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≫閃乱カグラ SHINOVI VERSUS -少女達の証明-
■発売元 マーベラスAQL(現:マーベラス)
■開発元 タムソフト
■ジャンル 爆乳ハイパーバトル
■CERO D(17歳以上対象) ※過度なセクシャル表現あり
■定価 6980円(税別)<Best版(ダウンロード版共通):3333円(税別)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(※アドホックモード時:2〜4人)
■セーブデータ数 メモリーカードの残容量によって変化(使用容量:10MB以上)
■消費容量 2.05GB以上(※ダウンロード版)
■その他 PlayStation Network対応、メモリーカード(別売)必須、タッチスクリーン&背面タッチパッド対応、モーションセンサー対応、
■総説明書ページ数 44ページ
■推定クリア時間 5〜6時間(シナリオ毎:エンディング目的)、45〜65時間(完全攻略目的)
光あるところに影があり。
影あるところに光がある。

陽と陰、善と悪、光と影……。
その近郊こそがこの世を保つ絶対の理。
忍として生きるのならば、その理から外れてはならない。

しかし、本当にそうなのだろうか。
悪は善を侵食し、善は簡単に悪に染まる。
善と悪の均衡などという言葉は、とっくの昔にそれを都合よく思う者達の戯言と化しているのではないか?
その証拠をある少女達は見たことがない。
悪が善に変わる様も、闇の中に光を見たことも。

これより始まるのは証明の物語。
光と善の世界を証明する為に命を懸けて刃を振るう。

そして、願いは一つ。
戦いの果てにみんなが再び笑えるように。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆3Dアクションに変更するも、過去二作のベルトスクロール方式はそのまま踏襲し、ジャンル特有の迷い難さは徹底的に潰した良心的なゲームデザイン
◆勢力ごとのシナリオを進めていく方式に改められ、(いい意味で)複雑になった本編構成
◆過去二作の三倍以上に膨れ上がったプレイアブルキャラクター達(性能周りの個性付けも露骨に)
◆本編構成刷新で過去作以上の物量になるも、エンディングまでの所要時間は過去二作よりも短めという水増し感を出さない工夫を凝らし、遊び易さを表現しきった全体のボリューム
◆シリーズ伝統の大量の敵を斬撃で一網打尽にする圧倒的な爽快感(効果音も良し)
◆満を持しての防御アクションこと「ガード」の実装(カウンター戦法が使えるように)
◆ガード追加による敵の攻撃積極化、「ブレイク」によるピンチ、「ジャストガード」によるチャンス導入によって、更にアクションゲームとしての遊び応えと奥行きが強化された戦闘バランス
◆戦闘におけるスリルとチャンスの双方を演出する属性効果「凍結」と「感電」
◆各種アクション周りの拡張で、戦う面白さが底上げされたボス戦
◆アクションゲームとしてのやり応えを求めるプレイヤーに配慮した、難易度選択機能のデフォルト化(難しい難易度を選べるようになって、好みに応じたバランスで楽しめるようになった)
◆相手が身にまとう”全て”を破壊する衝撃の必殺技にして新要素「絶・秘伝忍法」
◆「絶・秘伝忍法」の導入で完全に一線を越えてしまったアレの演出(でも規制措置は万全!)
◆前面と背面のタッチパネル、ジャイロセンサーのVita特有の機能を(いい意味で)悪用したギミックの数々(特に攻撃力を底上げする「命駆」状態になる際の操作は爆笑必至)
◆シリーズ初にしてルール周りで悪乗り全開のマルチプレイモード(オンラインにも対応)
◆上位ハードに移行したなりの強化されたグラフィック(当然アレの動きも進化…)
◆過去二作譲りのアクションゲームらしさを突き詰めたノリの良い和風テイストの音楽
◆過去二作で容姿が伏せられていたキャラクター達の登場(注目はやはり”お兄様”)

--- Bad Point ---
◆相変わらずやたらと長いロード時間(オープニングの長さもあって、ゲーム開始までも結構待たされる)
◆見下ろし視点を維持する調整がされている影響か、ぎこちなさが滲み出たカメラワーク
◆思い通りの敵に狙いを付けてくれないなど、反応精度に難があり過ぎる「ロックオン」(こんな問題がありながら、雑魚敵が入り混じる状況でボスと戦う展開が頻繁にあるのもストレス。)
◆アクション周りの挙動は良好ながら、キーアサイン面で違和感のある操作性(アップデート前にはロックオンがタッチ操作限定となっていたという不可解な所も…)
◆良くも悪くも強化され過ぎて目のやり場に困る出来になった破壊演出(規制アリとは言え…)
◆パラレルワールド設定を導入した事による辻褄の合わない部分の多さに媚を意識した展開など、過去二作から作風をガラリと変え、粗さが増したストーリー(重い設定自体は健在なのだが…)
◆戦う理由に無茶苦茶さが見え隠れする「死塾月閃女学館」の面々(やや好みが分かれる)
◆3Dアクションに刷新した影響で繋げる難易度が挙がった空中コンボこと「飛翔乱舞」
◆同じく過去二作から変わりのない作業感の強いやり込み要素全般
◆一部、バランスブレイカー的な技の存在(特に「閃」属性で発動するガードが凶悪)
◆シリーズ恒例(?)の外出先プレイの危険性(演出面が進化し過ぎてる為、自粛が妥当…!
▼Review ≪Last Update : 2/25/2018≫
ここでタッチスクリーンに両人差し指!そのままスライド!

……バリッと行きます。



ニンテンドー3DS初期に発売され、同ハードの立体視機能を(いい意味で)悪用した演出と爽快感溢れるアクション性、見た目とは裏腹な重い作風のストーリーで好評を博し、ヒットを記録したマーベラスAQL(現:マーベラス)制作によるアクションゲーム『閃乱カグラ』シリーズ最新作にして、プレイステーションVita向け新作。開発は過去作同様にタムソフトが担当。

より深まったアクション性、色々と一線を越えてしまった演出で魅せる新境地開拓作だ。

内容は過去の二作とは別物。ポイントごとに現れる敵の集団を全滅させ、ステージを進むベルトスクロール方式はそのままだが、3Dのアクションゲームに刷新。一騎当千の色彩が強く現れた作りに改められた。
本編の流れも章単位で用意された「忍務」をこなしていくのは変わりないが、全体の構成を一新。プレイアブルキャラクターを大幅に増やし、それぞれが属する「勢力」ごとのシナリオを攻略していく内容になった。勢力に関しても過去作の二校(国立半蔵学院、旧・蛇女こと焔紅蓮隊)に加え、「死塾月閃女学館」、「新・秘立蛇女子学園」の二つを新たに追加。単純計算で二倍に膨れ上がっている(キャラクターに関しては約三倍)。それに合わせてボリュームも底上げされているが、シナリオごとのボリュームはエンディングまで大体5〜6時間程度と、過去作よりも短め。全部を攻略するのなら、その四倍になるのはお察しの通りだが、一区切りつける目的でプレイするなら過去作よりも控え目の物量で、単純な水増しにならないよう、一定の配慮と調整を施した内容にまとめられている。
システム周りも忍務ごとに舞台となるフィールドマップはフル3Dの箱庭空間に一新。ただ、ベルトスクロール方式を踏襲しているので、進むべき道は常に示される設計。行き先が分からなくなることはまず無いほか、進むべき方向を示すガイドも備わっているので、3Dアクションに苦手意識のあるプレイヤーでも気軽に遊べる設計になっている。
プレイヤーアクションも3D刷新に関連して、特定の敵を注視する「ロックオン」を追加。過去二作のように直線状のフィールドではない都合で、特定の敵に狙いを付け、感的に攻撃を展開していくのが難しくなったのを考慮し、それを補う機能が追加されている。更に360度から攻撃が展開されるが故の不意打ち、タコ殴りを防ぐ意図で過去二作で(何故か)実装が見送られてきた「ガード」が満を持して実装。これにより、敵の攻撃を防いでその隙に攻撃を叩き込むカウンター戦法が展開できるようになった。また、回避手段が増加したことによってこちら側がダメージを受ける機会もより防げるようになって、バランス面も改良されている。ダッシュ、或いはジャンプで敵の攻撃を避けるしか選択肢が存在しなかった過去二作に不便な思いをしていたプレイヤーにとっては、まさに待望の追加アクションにして、バランス改善と言ってもいいだろう。ただ、例によって一定量のダメージを受けたりすると「ブレイク」が発生し、その反動で一定時間丸腰状態になってしまうペナルティあり。更に敵もより積極的に攻撃を仕掛けてくるようになっているほか、登場する物量も増加。ボスもブレイク狙いの攻撃を展開してくるので、油断大敵だ。満を持しての追加とは言え、使えば完全無欠という訳にあらず。そんな回避手段を増やしたなりの措置も取られていて、これまでとは異なるゲームバランスが描かれた作りになっている。より格闘アクションらしくなった、とも言えるだろう。(それを表すかのように、タイミング良くガードすれば一定時間無敵になれる「ジャストガード」なる上級テクニック兼戦況逆転を狙えるアクションも導入されている)
更に攻撃周りに新要素が。一つに属性。「凍結」、「感電」の二つが追加され、喰らうと一定時間動けなくなるペナルティが課せられるようになった。当然ながら喰らってしまえば、相手からタコ殴りに。一応、ガードを繰り出すことで防ぐことはできるが、もし繰り出すタイミングが少しでもズレれば、その後どんなことになってしまうかはお察しの通り。これもまた、回避手段を増やしたなりの措置として、戦闘にスリルを加えている。ちなみにこれはプレイヤー側も繰り出すことが可能。やりようによっては、瞬殺に持っていく事もできたりと逆転を生み出す要素としても働く。そんな格闘アクション的な戦術が展開できるのも今回ならでは。過去作からの進歩とジャンルを刷新したなりの恩恵を感じ取れるかもしれない。
そして二つに「絶・秘伝忍法」。過去二作にもあった必殺技で、ボスのトドメに使うと衣装を破壊することができたが、その破壊範囲を広げた技が新たに追加された。破壊範囲を広げたすなわち、「完全破壊」である。恐るべきことに今回はボスの衣装とその下に纏っている”モノ”まで壊せるようになった。文字通りの「完全破壊」を決め込めるようになってしまったのだ。当然ながら、技を決めた相手がどのような姿になってしまうのかは……言わせんな、恥ずかしい!というか、それって表現的にアウトでは!?レーティング的に18禁レベルだろ!一般販売していいものじゃないだろ!……などなど、突っ込みたくなるが、ご安心あれ。仮にそのような姿になってしまったとしても、主に深夜の「いや〜ん」なアニメ御用達の謎の光が発生して規制されるようになっている。(ちょっと言い方がアレだが)丸出しになることはなく、刺激的な場面が目前に広がることは決してないのでご安心頂きたい。逆に想像力は嫌というほど刺激されるが、そこはご愛嬌。
そんな恐るべき要素が追加された為、破壊表現も過去二作からグレードアップ。ニンテンドー3DS独自の立体視機能が悪用できなかったので、許される範囲で紳士的なものを追求した格好だ。まあ、17歳以上対象タイトルという事で規制措置は取られているが、良くも悪くも完全破壊を狙う気持ちが湧き易い作りになったのは言うまでもない。主に男性限定だが。そんな衝撃的な要素も盛り込まれて、色んな意味で大迫力の戦闘が楽しめるようになっている。
この他にも本作にはオンラインに対応した対戦モードも新たに実装。最大四人で三種類の異なるルールで争い合えるようになっている。各ルールの内容も悪ノリ全開。詳細は放送コード上(?)の都合により自粛させて頂きます。対戦以外にも各忍務では出撃前に難易度を選択できるように刷新。最初から「ハードモード」が選べるようになった。更に過去二作でお馴染みの「更衣室」はVitaのジャイロセンサー、タッチパネルにフォーカスした作りに刷新されたほか、「購買部」ことアイテムショップでは有料の追加コンテンツ、(色々とアレな)「おみくじ」を買うこともできるようになっている。
全体的にアクションゲームとしての基本的な骨組みは過去二作を踏襲しつつ、3Dに改めたなりのアレンジと新要素追加を行った新しい『閃乱カグラ』に完成されている。新しいハードに移行したなりに演出周りも改められ、良くも悪くも印象深いものに。まさに正統進化とは路線の異なる進化。フルモデルチェンジと称するに相応しい新作になっている。

そんな本作の魅力はより深まったアクションゲームとしての面白さだ。過去二作もキャラクターを動かしているだけでも楽しい、集団で襲い掛かる敵を一網打尽にするだけでも気持ちよいという手触り感の良さにこだわり尽くしていたが、本作はその良い所はそのままに戦術性を高める新要素を多数盛り込んで、完成度に磨きをかけている。
特に「ガード」の追加は非常に大きい。先も紹介したが、これによってカウンター戦法を取れるようになって、単にボタンを連打して斬り込んでいくだけに終始しない奥行きが生まれた。ボス戦はその恩恵を最も強く受けていて、プレイヤーキャラクターのレベルがそれほど育っていなくともガードの使いどころ次第で打倒できる可能性が作られたことにより、アクションゲームらしい手応えも堪能できるようになっている。勿論、それが難しいのならば別の忍務をこなしてレベルを上げてステータスを強化させ、力任せに押し切る従来の戦法に出るも良し。手応えを求めるプレイヤー、安定を求めるプレイヤーの双方の欲求に応える環境が構築されたという事からも、この要素の実装は見事に功を奏したと言ってもいいだろう。名実共に遊び方の幅を広げる改良となっていて、より良いゲームバランスを実現させている。
属性効果の追加も戦闘の面白さを底上げする要素として機能している。喰らってしまうとタコ殴りにされることから、大味なところも滲み出ていたりもするが、それが返っていつピンチに陥るか分からないスリルを演出する一面も。逆にプレイヤー側でもこれを使って一網打尽にでき、それを決め込めた時には相応の爽快感を得られるのも面白い。極端過ぎる所はあれど、アクションゲーム的な魅力を高める役割は見事に果たしており、進化した戦闘をプレイヤーに提供してくれる。
地味な所だが、それら新規のアクションが追加されたことで、連続攻撃を叩き込むコンボ技もキャンセルが効き易くなったなど、よりテクニカルな立ち回りをこなせるようになったのも大きな進化点だ。フィールドが3Dの箱庭空間になったのもそれを引き立てており、広々と動けるなりにどのように技を繋げ、どちらに動くか考える楽しさが描かれている。逆に言えば2Dの過去作よりも複雑になったのだが、戦闘自体はこれまで通りに敵の集団に斬り込んで一網打尽にする流れなので、直感的に立ち回るだけでもこなせてしまう。ただ、様々な動きを組み合わせたり、コンボの流れを考えていくとより凝った動きを展開していけるので、やり込み甲斐はこれまで以上に深まっている。極めれば極めるなりにテクニカルな動きで相手を翻弄できるのは、アクションの増加と3Dを採用した本作の基本設計あってこそのもの。そんな箇所も含めて本作はアクションゲームの完成度に磨きをかけていて、ビジュアルイメージではなく、ゲームとしての面白さを求めたプレイヤーにも応えてくれる内容に進歩しているのである。
よりセンセーショナルな方向に突っ切った破壊とアレ絡みの演出もあって、どうしても本作はそちらに力点を注いだゲームとして見られても仕方がないところがある。しかし、過去二作に象徴されるようにこのシリーズはゲーム部分も大事にしている作品。そのスタンスは本作においても健在であるどころか、より面白さを高める方向に進化を遂げており、アクションゲームを求めるプレイヤーにも応える仕上がりにまとめられている。映像面をより良くできるようになっても、肝心のゲームとしての出来を押さえることに厳守するのは、さすがは過去二作で同様の事を貫き通してきただけにある制作スタッフ。今回もまた、そんなブレない姿勢を感じられるどころか、面白いアクションゲームを作ろうとするこだわりに満ち溢れているのだ。特に繰り返しになるが、ボス戦は「ガード」の導入もあって本当に楽しくなっているし、技の増加による戦術性強化も格闘要素のあるアクションゲームならではの深みがある。媚びた作品だとの印象を強く持つプレイヤーほど、その意外な作り込みには驚かされること請け合い。是非、チェックしてみて頂きたいところだ。
しかし、ジャンルを刷新したなりの粗も少なくない。中でもシリーズの醍醐味とも言えるコンボ技こと「飛翔乱舞」は3Dになったことで敵が放射状に飛ぶのに加え、フィールド内に壁がなくなったことで反射しなくなってしまった影響で、繋げるのが少し難しくなっている。過去二作の経験者ほど、この勝手の違いには戸惑いを覚えるかもしれない。
カメラワークも難あり。一応、「ガード」を取ることでカメラが中心にリセットされるほか、右スティックによるフリー操作も可能だが、見下ろし的な視点になる調整が入っている為なのか、キャラクターの真後ろにカッチリと視点が合う事はないほか、ロックオン時のカメラ動作も焦点からズレるように動く為、人によっては酔いを併発させる難点がある。初めての3D化だけあって、この辺の調整には難儀したのかもしれないが、できればもっと露骨に中央に軸を合わせた調整にして頂きたかった。特にロックオンをして、「飛翔乱舞」を決めた時に関しては尚更である。

操作性に関してもアクション周りのレスポンスは良好だが、キー配置はやや難あり。特にロックオンがタッチ操作限定なのは理解に苦しむアサインだ。一応、アップデートで方向キー上にも対応したが、Lボタンなど他の直感的に押しやすいボタンでないがゆえ、煩わしさがある。レスポンスに関連する所では、過去二作においても欠点とされた長いロード時間が健在どころか、それらよりも長くなっているのも残念でならない。過去二作でもロードの長さは指摘されていたというのに、それを短縮させるどころか、長くする方向に舵を切ってくるのには驚きを禁じ得ない。グラフィックなどの技術的な問題があったにせよ、せめて過去二作ぐらいの長さに留められなかったものなのだろうか。
難易度もより奥行きのあるバランスになったが、一方で特定属性の際に実施するガードにブレイクが発生し壊れた性能を持つ技があるなど、若干破綻したところも。雑魚敵も今回、ガードを行う敵などが登場してバリエーションが強化されたが、それが返って爽快感を損ねる要素として機能する所もあったりと一長一短。エンディングを見るのに一苦労するほど理不尽さを感じる展開が無いだけまだ救いだが、技周りはもう少し神経を配って調整して欲しかったところだ。
そんな戦闘を彩るプレイヤーキャラクター達も数が多いだけあって、一人一人の性能に極端な個性付けがされているのは賛否が分かれる。特に溜め系の攻撃技の露骨な差は気になってしまうところだ。関連してストーリーも登場キャラクター増大で、関係周りがやや複雑に。更にパラレルワールド設定が持ち込まれている為、過去作と意図的に辻褄が合わない展開も普通に挿入されるようになっている。ストーリー自体の内容も殺伐とした雰囲気と硬派なテイストが薄れてしまっていて、大分媚びてしまった印象がある。重い設定が完全に消え失せた訳ではないが、初期のいい意味でのギャップの激しさを魅力と感じていたプレイヤーほど、本作のストーリーにはガッカリ感を覚えるかもしれない。
とは言え、演出周りは大幅に強化。特にノベルパートは一枚絵が増えるなどして、これまで以上に派手になっている。何気に過去二作で容姿が隠されてた飛鳥の祖父「半蔵」、そして迷キャラクター”お兄様”と言ったキャラクターが初めて容姿を見せるので(本作発売当時に放送されてたアニメでとっくに姿を見せてたが)、シリーズ経験者は要チェックだ。

グラフィックも上位ハードに移行したなりにキャラクターのモデリングから背景に至るまで大幅にクオリティが向上している。ただ、イベント時のキャラクターの動作に前作とほぼ同じものがあるなど、使い回しであることが露骨に現れた箇所が散見されるのは人によって気になるかもしれない。また、例によってアレに絡んだ表現もグラフィックの進化と共にパワーアップしている。完全破壊を行った際の演出も強敵を倒した爽快感を描く一方、目のやり場に困る仕上がりになっていて、色んな意味でプレイヤーを困惑させる。その為、今回も外出先でプレイするのが危険であることに変わりはなし。むしろ、全部が破壊されるだけあって危険度はこれまでで屈指だ。人の目が付き易い所でプレイして社会的にも家庭的にも殺されぬことにならぬよう、プレイする際は慎重を期して頂きたい。
他に音楽も過去二作の路線を継承したアクションゲームらしいノリの良い楽曲が豊富に取り揃っているほか、プレイ時の気持ちよさを高める質感溢れる効果音も健在。ボリュームも四勢力ごとに個別のシナリオが用意されて大幅にボリュームアップしているほか、マルチプレイ実装で本編以外のやり込みも備わるなど、遊び応えは格段に進歩している。
初の3Dアクションであるがなりの粗の数々、世界観を広げたなりの功罪とも言える媚びの目立つストーリー、(ある意味で)一線を越えてしまった演出と言った賛否の分かれる箇所も多数あるが、アクションゲームとしての完成度は大きく底上げされていて、単品として十分に遊び耐えうる内容に完成されている。ハードを移行し、ジャンルを変えたとしても従来のゲーム部分と演出周りの双方をしっかり作り込む姿勢に変わりなし、ブレもなしの迷いの無さが現れた本作。アクションゲーム好きには迷わずお薦めできる良作だ。前二作をプレイしてきた紳士なプレイヤー達にもお薦めはできるが、売りとするサービス描写全般はより一層露骨且つ、過激なものになっているので、抵抗感を感じる方は要注意だ。
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