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≫Psycho Dream(サイコドリーム)
■発売元 RIOT(日本テレネット)
■ジャンル アクション
■CERO(推定) B(12歳以上対象) ※出血、薬物描写等あり
■定価 9345円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 27ページ
■推定クリア時間 2〜3時間(エンディング目的)、4〜6時間(完全攻略目的)
■補足情報 ≫備考録(※後日談の詳細など)
柚木 沙耶香、17歳。
初めての恋を母親の理不尽な理由により引き裂かれた彼女は、仮想空間を実体験できる危険なゲーム機器『Dムービー』の世界へとブレインアウト。シンカーと化してしまう。
シンカーとなったものは、僅か1週間で死に至る。それは、ほとんど自殺行為でしかない。
彼女を現実世界へとリターンさせる為、国家公安委員会直属の公安四課、通称『ダイアモンドの犬』所属のデバッカー、シジマ・リョウ、トバリ・マリアの2名は、沙耶香がブレインアウトしたDムービー『廃都物語』へブレインアウトする。

彼女の命は、あと24時間持つかどうか…。

1992年冬。
薄曇りの空から、重金属を核とした雪の降る、寒い夜の事である…。

≫詳細なストーリーはこちら
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージを順にこなしていく、シンプルな仕組みで取っ付き易いゲームシステム
◆攻撃武器から攻略法まで変化する差別化が図られた、個性的な二人のプレイヤーキャラ
◆難易度選択機能、二人のキャラによる異なる攻略など地味に充実したやり込み要素
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、狂気的なロケーションに富んだ全6ステージ
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、幻想的且つ不気味な敵キャラクター達
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、狂いに狂った派手な演出群
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、プレイヤーのパワーアップシステムこと『トランスミューテーション』
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、ド派手な全体攻撃アクション『ファイナルアトラクション』
◆極端な大味っぷりがまさに「病的」だとしか言い様の無いゲームバランス
◆まさに「神々しい」としか表現のしようがないラスボス戦(要チェック)
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、狂気的な色彩で彩られたグラフィック
◆まさに「病的」だとしか言い様の無い、電波染みた狂った音楽
◆まさに「先鋭的」だとしか他に言い様が無い、異質極まりないストーリー(設定も凄い)
◆史上初、エンディングの内容が記された説明書(しかもゲーム本編の楽しみに直接影響しないという気配りの良さ)

--- Bad Point ---
◆LRボタンでダッシュのボタン配置が煩わしい、いま一つな操作性
◆悪い意味で大味過ぎるゲームバランス
◆演出は凄いが、あらゆる意味で難し過ぎるラスボス戦(攻撃が激し過ぎる…)
◆仕掛けは多彩だが、一部に手抜きも見受けられる全6ステージ(特に3と5が酷い)
◆極端に狭い当たり判定が気になる攻撃アクション(特にリョウの攻撃全般)
◆その当たり判定の狭さもあり、極端に開き過ぎてるキャラの能力差
▼Review ≪Last Update : 12/31/2008≫
それほど、Dムービーの世界は強烈だった。

まさに「病的」だとしか言い様がなかった。


日本テレネットの社内ブランドで、これまでに『Xak』シリーズ、『エグザイル』シリーズを手掛けてきたRIOT(ライオット)が送る、完全新作のアクションゲーム。

病的な世界観とストーリーが異彩を放つ怪作だ。

ゲーム内容はオーソドックスな横スクロールタイプのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーはシジマ・リョウ、トバリ・マリアの二人の主人公のいずれか一人を操作し、『廃都物語』と呼ばれる仮想世界に点在するステージを攻略。この世界へと逃避してしまった少女・沙耶香の行方を追うというものである。
正直な所、アクションゲームとしてはそんな真新しいものじゃない。ステージを順に攻略(一本道)、そして二人の主人公のうち、いずれかを選択して進めていくプレイスタイルなど、既にこの手のジャンルでは使い慣らされたとも言えるシステムで構築されている。アクションゲーム初体験者は除いて、経験者ならばそのあまりにありきたり過ぎる内容に、あまりに平凡な作品だな…とこの時点では思ってしまうだろう。その事実は否定しない。今作はアクションゲームとしてはあまりに平凡。ファミコン時代に幾度無くリリースされたステージクリア型アクションゲームと内容面では大差は無い。しかし…だ。今作は単にその一言だけでは済まされない、強烈な魅力を兼ね備えている。
その魅力こそが今作全体を覆う、あまりに病的過ぎる世界観だ。少し端折っているが(より具体的な内容を知りたい方は、こちらのストーリー(完全版)をご覧ください)、冒頭のストーリーを見れば一目瞭然。「これ、アクションゲームで扱う内容か?」とツッコミたくなってしまうほど、恐ろしくどす黒くて生々しい内容となっているのである。世界征服を企む悪の天才科学者の野望を阻止するとか、大魔王にさらわれたお姫様を救出すると言ったそんな軽々しい(失礼)ものじゃない。ひょっとしたら近い将来にこんな事が起きるのでは…という得体の知れない恐怖が描かれた、あまりに先鋭的、且つ作家性に富んだストーリー・世界観となっているのだ。だが、実際の本編に冒頭のストーリーを活かした会話シーンみたいなのは無い。基本的に本編は数あるステージクリア型アクションゲームと同様に、ステージをクリアしていく事で淡々と展開していく仕組みなので実質、本編においてストーリーはほとんど空気となっている。元々、昔のゲームでもあり、同時にゲーム自体の容量も少なめだから、その辺の描写が決定的に不足しているのは正直、仕方が無いと言ったところ。変に壮大なものを期待してプレイすると、肩透かしに合ってしまうだろう。
とは言え、全くストーリーが描かれてない訳ではあらず。ステージを彩るグラフィックにプレイヤー絡みのシステム、演出周りはそのストーリーを最大限に活かしたものに仕上げられており、そこから病的な世界観そのものの匂いを感じ取れるものに仕上げられている。
ステージに関しては、今作では全部で6ステージが用意されているのだが、そのロケーションがあまりに強烈。不気味な怪物がうごめく荒廃都市、ゲル状の生物によって侵食された新宿(ちゃんと地名まで出てくる)地下鉄、そして何かの体内のような気色悪い地形で構築されたテーマパークなどと、(良い意味で)気分が悪くなるほど病的な世界観を反映したものばかりとなっている。ステージごとの個性付けもバッチリ。オーソドックスなアクションステージもあれば高速スクロールで展開するジェットコースター風ステージもあるなどと、多彩な展開が盛り沢山でプレイヤーを飽きさせない。一部、手抜きに近いステージがあったりする(特にステージ3とステージ5)のが惜しまれるが、まさに『廃都物語』の名に相応しいその強烈なビジュアルは、プレイしたものに一生忘れられぬ記憶を埋めつけてくれるだろう。
また、各ステージのラストに待ち構えるボス達も、『現実逃避をした少女が妄想で作り出した』という設定が活かされた不気味な面子ばかり。病的な世界観を一層際立てる存在感を発揮している。勿論、ボス戦自体もそこそこ熱い仕上がりとなっており、手に汗握る緊張感を演出。特に見所なのがラスボス戦で、そのラストとは思えぬ”神々しい雰囲気”は他のアクションゲームでは味わえない魅力に富んでいる。何処がどう神々しいのかはプレイしてからのお楽しみと言う事で伏せるが、このラスボス戦はアクションゲーマーを問わず何が何でも体験しておくべき価値がある。他のアクションゲームでは滅多に味わえないその稀有な雰囲気には、誰もが心を打たれてしまうだろう。

その次のプレイヤー絡みのシステムもまた、ステージに負けず劣らず病的。
先も紹介したが、今作では二人の主人公がいて、この内の一人を選んでゲームを進めていくことになる。各主人公…リョウとマリアにはそれぞれ異なる特徴があり、リョウは剣による接近戦向けの攻撃が得意、マリアは反対に遠距離戦向けの攻撃が得意と言った感じに個性付けが成されている。まるで異なった特徴を持つ二人である故、選んだキャラによって本編の難易度も大きく変化。リョウを選べばシビアな戦いが楽しめ、反対にマリアを選べば余裕を持った戦いが楽しめると言った感じにまるで違ったスタイルのゲーム展開を堪能する事ができる。流石に選んだキャラによってラストのエンディングが異なる要素とかは無いが、やり込み派のプレイヤーにはなかなか魅力的な要素。まさに一粒で二度美味しい、地味に贅沢なものに仕上げられている。
しかし、このシステムで一番見るべきところはそこではない。そもそも、全然この仕組み自体、病的ではない…むしろ、正常…である。では、一体何がこのシステムで一番病的なのか。それは、このプレイヤーキャラ達の変体こと『トランスミューテーション』と全体攻撃こと『ファイナルアトラクション』の二つだ。
あまりに衝撃的だが、今作のプレイヤーキャラことリョウとマリアは、敵が落とす『プロテイン』(!)を習得することによって攻撃力がパワーアップ。一定数集めると『トランスミューテーション』が生じ、全く異なる容姿となって特殊な攻撃の数々を放てるようになるのである。しかも、その特殊な攻撃というのがまた強烈。周囲八方向に放つレーザー、ホーミング弾などとゲーム本編が生温いものとなってしまうほど過激なものばかりとなっている。
そして、それらのアクションを習得すると同時に変体するリョウとマリアも強烈。前者はまるで中世時代の騎士、後者は背中に蝶の羽根が生えた妖精みたいな姿になるなどと、如何にもこの病的な世界観を匂わす、『異常』とも見て取れるものとなっている。更にこれはゲーム中では全く反映されてない事なのだが、先に挙げた『プロテイン』の設定も凄い。異形植物の光合成エネルギーを発光結晶体に変化させたとか、細胞増殖結晶体、狂気と幻想が生み出した究極の薬品など、あまりに”危な過ぎる”バックを秘めている。そんなものを取得して変体を遂げる主人公達…。もう、この時点でこのシステムが如何に病的なものだかは嫌になるほどお分かりになっただろう…。設定周りが凄過ぎるのだ。
あと、もう一つの全体攻撃こと『ファイナルアトラクション』も、その効果が強烈。リョウは画面上の全ての敵をモザイク模様にしてダメージを与える『モゼイックディジーズ』、マリアは画面上の敵に血の雨を降らせてダメージを与える『ブラッディレイン』と、いずれも病的極まりないものばかりとなっている。
特にマリアが所持する『ブラッディレイン』はその効果と演出も含めて病的な雰囲気バリバリ。まざまざと今作の危なさみたいなものを痛感させられるだろう。そもそも、血の雨を降らせて攻撃するって…ある意味で、悪役が持ってそうな技。そんなものをプレイヤーの特殊アクションにさせてしまうだなんて、一体開発スタッフはどういうセンスをしているのか。また、先ほどの繰り返しになるが危ない薬品を取得してパワーアップとか、何故にまたそんな生々しい設定をこうも自然に取り入れたのか。本当にもう、全てにおいて病的過ぎるとしかコメントのしようが無い。

そして、今作は演出周り…特に音楽もかなり病的。こればかりは実際に聴いてみなければ分からないが、かなり不安定というか、電波染みた狂った曲ばかり。いわゆる、ゲームミュージックらしい…印象的な旋律を持った曲がほとんどない(ただ、少しはある)。全てがまるでピアノの鍵盤を適当に打ち、それを曲にしてしまったかのような、まさに『病的』としか言い様の無い出来となっているのである。だから、今作の曲を聴いて心地良い気分にはなったりすることはない!むしろ、聴いていると精神的に侵されて来るかのような…(良い意味で)嫌な気分にさせられてしまうのだ。しかし、この曲がまた今作の世界観に驚くほどマッチしている。この曲なくしてこのゲーム無しとも言えるほどの独自性を確立してしまっているのである。普通ならばプレイの妨げになりかねない曲をこうも、違和感の無いものにさせてしまうスタッフのセンスはただひたすらに…凄いの一言だ。特にラストステージの曲はバックの背景も含めて凄く良い雰囲気となっているので、是非ともご覧になってみて欲しい。
また、今作のこの病的な音楽を手掛けた人物も凄い。何とあの『ワイルドアームズ』シリーズでお馴染みのなるけみちこ氏なのである。なるけ氏と言えば、ワイルドアームズのような西部劇風味の心地良い曲に定評がある作曲家であり、その手の作風を思い描く方も多いだろう。ところが、今作の氏が手掛けた楽曲は全てが病的。はっきり言って、今の氏の作風とは正反対の作りとなってしまっているのだ。「あの名曲を作る人がそんなものを作るはずが…」なんて方がいたら、是非…聴いてみて欲しい。きっと、良い意味でも悪い意味でも相当なショックを受けるだろう…。余談だが、今作のスタッフは他にも大物が関与していて、何とディレクターとシナリオを手掛けたのは『moon』や『ギフトピア』などを手掛けた西健一氏。これもまた先のなるけ氏と同様に、その今とは正反対の作風に…ゲームファンならば衝撃を受けるだろう…。

その他、操作性とゲームバランスはイマイチ。操作性は癖が強く、LR押しっぱなしでダッシュというボタン配置はいま一つ腑に落ちない。バランスもプレイヤーキャラの攻撃範囲の狭さの都合もあって少し雑。また、トランスミューティング状態ならばごり押しが効いてしまう反面、ラスボスは鬼のように強いなど、整合性が取れてない所があるのも気になるところだ。それ以外にも世界観に音楽も、人によって激しく好き嫌いが分かれる作りとなっているのも辛い所である。
しかしながら、今作がアクションゲームとしては極めて異色なものである事実に変わりは無し。この強烈極まりない世界観は、他の何者にも変え難い恐るべき魅力を秘めている。
至ってオーソドックスなゲームシステムの裏に、先鋭的なストーリーと世界観、そしてあまりに病的な雰囲気を凝縮させたこの『Psycho Dream(サイコドリーム)』。スーパーファミコンを持っているユーザーならば、一度でも体験してみるべき価値のある怪作だ。じわじわと…この世界に侵食されてみましょう…。
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