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≫Splatoon(スプラトゥーン)
■発売元 任天堂
■ジャンル アクションシューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 パッケージ版:5800円(税別) / ダウンロード版:5800円(税別)
■公式サイト ≫こちら ※音楽が流れます。
▼Information
■プレイ人数 1〜2人 (通信プレイ時:8人)
■セーブデータ数 1つ(※ユーザーごとに作成可)
■必要容量 セーブ:32MB以上、ダウンロード版:1731MB以上
■その他 Nintendo Network対応、WiiU PROコントローラ対応、クラッシクコントローラ対応(※PROコントローラも含め、いずれも一部モードに限る)、amiibo対応
■総説明書ページ数 12ページ(※電子説明書)
■推定クリア時間 5〜8時間(エンディング目的)、350〜750時間(完全攻略目的)
世界を塗り替えなイカ!?
四人のチームを組んでインクを塗り合い、多くの「ナワバリ」を物にし勝利を掴め!
試合の判定は謎のネコにおまかせを!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆相手を倒すのではなく、仲間と協力して陣地こと「ナワバリ」の確保に徹する、チームプレイの重要性と競技性を強く押し出した独自性の強い対戦ルール(更にオンライン対戦を主軸としている)
◆相手に攻撃を当てられずとも、ナワバリ確保という照準操作のテクニックが要求されない部分で貢献できる余地を残した、TPS初心者への秀逸な配慮が光るゲームデザイン
◆TPS、FPSで最も爽快な「武器を撃ちまくる気持ちよさ」にこだわり尽した操作感と効果音
◆WiiUゲームパッド内臓のジャイロセンサーによる、直感的且つ正確性に秀でた照準操作(TPS初心者は勿論のこと、上級者も唸る仕上がり。勿論、センサーを切ってのプレイも可能)
◆人間とイカの二つに姿を変え、独自のアクションをお披露目するプレイヤーキャラクター「インクリング」
◆「ウデマエ」をどこまで伸ばせるかに挑戦する、基本ルールの「ナワバリバトル」とは異なる本格的な対戦と上級者向けに特化した設計が光る「ガチマッチ」
◆塗りに特化した近接系など、射撃系だけに留まらないバリエーション豊富な武器(ブキ)
◆全100種類以上にも及び、一部にはあの侵略イカの衣装までもがある装備こと「ギア」
◆メリットとデメリットが自然と設定され、破綻なくまとまっているブキごとのバランス
◆広範囲に渡ってナワバリを確保するミサイルを発射したり、巨大なイカになって突貫するなど、戦況を打開する逆転要素の側面も併せ持った派手で爽快な「スペシャルウェポン」
◆地形構造、ギミックに至るまで戦略・戦術を練る楽しさに富んだ15以上もの対戦ステージ
◆一定時間単位で対戦ステージが変わる、オンラインの時計機能を活かしたスケジューリングシステム
◆本作独自のシステムによるステージクリア型アクションが楽しめるシングルプレイこと「ヒーローモード」
◆アクションゲームの醍醐味が豊富に盛り込まれた「ヒーローモード」のステージ構成
◆謎解きチックな展開もあったりと、任天堂のゲームらしい手応えに富んだ「ヒーローモード」のボス戦
◆ほぼ底なしと言っても良い総計ボリューム(極めようとすれば、1000時間は超過する)
◆独特の可愛らしさを秘めたデザイン、背景周りの異様な作り込み具合が光るグラフィック
◆ロック調のノリノリな楽曲が取り揃った音楽(特に「シオカラーズ」絡みの曲が秀逸)
◆インクでステージを塗りつぶすやりたい放題感と気持ちよさにこだわったエフェクト演出
◆見た目に反して闇を秘めた世界観とストーリー(特にヒーローモードの「ミステリーファイル」)

--- Bad Point ---
◆回線切断など、何らかのトラブルによってチームメンバーが欠けてしまうと一気に数で上回る側の優勢になって、一方的に攻め込まれる危険に晒される問題を持った対戦バランス
◆数的不利にされたチームに対する救済措置の不備(何一つ対策が組まれてない)
◆合流しても相手が対戦中なら一定時間待たされたり、その後に部屋に空きが作られないとまた更に待たされることになるなど、微かに煩わしさをはらんだ「フレンド合流機能」
◆対戦開始後のブキ・ギアチェンジ不可(一旦、部屋から抜ける以外に選択肢が無い)
◆時折、初心者と上級者が混在する事が起こり得るマッチング
◆遠距離武器「チャージャー」を用いるプレイヤーには極端に有利な構造をした一部ステージの存在
◆周辺機器「amiibo(アミーボ)」無しでは絶対に遊べない「ヒーローモード」のおだいチャレンジ
◆人によってはストレス要因にもなり得る「チョーシ」の概念(ボーナスがある事から)
◆主にやり込み周りに物足りなさが見え隠れする「ヒーローモード」のボリューム
▼Review ≪Last Update : 12/31/2017≫
「に゛ゃっ!」

(チョーシあげていこうぜ!)



2014年6月にアメリカで開催された「Electronic Entertainment Expo(E3)」にて発表され、そのビジュアルインパクトの強さから国内外を問わず大きな注目を集めた完全新作アクションシューティングゲーム。

競技性を押し出した革新的なゲームデザインで魅せる、WiiUを象徴する傑作TPSだ。

内容は3Dの三人称視点で射撃武器を用い、相手と戦闘を繰り広げていくアクションシューティングこと、サードパーソンシューター(TPS)。それも対戦に焦点を置いたTPSで、システム周りも独自性の強いものになっている。
その詳細を解説していくと、まず本作は「チーム戦」を主要ルールとしている。個人同士で争うルールが存在しない。基本的に四人で編成されたチームの一人になって、同じく四人で編成された相手チームと戦っていく形となる。
更に対戦内容もTPSで一般的な武器を用いて相手を倒していく、詰まるところ「殺し合い」ではない。一応、武器で相手を攻撃し、倒す要素自体は本作にもあるが、それが勝敗の決め手にはならない。勝敗の決め手となるのは「ナワバリの支配率」。三分間の対戦時間の内にどれだけ自分のチームが舞台となるステージの陣地を確保できたか、その数値で相手と競い合う。いわば「陣取り」を題材としたものになっているのである。
陣地こと「ナワバリ」を確保する為の手段も単純且つ独特。手にした武器でステージ上の地面を塗っていくだけ。本作でプレイヤーが所持する武器というのは銃火器ではなく、そのような形をした「インク銃」。実弾ではなく、インク(液体)を発射する水鉄砲のようなものになっている。それをステージの地面めがけて発射し、色を塗りながらナワバリを確保していくのだ。インク自体には攻撃力もあり、相手に命中させればダメージを与えられ、一定量に達すれば倒すこともできるが(逆も然り)、先の通りに本作で重要視されるのは倒すことよりもナワバリの確保。基本は塗りに徹し、それを妨害しようとする相手が現れたら戦うようにしていくのである。無論、インクは無限に撃てる訳ではなく、一定量撃つと「インク切れ」になって一発も撃てなくなってしまう。こういう場合、どうするのかというと、自分がナワバリ確保の為に地面に塗ったインクに「潜る」。本作でプレイヤーが操作するキャラクターは人間とイカの二つの形態を持つ「インクリング」なる生命体で、ZLボタンを押すとイカに変身。そのままインクの中に入ると、インクの中に潜ることができる。そして、潜ることによってインクが補充され、再び武器からインクを発射できるようになるのである。潜らずとも、一定時間何も撃たずにいれば自動的にインクは補充されていくが、回復速度は遅め。潜った時との差は歴然だ。なので、インクが切れたら塗ったインクに潜るのが最適解。なんとも珍妙、それでいて自分が塗ったインクに潜るから空になったインクも回復するという、謎の説得力に満ち溢れた仕組みになっている。更にインクに潜ることは、自らの身を隠すことにもなるので、上手く活用すれば相手に気付かれず不意打ちを仕掛けることも可能。また、イカ形態は人間形態よりも素早く移動できるという特徴を持つ。おまけに壁にインクを塗れば、そこを登ることもでき、高台に移動したり、時には相手の裏を突くショートカットを決め込めたりと、戦術の幅を大きく広げる魅力も持ち合わせた形態となっている。だが、その容姿から明らかだが、ナワバリ確保と相手を攻撃する為の武器使用は不可能。なので、いずれかを行う際は人間形態に戻らなければならない。便利な反面、それ相応のデメリットも持ち合わせている感じだ。
その武器こと作中の表記に沿うところの「ブキ」も銃タイプだけでなく、地面を塗ることに特化し、攻撃は近接主体の「ローラー」に「筆」と言ったタイプが存在。銃にも連射に優れた「シューター」、遠距離攻撃特化型の狙撃ライフルこと「チャージャー」と言ったタイプが用意されていて、それぞれの特徴に応じた用法が求められてくる。これらのブキとは別に「サブウェポン」、「スペシャルウェポン」と呼ばれる補助ブキも存在。前者は手りゅう弾っぽい爆弾から攻撃を防ぐバリアまでと多種多様。しかし、いずれもインクを大量に消費する為、ここぞという時に使うことが重要となってくる。後者はインクを塗り続けることによって溜まっていく「スペシャルゲージ」が最大値にまで達することで使える、いわゆる必殺技。敵の攻撃を一定時間防ぐバリアを展開したり、特定ポイントにミサイルを落として大量のナワバリを確保したり、更には大きなイカになって無敵状態となり、相手に突貫したりとこれまた多彩なバリエーションが用意されている。しかし、いずれも使えるのは一瞬。そして一部のスペシャルウェポンは自身を隙だらけの状態にしてしまうので、相手にハチの巣にされないよう戦況とステージの地形を鑑みて使うことも重要となってくる。これらもまた、強力なりに相応のデメリットがある感じ。メインのブキもまた然りで、プレイヤーの戦術が物を言う設計が成されている。
これら以外にも頭と胴体、足の三箇所にそれぞれ対応するものを着け、一部ステータスを上昇させる「ギア」なる装備も用意されてたりと、非常に多くの要素がある。やや長くなったが、以上が本作のシステム、対戦ルールのあらましで、「競技性」を強く押し出したルールになっている。なお、ここまで紹介したルールは本作の主要ルールたる「ナワバリバトル」。他にも「ガチマッチ」と呼ばれる、試合と共にプレイヤーの腕前も評価される本格的なルールも用意されている。そして、紹介が遅れたが、いずれの対戦ルールも、全てはインターネットに接続してのオンラインプレイで実施。世界中のプレイヤーと共に四人のチームを組んで、戦っていくのだ。ローカル対戦も用意されているが、こちらは最大二人までしか遊べないのに加え、ルールも限定的。任天堂のゲームにおける対戦と言えば、どちらかというとローカル重視なところがあるが、本作は珍しくオンラインに大きく焦点を当てている。
また、本作は「ハイカラシティ」と呼ばれる拠点エリアを軸に展開。ここから対戦に向かったり、周囲に立ち並んだお店で「ギア」や「ブキ」を購入すると言ったことができる。この拠点もオンラインで管理されており、オフライン接続だとお店に入れず、「ギア」や「ブキ」が買えない制約が課せられる。更にバトルでは様々なステージが舞台となるが、対戦で選ばれるのはその中の内の二つ。それらが対戦の度、ランダムで変化する。更に一定の時間が経つと「ハイカラニュース」なるイベントが発生し、選出された二つのステージが切り替わるようになっている。
そしてシティ内には「マンホール」なるものもある。ここに潜ると「タコツボバレー」と呼ばれるエリアに移動し、「ヒーローモード」なるシングルプレイ専用モードがスタートする。このモードはステージクリア方式によって進行し、ワールドごとに用意されたステージを攻略して最後に登場する「ボス」を撃退し、タコ軍団に盗まれた「オオデンチナマズ」の奪還を目指す形となる。内容的には本作特有のシステムを活用した王道スタイルのアクションゲーム。このモードに関してはオフラインでもプレイすることができる。更に武器とギアは独自のものが供給。ステージとワールドも数種類用意されていて、ボリューム的にも十分なほか、本作のアクションの基礎も学べるので、チュートリアルとしても最適な内容になっている。
それ以外にもシティ内には一緒に対戦した他のインクリング達が現れ、そこからプロフィールを確認できるほか、オンライン対戦入口「ロビー」前で寝ているまんまるな猫で、対戦で審判を務める「ジャッジくん」からは対戦で勝利を重ねる度に溜まっていく「チョーシ」に応じてお金を貰えるほか、時には「スーパーサザエ」をくれることも。
全体的には任天堂らしいユニークなアイディアが光りながら、オンライン対戦が主軸という珍しい内容。シングルプレイも用意されているが、そちらは二番手扱いで、マルチプレイがメインとも言える革新的なTPSになっている。

そんな本作の魅力はTPS初心者、上級者まで幅広くフォローした対戦ルール及びそのゲームデザインに集約される。
特に操作スキルが重要視されない所がジャンルとしては非常に革新的だ。TPSというのは率直に言って、操作スキルが最重要視されるジャンルである。具体的にはコントロールスティックを用いることによる照準操作で、これで正確に狙いを付け、相手にダメージを与えて打ち倒せるかが、主に対戦においては勝敗を左右する要因と言っても過言ではない。しかし、率直に言って狙いを付けるのは非常に難しい。こと対戦では相手もプレイヤーと同じ人間だ。やられまいと機敏に動くし、的も小さいから、狙いを合わせ続けるのは困難を伴う。また、スティック操作となれば力加減の調整も難しく、余程の修練を重ねなければ狙いを付けること自体もままならない。作品によっては狙いを付けるのをサポートしてくれる「アシスト(オートエイム)」なるオプションも実装されているが、基本的にシングルプレイ専用の機能で、対戦だと対象外にされているのがザラだ。その為、どうしてもプレイヤー自身の操作スキルが求められる。そして、それ自体が癖がある為、TPSの経験が浅い初心者にとって非常にハードルが高い。その思い通りにいかない難しさからプレイする気力を失ったり、いざ慣れて対戦に臨んだとしても、それ以上の正確さを手にした中級者、上級者に圧倒され、自らの力のなさに打ちのめされたりするのがほとんどだ。チーム戦のルールで挑んだりすれば、なおのこと。結果的に対戦を楽しむには、自らのスキルを上げるというのが前提。それもあって、門戸の狭さというのがどんなに工夫を凝らしても付きまとっていた。
そこを本作は「ナワバリの確保」というルールにすることで、完全に取っ払ってしまったのだ。基本、ステージの地面を塗ることが勝敗のカギになるので、適当にブキをぶっ放すだけで十分。狙いを付けるスキルなんてなくても、それだけで勝利に貢献できる。それにチーム戦が基本だ。自分に実力が無くとも、味方が足りない分を補ってくれる。また、仲間が戦闘に集中すると、必然的にナワバリ確保の為の行動が取り難くなる。その穴を防ぐ為、戦闘慣れしてない初心者はナワバリ確保に尽力するなど、役割の分担が明確に打ち出されるようにバランスが取られていて、自然と対戦の楽しさと醍醐味を堪能できてしまうのである。そして、対戦を重ねていけば、いずれは初心者だったプレイヤーも相手との戦いをこなせる実力が備わっていくことも。そんなジャンル特有の門戸の狭さを独自ルールで完全に破壊。操作スキルのないプレイヤーも対戦に貢献でき、中級者と上級者とも渡り合っていける懐の広い環境を作り上げてしまっているのだ。まさに革新的の一言。そもそも、操作スキルが成熟していなく、単に撃つだけで十分に貢献できるという点で斬新極まりない。
また、操作周りもTPSに苦手意識を持つプレイヤーに配慮した工夫が凝らされている。本作も基本操作は左スティックで移動、右スティックでカメラ及び照準を動かすTPSの文法に倣っているのだが、右スティック操作はWiiUゲームパッドに内蔵された「ジャイロセンサー」でも可能。パッド本体を動かしながら直感的に狙いを定めることができる。更に右スティックと組み合わせて使うことも可能で、移動時は右スティック、戦闘時はジャイロセンサーで狙いを付けて戦うなんてこともできてしまう。おまけにセンサーで照準を定める際に限り、狙いを自動で定めてくれるアシスト機能も働く。なので、僅かでも相手に照準が重なれば、攻撃も簡単に当たるのだ。これもまた、初心者には非常に有り難い措置。更に照準を動かす際の速度(感度)もオプションで微調整できるので、自分なりの感覚で立ち回ってもいける。勿論、ジャイロを切って従来のTPS操作で遊ぶことも可能だが、この操作がいかにジャンルに不慣れな初心者のみならず、中級者から上級者にも魅力的に移るものかは言うまでもなく。こんな部分においても本作はプレイヤーの垣根を取っ払ってしまっている。
操作に関する所では、ブキを撃つ気持ちよさが突き抜けているのも特筆すべきところだ。TPS、FPS(ファースト・パーソン・シューター)において、最も気持ちよい瞬間はどんな時か。それは武器を乱射する時だ。「ダダダダ」という音と共に弾をぶっ放すのはそれは心地よいものがあり、それに併せて迫りくる敵を連続して倒せれば一層にパワーアップ。まさにかの有名な『セーラー服と機関銃』のように「カ・イ・カ・ン」な心境になる。本作はそんな所にもこだわり尽くしていて、効果音にエフェクトに至るまで、撃つだけでも気持ちよい仕上がりにしているのである。しかも、そのような行為をしても全く無駄にならない。それ自体が対戦の勝敗に影響する。何が楽しく、最も気持ちよいのか。そんな所に目を付け、このようなルールの構築に至ったのだとしたら、それはもう感服の一言だ。着眼点が見事だし、ジャンルの本質を突いている。そして、それをしっかりとした遊びに昇華させてしまっているのにも、飛び抜けたセンスを痛感させられるばかりだ。
他にブキも「ローラー」に象徴される近接特化型を用意しているのも初心者に配慮しており、射撃がダメな時の第二の選択肢を設けているのも見事。他のブキと対抗できるよう、威力も高めに設定されているが、実はある一点で弱点を持っていたりとバランス周りも考えられていて、破綻しない調整が図られている所には職人技を痛感させられる。
こんな一般的にハードルの高いジャンルとされていたTPSを初心者も中級者も上級者も遊べる作りにしてしまっていること。それだけでも本作が如何に革新的で、稀有な作品であるのかは言うまでもないだろう。ルール周りも「ガチマッチ」に象徴される上級者向けの歯ごたえのあるものがあるし、極めれば他のTPSに負けないほど本格的な銃撃戦を繰り広げられたりと、決して入門編的な作品で終わってない、むしろ廃人コースに突入させるほどの危険性をも含んだ作りになっているほど。まさに全てにおいて懐が広いとしか言い様がないTPS。それが本作なのである。

対戦ばかりに目が行ってしまうが、シングルプレイ専用の「ヒーローモード」も非常にやり応えのあるアクションゲームに完成されている。特にステージの個性付けは、これまでマリオを始めとするアクションゲームを多く制作されてきた任天堂の熟練の業が炸裂。各ワールド最後に登場するボスとの戦いもマリオ、ゼルダを髣髴とさせる特徴的なアイディアが凝らされた内容になっていて、独特の戦う楽しさがある。このモードで敵として登場するタコをイメージした「オクタリアン」達も突っ込みどころだらけ。ボスはその真骨頂で、もはやタコ関係ないだろと言わんばかりの強烈な見た目をしているので必見だ。何気にボリュームもエンディングを普通に目指すだけでも5〜7時間程度と十分。隠されたアイテムを探し出す収集系のやり込み要素も備わっているので、やり応えに関しても申し分なしだ。ただ、このモードで使えるブキが一種類のみ、他のブキで攻略するモードは周辺機器「amiibo」がなければ遊べないのはさすがに褒められない難点。「amiibo」の使い方としても誤っている感が否めず、嫌でもプレイヤーに負担をかけようとさせる阿漕さが垣間見える。こういうのは解禁方法の選択肢の一つとして用意して欲しかったところ。「amiibo」が生産終了となり、遊べなくなる未来を鑑みて、できれば未使用でも解禁できる選択肢を設けて頂きたかったものだ。多少厳しいものであろうと。
難点に関しては対戦周りにもあり、特に何らかのトラブルでチームメンバーが一人いなくなり、数的不利の状況になると四人いる方が優勢になってしまうバランスは率直に言って不愉快。数が欠けてしまった時に限って「bot(※コンピュータが操作するキャラクター)」に切り替わったり、攻撃力と防御力が向上するなどの対策が取られてない所に配慮の甘さを痛感させられる。前者は技術的に困難を極める所があるかもしれないが、後者の対策は最低限、入れても良かったのではないだろうか。何故、このような問題が生じるというのに対策が組まれないままなのか(※複数回実施されたアップデートにおいてもその手の対策は組まれていない)、ちょっとこの辺に関しては制作スタッフの考え方に首を傾げる限りだ。
ただ、マッチング速度はほぼ申し分なし。バトル中もフレームレートの低下、ラグによる遅延はごく稀に起きる程度で(※ただし、環境下によっては話は変わる)、ほぼ常時60フレームが堅持される辺りは見事だ。
グラフィックもそんな環境を踏まえてか、複雑にし過ぎず、それでいて中途半端になり過ぎない絶妙なデザインでまとめられている。特にステージごとの背景の描き込み具合は圧巻。プレイ中、目に映ることがない場所までしっかり描かれている。是非、何らかの瞬間にステージ外の風景を見て頂きたい。思わぬものが目に入ってくるはずだ。

音楽も素晴らしい出来。作中の世界で若者の間でヒットしているポップミュージックという設定を活かしたロック調のノリノリな楽曲が揃っている。独自言語を交えたボーカル入りの楽曲も多く、その中でも本作の案内役を務めるアイドルユニット「シオカラーズ」が歌う曲はいずれも秀逸な出来。オンラインだけでなく、ヒーローモードでしか聴けない彼女達の楽曲も用意されていて、そちらの出来は本作屈指なので、プレイした暁には意地でもチェックして欲しい。
演出周りの派手さも言わずもがな。キャラクター達も魅力的で、特に審判役のジャッジくんは存在感十分。数百種類に渡って用意された「ギア」もバリエーション豊か。その中にはなんと、あの”侵略イカ”の衣装まで用意されている。勿論、公式なコラボだ。そんな任天堂作品としては異例のネタが仕込まれているのも、色んな意味で見逃せないでゲソ。
粗削りな箇所も散見されるが、相手を倒すのではなく、ナワバリを確保していくことを目的としたゲームルールを始め、非常に多くの魅力を持ったTPSに完成されている。まさに新感覚のTPSとも言える本作。WiiU本体を持つプレイヤーならば義務と言っても過言ではないほど、遊ぶ価値大ありの傑作だ。このゲームの為にWiiU本体を買っても後悔はしない。競技性を打ち出した革新的なゲームルールと素晴らしい手触り感は唯一無二。今までTPSに苦手意識を抱いていたプレイヤーにも取っつき易いゲームになっているので是非、遊んでみて頂きたい。非常にお薦めの一本だ。
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