上げ。加えて、癖のあるキャラクターを使いこなすやり込みの面白さも強化され、よりベルトスクロール型アクションゲームとしてのらしさを高めた内容に進化を遂げている。裏を返せば、気軽にコンボを繋げられなくなったのだが、コンボの繋げ易さ自体は前作と変わらずで、キャラクターのレベルを上げれば一方的な戦いに持ち込めるRPG的な力押しは今回も普通に通用する設計。そんな前作の良い部分をを守るのも万全で、手応えを高めつつ、爽快感も残したバランスの取れた調整にまとめられている。
また、爽快感をより高める新アクションも導入されている。それが『強襲攻撃』。空中での攻撃を行っている際、キャラクター自身が急降下して地上に戻るという攻撃方法が加わった。これにより、空中コンボこと『飛翔乱舞』を行った後、地上へと降り立った直後にもコンボを繋げられるようになり、途切れの無い連続攻撃を行えるようになった。併せて、必殺技こと『秘伝忍法』も前作は基本的に地上でしか発動できなかったが、今回は空中でも繰り出せるようになって一気に使い勝手がよくなった。更に空中で発動した『秘伝忍法』は『空中秘伝忍法』という形で扱われ、技自体もそれに応じた新しいものになっている。それにより、キャラクター一人が持つ秘伝忍法の数も前作の二種類から三種類へと増加。より大胆に攻め込めるようになり、戦闘で敵を一網打尽にする爽快感が味わえる作りへ進歩している。
更にシステム周りで、アクセサリー装備による補助効果付与を廃止。純粋な着せ替え専用アイテムへと改められた。これにより、攻略に応じて装備を切り替える戦略性が失われたが、プレイヤーの好みに応じた着せ替えが気軽にできるように。賛否あるが、効果付与で装備が固定される点に違和感を抱いたプレイヤーにはある意味、嬉しい変更点と言えるかもしれない。また、着せ替えを行うのに当たって用意された『更衣室』も立体視に完全対応となってパワーアップ。紳士の要求に応えた仕上がりになった。ただ、前作同様にアクションステージは立体視未対応で、今回もイベントや演出に絞り込まれている。だが、その質は前作の二倍近くに上昇。どう上昇したかは…実際に製品版でご覧ください。
そして更なる追加要素として、前作『閃乱カグラ -少女達の真影-』を『半蔵編』として収録。実は今作、続編単体の内容では無い。何と、前作も収録した豪華仕様なのである。しかも、ベタ移植ではなく、先に紹介した強襲攻撃、空中秘伝忍法、立体視に対応した更衣室と言った新要素を反映させた再調整版。細かい所でも、イベントの演出が変わっているなど、前作経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる作りになっている。ただ、ストーリー本編に関しては一切加筆無し。あくまでもシステム周りだけを強化した内容という事で、その辺の強化に期待するとしっぺ返しを喰らうので要注意だ。
他にも前作収録でボリュームが3倍に跳ね上がるなど、パワーアップを遂げた箇所は多数。全体的に前作の良い所を残しつつ、更なるブラッシュアップとベルトスクロール型アクションゲームとしての手応えを強化した内容に仕上げられている。おまけにその調整を反映させた前作まで遊べるとんでもなさ。ある意味、この一本で『閃乱カグラ』の全てが楽しめる太っ腹すぎる作品。悪く言えば、前作の存在意義を無くす完全版に等しいものになっている。

そんな今作の魅力は、ベルトスクロール型アクションゲームとしての手応えの強化だ。特に秀逸なのが、個性が一層際立った五人のプレイヤーキャラクター達。癖が強化されて多少、使い難くなった所もあるが、それに併せて独特の戦法をモノにする楽しさが強化され、確かなやり応えを感じられるようになった。前作のプレイ経験があるプレイヤーほど、その個性を強めた調整には驚きを覚えること必至。飛鳥と同じ刀使いでも一つ一つの挙動に重みが加わる為、下手に立ち回ると隙を突かれかねない焔、攻撃範囲は広いが扱う武器が大剣故に少し鈍さも付きまとう詠、攻撃速度は早いがリーチが短い日影など、それぞれの特色を念頭に踏まえながら攻撃を展開していく過程には、(悪く言うと)コンボゲーに徹していた前作とは一味も二味も違う手強さを感じるはず。中でも先も紹介した未来、そして春花の二人は飛び抜けて個性の強いチューニングが施されたキャラクター。その操作感と技の特徴には前作経験者のみならず、今作で初めてカグラシリーズに触れたプレイヤーも驚くこと請け合い。彼女達を使いこなし、コンボパターンを構築する事こそが今作のやり込みと言っても過言ではないほどなので、製品版を購入した暁には是非、チャレンジしてみて欲しいところだ。
また、ゲームバランスの刷新も秀逸。キャラクターの個性強化のほか、敵が少し好戦的な立ち回りをするようになって、コンボ技が中断される恐れを残す調整に改められたのも、アクションゲームとしての手応えの強化に一役買っている。特に「少し」というのが絶妙で、コンボを繋げる楽しさ、複数の敵を一網打尽にする気持ちよさという閃乱カグラ独特の魅力を損ねない調整になっているのが素晴らしい。複数の敵がまとめて登場し、立ちはばかるのが徹底されている今作だが、これを好戦的なバランスにしたらどんなにストレスフルなゲームになるかは想像に難くない話だ。かと言って、棒立ちにする仕様にすれば、やり応えを薄める方向に作用し、アクションゲームとしての魅力が失われる。爽快感に特化するか、手応えを求めるか。この二者択一の課題に対し、今作はギリギリのレベルで二つを選択。僅かな手応えを残し、爽快感を失わせないよう「少し」ということに神経を尖らせ、全体のバランスを取ったのだ。正直、どちらかに振り切った方がスッキリするが、あえて両方選び、ギリギリのレベルでまとめ上げたのには製作スタッフの苦心を実感させられる。そして実際に双方、ちゃんと堪能できるものになっているのには拍手を送るばかりである。まさに際どさを追求した芸当。絵的にも際どさを突き詰めたカグラシリーズらしいまとめ方に進歩しているのには、座布団一枚を贈呈したいところだ。
そんな絵的な際どさの象徴、”アレ”にまつわる演出の強化具合も語らずにはいられない。まさに3DSの立体視屈指の悪用(※褒めてます)と言わんばかりにやらかしていたこの演出は、今作において更なる磨き込みが成され、プレイヤー自身の目に文字通り「ズドン」と来るレベルにまで昇華されてしまっている。決して誇張表現でも何でもない。本当に「ズドン」と来る。アクションステージを立体視に対応させなかったリソースを全て割いたんじゃないのかと、製作スタッフの狂気…否、愛を感じるほど爆発するのである。正直、この進化っぷりは実際に製品版を観ないと分からず、文字で伝えようにも限界があるのがもどかしい。だからこそ、もう一度だけ言っておきたい。大事な事なので三回言っておきたい。「ズドン」と来るのだ。そして念の為に言っておくが、性的な意味は一切含んでいない。いや、性的な意味も含んではいるのだが、それを超越するものが今作の立体視にあるのだ。気になった方は是非、3Dゲージをフルにして立体視に対応したデモシーン、特に忍務をクリアした際にキャラクターがポーズを決めるシーンをご覧になって頂きたい。「ズドン」の意味を存分に痛感させられるはずだ。見れば分かる分かるのです。
一方、改善が図られなかった所も幾つか。特にレベルデザインは相変わらずワンパターンで、背景の種類こそ増えたとは言え、忍務の内容に関しては差別化が不十分。一応、少しホラーめいた展開、意表を突くものはちゃんとあるのだが、もう少しその種の展開を増やす事ができなかったのかと、悔やまれるところだ。また、キャラクターの個性を際立たせた反動で操作周りがやや取っ付き難くなった所もある。先に挙げた二人、未来と春花はその筆頭で、本編では彼女達を使う事を余儀なくされる忍務もあるので、アクションゲームが得意でないプレイヤーは苦労するかもしれない。この辺、もう少し挙動を軽くすれば負担も軽減できたのではと思う所もあるので、少し残念だ。更に空中からの強襲攻撃など、攻撃面は増えたのに防御に当たるアクションは無し。追加すれば更にアクションゲームとしての魅力が高まったかもしれない要素が今回も省かれてしまっているのも勿体ない限りだ。何故、今回も拒否したのか。どうにもその辺は理解に苦しむ。

更にもう一つ、前作から大きく劣化したところがある。それはストーリー。内容自体は前作の裏側を描くという興味深い内容になっているのだが、戦闘を発生させる為の無理矢理な展開が目立ったり、キャラクターの崩壊とも言える描写が多々盛り込まれるなど、悪い意味での”媚び”が目立つ作りになってしまっている。また、終盤の展開が酷い。どう酷いかというと、これから盛り上がりが最高潮になる!…という所でエンディングを迎えてしまう。どう見てもそこから先の展開があってしかるべきなのに無い。このせいで達成感も薄くなってしまっている。前作もラストの展開には難点があったが、そこが改善どころか悪化とは、どういう事なのか。おまけに前作のストーリーの裏側を謳いながら、実際はパラレルワールドという設定、前作と同じ展開でも別の顛末を辿るシーンが多々あるのも賛否が分かれるところ。敵側の視点から前作のストーリーを見れる題材自体は非常に面白いのに、そうも都合のよいネタを仕込んだあまり、薄っぺらさの漂う作りになってしまっているのは純粋に残念。結果的に命のやり取りとしての緊迫感も薄れ、閃乱カグラという作品がキャラクターの萌えに特化した軽いものに堕ちた感が強まってしまっているのは本当に残念でならない。なので、前作のストーリーに魅了された方ほど、期待を裏切る出来。正直、おまけ程度の話で捉えていた方が幸せになれるだろう。
ただ、これらの欠点を踏まえても、正統進化系になっているのはさすが。特にバランス周りの改善は本当に見違えるものがあるので、前作に物足りなさを覚えた方ほどプレイしてみて欲しいところだ。
その他、操作性も少し癖がついたがキーアサインは自然で、直感的にキャラクターを動かせる楽しさに秀でた仕上がり。敵を斬った際の効果音の気持ちよさも健在で、アクションゲームとしての醍醐味をしっかりと守り通した作りには好感が持てる。ボリュームも前作とほぼ同じだが、その前作が続編と一緒になっているだけあって完全クリアを目指すとなるともの凄い時間が必要とされる。その入れ込み過ぎな内容にはやり込み派でも悲鳴を上げてしまうかもしれない。

グラフィックの完成度も前作同様に高い。特に立体視関連の演出はその象徴で、製作スタッフの3DSでのゲーム開発習熟度の向上を実感させられるだろう。音楽も前作同様に素晴らしい出来。今回もアクションゲームらしさ溢れる熱い楽曲が揃っている。特に今作で新規に用意された詠、日影のテーマ曲は秀逸な仕上がりになっているので要チェックだ。勿論、今回もサウンドテストがおまけで実装されているので聴き放題。そんな特典周りも前作準拠だ。
演出周りもストーリーの問題点で空回りしてしまっている箇所があったりはするが、イベントシーンのカット割り、ボイス、音楽の挿入タイミングなどは相変わらず絶妙且つセンスに溢れる仕上がり。アレの演出ばかりに目に行ってしまいがちだが、アクションゲームとして盛り上げる所もしっかり抑えるこだわりは今作も健在。また、立体視に対応した『更衣室』も紳士なプレイヤーにはまさに願ったりかなったりなパワーアップぶり。コスチュームの数も増え、色んな意味で製作スタッフの暴走が現れたラインナップになっているので必見だ。
レベルデザインを始めとする前作からそのままな箇所の存在とストーリーの劣化がもどかしいが、完成度自体は正統進化系と言うに相応しい仕上がり。アレの演出を見せるだけで終わらない、質の高いアクションゲームになっている。おまけに前作まで収録している豪華絢爛っぷりと、まさにこれ一本で閃乱カグラの世界を堪能できる作り。
例によって演出的に17歳以下のプレイヤーにはお薦めできないが、それ以上の年齢の方なら是非、プレイしてみて頂きたい意外性溢れる良作。前作未経験者でも、前作が入っちゃっているので全然問題無し!アレな演出も併せて、侮り難き美少女ベルトスクロール型アクションゲームの深淵を体感せよ。今回もお薦め。
≫トップに戻る≪