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≫ロックマンワールド3
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 3675円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※パスワードコンティニュー方式)
■総説明書ページ数 ニンテンドウパワー版所持の為、不明
■推定クリア時間 3〜6時間
Dr.ワイリーとの死闘から数ヵ月後の事。
ライト博士の研究所に不吉なニュースが飛び込んできた。
人々の生活を管理するスーパーコンピュータが突如、暴走を始めたというのである。
暴走と同時に都市では異常気象、交通機関の麻痺等が発生し、混乱状態に陥る。
更にそこに武装したロボットまでもが出現。
混乱状態の中、暴れ始め、都市は廃墟と化してしまう。
後に一連の騒動がまたしてもワイリーによるものだと知ったライト博士は、平和を取り戻す為、ロックマンを廃墟と化した都市へと向かわせたのだった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前二作から引き継がれた、携帯ゲーム機の特性、制約を適度に活かしたゲームデザイン
◆新たに中間ステージが挟まれるようになり、密度とボリュームの更なる深化が図られた、シリーズお馴染みの前半と後半に切り分けられた本編構成
◆劇的に強化されたロックマンとしてのらしさ(グラフィック、音楽、演出全てがファミコン版に匹敵するクオリティに)
◆1ステージが長くなって、これまで以上に歯応えのある作りへと進化を遂げたステージ構成
◆ステージの長くなった所為で、充実感が大幅に増した総計ボリューム
◆初代基準の挙動に戻され、前作の違和感がほとんど払拭された操作性
◆前二作に引き続き、覚え易さとメモのし易さが光る良心的な長さのコンティニュー用パスワード
◆ロックマンキラーのほか、新規の敵キャラクター、中ボスも登場するなど、更なる強化が図られたオリジナル要素
◆細部に至るまで、徹底的に描き込まれた質の高いドット絵が光るグラフィック
◆バスターを撃ち込んだという確かな手応えを演出する、質感抜群の素晴らしい効果音(その他、回復音などもファミコン版を踏襲したものに進化!)
◆前作から一転、リメイク主体に戻ったが、質はシリーズ最高レベルにまで引き上げられた音楽
◆ゲームボーイの限界に挑戦しようとする志の高さが現れた質の高い演出

--- Bad Point ---
◆即死トラップ敷き詰め過ぎのレベルデザイン(特にダイブマンステージが酷い)
◆一部、ギリギリの地点からジャンプしないと届かない穴の存在(スパークマンステージなど、随所で散見される)
◆上記ステージ上の問題から、嫌らしさが桁違いな難易度設定&ゲームバランス(一応、ノーミスクリア可能な調整になっているのだが…)
◆ダイブマンステージの難易度を無駄に引き上げている『ラッシュマリン』の削除(これがあるかないかで全然違う結果になってたと感じるほど)
◆やり応えは増したが、逆にダレ易くもなったステージ
◆攻撃パターンがワンパターン過ぎて戦い甲斐にかける最終ボス
▼Review ≪Last Update : 9/1/2013≫
ヤツは背後の地面に隠れているかもしれない。

全身凶器の衝撃の敵、満を持して参上!


ロックマンシリーズ外伝にして、前作では初代からの急激なクオリティ低下を見せつけ、色んな意味で話題を呼んでしまった『ロックマンワールド』のシリーズ第三作目。

初代基準のクオリティに回帰し、正統進化を図った力作だ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。主人公のロックマンを操り、自由に選択可能なステージに挑み、最後に待ち構えるボスを倒して特殊武器を手に入れ、残るステージを攻略しながら最終ステージを目指すというものだ。
システム全般はこれまでのロックマンワールドシリーズのものを踏襲。具体的には前作『ロックマンワールド2』のシステムをベースとしており、前半と後半に分割された4つのステージ、スライディングのアクションなどは今作にも引き続き実装されている。この内、分割された4つのステージに関しては強化が施され、前作ではステージ上で選択を行う方式だった後半4ステージが前半同様にステージセレクト画面で選択する仕組みに改められた。そしてこれに伴い、前半と後半を繋ぐ『中間ステージ』なる新しいステージを追加。全体のボリュームアップと密度の強化が図られた。中間ステージ自体は非常に短く、まさに文字通りに「繋ぎ」でしかないのだが、今作オリジナルの中ボスとの戦いがあったりと、その構成は地味ながらも魅力溢れるものになっている。無論、シリーズお馴染みのオリジナルボス『ロックマンキラー』も健在。それに更なるオリジナルボスが加わったという事で、今回はこれまで以上に新作の色合いが強くなっている。
更にステージ構成もボリュームアップ。前作は異様に短かったが、今回は前々作『ロックマンワールド』の作りを踏襲。それをより発展、進化させたものになっており、ロックマンシリーズ特有の歯応えを存分に味わえる構成に仕上げられている。前作の物足りない構成に不満を感じていたプレイヤーにとっては、有り難い改善と言えるだろう。初代にありながら、次の続編で失われたロックマンらしい歯応えと密度が今回、完全な復活を遂げている。
それに加え、グラフィックや音楽も初代基準のクオリティに回帰している。これも前作ではキャラクターの頭身が間違っていたり、高音が鳴り響く聴くに苦しい曲ばかり(※だが、ほとんどが新規のものであり、名曲も意外にあった)だったりと、散々な出来栄えだったが、今回は製作スタッフが初代を手掛けたメンバーに戻った事により、全てが元通りに。それのみならず、効果音は正伝シリーズのものを完全踏襲し、まさしくロックマンだと言い切れるものに発展を遂げている。曲に関しては全曲オリジナルでなくなり、ファミコン版のアレンジが主体になった為、新作色は大幅に薄れてしまっている。しかし、高音が鳴り響く聴くに苦しい所は皆無。従来のロックマンらしい聴き取り易くて耳に残るサウンドが蘇っているという点では、嬉しい改善と言えるだろう。無論、全くオリジナル曲がない訳ではなく、一部のステージではオリジナルの曲が使われている。また、前半と後半、それぞれのボス戦の曲が個別に設定されていると言った地味なこだわりも炸裂。そんな演出面の強化も今回の大きな見所だ。
この他、アクション周りも今回は『ロックマン4』をベースにしている部分もある事から、チャージショットを新たに追加。敵やボスに二倍のダメージを与える『ニューロックバスター』が撃てるようになった。しかも、『ロックマン4』から単に輸入しただけで終わらせず、チャージの仕様を改善。オリジナルの『ロックマン4』では、一発だけロックバスターを撃たないとチャージが行えない仕組みだったのが、今作では後の『ロックマン5』と同様、撃たずともチャージができるようになっている。これにより、使い勝手が大幅に向上。5以降の仕組みであれば良かったのにと、『ロックマン4』で感じたプレイヤーの要望に応えた作りになっているのだ。オリジナルからそのまま引き継がず、問題点を改善して引き継ぐという手法は実に見事。そんなリベンジとも言える変更が図られているのも、見逃せないところだ。
チャージショット以外にも、同じく『ロックマン4』で新たに登場したサポートキャラクターの『エディ』が登場。ステージの要所要所でアイテムを提供してくれるようになり、以前にも増してステージを進め易くなっている。前作で追加された『E缶』も健在、ラッシュによるサポートアクションもそのままと、完成度の高いシステムも一切削られないままという徹底振り。前作が酷過ぎたのもあるが、今回は全てが見違えるほどに進化。初代基準のクオリティに完全回帰し、まさに『ロックマンワールド』ここに復活、と豪語できる内容に完成されている。一体、前作は何だったのか、と疑問符が浮かぶほどだ。

例によって今作の魅力は、前作から飛躍的に向上したゲーム全体の完成度の高さに尽きる。ゲームボーイでのゲーム製作経験がない人が作ったのが丸見えなあの素人臭さは何処へやら。システム、バランス、グラフィック、音楽、演出と何もかもが水準以上の出来になり、これぞ正当進化系だと豪語できるレベルの内容に仕上げられている。そのクオリティは、今作こそが真のロックマンワールド2と言っても差し支えないほどだ。
特に傑出した「ロックマンらしさ」は秀逸の一言に尽きる。ゲームボーイという制約の多い携帯ゲーム機で、あの高いアクション性と特徴的なシステムが特徴のロックマンを作る。それに挑んだのが前々作『ロックマンワールド』であり、ハード特有の弊害を受けながらも伝統の遊びと手応えをを実現し、見事、ゲームボーイならではのロックマンというものを作り上げた。難易度設定において課題も残されはしたが、その出来栄えにはロックマンの面白さはゲームボーイでも不変という事実をプレイヤーに深々と認識させ、今後のワールドシリーズの展開に大きな期待を抱かせたのは間違いないだろう。
しかし残念な事に、前作はその期待を大きく裏切る出来で、初代の完成度は奇跡だったと認識せざるを得ない結果になってしまった。前作はゲームボーイのゲーム制作に不慣れと思しきスタッフが作ったのか、出来が悪いのもやや納得できるものがあったが、それでも初代の素晴らしさに魅了されたプレイヤーにとって、前作が今後のシリーズ展開に絶望しかない事を認識させるに十分過ぎる素質を持っていたのは否定のしようがないだろう。
そんな前作の懸念の数々を払拭する為、今作では製作スタッフを初代を手掛けたメンバーに戻し、あの完成度が奇跡ではない事を証明する為の作り込みを徹底。ゲームボーイでもロックマンは作れるという事実を再度見せ付け、やろうと思えば正伝シリーズに近いレベルにまで持っていけるという事までも追求したのだ。
念の為、正伝に匹敵する出来を目指したのかは憶測の域を出ないが、実際に今作は正伝にも引けを取らぬクオリティを実現。ステージは前作のような小ざっぱりしたものでなく、多彩な仕掛けと絶妙な敵配置が光るやり応え抜群の作りになり、ボスに関しても特殊武器で弱点を突けばあっさり倒せる反面、普通に戦うと手強いと言った二面性のあるバランスでまとめられるなど、これは紛れもなくロックマンだと断言できるものに完成されている。
中でもステージは、これまでのゲームボーイの液晶サイズを考慮した狭い作りを踏襲しつつも、初代基準の確かな充実感と手応えを追求した設計が成されているのが見事。前作よりも長めの作りになった事で手軽さは失われたが、その密度の濃さは正伝シリーズに匹敵するどころか、携帯機の枠を超越したものになっている。しかも、今作では中間ステージが導入された事でボリューム全体の厚みも強化されただけでなく、ロックマンキラー以外のオリジナルのボスとの戦いも挟まれるなど、本編全体のボス戦の数もこれまで以上に増強。肝心のボス達も、今回も前作、前々作と同様に正伝シリーズ二作(今回はロックマン3とロックマン4)から選ばれた4体が立ちはばかるのだが、一部のボスの弱点が変更されているなど、正伝の経験が活かされない所があって侮り難い強さに設定されている。無論、彼らのステージも世界観や音楽は正伝を踏襲していながら、構成そのものはオリジナル。こちらでも正伝の経験が何一つ役に立たない作りになっている。更に一部ステージでは、時限爆弾と言った今作オリジナルの仕掛けまで登場するという徹底振り。嫌でも気合を入れて作り込んでいる事を思い知らされる。
初代『ロックマンワールド』も独自の仕掛け、携帯機のゲームとは思えぬ密度を感じるステージがあり、並ならぬ本気を感じさせられたが、今作の本気はそれ以上。初代をベースにし、それをよりよい方向へと発展。更に前半後半を合わせたステージ数を8つにしてボリューム面で『ロックマンのお約束』を演出しつつ、中間ステージという新しいステージを実装して新鮮な体験をプレイヤーに提供する気配りも忘れずに行っている。そして極め付けとして、正伝から踏襲したシステムも改善して遊び易さを強化させる事も忘れないという隙の無さ。
所詮、携帯機のゲームなので無駄に凝る必要はないという妥協は何一つ無く、正伝を強くライバル視したかのようなその徹底した作り込みの数々には、前作で絶望を与えてしまったプレイヤーに希望を提供しようとする意気込みとロックマンというゲームに対する突き抜けた愛を痛感させられるばかりだ。制約の多いハードで、限界を超えたものを作ろうとする心意気、そしてそんなハードでも名作をしっかり遊べるようにするこだわりの数々。それほどまでに今回は初代の正当進化系というに相応しいクオリティであるのみならず、正伝シリーズの新作と言っても不思議でないほどにレベルの高い出来となっている。ロックマンらしさ…ボス戦のバランス、伝統のゲーム展開、密度の濃いステージ構成もシリーズ随一と言っても過言ではなく、紛れもなく進化したロックマンワールドであると豪語できる作りだ。
前作の出来に嘆いた方も今回は大満足間違いなし。妥協の無い作り込みと正伝にも勝るとも劣らぬ内容の濃さには、改めてゲームボーイでも遊び応えのあるロックマンは作れるという事を大いに思い知らされるだろう。

その他、操作性も初代基準のものへと回帰。正伝シリーズに近い挙動、動かす楽しさにこだわったものに仕上げられている。難易度設定周りも前作のゴリ押しが容易に効く大味な調整から一転。敵や仕掛けの動きを適度に読みつつ、的確に回避しながらプレイしていかないとあっという間にやられてしまう、これまた初代基準のロックマンらしい手応えのあるものへと回帰している。しかし、お世辞にもまとまり具合は絶妙かと言うとそうとは到底言い難い。
特にステージ構成だが、密度こそ見事ではあるが、ギリギリでジャンプしたりしないと即死となるポイントが無駄に多いのはさすがに褒められない。まるで針の穴に糸を通すかの如きプレイが求められてくるので、気持ちよくアクションが楽しめない。後半の4ステージはその極みで、ダストマンステージのプレス地帯、ダイブマンステージのトゲ地帯は嫌がらせの域。序盤のスパークマンステージの狭い通路の先にある穴も嫌らしいことこの上ない。こういう嫌らしい仕掛けで難易度を上げるのはやり方的にあまりに安直で、面白さなどあったものではない。
念の為、嫌らしい地形の大半は全て無傷で突破できる為、難易度的に破綻してはいない。ただ、この為にクリアするだけでも精神が無駄にすり減らされるのは非常に辛い。クリアできるだけマシではあるが、どうせならもっと数を減らし、適度にヒヤヒヤさせる程度の設計にまとめて欲しかったところだ。正直、基本の出来は悪くないのに、こういう所で評価を落としてしまっているのはあまりにも勿体無い。
同じくステージ構成では、長めになったのにリトライポイントが少なめと言うのも地味に残念なところ。これも可能なら、もう少し多く配置するなりして欲しかった。難易度が高い後半ステージでは、その少なさが逆にしんどい。

他にも、サポートキャラクターのラッシュの変身形態である『ラッシュマリン』が削除され、水中面の攻略が厳しくなってしまったなど、少し首をかしげる欠点は幾つかある。特にダイブマンステージはこれがあれば難易度的にも適切になったと思うだけに、削除されたのが本当に痛い。願わくば削らずに残して欲しかったところだ。
そう難易度周りに関しては残念な所が散見される今作だが、総合的な完成度は初代並の高さで、これぞまさしくロックマンだと豪語できるほどのものになっている。グラフィック、音楽も前作のような無茶苦茶さも無ければ、基本的な出来自体も申し分無し。演出周りも豪華になり、ストーリーの展開に応じて挟まれる大きな一枚絵によるデモシーンは必見だ。
全体的に難易度が高め且つ、嫌らしい所も散見される為、前作ほど手軽に遊べなくなってしまったが、その手応えと密度は紛れも無くロックマンであり、ワールドシリーズの正当進化系と言うに相応しい出来栄えを誇る今作。
ロックマンファンは言うまでも無く、アクションゲームが好きな方ならば是非、挑戦してみて頂きたい傑作だ。前作の出来に絶望した方も今作は大丈夫。難しいけど、初代基準のロックマンワールドがここに復活です。お薦め。
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