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≫虫っ 町の昆虫ものがたり
■発売元 タイトー
■開発元 グローバル・A・エンターテインメント(現:GAE)、マリオネット
■ジャンル アドベンチャーRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫GAE:公式サイト
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ対応
■総説明書ページ数 25ページ
■推定クリア時間 20時間〜23時間(エンディング目的)、40〜45時間(完全攻略目的)
人間の都市開発により、乏しくなった町の自然環境。
そんな町の自然環境では今、ミツバチとスズメバチの土地争いが起きていた。
主人公のナナホシテントウはふとしたことから、知り合いのミツバチと共に彼らの町全土の征服を阻止する為、戦いの渦中へと巻き込まれて行くことになる。
暴力による町の支配を目論む、スズメバチ達とその大ボスである将軍。
ナナホシテントウとミツバチの二匹は、そんな彼らの野望を阻止できるのだろうか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆絵本を読む感覚でイベントの進行やマップ探索、戦闘を行っていく、DSのハード特性を活かした独自のゲームデザイン
◆銀はがしの要領で探索を行っていくのが新鮮な、独特のマップ構成
◆戦闘を行う度に敵が強化され、難易度が上昇していく過程がユニークな強化システム
◆おはじきの要領で技チップをペンで弾いて攻撃を行っていく、シューティング風味な手応えが新鮮なバトルシステム
◆攻撃技、ステータス面など各々の特徴が上手く差別化されている全10匹もの仲間達
◆タッチペンだけしか使わない、DSならではの直感的且つシンプルな操作性
◆タッチペン操作限定ならではの使い易さへのこだわりが光るインターフェースデザイン
◆見た目の緩さに反して意外に歯応えのある戦闘バランス
◆緩い台詞回しとほのぼのとした雰囲気で統一されつつも、終盤になって無駄に熱くなるユニークなシナリオ
◆ほのぼのとした世界観にマッチした緩い音楽
◆目だったアニメーションの少なさが返って絵本らしさを高めてる、独特の演出
◆絵本らしさへのこだわりが光る、大きくて見易い文字フォント

--- Bad Point ---
◆単調極まりないゲーム展開(終始、同じ事の繰り返し故に中盤からダレる)
◆変化に乏しく、プレイヤーを飽きさせない配慮に欠けたマップデザイン(最後の最後まで、5×5マスのマップだけ)
◆プレイの作業化と単調化を加速させている、作り込みの甘い敵の強化システム
◆マップごとの曲数の少なさと演出の弱さ(終盤になってやっと新しい曲が流れるなど、飽きさせない配慮に欠ける)
◆チーム戦ばかりで変化に乏しいボス戦
◆終盤に登場する大型ボスの常軌を逸した強さ(ラスボスより強い…)
◆単調なゲーム展開に更なる苦痛を付与するレベル上げ(敵の強化システムとの相乗効果で、凄まじい作業感が)
◆シナリオにおける分岐イベントの少なさ(一握り程度と乏し過ぎる)
◆単調なゲーム展開に割りあわぬ総計ボリュームの多さ
◆キャンセル操作が煩わしい、タッチペン操作限定特有の欠点が際立つ戦闘参加メンバーの編成画面
◆ゲーム展開の単調さもあり、極める気にもなり難いやり込み要素『昆虫図鑑』
◆動きが少ない故、地味さも際立つイベントなどの演出
▼Review ≪Last Update : 3/28/2010≫
見えない所で過酷な争いは続いている。

しかしその争いを体験するのもまた、過酷。


ニンテンドーDSを絵本に見立ててプレイする仕組みを活かしたアドベンチャーRPG。開発はタイトーとはダンジョンメーカーシリーズでコラボした経験を持つ、グローバル・A・エンターテインメント(現:GAE)、マリオネットの二社が担当。

発想は面白いが、細かい作り込みの甘さが際立つ凡作だ。

内容はかなり特殊。DS本体を縦に持ち、絵本を読む感覚でマップ探索、戦闘、イベントなどをこなしていく、アドベンチャーRPGなるものだ。より突っ込んで紹介すると、一本道のマップクリア型RPG。ページ単位で用意された目次(街)のマップを一つずつ攻略し、ストーリーを進めていくという具合だ。ジャンル名が語る通り、アドベンチャーゲーム色の強いRPGであり、本編はコマンド選択などの行為を繰り返しながら展開。
世間一般のRPGでは当たり前な、マップ上のキャラクターを動かす概念そのものが無い、非常に珍しいシステムを起用したRPGとなっている。キャラクターを動かす概念が無い故、マップ探索の仕組みもかなり特殊。タッチペンでマス目をこすって(スクラッチして)行う。実は今作に用意されている全てのマップは、5×5マスのスクラッチマスで構成。このマス目を一枚ずつこすってはがしながら、探索を行っていくのである。要は「銀はがし」。「当たり目」探しを行うという、あまりに特殊な作りとなっているのだ。
もはやRPGというより、これは宝くじなどの一攫千金ゲームも同然。「当たり目」があるという事は「ハズレ」もある訳で、如何にそれを引かずに当たりを見つけられるかという所は、もはや賭け事そのもの。もはやこれをRPGと形容して良いのか、怪しいシステムであると言っても、何ら不思議では無いだろう。
しかし、これが意外にRPGしている。特に当たり目を探す為に各マスを調べまくると言ったそれは、一般のRPGで次の目的地を探すのとほとんど感覚が変わらない。そして、その途上で敵との戦闘に巻き込まれる(ハズレを引く)のも、RPG独特の唐突さがよく表現されており、基本が確立されている。マス目をめくるその過程こそ違えど、手応えはまさにRPGとなっているのだ。言うなればこのシステムは、RPGの本質だけで構築されたものと言ったところ。別の遊びであるにも関わらず、RPGを表現してしまっているのである。銀はがしの何処にRPGが?そんな疑問を覚えた方も、実際にプレイして見れば、その違和感の無さに衝撃を覚えるだろう。同時にキャラクター動作が無くても本質さえ抑えていれば、RPGは成立する。そんな事もこのシステムからは感じ取る事ができる。キャラクターを動かす事自体がRPGの全てではない、そんな価値観を生み出してしまっている有様にもまた、ちょっとした衝撃を味わうだろう。
また、探索だけでなく、敵との戦闘のシステムもかなり特殊。メンバーアイコンに表示される「技チップ」なるカードをタッチペンでスライドして相手にぶつける、「おはじき」風味のものとなっている。更に戦闘はリアルタイムで展開。少しでも休んだら、敵から集中攻撃を受けてあっという間に全滅する事すら平気で起こり得る等と、緊張感も満点。なかなかスリリングなものに仕上げられている。更に戦闘に参加するメンバーには防御の概念が無い、「技チップ」には制限があり、使い過ぎると弾切れして攻撃不能になると言った特殊な味付けの数々も、戦闘の緊張感を助長。戦闘に参加するメンバーも最大4匹までだが、最終的には10匹以上になるなど、メンバーの組み合わせを考える戦略的な要素もあり、一定の奥行きを与えている。何よりも、マップ探索が「銀はがし」で戦闘が「おばじき」と、全く異なる遊びで確立されているのが実にユニーク。一本で二つの遊びが味わえてしまうその贅沢さは、まさに今作ならではと言っても良いだろう。手応え自体はアクションに近い為、若干難易度の高い所もあるが、シンプルに直感的に触れる敷居の低さ、緊張感を煽る要素の数々は、独特の手応えを与えてくれる。探索は探索でやや癖はあるが、これは癖も弱くて魅力的。今作を触るにおいて、何が何でもチェックする価値のあるシステムの一つといっても良いだろう。
他にもアドベンチャーらしい、選択肢による分岐で変化するイベント、戦闘を重ねて度に強化されていく敵の仕組み等、一線を欠く要素は多々収録されている。それでも先の要素をご覧になっただけでも、今作の特異さは十分に分かるだろう。何処を取っても普通でないRPGなのだ。

そんなRPGとしての特異な作り、それこそが今作最大の魅力だと…それらのシステムが面白く出来ていれば、断言していただろう。残念ながら、これらのシステムは今作最大の魅力ではない。むしろ、今作最大の魅力はこれらのシステムの「発想だけ」である。移動の概念を廃し、RPGの本質だけで確立させた探索。おはじきの遊びを取り入れた戦闘システム。それらの発想は文句無しに面白い。だが、そこから先の工夫が致命的なまでに乏しい。肝心のゲーム本編の展開の楽しさと結びついていないどころか、全く楽しさを表現できていないのだ。全てにおいて、適当過ぎるのである。
具体的には、スクラッチで探索するマップデザイン全般。何と、今作に用意されているマップデザインは序盤から終盤も含めて全て、5×5マスのマップだけ。マス数が異なるマップ、単一構成マップと言った違いを出す工夫が全然施されてなく、終始似たマップをスクラッチしていくだけという、最悪な作業感が醸し出されてしまってるのだ。その為、プレイしていて中盤で楽しさは薄れ、強烈な倦怠感が増していく。
ならイベントで違いを…と言っても、そのイベントも似たりよったりなものが大半で、全く違いが出せてない。唯一、違いが出せてるのは最後のマップだけという手抜きっぷりだ。その他は敵の量(ハズレマス)を増やす、三重構成(1つのマップに5×5のマップが複数ある)にする、背景を変える等のセンス皆無な水増しをしているだけ。楽しさなんてあったものじゃない、酷い仕事っぷりとなってしまっている。
マップデザインだけでなく、戦闘にしても工夫が足りなさ過ぎる。ボス戦のほとんどがチーム戦ばかり、大型ボスとの戦いや連戦は僅かに一回しかないなど、味付けが下手。大半のボスが昆虫全般というのも何か物足りないものがある。意表を付いて農機具の化け物を出すとか、そんな展開があっても良かったのではないのか。
昆虫の世界を舞台にしたゲーム故、世界観を守り抜かねばならないという意図があったのかもしれないが、もう少しプレイヤーを驚かす事を考えられなかったのか。マップデザインと並行するが、本当にその辺の工夫のなさには呆れるばかりである。見た目も変わらない展開に何の魅力があると言えるのか。正直、言葉が悪いがプレイヤーを馬鹿にし過ぎである。特徴的なシステムを組み入れていれば、同じ展開が続いても飽きは来ないとか、スタッフは本気で思ったのか。容赦なく言わせて頂くが、仮にそうだとしたらゲーム作りを舐めてるとしか言い様がない。ゲームだけでなく、同じ事ばかり続いたら、誰だって飽きるものだろう?そんな基本的な事すらやれないだなんて、失礼だがプロ失格だ。斬新なシステムだけ入れれば、そのゲームは確実に面白いものになるとか、妄想も甚だしい。そのシステムを最大限に活かす外の工夫をしっかりしてこそ、そのゲームは初めてアイデンティティーを確立するんじゃないのだろうか。
だから、マップにしても無駄に広いマップがあったりとか、そういう仕掛けを施していれば、システムの魅力も一層映えていた。戦闘にしても、意表を付いたボスを登場させたりすれば、それなりに面白味のあるものとなっていただろう。
イベントにしても、途中でミニゲームを導入するとか、あっても良かったはず。
折角、銀はがしの探索システムと言い、おはじきの戦闘システムと言い、基本はきちんとしているのに勿体無さ過ぎる。発想だけで終わらせてしまう辺りに改めて、今作のスタッフの力量の無さを思い知らされるばかりである。本当、これがもっと手入れされていれば、話も違っていた。ゲーム的にも希代の名作となっていたに違いない。そう言った肝心の所に力を入れず、放置した罪は冗談抜きに重罪だ。単に普通でないRPGとして終えてしまって、何が満足なんだ?

操作性も基本、タッチペン操作だけなので敷居が低く、直感的に動かせるのだが、ゲーム展開の工夫のなさも相まって、次第に飽きる。最初から最後まで、スクラッチとスライドの繰り返し。これの何処が楽しいと言える?
戦闘バランスも概ね、適度な難しさを出しているのだが、先の工夫のなさも相まって魅力に欠ける。また、戦闘を繰り返す度に雑魚敵が強くなっていくシステムも、バランス調整も含めて極端で、これもまた展開の単調さ(レベルが上がって敵を倒し難くなったら休憩してリセット…の繰り返し)を生んでしまっているのが痛々しい。
ボリュームも結構あるが、展開の工夫の無さも相まって正直、苦痛な量だ。こんだけ単調なら正直、10マップ程度で良かった。やり込み要素も昆虫図鑑などがあるが、苦痛さも相まって魅力は皆無に等しい。
グラフィックも特段、目立ったインパクトは無くて魅力は皆無に近い。音楽も曲数が少ない上、マップ曲が序盤から中盤まで共通、終盤でやっと違う曲になるなど、演出の工夫が致命的に欠けている。マップごとに音楽を変えるだけでも、単調さは拭い去れたのに、それすらしない仕事の無さには全く持って飽きれる。しかし曲自体の出来は悪くなく、その点は救い。特に最終マップ前座のマップで流れる曲はなかなか熱くて良い感じだ。
シナリオも、絵本みたいな独特の緩い台詞回しと展開が秀逸。終盤の絵本らしさを忘れた火傷必至の熱い展開もなかなかだ。だが、これも序盤から中盤の展開は例によって工夫が甘い(スカスカになっている)というオチだったりする。ただ、マップデザインやシステムなどと比べれば、ここは頑張ってると言えるだろう。

ゲームシステムは非常に真新しい。RPGの本質だけを抽出して作られたマップ探索のシステムなど、評価できるところはそれなりにある。しかし、そのシステムを活かす工夫とプレイヤー視点に立ててない最悪な姿勢が一貫されてる故、残念ながら総合的な完成度は駄作ギリギリのレベルとなっている。
繰り返しになるが、これでもっとレベルデザインがしっかりしていれば、名作の地位を確かなものとするゲームにはなっていた。RPG史上に一石を投ずる逸品になっていただろう。しかし、それすら成されず、名作になる可能性を持ちつつ散ったゲームにまとめられてしまってるのが、この『虫っ 町の昆虫ものがたり』である。
正直言って、とてもオススメできた代物ではない。システムの発想には魅力はあるので、それらはゲーム好きならチェックする価値があるが、本腰を入れて遊ぶに値するゲームではない。これをやるぐらいなら、他のRPGとかをプレイするのが遥かにオススメだ。一部で過大評価もされてるが、断言しよう。今作にそれほどの価値は無い。
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