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≫プリニー 〜オレが主人公でイイんスか?〜
■発売元 日本一ソフトウェア
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5229円(税込)<廉価版:2079円(税込)>
ダウンロード版:1500円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※動画が再生されます。
▼Information
■プレイ人数 1人(※アドホックモード時:2人)
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:128KB以上) ※リプレイデータの保存には1個につき352KB以上が必要
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応、ワイヤレスLAN(アドホックモード)対応
■総説明書ページ数 17ページ
■推定クリア時間 9〜12時間(エンディング目的)、80〜120時間以上(完全攻略目的)
闇に魅入られし者どもの潜む禍々しき世界、魔界。
そこに、本来は人でありながら、死して魔物になった者達『プリニー』が居た。
皮の中に実体は無く、ただひとつ罪を犯した人間の魂を宿す。
彼らの過ちを浄めるのは過酷な労働のみ。
罪が許されしその日まで、責め苦を負い続けるのだ。

これは、邪悪なる魔神に仕えたプリニー達の長い長い1日の物語である。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆オーソドックスなステージクリア型でありながら、選択順による地形と難易度変化など、意欲的な要素を多々盛り込んだユニークなゲームデザイン
◆『史上最凶』の名に恥じぬ、やり応え抜群、達成感申し分無し、そして殺す気満点の難易度設定(しかし、やり込めばやり込むほどに突破口が見えてくる、絶妙なバランスにまとめられている)
◆ダメージ制有りから一発死と、遊び応えがのまるで異なる二種類の難易度
◆緊張感抜群の有限制残機システム(残機数が増えるエクステンドの概念も無し!)
◆ナイフによる連撃、回転アタック、ヒップアタックなど、多彩で極め甲斐のある戦略的な要素も多々盛り込まれた主人公プリニーのアクション
◆陰湿な敵配置と驚愕のトラップ群でプレイヤーを徹底的に翻弄させる、練られたステージ構成
◆史上最凶の難易度設定を引き立てる、陰湿で強烈な印象を残す敵キャラクター達(だが、ほとんどの敵はパターンに則って動くので、見切れば脅威で無くなる)
◆躍動感溢れる動き、それを見切りながら攻撃を仕掛けていく駆け引きの熱さが光るボス戦
◆ステージ総数10以上と少なめながら、猛烈としか言い様がない難易度設定とそれによる圧倒的な密度で、プレイヤーに凄まじい満足感を提供する総計ボリューム
◆周回プレイ、隠しアイテム収集、凶悪な隠しステージなど、盛り沢山の特典&やり込み要素
◆『魔界村』チックで、懐かしい手応えと癖の強さが光る、個性的な操作性(レスポンスも良好)
◆ロード皆無の高速復帰、強制エンドによるデータ引継ぎなど、豊富に取り揃えられたサポート&オプション機能の数々
◆可愛らしいアニメーションと描き込まれた背景が光る、良質のグラフィック
◆コミカルながらも見所満載で、侮り難い一面を持ったストーリー(特にエンディングは必見)
◆タイトル名等の印象から良い意味でかけ離れた、オシャレでカッコイイ音楽(名曲も多い)
◆フルボイスによる寸劇シーン、派手なエフェクトなど、抑える所はしっかり抑えた演出周り

--- Bad Point ---
◆悪い意味で殺す気全開、アクションゲームが苦手な人を問答無用で死なせる難易度設定
◆起動固定のジャンプなど、それなりの慣れが必要とされるアクションと操作周り
◆連射攻撃が求められる場面の多さ(主にボス戦はこれを駆使して戦わないと勝利するのは難しい。その多さ故、力加減を誤ればPSP本体に物理的なダメージを与える恐れもある!
◆PSP本体どころか、プレイヤーにも物理的なダメージを与えかねないラスボス第二形態戦(戦闘の詳細は伏せるが、加減を誤れば親指が麻痺状態になる。やり過ぎ注意!)
◆狙いがあるにせよ、全体的に不足気味な感は否めない救済処置(連射対策は組むべきだった)
◆ステージ開始前、ゲーム起動時におけるやや長めのロード時間
▼Review ≪Last Update : 2/16/2014≫
1000回やられても、諦めない!

いや、諦めてください。そこまでです。


日本一ソフトウェアの看板タイトル『魔界戦記ディスガイア』シリーズのキャラクターで、同社のマスコットキャラクターでもある『プリニー』を主人公に据えたアクションゲーム。日本一ソフトウェアとしては初のアクションゲーム作品でもある。

可愛い見た目に反する、吐血必至の極悪さ!
しかし、何度も遊びたくなる魅力も満載の秀作アクションゲームだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクション。主人公のプリニーを操作し、オープニングを含む全11のステージ攻略に挑むというものだ。
本編の進行はステージセレクト方式によって展開。オープニングと終盤の計5つを除く全6つのステージを自由に選択し、進めていく仕組みとなっている。アクションゲームに詳しいプレイヤーに対して言うなら、カプコンの『ロックマン』シリーズ、セガの『ガンスターヒーローズ』等のタイトルと同じ仕組み、と言うとイメージし易いかもしれない。
但し、各ステージのボスを倒す事で特殊武器が得られる、プレイヤーキャラの強化が行われるシステムは実装されていない。その代わり…と言うべきなのか、時間経過によるステージ地形等の変化というシステムが実装されている。
今作ではステージを1つクリアする度、1時間単位で時が経過。それに伴い、残ったステージの難易度、地形、ボスキャラ、更にはクリア後に手に入るアイテムまでもが変化するのである。更に時間が経過すればするほど、各ステージに起きる変化はより激しいものに。後回しにすればするほど、難易度が爆発的に上昇する、とんでもない仕様となっている。ステージセレクト方式による進行という事で、気軽且つ自由に進めていける作りなのかと思いきや、実際は選んだステージがその後の展開を左右するという、非常に戦略性の高い作り。或いは、孔明の罠な作りとも言えるかもしれない。基本的な仕組みこそ見慣れたものだが、さすがはシミュレーションRPGのディスガイアを原作とするアクションゲーム、と言ったところだろうか。独創的で一筋縄では行かないシステムに仕上げられている。更に、全てのステージの変化を見たいというのなら、最低でも4周はプレイしなければならないのだから、やり応えも申し分無しステージ総数11というのを見て、随分と少なめだなと思った方がいるかもしれないが、実際にプレイすればその異様な奥深さに納得するだろう。
また、もう一つ特徴的な要素として、主人公であるプリニーの残機がある。これが何と、最初の時点で1000という膨大な数値になっている。しかし、エクステンド(残機アップ)の概念が無く、ミスした後にこの数値を回復させる手段は一切ない。つまり、コンティニュー不可能。一度でもゲームオーバーになってしまえば、その時点でそれまでの苦労は白紙となり、最初からやり直しとなってしまうのである。例え、ラストボスとの戦いで敗北したとしても、である。あまりに非情で残酷な仕様となっている。更に追い討ちをかけるが如く、今作の難易度は極悪という単語をそのまま体現したバランス設定。予測不能な動きでプレイヤーを翻弄する敵、初見殺しの仕掛けで敷き詰められたアスレチックエリア、そして俊敏な動きで攻めてくるボスと、全てにおいて容赦ないほどの極悪さ。アクションゲームが苦手だったり、またあまりプレイ経験がないという方ならば、99%の確率で心が折れる、とんでもない難易度設定となっているのである。
一応、3回までのミスが許される『スタンダード』、1発ミスの『魔界公式』の二つの難易度が自由に選べる救済処置が設けられているが、どれを選んでも基本的な厳しさに何ら変わりはなし。そもそも、プレイヤーキャラのプリニー自体がダメージを受けると後ろに仰け反ってしまったり、ジャンプ時の軌道が制御できない、加えて攻撃力も無い虚弱体質なので、どの道、苦労するのは避けられない。弱い主人公、極悪な難易度設定、そしてゲームオーバーになったら全ての苦労が白紙。未だかつて、こんなに極悪な要素が敷き詰められたアクションゲームがあっただろうか。ある意味、カプコンの『魔界村』シリーズとタメを張るどころか、良い勝負と言っても良いくらいの凄まじい内容になっている。それ以前に軌道を制御できないジャンプに関しては思いっきり魔界村である為、『魔界村のDNAを継承する作品』と呼んでも不思議でない。舞台まで魔界だから尚更だ。キャラクターを始め、世界観が全体的に可愛らしいという点だけは違うが。
後回しにするほど極悪になっていく変化要素と難易度的な面での罠が仕込まれたステージセレクト、回復不可能で0になったらその時点でご破算となる1000の残機。そして、血も涙もない極悪な難易度。いずれも今の親切なゲームが多くを占める時代から見れば、過去に逆行するかのような要素ばかり。そういう意味でも、非常に挑戦的で、歯応えのある新しいアクションゲームを求めているプレイヤーには申し分のない内容。世界観こそ可愛いが、難易度からシステムまで、あらゆる面において今の時代に反逆した漢気溢れるアクションゲーム、それが今作なのである。

時代に真っ向から歯向かう極悪な設計。それを聞くだけでも、今作が選ばれたプレイヤーにしか遊べないゲームというイメージを抱いてしまうのは避けられない。しかし、その極悪さこそが今作最大の魅力にして、プレイヤーを魅了するファクターであったりする。確かにアクションゲームが凄く苦手、というプレイヤーにとって今作の難易度は確実に心が折れる設定である。ただ、決して理不尽という訳ではない。
基本的な難易度はさることながら、ステージ構成、敵配置と陰湿に見せかけて、実は全てが芸術的且つ絶妙なバランスでまとめられているのである。そして、しっかりとしたアクション性を確立している。このような題名でありながら、だ。
中でも難易度周り、ゲームバランスの素晴らしさは特筆に値するものがある。どんなに鬼畜な難易度のステージ、ボスであれ、基本的には決められたパターンに基づいた設計が成されているので、諦めない気持ちと向上心さえあれば、確実に攻略可能な調整となっている。加えてそれらをほぼ把握してしまえば、ノーミスクリアもできるようになってしまうという調整の上手さ。経験を積み重ねるにつれ、プレイヤーの確かな上達を実感できる、芸術的なバランスでまとめられているのである。極悪さを全面に出しているとは言え、断じて理不尽に難しくしている訳ではない。計算に次ぐ計算に基づいた絶妙な難しさで、全ての要素が構築されているのだ。
特にステージ構成においてその入念な計算振りがよく現れている。最初こそ、陰湿な敵と仕掛けの配置に理不尽さを覚えるが、何度かプレイを重ねるにつれ、実はプレイヤー心理を巧みに捉えた的確な配置というのが分かり始め、次第に理不尽さが薄れてくる。そして、「これは絶対に突破できる!」という確かな自信へと気持ちが変化してくる絶妙極まりない設計となっているのである。更に先ほどに話したように、敵の行動パターンや仕掛けはパターンに基づいている。故にその癖などを覚えてしまえば、一切のダメージを受けずに突破が可能だ。しかし、その基本がありながらも、軌道固定のジャンプや仰け反りの激しさと言った主人公プリニーの性能が思い通りのプレイを妨害してくる。
そんなプレイヤー自身のハンデもまた、ステージ攻略にアクセントを与えており、ノーダメージで突破できた時の達成感を大いに引き立ててくれる。単に構成の絶妙さだけで終わらせず、プレイヤーキャラクターの性能も含め、難所を乗り越える楽しさと達成感を入念な計算に基づいて演出。あらゆる要素を100%使い、高難易度アクションゲームとしての面白さ、手強さの双方を出そうとするその徹底振りは、まさに職人の成せる業と言ったところ。その見た目からは想像も付かないほど、アクションゲームの醍醐味を分かり切った作り込みが炸裂しているのだ。
また、サポート周りが徹底されているのも今作の優れた部分。ミスしながらでも前へ確実に進めていけるよう、ステージ内には『リトライポイント』が豊富に設置されているほか、ミスをした際にはロード無しの高速復帰が行われるなど、やり直しのストレスを緩和させる為の配慮が徹底されている。その為、モチベーションが落ち難い。この手の高難易度を売りとしたアクションゲームはミス時の苦痛が欠点として挙げられがちだが、今作はこのような工夫の恩恵もあり、一切それを感じさせない。そんな珍しい調整具合も大きな見所の一つと言えるだろう。
プレイヤーのアクション周りも癖の強い部分がありながら、意外と多彩で楽しい。敵を気絶させるのみならず、ジャンプ軌道の調整にも役立つ『ヒップアタック』、連続して敵を切りつける『プリニー連射』など、最弱の主人公という割にはなかなか強力な特技を持っている。中でも文字通り、ボタン連打で発動する『プリニー連射』は思わずムキになってしまうほど熱いアクションに仕上げられている。やたら連打する必要がある為、PSPのボタンを破壊しかねない危険性も孕んでいたりするのだが、高橋名人の如くボタンを連打し、強敵を撃退する爽快感は唯一無二のものがある。文字通り、プレイヤーの”腕前”が試されるそのアクションも今作最大の見所にして、要チェックポイントと言っても良いだろう。
今時珍しい高難易度を売りとした内容なだけに、手強さは近年のアクションゲームの中でも間違いなく群を抜くレベルだ。しかし、計算に次ぐ計算に基づいて調整された芸術的なバランス、ストレス緩和の為の配慮の数々、独特のアクションなど、単に難しいだけのゲームと終わらせるだけでは済まない、強烈な魅力と職人技の数々が炸裂した仕上がりとなっている。奇妙でコミカルな題名とは言え、その中身は正真正銘の純血種。新世代の高難易度アクションゲームと言っても何ら過言ではない、極めて高い完成度を誇る作品となっているのである。つい先程に『魔界村のDNAを継承する作品』と称したが、あながちそれも間違いではないという事を実際にプレイすれば、嫌というほど痛感させられるだろう。

その他、操作性周りも良好。軌道が固定されたジャンプのアクションなど、癖の強い部分はあるが挙動やレスポンスは快適な仕上がりで、気持ちよくキャラクターを動かすことができる。ロードなどの快適性の部分に関しても、ステージスタート時に少し長いロードが入る程度で、それ以外はほとんどなし。それほど気にならないレベルでまとめられている。
そして、ボリューム周りに関しては、膨大なやり込み要素に定評のある日本一ソフトウェア製作なだけに圧巻。アイテム収集、隠しステージ、ステージ変化の全チェック、難易度制覇など無駄に充実しており、コンプリートを目指すとなると裕に100時間は超過する。特に隠しステージである『練武の塔』は、今世紀のアクションゲーム史上、究極とも言える極悪難易度で、あらゆるアクションゲームを攻略してきたプレイヤーですら心が折れてしまうほど難しい。その驚異的なステージを体験するだけでも、今作をプレイする価値は十分にあると言えるだろう。また、ボリューム周りのみならずオプション機能も充実。中でもリプレイ保存機能は、やり込み派のプレイヤーには嬉しい機能だ。
グラフィックもなかなかの出来栄え。特にゲームが進行するに従い、どんどん雰囲気が変化していく背景周りは圧巻の一言。キャラクター周りのドット絵も可愛らしく、特にコミカルな動きをお披露目する主人公プリニーは必見だ。
そして、音楽は圧巻の出来。コミカルなタイトル、世界観に似合わぬ、オシャレでカッコイイ曲が揃っており、本編を大いに盛り上げる。特にタイトル画面の曲は必聴の価値アリ。この曲を聴くだけでも、今作が生半可な気持ちで作られたアクションゲームでは無い事を存分に思い知らされるだろう。その他、オープニングステージとボス戦全般の曲も要チェックだ。

ストーリーも基本的にギャグ多めのコミカルな内容になっているが、意外と作りはしっかりしている。特に終盤の展開は今作の高難易度とマッチした名シーンが満載。それを乗り越えた先のエンディングも素晴らしく、見れば心の底から今作を遊び切って良かったと思えるだろう。また、デモシーンは全てフルボイスで展開されるなど、演出面も結構凝っている。その辺の気合いの入れっぷりにもまた、今作が本気で作られたゲームである事を大いに思い知らされるだろう。
他にストーリーでは、本編とは別の追加シナリオが用意されているほか、ディズガイアシリーズ経験者ならばニヤリとしてしまうボスキャラクター、台詞があったりなど、サービス精神も旺盛。
非常に難易度の高いゲームである為、アクションゲームがもの凄く苦手という方には厳しい事、また『プリニー連射』によるボタン破壊の危険性を孕んだシーンと肉体的な疲労を伴いかねないシーンがあるなど、少々もどかしい部分も散見されるが、緩い題名を全く思わせぬ本格的なアクション性と芸術的なゲームバランスは筆舌に尽くし難い出来栄えだ。
今時珍しい高難易度を売りとしたゲームではあるが、単に難しいだけで締めてしまうのは勿体無いと言えるほど、強烈な魅力と奥深さに秀でた今作。
アクションゲームが好きなプレイヤーなら是非ともプレイして頂きたい、意外な傑作だ。緩い題名と可愛らしい世界観に騙されることなかれ。このゲーム、全てにおいてガチだ。その本気の最凶っぷり、とくとその目と手に焼き付けろ!難易度が非常に高いのもあって人を選ぶところはあるが、お薦めの逸品です。
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