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≫たたいて弾む スーパースマッシュボール・プラス
■発売元 任天堂
■開発元 アートゥーン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込) ※Wiiリモコンプラス(ピンク)同梱
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 Wiiリモコンプラス(或いはWiiモーションプラス)専用(※旧型のWiiリモコンではプレイできません
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 3〜4時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
南の海に浮かぶ、小さな島『ミイナミイノ島』。
この島は大きなヤシと、精霊達によって守られ続けてきた。

だが、ある日の事、平和な島に突然、闇の王様『ジャーク』が出現。
ジャークは手下の悪者達と島の力を奪い、世界を征服すべく暴れ始めた。
そして島の象徴である大ヤシは枯れ始め、その影響でプリンセスが倒れてしまう。

島の危機に対し、精霊達の王は最後の手段として、かつて聖なる真珠を集めて島の危機を救ったとされる伝説の勇者、ポコの封印を解く事を決意。城の最深部に保管されていた勇者が眠る箱を開け、彼に救援を求める。

かくして、復活を遂げた伝説の勇者ポコ。
彼は聖なる真珠を全て集め、ジャークの悪行を食い止められるのか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ボールみたいな主人公を振り飛ばしながらゴールを目指す、単純明快・爽快感抜群のゲームデザイン
◆リモコンをラケット感覚で振るだけで遊べてしまう、単純明快過ぎる操作性
◆縦に進んだり、身体能力が変化したりと、多種多様な変化の付け方が秀逸なステージ構成
◆変化に富んだステージに華を添える、個性的過ぎる仕掛け(ギミック)群
◆バリエーションに富んだ攻撃パターンとスリリングな展開で魅せる、手に汗握るボス戦
◆マイペースなプレイを封じ、適度な緊張感を演出しているお邪魔キャラクター『オロチ』
◆単純故のもどかしさと手強さを残した、程好いバランス調整が見事な難易度設定
◆精密な飛ばし方が求められるプレイスタイルの一変と、極めた後の達成感が心地良いやり込み要素『スコアアタック』
◆長過ぎず短過ぎず、極めるとなるとそこそこの程好い充実感に富んだ総計ボリューム
◆さながらテニスをやっているかのような盛り上がり振りが面白い、二人同時プレイ
◆シュールで独特なデザインが印象的な登場キャラクター達(特にボス全般)
◆シンプルの極致とも言えるすっきりしたデザインでまとめられたグラフィック
◆障害物の破壊、振り飛ばしの気持ちよさを演出する、質感満点の爽快な効果音
◆効果音と並行して破壊の爽快感などを演出する、派手なエフェクト表現の数々

--- Bad Point ---
◆メダルを三枚集めないと真珠が取れない縛りがもたらす、もどかしい作業感
◆アクションのバリエーションが少ない為、どうしても拭い去れない単調さ(ステージの作りでそこを補っているが…)
◆単純明快だが、精度が高い為に想定外の方向に飛んでしまったりなど、思い通りにならぬ部分も残された操作性(慣れれば最小限に抑えられる)
◆二人同時プレイの敷居の高さ(Wiiモーションプラス付きのリモコン、或いはWiiリモコンプラスが別途必要となる)
◆やや高く設定し過ぎな感も否めないスコアアタック最高ランクのノルマ
▼Review ≪Last Update : 2/19/2012≫
目覚めよ、ボール勇者!

そして、飛び回って壊しまくれ!


任天堂より新たに発売された新型Wiiリモコン、『Wiiリモコンプラス』専用の新作アクションゲーム。開発はゲームボーイアドバンスの『ヨッシーの万有引力』、ニンテンドーDSの『ヨッシーアイランドDS』など、個性的なアクションゲームを多く手掛けるデベロッパー、アートゥーン(現:マーベラス)が担当。

これぞ単純明快という名の裏返し。意外に歯応え満点の秀作アクションゲームだ。

ゲーム内容は強制横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。ゴムボールのような姿をした主人公、ポコをWiiリモコンプラスで弾き飛ばし、迫り来る敵や障害物を破壊しながらゴールを目指す、というものである。
本編は、3ステージ+ボスステージの計4つのステージで構成されたワールドを順番に攻略していく形で展開。各ステージの最終目標はゴールに辿り着き、ボスステージ解禁に必要なアイテム『真珠』を手に入れる事。但し、『真珠』はステージ内に散らばる『メダル』のアイテムを三枚回収しないと手に入らない。無論、回収に失敗すれば真珠は獲得できず、例えステージをクリアしたとしても、事実上のやり直しを強いられる事になる。その為、各ステージではこのメダルの回収も逃さず行わなければならなくなってくる。基本ルールこそ単純だが、このような収集要素も含まれている為、結構一筋縄では行かぬ構成。いい意味でニクさ全開のレベルデザインとなっている。
また、プレイヤーキャラの操作も、単純ながらも一筋縄ではいかぬものに仕上げられている。先も触れたが、今作ではWiiリモコンプラスだけでプレイヤーキャラこと、主人公のポコを操作する。操作自体はビックリするほど簡単で、リモコンプラスをテニスラケットの要領で飛ばしたい方向に軽く振るだけ。これだけでポコを望んだ方向へと弾き飛ばせる。単に「ポンッ」と振るだけで、障害物を壊したり、敵を倒したりと言ったアクションの数々が出来てしまうのである。まさにWiiならではの直感操作。アクションゲームとしても、驚異的な取っ付き易さ、分かり易さを併せ持った操作系となっている。
ただ、動かすのが簡単という事は難易度的にも簡単で生温いゲームだと、今作に対してイメージするかもしれない。だが、単刀直入に言おう。そんなイメージを持ってプレイすると、酷いしっぺ返しに遭う。確かに今作の操作は簡単である。だが、かと言って、闇雲にリモコンを振ればどのステージもさっくり攻略可能なほど、生温いゲームにはなっていない。むしろ、見た目以上に難易度設定はシビア。テニスラケットの要領でと言ったように、ちゃんと飛ばす角度を考えて動かさなければ、敵にせよ、障害物にせよ、壊したいものも壊せない精密なバランス調整とゲームデザインが施されている。
そもそも、主人公のポコはリモコンを振るだけで障害物を壊したり、敵を倒してくれるほど万能ではない。それらのアクションを行うには、ポコ自身がパワーチャージ(※自動で行われるチャージ)状態になっている必要があり、このチャージが完了してない状態で飛ばしては障害物や敵にダメージすら与えられない。弾き飛ばされてしまうのだ。なので、チャージが完了した時を狙い、リモコンを振っていかなければ意味がない。適当に飛ばしても屁の河童。操作の第一印象からは大らかそうに見えるが、その実態は意外なほど繊細でシビアなのである。
更に今作はじっくりステージ攻略を楽しめるゲームにもなっていない。最初に述べたが、強制左スクロールでステージは展開していく仕組みとなっている。その為、モタモタしていると障害物と右端の仕切りに挟まれて即死。それに加え、右端(ステージによっては下部)に待機し過ぎると、後方より強敵『オロチ』が出現。マイペースで進めようとするプレイヤーに鉄拳制裁を与えるが如く、残酷な捕食攻撃を展開してくる。なので、端に待機する事は「死」を意味する。常に中央付近に待機するよう、上手く操作していかねばならないのだ。単純明快さから、ゲームに不慣れなプレイヤーにも安心して遊べる設計とイメージしてしまうが、実際はそれを根底からぶち壊す緊張と恐怖の連続。見た目以上に手に汗握る展開が画面いっぱいに繰り広げられる。そして極め付け、ポコを飛ばすのも、操作自体は簡単でも、絶対に思い通りに飛ぶ訳ではない、適度に嫌らしい調整が図られている。慎重に飛ばさねば、あっという間に惨劇ジ・エンド。ステージにしたって、何でもかんでも飛ばせば良い単純なものばかりでないので、慣れたと思ったら地獄を見るハメになる。
こんな具合に基本の分かり易さとは裏腹に手応え満点。こんな単純なゲーム、お茶の子さいさいだ、と思った人ほどしっぺ返しに遭う、意外性抜群の内容に仕上げられている。概要からは察しが付かないほど、やり応え抜群なのだ。

そんな今作の魅力は件の操作性、そして、その印象とは裏腹の作り込まれた工夫の数々に集約される。
特に操作性から連想される、「もの凄く簡単なゲーム」という印象を壊す工夫の数々には、ゲームに対する熱き思いとこだわりが炸裂している。思い通りの方向に飛ばせる訳ではない基本設計、画面右端に待機していると攻撃を始める『オロチ』の存在などはまさにそれで、単純明快なゲーム性にアクセントを加えている。
中でも操作性の思い通りのいかなさには、簡単なゲームというイメージを抱いている方ほど、面食らう事間違いなし。左に飛ばしたいのに右に行ってしまうなど、その予想外の癖の強さには強いストレスを覚えるだろう。それも、リモコンプラスの恩恵により、判定も精密なものになっているので尚更だ。何故、こんな簡単な操作でストレスを感じなければならないのかと、人によっては怒りすら湧くかもしれない。
だが、常に思い通りの操作できない訳ではないのがミソ。最初は癖の強さに四苦八苦するが、プレイを重ねるにつれ、次第に飛ばす際のコツなどが手に馴染んでくる。そして、最初はスムーズに進めなかったステージが後に訪れてみたら、テンポ良く進めるようになってたなど、大きな変化が現れる。それでも時折、思いもしない方向に飛ばしてしまう事故は起きたりするが、遊ぶ度に上達の実感が感じ取れ、それでいて、少し気を抜くとミスに繋がる設計具合には、癖のあるアクションを特徴とする作品独自の醍醐味がたっぷり。極めれば極めるほど面白くなる、奥深さと中毒性を兼ね備えたものに完成されている。自ら癖の強いアクションをものにする快感は、ファミコンの名作『ヒットラーの復活』のワイヤーアクションに近いものがあり、当時のアクションゲームをやり込んだプレイヤーほど、唸る手応えを存分に実感できるはずだ。
それでいて、変に極めずとも最後まで遊べる敷居の低さを持っているのも大きな強み。主にステージ構成において、ある程度、適当なプレイでも突破可能な甘さを残しているので、極める気力が無い方でも一応、やり通せる設計が施されている。無論、その場合は常に強いストレスに見舞われ、楽しく遊べない大きなデメリットがあるが、癖の強いアクションを売りとする作品で、このような緩さを残している点は素直に評価できる部分。操作性のイメージを大事にしようとするこだわりを感じ取る事ができる。基本的には極めた方が面白くなる為、そこまで意識が向くまでの敷居が高い点は否定できない。しかし、単純明快なそのイメージからは想像が付かないほど癖があり、極める楽しさに秀でたその作りは実に魅力的で、アクションゲームの世界に一石を投じるものとして完成されている。操作が簡単だからと言って、甘いものだと思うなというメッセージが込められたかの如きその仕上がりぶりには、アクションゲームに対するこだわりと愛がたっぷり。シンプルで取っ付き易い、しかし極め甲斐抜群というその個性的な設計は、アクションゲーム好きならば要チェックと言えるだろう。
また、そんな独自の操作を駆使して突破する、各ステージの作りの面白さも見逃せない。上下に分岐するエリアが登場し、その選択によって難易度が変わってきたり、特定のワールドでは敵の魔法でポコが鋼鉄化し、飛ばし難い状態のままでの攻略を強いられる事になったりなど、やたら個性的。単純なゲームデザインと操作性からは想像が付かないほど、バラエティ豊かな構成となっている。各ワールドのラストで待ち受けるボスも、独特の操作を活かしたネタが満載且つ、手強い面子ばかりで、唯一無二の戦う面白さを堪能できる。道中のギミック、敵もバラエティ豊かで、単にポコをぶつければ良いだけで終わらせていないなど、細かい所まで丁寧に作り込まれている。基本、飛ばすのがメインなだけに単調な内容を連想してしまいがちだが、そこも今作はきちんとカバーしており、プレイヤーに対し、常に刺激的な体験を提供してくれる。鋼鉄化など、「そう来るか!」と思わず唸ってしまうようなネタも多く、先の操作性も含め、今作がしっかりとしたアクションゲームとして作られている事を大いに実感する事ができるだろう。
思い通りに飛ばせない点など、癖の強い部分がある為に賛否が分かれる内容であるのは間違いない。敷居の低い作りの割には人を選ぶゲームと言える。ただ、癖があるだけに極めた際の快感はなかなかのもの。ステージの作り、ゲームデザイン周りにも単にリモコンプラスで主人公を飛ばすだけで終わりにしない、丁寧な作り込みが成されており、今作がアクションゲームとして、真面目に作られている事を実感できる。
直感的な操作からお手軽さを印象を侮る事無かれ。センサー操作でも、これほど奥深いアクションゲームが作れる事をプレイすれば大いに思い知らされるだろう。断じて簡単なゲームではない。確かな遊び応えを持ったゲームなのだ。

その他、難易度設定全般も単純な作りとは裏腹に、なかなか歯応えのあるバランスとなっている。普通にエンディングを目指す場合なら、程好く難しい程度だが、完全攻略を目指す場合は別。最悪、筋肉痛で数日悩まされかねないほどのきつさになっている。中でも、やり込み要素として用意されたスコアアタックのシビアな設定には、アクションゲームが得意なプレイヤーでも悲鳴を挙げるかもしれない。
全体のボリュームはステージ総数が僅か30以上と、やや少なめ。だが、一つ一つの密度が濃いほか、メダル集め(全回収)にスコアタック、そしてエクストラステージと言った特典、やり込み要素が豊富で、満足度は高め。やり込んだプレイヤーにはそれなりの特典を用意するという、如何にも任天堂らしいファンサービスが炸裂したラインナップとなっている。中でも先ほどの繰り返しとなってしまうが、スコアアタックはやり込み甲斐抜群。特典も多彩なので、コアなプレイヤーも納得の満足感を得られるはずだ。
グラフィック、音楽周りに関しては可もなく、不可もなくの仕上がり。グラフィックはコミカルの極致と言った感じだが、エフェクト周りはやたら派手。障害物を破壊した際の大きなスコア表示にボス戦における派手な攻撃など、いずれも見るだけで楽しい。中でもボス戦の盛り上がりっぷりは要チェックだ。音楽は印象に残る曲は少なく、地味。ただ、場面にマッチした仕上がりになっており、それなりの仕事をしている。また、効果音周りは全体的に質感満点で、操作の楽しさと爽快感を大いに引き立てている。スマッシュの名に相応しいその仕上がりぶりも要チェックだ。

演出周りも先のエフェクトや効果音の恩恵もあり、なかなか良好な出来栄え。随所で挟まれるムービーもよく出来ているほか、ストーリー展開も最後の最後にユニークなオチが待っていたりと、地味に見逃せない内容に仕上げられている。
他にも、何処となくシュールなデザインのキャラクター、揃って破壊の快感を堪能できる二人同時プレイなど、独自の魅力が満載。操作の思い通りの行かなさという賛否を分ける箇所があるのがクセモノで、万人が気持ちよく楽しめる訳ではないのがタマにキズではある。また、真珠を手に入れる為にメダルを集めなければならない縛りも、折角のシンプルな操作性とアクションの魅力を損ねている感も否めない。ただ、それを含めても、アクションゲームとしての独自性、手軽さはなかなか。思い通りに行かない煩わしさも、コツを掴んでそれを物にした際の快感は見事で、古きよきアクションゲームの味が満ちている。簡単だけど、歯応えあり。見た目の印象とは裏腹の奥深さと辛さを潜めた今作。
アクションゲームが好きなプレイヤーなら是非、プレイしてみて欲しい良作だ。単純ながらも結構奥深いこのスマッシュアクション、是非、機会があったらお試しあれ。
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